鞘製作
刀身が完成すると、それを納める鞘(さや)が必要です。
美術刀剣では研磨した刀身に傷がついたり、錆が浮いたりしないように、白鞘という朴(ほお)の木でできた鞘に納めます。
刀を鞘から抜くのは、光加減を調整して地金や刃文を透かしながら観察する時くらいです。
これに対し、居合道の真剣は稽古の数だけ刀を鞘から抜き、また納める動作を繰り返すため、鞘に耐久性が必要になってきます。
例えば、鯉口は抜刀や納刀の際に切先で損傷しないように硬く保護され、漆で痛みを防ぐと同時に湿気を遮断する密閉性が求められます。
私の鞘は鞘尻(こじり)に金具がついていますが、これも装飾品であると同時に鞘を守るために役立っています。
日本刀は古来から美的センスも大切にされており、鞘にもそれが各所に踏襲されているようです。
さて、真剣はひと振りごとに長さと反り、重ねの厚さ、身幅の大きさが違いますから、鞘もそれに合わせて製作しなければなりません。
まず、サンドイッチを作るように1つの木材を半分に切り、これに研ぎが上がった刀の形状を型取り、刀の厚さを考えて削って行きます。
最後に2つを張り合わせて1つの鞘が完成です。
聞くところでは鞘は2分割できるように飯粒を練ったもので糊付け張り合わせされているそうです。
何故かといえば、鞘の手直しの時に2つに開くためだそうです。
・・・でも、私はその作業は見たことはありません。