みんな注目の親子対決!

投稿日: 2016/06/02 14:59:20

 これほど、多くの人が注目する対決も過去にあまり例がありません。なぜなら、Sさん親子のお母さんと、今年高校生になった楓さんの初対決なのです。居合を始める前から楽しみにしていました親子対決・・・果たして勝者はどちらに。その前に、Sさん親子が居合道を始めようとしたのは2年ほど前の秋口です。

 当時、まだ中学生だった楓さんが「居合をやってみたい」ということで、判田中学校の稽古場に見学に来ました。時代劇が好きということで(大河ドラマ新選組とか)、「居合やってみようか!」という私の説明に「はい」即答してくれたことから始まりました。最初、お母さんは付き添いということだったのですが、折角の2時間の稽古時間、ただ見ているだけでは勿体ないと思って「お母さんも一緒にどうですか?」との説明で、お二人一緒に稽古を始めることになりました。

 やはり、最初は楓さんがとにかく居合に馴染んでいるというか、立姿勢や正座の姿勢が美しいというか・・・何度かお母さんにも感想を話したくらいです。座った時の姿勢が綺麗なのです。造形バランスがいいというか、美しいのです。女性の居合は正確に美しくを目指そうと、稽古はじめは、ゆっくりと大きく刀を振ることにしました。この頃は楓さんの上達が速く、お母さんはおいて行かれる状態だったのです。

 ところが・・・お母さんも毎朝の空いた時間にコツコツと素振りを続けていたそうで1年半ほどかけて徐々に追いついてきたのです。この変化、稽古の時に気付くものですね。「最近、お母さんの振りが良くなってきたよ、楓さんに追いつこうとしているね」と話したくらいです。稽古量はやはり実力を高めるのだなぁ~。

 私も稽古をするのですが、やはり年を取ってくるとなかなか悪い癖が消えてくれません。若いということはいいですね~

 そういう稽古を続け、その間に楓さんは高校受験もありましたが、途中でほとんど休むことなく、ほぼ毎週稽古をしました。そして今年の春からは高校生!。若干のブランクはありましたが力強さも徐々に加わり、安定感ある振りになってきました。お母さんの方はといえば、金池道場への出張稽古、別府稽古会での練習という風に、付き添いから趣味の領域に入って、楽しく稽古をするようになって力量もドンドン高くなってきたのです。居合では努力をする人が上達するという見本だと感じます。親子で研鑽を続けて、これからもっと伸びていくようで期待が膨らみます。

 また、お母さんは羽織や小物などを手作りして稽古に来られます。稽古だけでなく、こうした日頃の居合に関わる趣味、親子との会話や同じ目標などがあると家族として安心ですね。

 そういう経過を経て今回の初の親子対決!・・・トーナメントでの組み合わせで同じパートになってしまったので、準決勝で初対決となりました。講習会の様子などから準決勝までは当然来るだろうと思っていましたが、そのとおりに勝ち進みました。さて、いよいよ試合です。やはり、正確さと姿勢の良さは楓さん、振りの鋭さではお母さんに分があり、甲乙つけがたい状態になりました。見ているこちらも”どちらに旗が上がるか?”ということになりました。判定は1対2、試合なのでどちらかが勝ちますが、僅かにお母さんの振りの鋭さが勝因かもしれません。でも、この判定はほぼ同点ということだと思います。

 決勝戦は、お母さんが旗3本を決め、そのまま優勝しました。準決勝が決勝戦であればなぁ・・・これは少し期待しすぎでしょうか。今回はお母さんが勝ちましたが次は判りません。楓さんも悔しさを糧にリベンジで稽古に臨んでいくと思います。親子で同じ道を学んでいくのは本当に素晴らしいし羨ましいです。将来、楓さんが大人になった時「昔、お母さんと何度も競ったね」という話ができることは貴重なことだと感じます。試合後、お母さんが「5月は母の日が近いので娘が勝たせてくれた」と言っていた言葉に、お母さんの娘に対する優しさも感じました。また、稽古を続けて上を目指して頑張ってください。そして、これからも何度も親子対決で勝ったり負けたりしてください。その効果は私だけでなく、稽古をしている他の人達にも良い刺激を与えてくれます。

 写真はもうしばらくお待ちください。データが別のハードディスクに入っているもので・・・