「クローン病手記」
匿名希望 21 歳 2014 年 6 月 20 日
匿名希望 21 歳 2014 年 6 月 20 日
1.クローン病と診断されるまで
自分がクローン病と診断されたのは 19 歳の冬である。それまでは自分のことをただのちょっと他人よりおなかの弱い人間と認識していた。小学生時代は紫斑病という腎臓病を 1 年生の頃に発症し、1 か月程度入院生活を送ったが、その後は運動も好きで活発な生活をしていたため、とくにからだやおなかが弱いという認識はまだなかった。おなかが弱いのを理解し始めたのは中学生時代である。中学生時代は主に晩御飯を食べている途中でおなかが痛くなった。しかしそれも 10 分くらい休憩すれば食事を再開できたし、10 分で治らないときはお風呂に入っておなかをあたためれば治ったので特に気にすることはしなかった。
高校生時代はそれに加え、よく部活の前におなかが痛くなった。というのも先とあまりよい関係が築けていなかったのでストレスを感じたからだろうと思う。
また 1 年の頃の血液検査で貧血が見られ、(それまでも見られていたのですが)おなかが弱いのもありいい機会だと思って内科に診察を受けに行くことを決めました。診察を受けてみると、貧血も深刻視するまででもないと言われ、それでも気になるのなら直腸検査、胃カメラでもしてみますかと言われたので両方受けることを決めた。直腸検査の結果は異状なしだったが、胃カメラで 3 つの異常が見つけられた。3 つの異常とは、軽度の胃炎、軽度の食道カンジダ、ピロリ菌である。食道カンジダ、ピロリ菌は飲み薬を処方され、それを飲んですぐに治療が完了した。胃炎は軽度なので治療は病院では行わずに終わった。またそれ以前は月1回、もしくはそれ以上のペースで食事中の腹痛に襲われていたが、それ以降年 2、3 回程度になったため、食道カンジダもしくはピロリ菌によるものだったのだろうと思っていた。依然として部活前におなかが痛くなることはあったが、先輩が卒業後はそれが全くなくなり、これはストレスによるもので自分は過敏性腸症候群だったのだろうと自己完結していた。そして大学に入学して冬まで腹痛は嵐の前の静けさのように一度も来なかった。2 月の春休みイタリア旅行に行き現地で 40 度の熱、腹痛、下痢を発症。現地の医者に流行りの胃腸かぜと診断される。何も食べずにスポーツドリンクだけでしのいでいると少し体調回復するが、そこで体力を戻そうと食事をとるが、また腹痛と下痢が続く。飛行機の日はおなかの体調も悪くなくなんとか帰国した。それから数日間、ご飯を食べるたびに体調を崩していたが、ある日 40 度弱の熱が出て、病院に行く。検査を受けるとクローン病と診断され緊急入院と手術をすることが決まる、あと少しで敗血症というところだったらしい。
2.二度の手術・入院
先の手術では小腸まわりの膿を除去したがその膿が出てきた穴は特定できず小腸を切断するまでではないという判断で小腸を切らずに終わった。またそこで小腸が狭くなっている(狭窄)とも言われた。そしてそれから入院生活が始まると同時に病気の説明を受ける。「この病気は一生治らない、食事制限も一生まとわりつく。」そう説明されたとき、完全に感情が止まり、他人事のように「ふーん。」としか思っていなかった。食事制限は、エレンタールはおいしいと感じるフレーバーも多かったし、野菜や魚を食べられ、お菓子などはもともと食べなかったのでなんとかやってけるとは思ったが、「好き嫌いせずになんでも食べ、運動もして、飲みすぎたりはしたものの比較的健康的な生活を送っていた自分がなぜ」とは何度も思った。入院中は一日ペンタサを6錠、エレンタールを 2袋処方された。入院中の症状は下痢、軟便、発熱だった。また症状も軽かったのでレミケードを始めるのはぎりぎりまで先延ばしにしようと考えていた。この頃に母に松本漢方クリニックについては聞かされていたが、手記を読んだり「2 ちゃんねる」を見たりした結果どうもうさんくさいと思い受診を決めきれなかった。そして退院の日がきた。待ちに待った退院で、退院した日には外の景色を満喫した。その晩、退院祝いでネギトロ丼を食べた。翌日、熱を出し、病院に行くと非常に高い炎症値が出ていて二度目の緊急入院と手術が決まった。二度目の手術で、小腸を切除し穴(穿孔)があることを確認した。その後も一度目の入院と全く同じ症状、処方だった。自分は手術を二度もしたものの普段の生活に支障をきたすような大した症状もなく、駄目だったらそのときはそのときだという軽い気持ちで松本漢方クリニックを受診することを決めた。二度目も同様に退院。退院後は食事も気を付け、そして松本漢方クリニックに受診に行く。
3.松本漢方クリニック
松本漢方クリニックの最初の印象はお世辞にもいいとは言い難かった。漢方の何とも言えない独特な匂いが印象的だった。松本先生の印象もよくなかった。自分のことを陰気と言ってきたり、我慢するから病気になったとか言われたり、ズバズバ言うタイプで自分の苦手なタイプだと思った。しかし、普段から冷めているところもあり、なんでも自分が我慢するのが処世術で、直したいと思っていたのでいい機会だと思いできるだけ明るく我慢しないように生活してみることにした。そのおかげか何回目かに受診した時には明るくなったと言われ、うれしかったものである。病状については正直もともと軽かったため、下痢はほぼなくなり軟便の頻度も減った。食事については、何でも食べてよいと言われたが、手術直後ということもあり鵜呑みにせず最初のうちは消化の良いものメインで食べ、数か月かけてなんでも食べるようにしていった。
4.現在
現在は松本漢方クリニックにかかり始めて 1 年ほどであるが、完全に自由な食事をしていても体調は安定している。症状は軟便が週の半分くらいで、下痢は月に一度あるかないかくらいである。治ると便秘気味になってくるらしいがまだそこまではいっていないのでもう少しの辛抱だろうと思う。
5.クローン病や松本漢方クリニックについて思うこと
まずクローン病と診断され、パンフレットを読まされたが、原因不明の難病、完治はしないと書かれていた。しかしよくわからないからネットで調べた。そこで松本漢方クリニックのHPを見つけ、そこには理論や手記が書いてあった。しかし穿孔とか狭窄とか痔瘻とか NK 細胞だとか普段見ることのない、また意味も調べて初めて知るような単語がいちいち出てきて、診断されてすぐのそれらに見慣れていない頃はそれがなにかいちいち調べなくてはならず、正直わざわざ難しく書くことでそれっぽく見せようとしている悪徳商法ではなかろうかと思っていた。それでもそこで希望を捨てずにひとまず松本漢方クリニックに行ったので、自分はあそこでいい道を選ぶことに成功したのだと思う。
松本漢方クリニックに行ったらこの病気を作り出したのは他でもない自分自身だとか言われ、相変わらずなにをうさんくさい宗教じみたことを言ってるんだと思った。
しかし、そこでよくよく昔のこととかを思い出すと、自分は小学生の頃野球の練習にほんとに行きたくない時期があり、その頃はよくほんとに熱が出て行かなくてよくなったり、また行かなくてよいと決まった瞬間に気が楽になって体調が治ったりしたものである。誰しもこういう経験があることを思い出してほしい。病は気からというのはほんとにその通りなんだと思った。
あきらめることなく、明るく、自分に正直に生きることが大切だと思った。
そのきっかけをくれた松本漢方クリニックに感謝している。