Citizens Radio

各年度ごとにCitizens Radio に関する出来事を収録しました。戦前のOSSの諜報員用 Walkie-Talkie に着目したFCCのE.K.Jett がCitizens' Radiocommunication Servive を創設します。E.K.Jett が想い描いた市民のための無線サービスとはいかなるものだったか?「1945年」のページはまず最初にご覧いただきたい部分です。

ちなみにそれぞれのトピックスごとに関連ページを挙げてみると・・・

● Citizens Radio(市民ラジオ)の語源については、[1912-1923] のページを

● CB制度設立のきっかけとなったスパイ無線用トランシーバーについては、[1942-1943], [1944-1945] の各ページを

● Citizens Radio Service(460MHz)の準備中の出来事は、 [1947], [1948], [1949] の各ページを

● 日本の簡易無線の誕生は、[1949], [1950], [1951] の各ページを

● 27MHz クラスC(ラジコン)の誕生は、[1952] のページを

● 日本で27MHz帯が漁業無線用になって行く様子は、[1954], [1955] の各ページを

● 日米でライセンスフリー制度が誕生する様子は、[1956], [1957] の各ページを

● 27MHzにクラスD(CB無線)が作られていく過程は、[1953]と、[1957], [1958] の各ページをご覧下さい。

なお米国には電波が国家管理に移行されるより前に、テリムコ(Telimco)という大衆無線機がありました。発売は1905年(明治38年)で、我国では日露戦争で「敵艦見ゆ」が発信された年です。これについては「短波開拓史」のカテゴリーにある [世界のアマチュア] のページをご覧下さい。

【Abstract】 このカテゴリーの各サブページの概要とリンク

    • [1912-1923]

    • Citizens Radio の語源を明らかにします。1920年当時、一般大衆による一般大衆のための無線全般を Citizens Radio と呼んでいました。1945年にFCC委員長E. K. JettはこのCitizens Radio の名前を再び使い、一般市民の無線制度を創設しました。

    • [1942-1943]

    • アメリカのOSSがヨーロッパ戦線で使うスパイ無線用260MHzの携帯無線機を試作した、二人のRCA技術者とひとりのアマチュア無線家(W8PAL, Al Gross)について紹介します。

    • [1944-1945]

    • 完成したOSS Walkie-Talkie SSTC-502が、J/E Systemとしてナチス占領下のオランダで使用されました。FCCのE. K. Jettはこの無線機に惚れ込み、フィールドテストの経て市民無線通信制度(Citizens' Radiocommunication Service)の創設を決意しました。

    • [1945]

    • 1945年1月15日、FCCは460MHz帯に市民無線通信制度を創設することを発表しました。7月26日のサタデイ・イブニング・ポスト紙でE. K. Jettは直接国民に市民無線通信制度の構想を発表し、さらに同年12月には、来年(1946年)夏には制度をスタートできると語りました。

    • [1946]

    • 1946年11月14日、FCCは市民無線通信制度についてFCCスタッフと製造業者が討議を開始するための、「たたき台」となる技術仕様案ならびに検定試験仕様案 "Requirements and Type Approval Tests for Equipment To Be Used in Citizens’ Radiocommunication Service" を発表して意見を求めました。

    • [1947]

    • 1947年10月23日、FCC Rule Part19, Citizens Radio Service案(Docke No. 8449)が可決承認され、連邦官報(10月31日, 12FR7081)で、1947年12月1日より施行することが告示されました。ただし制度を "Citizens’ Radiocommunication Service" から、"Citizens Radio Service" に改めました。ここに世界初のCB無線制度が誕生したのです。

    • [1948]

    • 1948年3月22日、Al Gross のCitizens Radio Corporationが、Citizens Radioの検定合格第一号を得ました。品名はModel 100Bで、検定番号はCR-401でした。同時にAl Grossはこの検定合格機 Model 100Bでコールサイン19W0001の発給を受けました。

    • [1949]

    • 1949年3月30日、改正 Citizens Radio Service案(Docket No. 9119)がFCCで可決承認され、連邦官報(4月5日, 14FR1596)で、1949年6月1日より施行することが告示されました。FCC ではこの1949年6月1日以降を Genaral Base のCitizens Radio、それ以前をExperimental Base のCitizens Radio と呼んでいます。

    • [1950]

    • 昭和25年春、我国のシチズンスラジオの実験局として、早稲田大学の登山用無線機 JJ2AK, JJ2AL と、日本産業博覧会(神戸博)のラジオコントロール(コールサインなし)に初の免許が下りました。周波数は61.430MHzでした。さらに1950年6月30日、電波監理委員会は465MHzにアメリカのCitizens Radio Service に相当するSimple Radio Service(簡易無線業務)を創設しました。この規則は1950年11月30日に改正されよりアメリカに近い制度となりました。またアメリカでは1950年秋にCitizens Radio Serviveとして初の検定合格機Model CC(検定番号CR-403)が発売されました。

    • [1951]

    • 昭和26年2月5日、米国では改正Citizens Radio Service が施行され、周波数許容偏差の規定値が緩和されました。また1951年2月15日には早稲田大学にSimple Radio Service(簡易無線業務)の初の本免許が下りました。周波数は改正規則による467MHzで、コールサインはJKX22, JKX23でした。

    • [1952]

    • 1952年3月24日、米国で27MHzがCitizens Radio Service のクラスCとしてスタートしました。ラジコン専用ですが世界で一番最初に27MHzがCB用として開放されたことを意味しています。日本ではこの年、初の検定合格機となった1B型(沖電気)と、少し遅れてKH811(国際電気)が誕生しました。

    • [1953]

    • 米国の製造業56社により産業無線業務(Industrial Radio Service)の制度化を目指す「製造業における無線利用の検討協議会」(Committee on Manufacturers' Radio Use)が結成され、FCCに対しCitizens Radio460-470MHzのうち460-462と468-470MHzの4MHz帯域を要求しました。

    • [1954]

    • Stewart Warner社よりModel-73が発売されました。これは本格的に市場に流通した最初の460MHz Citizens Radio のトランシーバーといわれています。日本ではこの年の12月1-3日、27MHz帯を漁業無線に使用できるかどうかの海上伝播テストが郵政省の主導で行なわれました。

    • [1955]

    • 昭和30年2月19日、郵政省は「北洋漁業無線通信要領」を定めて27.4-28.0MHzを北洋漁業無線バンドに指定しました。27MHzのAM無線が非常に効果的だったことから、日本近海でも使いたいとの声が高まり、昭和30年7月26日、通達「郵波航第776号」により日本近海での27MHz漁業無線がスタートしました。

    • [1956]

    • 1956年11月8日、FCCはCitizens Radioをさらに緩和したライセンスフリー無線の制度化を提案し、国民の意見を求めました。これはFCC規則第15条サブパートEと呼ばれるもので、26.970-27.270MHzで送信機の終段入力200mWまでなら免許も届け出も不要とする画期的なものでした。

    • [1957]

    • 1957年4月3日、FCCは11mアマチュアバンドを廃止して、ここに460MHz帯のCitizens Radioを移す提案を行ないました(Docket No.1194)。 CQマガジン誌は27MHzバンドを防衛するため、6月8-9日に"Save Eleven Contest"行ないました。日本からはKA2EEとKA2NYの2局が11mにオンエアーしたようです。

    • [1958]

    • 1958年9月11日、26.960-27.230MHzのアマチュアバンドが Citizens Radio ServiceのクラスDに切替えられました。460MHz帯のクラスAは464.725-465.275MHzとしました。