安蔵寺山 長い稜線と二つの観音像
島根県 安蔵寺山1,263m、燕岳1,079m 2020年11月9日
(安蔵寺山)中国百名山
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前日、鈴ノ大谷山途上より北東方向に安蔵寺山を見ていた。それは南北に長い稜線を伸ばした山。ゆったりした二つのピークの北(左)から歩き、南端(右)の頂上へ。登山口と頂上で二つの安蔵寺観音に出会う。
安蔵寺山の登山口は遠かった。R187から右折して狭い舗装路を東に進み、津和野町からは更に道は狭くなり、砂利道になったあたりでは心配になってきたが、再び舗装路になった先には立派な駐車場があり、安蔵寺観音の大きな石像が迎えてくれた。
道沿いの沢でワサビを栽培しているようで、「取らないように」という注意書きがあったが、登山道にもワサビが生えているようだった。九十九折りを登り切ると稜線の打原峠。そこは燕岳と安蔵寺山の分岐で、かわいい顔の石仏と、「壱の塚」という石標があった。まだ早いので燕岳に向かうが、すぐそこだろうと思った燕岳は遠かった(往復50分)。
打原峠から安蔵寺山までには5つのピークを越えていく。九十九折りを登った先は緩くて長い登りで燕岳への登りに比べてかなり楽。背後には樹間に燕岳。
M4・安蔵寺山・北峰では最高点1,257mのやや西側をトラバース。M5・安蔵寺山・中峰には標識とベンチがあり、そこまで来て登山道からやっと安蔵寺山が見える。それは笹と灌木に覆われた丸い峰で、日本昔話に出てくるような姿(こういう姿の山は各地でいくつか見た。丹沢の檜洞丸、岡山の後山など)。そこには歩きやすい広くて緩い道がついていた。コルには「寺屋敷跡」の案内(*4)。
そして安蔵寺山の頂上に着く。三角点と頂上標識に南側の方位図。そこからは小五郎山や羅漢山が見えていた。天気が良ければ四国の石鎚山が見えるらしいが、この日は見えていなかった。頂上直下には安蔵寺観音像(日原駐車場の安蔵寺観音とは別。だいぶ小さい)が安置されており、お参り。
南西からの登山道の標識に「展望所5分」という表示があり、行ってみる。確かに5分くらいの地点まで尾根を下ると林を抜け、北以外の視界が広がっていた。遠景がやや霞んでいるが、山並みが地平線に広がり、そこかしこに集落や田園風景が散らばっている。西に黒いシルエットになって見えているのは額々山、安芸冠山、寂地山ではなかろうか。
この日も前日と同様、道の駅むいかまちの温泉ゆららに入る。
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
前日、鈴ノ大谷山途上より北東方向に安蔵寺山を見ていた。それは南北に長い稜線を伸ばした山。ゆったりした二つのピークの北(左)から歩き、南端(右)の頂上へ。登山口と頂上で二つの安蔵寺観音に出会う。三日前にも、広見山途上から西に安蔵寺山を見ていた。それは(当然だが、)鈴ノ大谷山から見たのとちょうど左右逆の形(左端が頂上)をしていた。
この日の天気予報は中国地方はほとんど晴なのに島根のみが曇。調べると、松江のあたりが曇で、そこから南は晴らしい。ならは島根南部にある安蔵寺山は大丈夫だろう。前日の鈴ノ大谷山への笹ヤブ登山は大変だったが、一晩寝てだいぶ疲れもとれていた。この日も明るくなり始めてから道の駅を出るが、安蔵寺山の登山口は遠かった。途中、七日市町を通過するとき、もう夜明けの日をあびている鈴ノ大谷山を見る。標高1,000mの高い尾根に並ぶいくつかのピークのうち、前日に登ったそのピークは目に刻まれている。こんなに町の近くにあったのか。その左には盛太ヶ岳の丸い姿も見えていた。R187から右折して狭い舗装路を東に進み、津和野町からは更に道は狭くなり、砂利道になったあたりでは心配になってきたが、行く手に燕岳らしき山が見え、再び舗装路になった先には立派な駐車場があり、安蔵寺観音の大きな石像が迎えてくれた。安蔵寺山の案内(*1)や登山道案内(*2)があり、トイレを借りてから歩き始める。
前日の疲れは腰のあたりに感じられ、頭に痛みも感じたが、足のほうはいたって元気で、二呼二吸をしてやると、どんどんと登っていく。道沿いの沢でワサビを栽培しているようで、「取らないように」という注意書きがあったが、登山道にもワサビが生えているようだった。九十九折りを登り切ると稜線の打原峠。そこは燕岳と安蔵寺山の分岐で、かわいい顔の石仏と、「壱の塚」という石標があった。まだ早いので燕岳に向かうが、すぐそこだろうと思った燕岳は遠かった(往復50分)。丘を一つ越えた先はヒノキ?の急な登りが続き、やっとのことで頂上標識に到達。三角点があるが木々に囲まれていて視界はよくない。北の空には黒い雲が広がっていた。松江の曇はこのあたりまで広がっているようだ。冷たい風も吹いてきた。すぐに燕岳を下り、打原峠に戻って最初の休憩。パン(森の切株)を食べる。
打原峠から安蔵寺山までには5つのピークを越えていく。九十九折りを登った先は緩くて長い登りで燕岳への登りに比べてかなり楽。背後には樹間に燕岳。M2・台地ヶ原1,094mを越え、安蔵寺トンネル分岐から更に下ったところに大きな木が倒れていて、安蔵寺山の大ミズナラ、600年の名木という標識が立っていた。大きな木が倒れてしまうというのは悲しいことだ。「安蔵寺山のブナ林」の案内(*3)の先で2度目の休憩、寒いのでレインウェア上下を着込む。M3・ゴーロ谷ピーク1,185mには標識と「高嶺芦谷ブナ植物群」の案内があり、そこからコル1,140mまで45mほど下り、M4安蔵寺山・北峰1,257mに向かって登り返す。
M4・安蔵寺山・北峰では最高点1,257mのやや西側をトラバース。M5・安蔵寺山・中峰には標識とベンチがあり、そこまで来て登山道からやっと安蔵寺山が見える。それは笹と灌木に覆われた丸い峰で、日本昔話に出てくるような姿(こういう姿の山は各地でいくつか見た。丹沢の檜洞丸、岡山の後山など)。そこには歩きやすい広くて緩い道がついていた。コルには「寺屋敷跡」の案内(*4)。登山道は頂上のやや西側に回り込み、西側からの登山道の分岐を過ぎ、ほとんど頂上手前のところに南西からの登山道の分岐があり、そして安蔵寺山の頂上に着く。三角点と頂上標識に南側の方位図。そこからは小五郎山や羅漢山が見えていた。天気が良ければ四国の石鎚山が見えるらしいが、この日は見えていなかった。頂上直下には安蔵寺観音像(日原駐車場の安蔵寺観音とは別。だいぶ小さい)が安置されており、お参り。
南西からの登山道の標識に「展望所5分」という表示があり、行ってみる。確かに5分くらいの地点まで尾根を下ると林を抜け、北以外の視界が広がっていた。遠景がやや霞んでいるが、山並みが地平線に広がり、そこかしこに集落や田園風景が散らばっている。西に黒いシルエットになって見えているのは額々山、安芸冠山、寂地山ではなかろうか。さっきの安蔵寺山頂上の方位図には記載がなかったが、小五郎山と尾根続きなので間違いないだろう(この景観を見て、よし、額々山に登ろうと決意。安蔵寺山は単独では島根県最高峰だが、島根県最高地点はあの額々山だから)。展望所から安蔵寺山頂上に戻るとなんと頂上に人がいた。ウォークマンで大きな音を出していたので、こんにちわと言って帰路を下る。帰路の下りは軽いジョギング、登り返しも二呼二吸で足を進め、往路と同じナラの巨木手前と打原峠で休憩。そこから駐車場までの500mもジョギングで下るが、時速4㎞なら15分だなと思ったが、だいたいそんなところだった。駐車場に戻ってトイレの水道で顔を洗い(沢から水を汲んでいる)、安蔵寺観音にお参り。
途中にある道の駅かきのきむらで仮眠をとり、この日も前日と同様、道の駅むいかまちの温泉ゆららに入る。
(*1)西中国山地国定公園内に位置し、島根県内では標高1,263mで最高峰である。平安末期、人里離れたこの山中で密教仏道を修行するため、修験場を設けていたと伝えられる。山頂北側約50m下方に平坦凹地があり、現在も飲用できる山水が相当量湧き出ているが、そこに「安蔵寺」があったと思われ、現在「寺屋敷跡」と呼ばれている。修験者たちは峰づたい、谷づたいに「山岳回峰修行」を修め、途中の集落の民衆より施物を受け、伝説を種々残している。また、修験者たちは木仏像彫塑を礼拝していたと思われ、現在約800年経過の作と思われる木仏像が鎮蔵寺と安見竹松氏宅の2箇所に計4体保存されている。
(*2)・安蔵寺山1,263m・寺屋敷1,200m・第2ピーク中峰1,250m・第1ピーク北峰1,257m・芦谷分かれ1,136m・ゴーロ谷ピーク1,185m・ミズナラの巨木1,095m・台地ヶ原1,094m・高鉢山分かれ1,085m
(*3)・・・・・安蔵寺山のブナ林は直径1以上の大木も多く、その原生的な林相は西中国山地の典型的な「ブナ-クロモジ群集」であり、極めて貴重な極相林である。ブナの極相林はブナをはじめミズナラ、アシオスギ、カエデ類、オオカメノキ、クロモジ、チシマザサ、オクノカンスゲ、ツルアジサイ、サルナシ等の高木、低木、草本類、つる植物といった多様な構成種による群集が特徴であり、正しくブナの森といえる。・・・・・・
(*4)昔ここに・・・安蔵寺というお寺があったと割れています。ところが大きな山崩れがあり、押し流されてしまいました。このとき、ふもとの横道、安見家の前の川を仏さまが流れてきました。そこで「性根のあるものなら上流へ流れろ」と言ったところ、仏さまは上流へ流れ出ましたので拾い上げて祀りました。その仏像は今も安見竹松さんの家と川をはさんだ向かいの鎮蔵寺に祀ってあります。木彫りで荒削りの真っ黒にすすけた仏様(高さ約20㎝)です。900年以上前に作られたものと言われています。・・・・・
日原Pの安蔵寺観音
安蔵寺山について
(*1)西中国山地国定公園内に位置し、島根県内では標高1,263mで最高峰である。平安末期、人里離れたこの山中で密教仏道を修行するため、修験場を設けていたと伝えられる。山頂北側約50m下方に平坦凹地があり、現在も飲用できる山水が相当量湧き出ているが、そこに「安蔵寺」があったと思われ、現在「寺屋敷跡」と呼ばれている。修験者たちは峰づたい、谷づたいに「山岳回峰修行」を修め、途中の集落の民衆より施物を受け、伝説を種々残している。また、修験者たちは木仏像彫塑を礼拝していたと思われ、現在約800年経過の作と思われる木仏像が鎮蔵寺と安見竹松氏宅の2箇所に計4体保存されている。
登山道案内
(*2)・安蔵寺山1,263m・寺屋敷1,200m・第2ピーク中峰1,250m・第1ピーク北峰1,257m・芦谷分かれ1,136m・ゴーロ谷ピーク1,185m・ミズナラの巨木1,095m・台地ヶ原1,094m・高鉢山分かれ1,085m
登山道のワサビ
打原峠
壱の塚
小さな仏像
ヒノキ
燕岳頂上
燕岳
弐の塚
「安蔵寺山の大ミズナラ」の案内
倒れた大ミズナラ
「安蔵寺山のブナ林」の案内
(*3)・・・・・安蔵寺山のブナ林は直径1以上の大木も多く、その原生的な林相は西中国山地の典型的な「ブナ-クロモジ群集」であり、極めて貴重な極相林である。ブナの極相林はブナをはじめミズナラ、アシオスギ、カエデ類、オオカメノキ、クロモジ、チシマザサ、オクノカンスゲ、ツルアジサイ、サルナシ等の高木、低木、草本類、つる植物といった多様な構成種による群集が特徴であり、正しくブナの森といえる。・・・・・・
「高嶺芦谷ブナ植物群落保護林」案内
安蔵寺山・中峰の頂上標識
安蔵寺山
「寺屋敷跡」の案内
参の塚
安蔵寺山頂上
安蔵寺山眺望案内:石鎚山、鬼ヶ城山、容谷山、羅漢山、小五郎山、大将陣、白旗山、大岡山、築山、平家ヶ岳
羅漢山と小五郎山
頂上直下の安蔵寺観音
展望所
額々山、安芸冠山、寂地山
ミヤコワスレ(ミヤマヨメナ?)
安蔵寺山(広見山途上より)
三日前にも、広見山途上から西に安蔵寺山を見ていた。それは(当然だが、)鈴ノ大谷山から見たのとちょうど左右逆の形(左端が頂上)をしていた。
安蔵寺山(鈴ノ大谷山途上より)