柄巻き
日本刀は外国の刀剣と少し違って、両手で扱うことが基本です。
その為、柄は長めに作られていて、滑り止めに組紐などが巻かれています。
これを工作する過程が「柄巻き」です。
真剣での素材は正絹、皮(バックスキン)などが使われ、模擬刀では概ね木綿です。
実用的(実戦)は木綿が滑りにくくて良いと思いますが、耐久性などの面では絹が優れているようです。
バックスキンも耐久性はありますが、夏場で汗が着くと滑りやすくなります。見掛けは良いのですが、そこが難点で気になります。
おそらく、昔は正絹を使った柄は一定以上の裕福な武士でなければ出来なかったでしょうから、実戦に赴く足軽などは木綿巻きの柄だったのではないかと思います。
柄巻作業の様子です
ところで、現代の居合道の始祖、中山博道先生が研ぎ上がった刀で試し切りをする際、まだ柄がないため手拭いを水に浸して巻き、それで試して刀の善し悪しを判定していたところ、刀匠側から「私たちが打った刀は柄をキチンと仕上げた状態で最高のものを作っているのだから、そんな中途半端なことで善し悪しを決めてもらっては困る」といったことがあったと、ある専門書に書いていました。
これには中山博道先生も一本取られたと感じたことでしょう。
日本刀は刀身の良さだけに目が行きがちですが、柄巻きや目釘の打ち方まで含め、トータルバランスが大事なことを納得させる話です。
なお、柄巻きは素材以外に、巻き方にも様々な種類があります。
居合道大会や講習会などに行って参加者の刀を観ると、こうした異なる巻き方があることを体験できます。
私の真剣は最も基本的だろうと思う「捻り巻き」ですが、明智巻きなどシンプルとみえる巻き方も、実は長年の工夫があるのだろうと思います。