2010年7月19日の朝日新聞のトップ記事は下記のタイトルであった.
”7公益法人が政治活動 入会や会費徴収、政治団体と一体”
朝日新聞の記事の内容: 厚生労働省所管の7公益法人やその地方組織の会員が、本人の意思のあいまいなまま系列の政治団体に入会させられ、納めた会費の一部が特定の政党や政治家に 献金などとして流れていたことが朝日新聞の調べで分かった。公共の利益のための活動を目的とする公益法人が実質、政治活動をしていたことになり、厚労省は 「公益法人としては不適切な行為だ」と指摘、政治団体と明確に区別するよう改善を求めている。
厚生労働省所管の7公益法人とは,「日本薬剤師会」「日本柔道整復師会」「日本栄養士会」「日本歯科衛生士会」「全日本医薬品登録販売者協会」「日本鍼灸(しんきゅう)師会」「全日本鍼灸マッサージ師会」である.
日本薬剤師会は自民党へ約2億5千万円,民主党へは約7千5百万円を献金しているとのことである.
私は,実家が薬局であったため,選挙が近くなると薬剤師会が集票マシンになることを知っていた.国立大学に勤務していた間は,公務員として,中立の立場 を貫く必要があったので,話題にすることはなかった.ところが,私立大学では実務家教員(教授)が薬剤師会への入会を勧める始末である.6年制になり長期 実務実習をお願いする立場である担当教員としては,そのように発言するしかないのであろうが,今回の記事の内容を知っている私としては,学科主任としても 積極的に賛成することはできなかった.
薬剤師会に真偽をただせば,「強制はしていない」と応えるだろう.そこで,批判的な開局薬剤師に尋ねてみた.年2万円を払わないと何度も催促され,結局は払わざるを得ないとのことである.
日本の精神的風土で,何の見返りも期待せず,政治献金をする人はいるだろうか.結局,医療費にフィードバックされるわけである.
[一言] 各団体にとって都合の良い制度を維持するためには法律の改正や制定が必要である.規制緩和の影響を受ける”薬の関連団体”にとって議員の選出は悲願であることは分からないでもないが,逆の立場の団体も同様なことをやっているので埒があかない.
(平成22年7月19日)