奥裾花自然園 ミズバショウと北アルプスの大展望

長野県  奥裾花自然園1,286m、中西山1,741m、東山・北峰1,830m 2020年5月11日

(奥裾花自然園)長野県の山

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駐車場に着くころにはすっかり空は晴れ、山も見えてきたので、奥裾花自然園の奥にある東山まで登ることにする。

駐車地点からゲートの先の舗装路を歩く。行く手には残雪の堂津山らしき山、道脇には桜が咲いている。

東にこごしい岩山が見えていて、西岳に違いないと直感したが、その通りだった。ごつごつした頭の西岳は戸隠山登山口から見る鋭鋒の西岳とはずいぶん違う印象。

分岐表示を今池自然園に右折。道端にタチツボスミレが咲いている。ひょうたん池はモリアオガエルの住む池ということで(*1)池の中にぼんやりモリアオガエルの卵が見えていた。

広大な湿地の中いっぱいにミズバショウが咲いていた。日本で一番大きなミズバショウ園だという標識が立っていた(*2)。北に回り込んだところで湿地帯の中の木道となり、そこで間近にミズバショウを撮影。

中西山への登山道はどんどん荒れてきて、残雪が出てきて斜面を覆い尽くし、まったく登山道は分からないので残雪斜面をまっすぐ稜線に向かう。こうなったらGPSが頼り。

稜線にはまだ雪があり、強い日差しで雪は柔らかく、アイゼンなしでもどんどん登れた。

東山・北峰直下のロープ場を登るところにショウジョウバカマが咲いていて、ようやくたどり着いたその尖峰の頂上に立つと、行く手に別の山が見えた。その山が東山のようだ。それは残雪をまとった岩峰で、北アルプスの諸峰にひけをとらない険峻な姿をしている。

コルまであとわずかというところで雪が切れ、その先は笹ヤブに覆われていて、断念して引き返すことにする。悔しい限り。

だが、真白な北アルプスが目の前に勢ぞろいしているのは圧巻だった。

奥裾花社にお参りして池を見るとモリアオガエルの卵がたくさんあり、サンショウウオが泳いでいるのを見つける。池の中をよく見ると、サンショウウオはもっとたくさんうようよと泳いでいた。こんなにたくさんいるとは驚きだ。

奥裾花自然園から下っていく途中、朝は雲がかかっていた山の上に乙妻山・高妻山が岩稜の姿で現われた。遠目にはなだらかに見えたその西面は鋭く鋭角に切り立った岩壁で、すごい迫力。


広大な湿地の中いっぱいにミズバショウが咲いていた。日本で一番大きなミズバショウ園だという標識が立っていた(*2)
 タチツボスミレ
 東山:残雪をまとった岩峰で、北アルプスの諸峰にひけをとらない険峻な姿をしている。コルまであとわずかというところで雪が切れ、その先は笹ヤブに覆われていて、断念して引き返すことにする。悔しい限り。
 乙妻山・高妻山:遠目にはなだらかに見えたその西面は鋭く鋭角に切り立った岩壁で、すごい迫力。

 東山・北峰

 ショウジョウバカマ

 クロサンショウウオ

真白な北アルプスが目の前に勢ぞろいしているのは圧巻だった: 白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬大雪渓、白馬岳、小蓮華山、白馬乗鞍岳、天狗原
  6:29 駐車場発  6:46 奥裾花社  7:06 舗装路終点  7:13 ひょうたん池  7:19 今池湿原・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り50分  7:38 中西山登山口(奥)  8:59 稜線  9:44 中西山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・駐車場から登り3時間15分10:53 東山・北峰11:10 引き返し11:24 東山・北峰12:33 中西山13:01 稜線から斜面下降13:54 中西山登山口(奥)14:06 舗装路終点14:27 奥裾花社14:46 駐車場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復8時間17分       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中西山まで往復5時間28分       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今池湿原まで周回2時間1分

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朝2時に起きると雨が降っていた。天気予報は晴時々雨。高気圧の間に小さな低気圧がうろうろしている。いつもの朝食を食べ、3時半に道の駅を出て、4時半頃に猿倉に着くが、まだ雨が降っていて、駐車場は無人。猿倉荘はコロナのため閉まっていて、見渡す限り雪はなし。誰かが登っていれば違っていただろうが、その時の雨の駐車場からは登る気にはなれず、奥裾花自然園に行くことにする。

奥裾花自然園に向かうと、自然園は営業休止とあったが、駐車場に着くころにはすっかり空は晴れ、山も見えてきたので、奥裾花自然園の奥にある東山まで登ることにする。駐車場にある案内には奥裾花自然園の説明(2時間コースと4時間コース)しかなかったが、軽い気持ちで、午前中に往復して戻ってくるくらいのつもりだった。だから、せっかく持ってきた夏靴用アイゼンも置いて行ってしまった。まさか、雪があるとは思わなかったからだ。駐車地点からゲートの先の舗装路を歩く。行く手には残雪の堂津山らしき山、道脇には桜が咲いている。近道の表示に入り車道をショートカットすると奥裾花社という社があり、その手前に池があった。その池にモリアオガエルの卵とサンショウウオがたくさんいたのだが、往路のときは気づかなかった。東にこごしい岩山が見えていて、西岳に違いないと直感したが、その通りだった。舗装路脇に西岳の展望スポットが設けられていて、方位図にベンチが置いてあった。ごつごつした頭の西岳は戸隠山登山口から見る鋭鋒の西岳とはずいぶん違う印象。自然園はそこからまだ遠く、駐車場から2㎞先だった。

舗装路終点に立派なトイレがあり、その先の分岐表示を今池自然園に右折。道端にタチツボスミレが咲いている。湿原の西にあるひょうたん池に寄っていく。ひょうたん池はモリアオガエルの住む池ということで(*1)池の中にぼんやりモリアオガエルの卵が見えていた。東に湿原に戻ると土手の上に出て、広大な湿地の中いっぱいにミズバショウが咲いていた。日本で一番大きなミズバショウ園だという標識が立っていた(*2)。こんなに上からじゃあ花の写真が撮りにくいなあと思っていたら道は湿地を右回りに下っていき、北に回り込んだところで湿地帯の中の木道となり、そこで間近にミズバショウを撮影。太いブナの脇に熊よけの棒状の鐘が下がっていて、それを鳴らしてみる。カーン。湿地の中に小さな島があり、弁天島というらしい。

(*1)モリアオガエル:奥裾花自然園のモリアオガエルは6月頃に大きな白色の泡状の卵塊を水辺の樹枝や草の上に産み付けます。奥裾花自然園はモリアオゲルの生息に適した環境であり、特に池周辺は特筆される繁殖地となっています。

(*2)ミズバショウ:今池湿原の大群落は本邦随一といわれています。しかもブナの原生林に囲まれた白い妖精の花園は長い地球の歴史を背負った宝と言えるでしょう。白い花びらに見える部分は葉が変化したもので芭蕉といい、大事な花を守っています。

周回路を1周して駐車場からの南北路に戻り、そこから中西山への道に入る。それまでの遊歩道の感じで進んでいくと、中西山への登山道はどんどん荒れてきて、沢を渡るあたりで一度見失い、今度は残雪が出てきて斜面を覆い尽くし、まったく登山道は分からないので残雪斜面をまっすぐ稜線に向かう。こうなったらGPSが頼り。行く手の稜線までは数百メートルだったと思うが、この数百メートルが遠く、なかなか着かない。稜線に上がったら今度はアイゼンが必要になるかもしれない、持ってくるんだったと悔やみながら登り続け、残雪の消えた箇所では笹や灌木をつかんで登り、ようやく稜線に到達。東に初めて乙妻山・高妻山が見えた。台形の形の左端が乙妻山、右端が高妻山。稜線にはまだ雪があり、雪の上の平らな日影で最初の休憩。パンとペットコーヒー。強い日差しで雪は柔らかく、アイゼンなしでもどんどん登れた。ペースが格段に上がり、この分ならなんとか登れそうだ。思ったよりも急な稜線の先の中西山はなかなか見えず、その先の東山も全く見えない。ようやく長くて平坦な中西山の頂上に達し、最高点1741mに頂上標識を発見。標識の根本に三角点らしき石標の一部が見えていた。そこから先に見える東山・北峰1,830m(最初、それが東山だと思った)は小さな尖峰で、だいぶ遠く見え、稜線の雪はところどころ途切れていたが、なんとか辿ることができた。稜線のはるか下に赤い屋根の集落が見えている。

東山・北峰直下のロープ場を登るところにショウジョウバカマが咲いていて、ようやくたどり着いたその尖峰の頂上に立つと、行く手に別の山が見えた。そこにあった石標は主三角点で、GPSを見ると、ここはまだ東山ではない。行く手のその山が東山のようだ。それは残雪をまとった岩峰で、北アルプスの諸峰にひけをとらない険峻な姿をしている。だが、北峰から大きく下って登り返していく尾根道をたどれば頂上まで行けそうだ。ずいぶん遠いが、時間はある。そこで、大きくコル1,720mに向かって雪の上を下っていくと、コルまであとわずかというところで雪が切れ、その先は笹ヤブに覆われていて、どこかに登山道がないか探したが見つけられなかった。コルはすぐ先なので、無理やり笹ヤブの中を下ってみる手はあったが、それでも見つからない可能性はある。そこで、断念して引き返すことにする。そこさえクリアできればその先は東山まで行けたのに、悔しい限り。こんなこともあるのか。

だが、真白な北アルプスが目の前に勢ぞろいしているのは圧巻だった。東山・北峰に戻って2度目の休憩(バナナとペットコーヒー)をとり、四周の景観を何度も眺めた。北に向かって下っていくと曲がりくねった残雪尾根の先に乙妻山と高妻山。残雪尾根の途中で稜線から下る登山道を探したが、標識は見当たらず、往路と同じところから下る。自分の踏跡はもう消えかけていて見失うが、GPSに従って再発見し、登山道に帰着。奥裾花社にお参りして池を見るとモリアオガエルの卵がたくさんあり、それを写していると、サンショウウオが泳いでいるのを見つける。池の中をよく見ると、サンショウウオはもっとたくさんうようよと泳いでいた。こんなにたくさんいるとは驚きだ。駐車場に戻る手前で見た白い花はニリンソウ。奥裾花自然園から下っていく途中、朝は雲がかかっていた山の上に乙妻山・高妻山が岩稜の姿で現われた。遠目にはなだらかに見えたその西面は鋭く鋭角に切り立った岩壁で、すごい迫力。

この日(温泉はどこも閉まっていた)は道の駅しなのに寄って頭を洗い、身体を拭き、仮眠。それからスーパーで買い物し、道の駅あらいに泊まる。

 

駐車場

 

案内マップ


堂津岳



近道を行く


奥裾花社


 西岳: 戸隠山、本院岳、西岳、第一峰(P1)、第二峰(P2)、第三峰(P3)

 

戸隠西岳連峰の案内

 

舗装路終点

 


タチツボスミレ


タチツボスミレ


モリアオガエルの案内

奥裾花自然園のモリアオガエルは6月頃に大きな白色の泡状の卵塊を水辺の樹枝や草の上に産み付けます。奥裾花自然園はモリアオゲルの生息に適した環境であり、特に池周辺は特筆される繁殖地となっています。

モリアオガエルの卵


今池湿原のミズバショウ

今池湿原の大群落は本邦随一といわれています。しかもブナの原生林に囲まれた白い妖精の花園は長い地球の歴史を背負った宝と言えるでしょう。白い花びらに見える部分は葉が変化したもので芭蕉といい、大事な花を守っています。

 

ミズバショウ


 ミズバショウ

 

熊よけの鐘

 

弁天島?


荒れてきた登山道


残雪斜面を登る


初めて見えた乙妻山・高妻山


雪尾根を登る


中西山の頂上標識


東山・北峰


 

赤い屋根の集落

 


ショウジョウバカマ


東山・北峰の主三角点


東山


 北の景観: 大渚山、雨飾山、金山と天狗原山、焼山、火打山、堂津山、中西山、妙高山、乙妻山、高妻山、五地蔵山、戸隠山、西岳

 北アルプス(1/3): 蓮華岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、遠見尾根、五竜岳、八方尾根、唐松岳、

 北アルプス(2/3): 白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬大雪渓、白馬岳、小蓮華山、白馬乗鞍岳、天狗原、

 北アルプス(3/3): 小蓮華山、白馬乗鞍岳、天狗原、雪倉岳、朝日岳

 

残雪尾根と乙妻山・高妻山

 

残雪斜面を下る


ピンクの花(キクザキイチゲ?)


奥裾花社の池


モリアオガエルの卵(奥裾花社の池)


クロサンショウウオ(奥裾花社の池)


クロサンショウウオ(奥裾花社の池)


ニリンソウ


 乙妻山と高妻山