新しい入門者です

梅雨明け後の暑くなった頃、新しい入門者が武道場を訪れてくれました。

50代になったばかりの男性のNさんです。

久しぶりの男性の入門ということで、同年代の会員は少しホッとしていることでしょう。というのも、ここ1年くらいは女性の入門者が圧倒的に勝っていて、土曜日の稽古も6~7割が女性会員が占めている状況でした。

早速、道衣の採寸や注文の方法を伝え、居合刀も注文することになりました。

通常は「東山堂さんのセット」で様子を見たりするのですが、Nさんの要望で「長く使いたいので、最初からある程度の居合刀を持ちたい」という意向もありました。そのため、道衣は一式セットを東山堂さん、居合刀は濃州堂さんから購入することにしました。

居合の道衣、特に袴、それと刀の長さは身長が関わってきますが、Nさんは、私とほぼ同じくらいの身長(180cmほど)です。そこで、私が以前使った美濃坂の2尺5寸の模擬刀を持ってもらい、その長さを元に購入する刀身の長さを決めました。結果、2尺5寸5分が適寸でしたが、練習初期段階は抜刀も納刀も難しいだろうと思い「2尺5寸にしましょうか・・・」とアドバイスしました。

しかし、実際はそれでは短いので ”もし、将来短すぎた!と悔やむのもどうかなぁ~” と考え、濃州堂の五十嵐社長さんに直接電話してアドバイスを聞いてみました・・・

すると「その身長だったら、やはり2尺5寸5分で作刀した方が良いです!」と断言して頂いたので、それをNさんに伝え、その長さで発注に至りました。

初心者が刀を作る場合、作刀の決まりなど色々なことが判りません・・・例えば、金具は同じ趣向のものを合わせると良い・・・などをアドバイスし、いま製作しているところです。秋の気配が感じられる頃にご自身の刀ができあがってくると思いますので、徐々にそれに馴れ親しむと同時に大事に扱って下さい。

真剣であろうが模擬刀であろうが、居合道では刀に対する気持ちは同じです。プロスポーツの中には、試合で自分の力が出せないと道具に当たり散らしてしまったり、壊してしまったりすることがあります。気持ちは判りますが、道具に当たっても仕方ないことですし、作ってくれた職人さんに対する侮辱になってしまいます。

武道を志す一人として、私は刀という道具をそういう意識では扱いません。もちろん、床にたたきつければ折れて自分に刺さってしまうかもしれません。それ以前に、精神性が宿るといわれる刀をそういう風に粗雑に扱うことは居合道そのものを否定してしまうことになるので、真剣でも模擬刀でもありがたく使わさせてもらっています。

Nさんも、ご自身の刀が届けばそこにそういう気持ちが生まれると思いますし、そういう方向での礼法を伝えていきたいと思います。

また、稽古しましょう!