七段審査その2

 翌朝、起床時間は6時!

 審査は9時~9時半受付なので遅れることはできません。

 髭剃り歯磨き、洗顔して朝食バイキングに行こうとしたら・・・「え?食事チケットがない」という普段でも体験しない状況になりました。

 時間が無いのでカウンターで説明し仮チケットを発行してもらい、朝食は無事に取ることができホッとしました。

 部屋に戻ったら道衣や袴、帯、膝当て・・・それと一番大事な刀を揃える準備です。

 今回の審査のために小さいリュックを購入したので、刀の手入れ道具も一緒に詰め込んで身軽に出発です。

 いよいよ本番の審査会場に臨みます。

 地下鉄東西線の東山駅から地上に上がっても、周りには受験する人らしき姿はありません。

 しばらく昨日のルートで歩いて行くと、少し年齢の高い方が歩行者信号で青になるのを待っています・・・

 挨拶しないのもどうかと思い「今日は試験ですか?」と尋ねました。

 後で “刀袋を肩にかけているには試験以外にはないだろ~” と自分に突っ込みを入れてました。

近くのベンチでは少し若い受験者がパンを食べていましたが、こんなところで食べるの?という感じ・・・人それぞれです。  

琵琶湖疏水沿いに武道センターへ

受付の雰囲気(六段審査の方々)

こんな雰囲気で準備されています

 武道センターに到着すると入口まだ締まっていました。

 先に着いた人は階段にずらっと並んでいます。今朝は氷点下だったので寒いんですよ~早く開けて~

 厚手のジャンバーを着ていすが、30分近く待つのは嫌だなぁ~と思っていると、ほどなく「受付前ですが会場に入っていいですよ」という案内がありホッとしました。

 玄関脇で体温測定を済ませましたが、寒い中で待っていたので額で測っても皆さん34度くらいしかありません・・・

 体温確認の意味ないやん・・・とまた突っ込んでました。

 昨日、会場内に入ったし、武徳殿で演武した時の練習場がここだったので割と落ち着いています。

 とりあえず稽古着に着替え、帯の締め方を調整することにしました。

 最近帯を買い替えたので少し硬く、刀を差した時に鞘引きできる緩さと、鞘が下がらないキツサに馴れていません。

 一度着装て刀を差して調整し、もう一度緩めて調整してベストの締まり方にしました。

 

 大阪での昇段審査とは違い、会場内に練習スペースは殆ど無いので困りました。

 唯一、観覧席沿いの通路で刀を指に馴染ませる程度の準備運動はできましたが、本来なら10分程度は身体を温めておきたかったです。

 刀を振れたのは4~5回くらい、それも素振り程度でした。

 さて、年齢ごとに第1会場、第2会場に受付が分かれ、そこでもう一度演武の並び順を決め、それが実際の受験番号になるということでした。

 少し判りにくいのですが、大阪での六段審査も同じように2段階になっていましたので何となく判ります。

 私は「55C」という受験番号のゼッケンを頂きました。

 渡される時に県名と名前を呼ばれます

 北海道から受けに来られている方もいました。

 飛行機を使えば時間差は大して変わらないでしょうが、気分的には大変だと思います。

 審査は予定より5分程度早く、9時55分には始まりました。

 今回は高齢者からということから2階席で見物していましたが、すぐ係から受験番号を呼ばれ1階に降りることになりました。

 “トイレ行きたかったんだけど・・・”と思って場所を尋ね、用を済ませて会場内に行くと「55Cの方はどこですかぁ~」と呼び出されていました。

 “おお、危ない危ない”と思って手を挙げ、すぐ用意された椅子に座って順番を待ちました。

 係の方から「体を動かして温めて怪我の無いように」との説明があり、椅子の横で少し運動出来たのは良かったです。

 この時はじめて“55Cはグループ5番目のCの座席・・・”と納得しました・・・でも55って何だろう?・・・判りません。

 観ていると同じ七段でも年齢層で演武差が大きく、審査ポイントが守られていないことを実感しました。

 例えば、真向に被った時は切先が下がらない・・・という所作が守られておらず、切先を下げた位置から振っている方も多かったです。

 受流しの姿勢と体捌き、袈裟切りは逆袈裟からの袈裟切りで減点されそうな演武が見受けられました。

 四方切りは脇構えを十分に取らないまま上段に被ってしまう方もいて、“教本通りに抜けていない人って結構いるんだ・・・”と実感しました。

 それに比べ別府の日曜稽古は、しっかりとそこを押さえた稽古をしているのだと納得です。

 私が目標にしたのは「減点されない居合」です。

 減点されやすい所作は刀や木剣でしっかり練習したつもりです。

 それを忘れないよう、演武中は考えながら手の内や脚捌き、体捌きをすることで全剣連居合を正確に抜こうと準備しました。

 無我夢中の演武はダメ・・・と東先生から教えられていますので、常に考えながら正確に抜くことを目指しました。 

審査者が待機する様子(六段)

審査演武中の様子(六段)

演武者2名に対し、6人で審査を行っています

 そういう思いを辿りながらも、徐々に自分の審査が迫ってきます。

 前の演武者が試験会場に入った時点で待機の椅子に座りました

 両手は少し汗ばんでいま

緊張は仕方ないと思いながら、あるアニメのセリフやキャラクターを思い出しながら落ち着きを取り戻そうとしました。

 あるアニメ・・・京都を舞台にした吹奏楽部の物語です。

 この中で緊張に強い女子高生と、彼女たちを指導する顧問のセリフが居合審査にも共通すると実感していたのです

 審査前にそんなことでいいのか・・・とお思いでしょうが、気持ちの面で助けられたのは確かです。

 どんなセリフかと言えば、

 緊張している主人公に対し「緊張してるでしょ・・・失敗したらダメと思うから緊張するんですよ」「私のテクニックを見よ!」と思えばいいんです。「早く演奏見て欲しい・・・楽しみです」と凄くポジティブな性格をもった脇役の女子高生のセリフです。

 別シーンで主人公が「上手くなりたい、上手くなりたい・・・と言いながら橋を走るシーンもありました。

 私も、とにかく上手くなりたいと思って稽古しました。

 顧問の先生は演奏前日の練習後「明日のために特別なことをする必要はありません。普段の練習そのままいいです」・・・これも緊張を無くすことに繋がりました。

 何のアニメと思う方は一度観て下さい・・・

 京都アニメーションが作った「響けユーフォニアム」というスポコン青春吹奏楽アニメです・・・

 歳をとりましたが気持ちはまだ17歳!・・・頭は肉体ほど年をとっていなかったのが幸いでした。

宇治観光センターのロビーに展示されている

同アニメのキャラクタースタンドボード