1952

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アメリカや日本で一般市民に解放された周波数は460MHz帯でしたが、1952年3月24日に27.230 - 27.280MHz帯が新たに一般市民に開放されました(実際にはセンター27.255MHzの単一周波数)。ここに世界初の27MHz Citizens Radio Service が誕生しました。

また12月には沖電気工業と国際電気の簡易無線機が検定合格しました。

SUMMARY この年の出来事

Feb.13, 1952 - FCCはラジオコントロール用(Class C )CRSとして、27.255MHzを分配案を可決。

Mar.24, 1952 - 27.255MHzのClass C, CRS を施行。

Dec.11, 1952 - 沖電気工業(株)「沖1B型携帯型簡易無線電話機」が初めて検定合格(検定番号 第5051号)した。

Dec.25, 1952 - 国際電気(株)の「Handie Talkie Type KH-811」が検定合格(第5052号)した。

  • Jan. 31, 1952 ・・・簡易無線局 初のコールサイン変更

簡易無線局として初の設置場所の変更と、それに伴うコールサインの指定変更があった。東京の日本放送協会(NHK)の簡易無線局JKX26,27が名古屋に移設されたため、コールサインが200番台のJKX204,205になった。

  • Feb. 13, 1952 (Docket No.10086) 可決成立 ・・・27MHzCB無線

  • Feb. 23, 1952 (連邦官報告示 17FR1663)

1952年(昭和27年)2月13日。FCCは27MHz帯にCitizens Radio Service のClass C を新設する改正案(Docket No.10086)を可決した。そして1952年2月23日付けの連邦官報で、3月24日より施行することを含めて告示された。

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  • Mar. 24, 1952 世界で初めて27MHzにCB無線が誕生

世界初の27MHzのClass C Citizens Radio Service が誕生した。

その主な仕様は、周波数27.230-27.280MHz(実際の使用周波数は27.255MHz) 水晶制御、周波数許容偏差0.04%、終段入力5W以下、電波型式はラジオコントロールを目的とするon-off unmodulated carier (A0) または、amplitude tone modulated carier (A2) である。

【注】1952年3月24日、アメリカで27MHzにもCitizens Radio Service制度が誕生したことを受け、今後はこちらのCitizens Radioの "年別ページ" で27MHzのトピックスを記載する。なお1920年代から1952年3月24日までの27MHzの歴史はこのサイト内の"Old 27MHz"のページでまとめた。

  • Mar.28, 1952 JO2AD(27.350MHz, A3)、Apr.20, 1952 JO2AC(27.150MHz, F3)免許

1952年(昭和27年)3月28日、電波監理委員会(RRC)は日本放送協会に対して、陸上移動局JO2AD(周波数27.350MHz、電波型式A3、出力0.5W)を許可した。電波監理委員会ではカイロ条約時代の放送バンド(25.600-26.600MHz)の跡地26.100-26.600MHzを放送中継業務用として考えていたが、隣接する27MHz帯でも放送関係へ免許することとした。

1952年(昭和27年)4月20日には、JO2AC(周波数27.150MHz、電波型式F3、出力25W)も追加された。これはFM波を使用する無線局としては日本でもっとも低い周波数の許可だった。

(この無線局は前年に実験局として運用しているので、それについてはJapanese 11m のページを参照下さい)

  • Apr.28, 1952 日本独立でマッカーサーラインが消滅

サンフランシスコ講和条約が発効し、日本が独立を果たした。同時にGHQからの対日指令"Memorandum for: Imperial Japanese Government. Subject: Area Authorized for Japanese Fishing and Whaling"(SCAPIN 第1033号, June 22, 1946)による"マッカーサーライン"が消滅した。これは日本漁船が本土4島の周辺海域から外洋へ出て漁業をするのを禁止するものだった。

そして戦前に盛んに行われていたアリューシャン列島、アラスカ方面への北洋漁業(サケマス漁)が、母船方式で再開されることになるが、ちょうど27.4-28.0MHz帯が未使用で空いていたため、この周波数帯が1955年(昭和30年)より北洋漁業バンドとなる。詳しくは、1954年や1955年のページで触れる。

  • June 01, 1952 JKJ37(27.350MHz, A3)、JKJ36(27.150MHz, F3)免許

電波監理委員会(RRC)は日本放送協会に対して、JKJ37(周波数27.350MHz、電波型式A3、出力0.5W)とJKJ36(周波数27.150MHz、電波型式F3、出力25W)の本免許を与えた。コールサインはJKJ36だ。

これは前述のJO2AD(27.350MHz, A3, 0.5W)、JO2AC(27.150MHz, F3, 25W)のコールサインが実用化試験局形式(文字+数字+文字)から実用局形式のものに切り換わっただけで、同じ局かもしれない。(詳細は不明)

  • June 30, 1952 CB局の増加傾向が明確に

FCCの年次報告書によると1952年6月30日現在の Citizens Radio 局は1,401局で1年間で3倍近くまで急増した。

【局数統計】

しかし申請件数は246件で、前年よりさほど伸びていないことから、1件あたり複数の複数局が申請されたようだ。

【申請数統計】

  • Nov. 01, 1952 簡易無線の免許事務を地方電波監理局へ移管することが決定

郵波総第645号通達「地方電波監理局長に対する事務の委任」で簡易無線局の処理はアマチュア局とともに全面的に地方電波監理局に委任されることになった。

電波監理委員会は中央集権的な電波行政の事務の簡略化と地方電波監理局の強化を検討しており、また一方で比較的簡単な無線設備を使用する簡易無線の免許事務にも慣れて、しだいにある形式にしたがって処理できるようになっていたことが挙げられる。

なおこの通達では実際に事務処理を行う基準を別に定めるとしていたため、簡易無線で実際に実施されたのは、事務処理基準の通達がだされたあとの、1953年(昭和28年)5月20日からだった。

  • Dec.01, 1952 ラジオ・アンド・テレビジョン・ニュース 日本語版 が廃刊

誠文堂新光社のラジオ・アンド・テレビジョン・ニュース(RTN)日本語版 はこの日に発行された11-12月号合併号をもって廃刊となった。思うように売れなかったのが原因だという。しかし最新のアメリカの無線技術を日本語で紹介した誠文堂新光社には敬意を表したい。特に市民ラジオの分野では、創刊号(1950年3月)でAl Gross のWalkie-Talkie (市民ラジオ Class B 検定第一号)を紹介し、廃刊号(1952年12月)ではラジコン用の市民ラジオ Class B 検定第一号を作ったVernon C. Macnabb の詳細解説記事を載せた。まさしく市民ラジオに始まり、市民ラジオで幕を閉じた。

なおアメリカのRadio & Television News 誌はまだスタート直後のCRS Class D (27MHz)を1959年3月号より大々的に取り上げて、「趣味のCB無線」というカテゴリーが生まれるきっかけを作った雑誌としても有名だ。詳しくは1959年のページで述べたい。

  • Dec. 11, 1952 日本の簡易無線の検定合格第一号

日本でもようやく第一号検定合格機(検定番号 第5051号)が誕生した。沖電気工業(株)製の「沖1B型携帯型簡易無線電話機」である。型番にBが付くことから、なんらかの改良機による合格と推測される。

1952年(昭和27年)までの市民ラジオ局はすべて自作機(非検定機)だった。早稲田大学のJKZ21,22もそうである。通常の無線局と同じく予備免許から始まる正規の開局手続きを踏み、検定機と同等の性能であることを証明し、通常の無線通信士の有資格者で運用されたと考えられる。すなわちこれまでは米国の「テンポラリーベースのCitizens Radio Service」(1949年6月以前)と似た状況だった。

  • Dec.25, 1952 日本の簡易無線の検定合格第二号

国際電気(株)の「Handie Talkie Type KH-811」が試験に合格し、検定番号 第5052号を取得した。次の検定合格(第5053号)は1955年(昭和30年)12月27日なので、1953-1955年(昭和28-30年)の3年間は沖電気工業と国際電気の2機種の市販品しかなかったことになる。

  • 27MHzのFCC検定合格の第一号は誰?

Radio and Television News の1952年12月号の新製品紹介コーナー(What's New in Radio)にラファイエット社の27.255MHzのラジオ・コントロール・ユニットが紹介されている(p178)。しかしFCCの検定情報については触れていないのでよく分からない。