シリーズ 今どうなっている?
WordPerfectは、1980年代末から1990年代初めにかけて、化学論文を投稿する際、頻繁に利用していた。その後、Microsoft Wordの台頭によって急速に占有率を失ってしまった。WordPerfectにはWordやPDFで出力する機能がなかったため、アイコンのない正体不明のファイルがPCの片隅に残存している。筆者はClassicが走る最後のマシンであるiBooK G4を所有しているので、USBを介してWordPerfectファイルを読むことができる。これと同等の機能をシリコンCPUマシン上でエミュレートできないか調べてみた。仮想化ソフトの中で, SheepShaverに関しては, 最近のMシリーズシリコンCPUにも対応すべく開発が続けられているという。早速試してみた。
SheepShaverの利用に関しては数多くの試用記事や備忘録が公開されtるので、ここでは省略したい。M1マシン(Mac mini, OS 15.5)では、SheepShaver Wrapperでインストールできた。
WordPerfectは最終版が公開されているので、別のマシンでダウンロードした物を使用した。
WordPerfectの起動画面である。日本語入力に対応していることも確認できた。なお、調べたい正体不明のファイルは共有フォルダ(unix)を介して、OS9側に移すことが可能である。
WordperfectにペーストしたChemdrawやChem3Dの画像はクリックすると作図したアプリが立ち上がるので、当時非常に効率的に論文作成が可能であった。SheepShaver環境では、Chemdrawとの連携は実現できていない。
WordPerfectとChemdrawの連携画面
iBookG4 (Mac OS 9.2.2, Mac OS X v10.1) ではChemdrawはMac OS X v10.1)上で起動、Chem3DはMac OS9で起動するという変則的な挙動を示す。
ついでに、Chem3Dについて起動の有無を調べてみた。
次図はChem3Dの実行画面である。Chem3Dのエネルギー最小化手法の一つであるMOPAC (MINDO/3, MNDO, MNDO-2, PM3)の計算も可能である。
連携も可能
WordPerfectにペーストしたChem3Dの画像はクリックするだけでChem3Dが立ち上がる。Chem3Dのウインドウを閉じればワープロの画面に戻る。
パソコンの利用者登録、通信環境、プリント、音関連など、現在では利用できないものなので、一切設定していない。今回は、化学論文作成のための「三種の神器」のチェック結果を紹介した。他の用途には使えないといっても過言ではない。
M1 Mac上のWineでは、Windows用のChemdrawは動くので古いChemoffice(V7.0)が使用できるようになった。
MacのOSが変化するごとに、SheepShaverを試してみたが環境によって微妙に異なる。WordPerfectに関しては、内容を確認できたが、ワープロとして新規文書の作成に使用できるものとは思えない。
WordPerfect文書か否かを知るためなら、オンラインの変換サービスによってPDF化して確認するのが最も早道である。詳細は2017年のブログ(WordPerfect文書のPDF等への変換)を見てほしい。
追記
UTMによるOS9エミュレーションでは、WordPerfectおよびChen3Dは正常に動くことがわかった。ChemDrawを起動するためには、PowerPC版でClassic環境が使える最後のOSであるMac OS X v10.4 (Tiger)のUTM VMマシンが必要である。
(2025.9.10)