七段審査その3

審査の技前は次の6本と発表され、礼法を含めて7分以内で演武しないといけません。

1本目「前」

2本目「受け流し」

3本目「袈裟切り」

4本目「添え手突き」

5本目「四方切り」

6本目「総切り」・・・技番号とは違います。

それにしても袈裟切りの技が多かったことが記憶に残りました。

 

 六段の審査の頃は古流2本と指定技3本で間違うことも無かったのですが、全てが全剣連居合となり、しかも6本・・・忘れるより飛び抜かす失態を演じてしまわないように注意しました。

 というのも、地区大会で1本抜かして負けてしまったことがトラウマになっています。

 気を引き締め、順番どおり一つ一つ正確に演武することに集中するように言い聞かせました。

 私たちの編成は1列4名の5列で、受審する方が進むと否が応でも気持ちがピリピリしてきます。

 そして、いよいよ第5列・・・自分の番が来ました。

 審査会場では4列目の受審が始まっており、それを見ながらゆっくりと椅子に座り、刀を膝に置いて心を落ち着けます。

 ただ、彼らの演武を見ると日曜稽古ほどの厳しさは感じず、被った刀の切先が下がる方も多いし、体捌きや脚捌きも良いとは見えませんでした。

 何となく少し安心しました。

 それでも手には少し汗を握っています・・・

 緊張しているのは間違いないので(失敗することを考えない・・・自分の技を見てくれ・・・というアニメのセリフを思い出し気持ちを落ち着かせました)

 次は私達の番・・・審査員の手が上がりました・・・さあ、本審査です。

 白線の位置までゆっくり歩き40~50cmほど手前で停止、開始の合図とともに正面への礼、そして正座に入ります。

 白線との距離は稽古会で再確認しており、本来は30cm程度ですが私は身長が高いのでそれでは膝が白線を越えます。

 やはり、綺麗に白線位置に揃えたいので長めにとりました。

 刀への礼も下緒も問題なく装着し、いよいよ1本目「前」です。

 もう、何度も稽古しましたが緊張します・・・

 

まず、抜き付けの速さと正確さを見せることが第一、その後、受け流し気味に敵を追い込んで真向切下し・・・少し刀が右側から出と感じました

 次は2本目「受け流し」・・・右を向いて正座した瞬間、右足先で袴裾を踏んでいることに気づきました。

 “このままで立ち上がると袴を引張ってしまう”と思い、少し左足を前気味に踏み込んで立ち上がり裾を引き出しました。

 正面から見ると多少身体が左にズレたかもしれませんが、4~5cmなので何とか見逃して欲しい・・・そして袈裟切りは「1:いち」の動作で刀を回すと同時に足を後ろに送って袈裟切り・・・何とか上手く行きました。袈裟切りはバランスを壊しやすいのです。


 3本目は「袈裟切り」・・・以前、別府稽古会で東先生から佐川先生の逆袈裟の瞬間の写真を見せてもらっていたのでそれを真似ること、逆袈裟後に刀を袈裟に構える時に刀がブレないように手首を返す・・・八相の構えは肘を張り過ぎない、後ろの踵を上げて前に掛かる姿勢を意識することなどを頭の中で言い聞かせながら振りました。もちろん、袈裟切りは燕返しなので刀が止まらないようにしないといけません・・・木刀で何度も稽古しました。

 ここまでで半分・・・いよいよ残り4本目~6本目です。 

 4本目は「添え手突き」・・・これも何度も稽古をしました。

 2歩目で敵へロックオンして鯉口を切、そのまま前方に歩いて右足を踏んだら左に90度向きを変えながら片手で袈裟に抜き打ち・・・右足をわずかに右に向けて下げると同時に刀を腰に水平に引き、そのまま今度は突きの動作・・・

 敵から抜き出す刀を左手で添える時に身幅から下方に指が出ないように・・・これら細かいポイントも一つ一つ考えながら演武しました。

 もちろん、考えるといっても考え込むのではなく、瞬時に頭に思う感じです。


 5本目は「四方切り」・・・最初は右斜め前の敵の手を厳しく叩き、そのまま鞘を引きながら斜め後ろの敵に身体を回しながら鯉口から切先を外し、すぐ水月を突く・・・どうしてもタイミングが遅れ気味になるのがここです。

 その後、最初の敵は柄当て、右後ろの敵は三方切りと同じ、そして最後は脇構えをとりつつ真向切り下しです。

 私たちの前に審査を受けた方は脇構えが甘かったので、しっかり姿勢を作りながら上段に被ろうと意識しました。


 まぁ、なんとかここまでは無事に演武が終わり、残りは「総切り」です。

 これは左右の袈裟切りが多いので、被った時に手の内を如何に瞬時に緩められるかが問題でした。

 どうしても終わりになると力が入りますので、被った時の手の内の緩めは不可欠と思い、意識していたつもりです・・・が、実際はそこまで緩めていなかったかもしれません。一旦緩めると切先が走るのですが、握りしめると振りが重く、切先が遅くなってしまいます。

 それでも、注意されていた切る高さはしっかりキープし、最後の腰腹部の水平切りも押さえ込んで切先が上がらないように、そのまま真向で最後の切り下しを行いました。

 そして、この審査で初めて水平の血ぶり・・・

 練習した通りに「スパッ」と素早く捌き、納刀も無難に終えることが出来ました。


 あとは、終わりの刀礼、正面の礼だけです。

 終わりの刀礼は、右に立てた刀のコジリが動かないように右手押さえて床に押し付け、下緒が刀の下にならないように注意しました。

 右人差し指で鍔を押さえて刀を立て、コジリからこぶし1個分まで左手を下げ左腰に刀を付ける・・・下緒を持ち替えて立ち上がり正面への礼・・・

 左右の人と時間にさほど差が無いので時間超過はないだろうと思い、別府稽古会でも概ね6分30秒で演武していましたので気になりませんでした。

 演武がすべて終了して椅子席付近に戻り、演武した方々と相互の礼を済ませ、また椅子に座って退場の合図を待ちます。

 私たちが最後の組でしたので座って間もなく全員退場・・・長いような短いような審査がすべて終了しました。