高ドッキョウ、平治ノ段 富士山の展望所

静岡県 高ドッキョウ1,134m、平治ノ段940m 2020年10月7日

(高ドッキョウ)日本の山1,000

536

新東名に乗り、新清水インターで降りるが、このとき行く手に富士山を見る。そこから見る富士山は空よりも少し暗いくらいの青で、頂上の中央あたりに剣ヶ峰、右の裾に宝永山の張り出しが見えていた。

山村の中の道脇にはヒガンバナがたくさん咲いていた。葉もなく、長い茎のさきに大きな赤い花が一輪。よく見ると普通の花とはずいぶん違う。2~3倍体だそうだが、どうやって生殖するのだろう?(*1)(*2)

遊歩道入口の手前の道脇スペース(ここにもモノレールあり)に駐車。お茶畑を抜けるとすぐに沢の左岸沿いの道となり、すぐに荒れてくる。

水のない本流から離れて長い九十九折りを登り、そして樽峠に着く(9:37)。樽峠の手前に大きな鼻、大きな口の石像が二つ。峠の北側には顔が削られてしまった石像があった。昔の街道が通っていた名残なのだろう。

ヒメシャラを掴んでよじ登った先で一瞬、樹間に高ドッキョウらしき姿を見るが、高ドッキョウが見えたのは結局、その地点だけだった。

高ドッキョウの頂上にはいくつかの頂上標識と三角点があり、なによりも北側が開けていて、富士山が見えていた。高ドッキョウから見る富士山は剣ヶ峰が頂上のほぼ中央に立っており、左右対称の美しい姿をしていた。

樽峠から平治ノ段までは50分と書いてあったのでナメてかかっていたが、急な尾根をまっすぐ登っていく果てしない階段が現われ、絶句。しんぼうして階段を登る。延々と続く階段はものすごく長く感じたが、実際には17分くらい。

平治ノ段の頂上も林に囲まれているが、北側のみ開けていて、ここで再び富士山を見た。てっぺんに少し雲がかかって剣ヶ峰が隠れており、右下に宝永山が張り出している姿は高ドッキョウから見たのと少し違っていた。

沢沿いからお茶畑の中を通り、車道に上がる頃、ちょうど雨が降り出した。

高ドッキョウの頂上にはいくつかの頂上標識と三角点があり、なによりも北側が開けていて、富士山が見えていた。
平治ノ段の頂上も林に囲まれているが、北側のみ開けていて、ここで再び富士山を見た。
新東名に乗り、行く手に富士山を見る。
山村の中の道脇にはヒガンバナがたくさん咲いていた。
樽峠の手前に大きな鼻、大きな口の石像が二つ
8:17 樽・駐車地点発 8:43 ルート外れる 9:14 登山道復帰 9:37 樽峠11:25 高ドッキョウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間8分11:42 高ドッキョウ発12:58 樽峠13:51 平治ノ段・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・高ドッキョウより2時間9分14:02 平治ノ段発14:40 樽峠15:33 樽・駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復7時間16分

**************************

稲又山から下った翌日、オクシズの駅(安倍ごころ)で天気予報を調べると、翌日から4日間、雨になっていた。台風が来ているらしい。これで次のツアーはお預け。だがこの日は晴後雨、そこで高ドッキョウ・平治ノ段に登ることにする。前日に稲又山に登っていたが、これを逃すと5日間、山に登れなくなってしまう。朝食をとり、7時にオクシズの駅を出る。大きな赤い花はヒャクニチソウらしい。こんなことならこの日の朝に稲又山のときの登山服を水洗いするのを待てばよかった。新静岡インターで再び新東名に乗り、新清水インターで降りるが、このとき行く手に富士山を見る。そこから見る富士山は空よりも少し暗いくらいの青で、頂上の中央あたりに剣ヶ峰、右の裾に宝永山の張り出しが見えていた。新清水インターで降りてR52を南下し、途中で右折して県道75を北上。山村の中の道脇にはヒガンバナがたくさん咲いていた。途中で停車して撮影。葉もなく、長い茎のさきに大きな赤い花が一輪。よく見ると普通の花とはずいぶん違う。2~3倍体だそうだが、どうやって生殖するのだろう?(*1)(*2)

(*1)ヒガンバナの生殖: 当然球根は自分では移動しません。しかし、受動的に移動することはあるでしょう。例えば、イヌとかカラスがくわえていったとか、ヒトが運んで植えたとか、何かにくっついて他へ移ったとか、水に流されたとかなどなどです。川べり等に生えているヒガンバナは雨で水かさが増え、球根が洗われて、他へ運ばれることは大いにあり得ることです。ヒガンバナは毎年分球して球根が増え、土壌が固かったり、浅いところに球根がある場合などは、地表に球根がせり上がってきます。だから露出した球根は外れ易く、何かの拍子で別の場所へ転がってそこで根ずくと言うことが考えられます。ヒガンバナの繁殖を毎年観察した記録が雑誌「遺伝」(裳華房)の1997年4月号に載っています。松江幸雄と言う方(亡くなられたようです)が30年余にわって観察したそうですが、1個の球根は926個に増えたそうです。条件さえよければ、全ての球根から花が咲きますから、見事な群落ができるでしょうね。(みんなの広場jspp.org/hiroba)

(*2)ごく稀に実を結ぶ二倍体のヒガンバナも存在するそうですが、未だ出会ったことはありません。栗田先生の「ヒガンバナの博物誌(研成社)」に、二倍体は三倍体より早咲きとありました。ひと月ほど早く開花するヒガンバナを見つければ、種子を見つけることができそうですね。同書によれば、東京大学総合研究博物館の標本庫に下益城郡中央町堅志田で昭和30年10月8日採集の標本があったが、肝心の種子は今は存在しないとのこと。(熊本国府高等学校PC同好会kumamotokokufuh.ed.jp)

車道は次第に細くなり、お茶畑の中に入って行き止まり。その少し手前に樽峠までの遊歩道入口の表示があった。駐車スペースは車道終点(工事現場のようなところが右手にあったのでここに停めるのはやめる)、遊歩道入口を左下に下ったところ(林業用モノレールの作業所)、遊歩道の更に先(お茶畑の中でもあり、最初は気づかなかった。ここが正解かもしれない)とあったが、遊歩道入口の手前の道脇スペース(ここにもモノレールあり)に駐車。遊歩道だからずいぶん気が楽だが、一応、ヘルメットをかぶっていく(正解だった)(出発8:17)。お茶畑を抜けるとすぐに沢の左岸沿いの道となり、すぐに荒れてくる。沢沿いの道はよほど手間をかけなければ荒れてくるのだが、この数年間の台風などでここも被害が大きく、登山道が崩落したところにハシゴが二つほど。その先で左岸から右岸に渡る。この右岸の道も荒れていて、少し登った先で左の支沢の方に入っていく。赤リボンがその支沢の先に見えていたが、GPSを見るとピンクルートは本流沿いになっている。登山道は支沢沿いに大きく左(西)に大回りし、だいぶ上流で本流に戻ってくるのだが、往路のときはそうとは知らず、GPSピンクルートの方角に沢沿いの尾根を登る。距離的にはたいしたことはないが、傾斜があり、岩場もあり、苦労。こんなところを登るのはどうかと思うが、沢登りのツメではこういうところを何度も登っているので違和感はあまりない。本流の左岸が植林になっていて歩きやすそうなので左岸に移り、植林の間の微かな作業道を歩いているうちに本流は滝となり、その滝の上で傾斜が緩くなり、伏流の状態になっている地点で登山道に復帰する。実は往路のときはどこで登山道に復帰したのか分からなかったのだが、登山道は西を大きく回り、滝の上の伏流の部分で本流を左岸に渡っていた。

登山道に復帰してからは道は格段に歩きやすくなり、水のない本流から離れて長い九十九折りを登り、そして樽峠に着く(9:37)。樽峠の手前に大きな鼻、大きな口の石像が二つ。峠の北側には顔が削られてしまった石像があった。昔の街道が通っていた名残なのだろう。峠は十字路になっているが、新しい標識には北(樽峠入口30分)、西(高ドッキョウ2時間半)、東(平治ノ段50分)の三つしか表示がなく、古い標識には北(山梨)、南(樽60分)とある。駐車地点から1時間半弱だったから、少し遅れた。最初の休憩をとり、西に向かう。広くて歩きやすい尾根道の先に最初のピークが現われ、がんばって登っていく。二つ目のピークを越えた先で尾根は狭くなり、分岐のような地形を左に入る。その先で細尾根となり、北側がナギになって切れ落ちているところを何ヶ所が通過。ヒメシャラを掴んでよじ登った先で一瞬、樹間に高ドッキョウらしき姿を見るが、高ドッキョウが見えたのは結局、その地点だけだった。再び林の尾根道となり、清水方面展望所に寄り(太平洋と市街地がぼんやり見えていた)、最後の長い登りとなる。最後の登りは数百メートルにすぎず、広い尾根道だが、やや傾斜がきつく、長く感じた。ようやく登り切って着いたところは林の中のピーク(東峰)で視界がなく、がっかりしたが、高ドッキョウの頂上はその数十メートル先だった(11:25)。そこにはいくつかの頂上標識と三角点があり、なによりも北側が開けていて、富士山が見えていた。晴後雨の天気予報なので、富士山は雲をかぶっていたが、2度目の休憩を取って出かけるとき、雲が取れて富士山の全景が現われていた。これは幸運だ。高ドッキョウから見る富士山は剣ヶ峰が頂上のほぼ中央に立っており、左右対称の美しい姿をしていた。

樽峠から高ドッキョウへは2時間弱で着いた。この調子なら雨が降る前に戻れるかもしれない。元気に高ドッキョウから下り、樽峠に着いて(12:58)すぐに平治ノ段に向かうが、雨がポツポツ降り出し、デジカメをタフに持ち替え、レインウェアを着こみ、ザックカバーをかける。平治ノ段までは50分と書いてあったのでナメてかかっていたが、急な尾根をまっすぐ登っていく果てしない階段が現われ、絶句。階段の出発点には「貫ヶ岳」とあったが、平治ノ段のことだろうか。しんぼうして階段を登る。延々と続く階段はものすごく長く感じたが、実際には17分くらい(13:13~13:30)。ようやく平坦になり、広い台地のような地形の右側の林の中に林道のようなものが見え、右奥の樹間に最高地点(平治ノ段)が見えてくる。分岐表示を直進すると尾根道はやや右(南)に曲がって行き、頂上手前に場違いな方位盤があった。設置されたころは視界があったのだろうが、今は林の中で視界はない。その先の平治ノ段の頂上も林に囲まれているが、北側のみ開けていて、ここで再び富士山を見た。てっぺんに少し雲がかかって剣ヶ峰が隠れており、右下に宝永山が張り出している姿は高ドッキョウから見たのと少し違っていた。平治ノ段でも富士山を見ることができ、幸運だった。

平治ノ段に着いたのは13:51だったから、樽峠から53分、ほぼ表示のとおりだったことになる。切株の椅子に座って3度目の休憩をとり、帰路につく。ヨメナの群落が咲いていた長い階段の上には別の表示(樽峠まで10分、平治ノ段まで40分)があり、それを見たときは冗談だろうと感じたが、実際、下りはえらく早く、実際13分(14:18~14:31)だった。階段の起点に着いたとき、タフが動かなくなり(起動したまま作動停止。クワンナイで一度起こり、バッテリーを外してしばらく経過すると正常になっていた)、雨も降っていなかった(樽峠で降り出した後はずっと降らなかった)のでイクシーに持ち替えた。それが14:31だったので、階段の下に着いたのはもう少し早いことになる。樽峠に着き、顔が削られた石仏にお参りして南に下る。往路では登山道を外れて登っていたので不安だったが、下りの道は明瞭で、滝の上の伏流のところで本流を左岸から右岸に渡るところからが初めての道で、そこから本流を西に大きく外れて下っていき、やがて本流に戻った地点はまさしく、往路の時に間違えて本流に戻ってしまった地点だった。やはり赤テープを信じて登るべきだった。ミヤマシキミのまだ赤くなっていない白い実。

沢沿いからお茶畑の中を通り、車道に上がる頃、ちょうど雨が降り出した。車に入り、少し遠いが最寄りの温泉、やませみの湯に行く。少し不安だったが、ちゃんと営業しており、数種類の露天があり、温まる。700円だったかな。車の列に並んで静岡市内に向かい、最初に出会ったスーパー(静鉄ストア)で買物し、道の駅とみざわに向かう。とにかくこの日は晴後曇の天気予報で雲が広がっていたのに二つの頂上から富士山を見ることができ、本当に幸運だった。高ドッキョウと平治ノ段の二つの山の姿を見ることはできなかったのが残念。いつか近くの山に登り、これらの山の姿を眺めてみたい。

ヒャクニチソウ

新東名から見る富士山


ヒガンバナ

当然球根は自分では移動しません。しかし、受動的に移動することはあるでしょう。例えば、イヌとかカラスがくわえていったとか、ヒトが運んで植えたとか、何かにくっついて他へ移ったとか、水に流されたとかなどなどです。川べり等に生えているヒガンバナは雨で水かさが増え、球根が洗われて、他へ運ばれることは大いにあり得ることです。ヒガンバナは毎年分球して球根が増え、土壌が固かったり、浅いところに球根がある場合などは、地表に球根がせり上がってきます。だから露出した球根は外れ易く、何かの拍子で別の場所へ転がってそこで根ずくと言うことが考えられます。ヒガンバナの繁殖を毎年観察した記録が雑誌「遺伝」(裳華房)の1997年4月号に載っています。松江幸雄と言う方(亡くなられたようです)が30年余にわって観察したそうですが、1個の球根は926個に増えたそうです。条件さえよければ、全ての球根から花が咲きますから、見事な群落ができるでしょうね。(みんなの広場jspp.org/hiroba)

樽・林道終点手前の登山口表示

御茶畑の中を行く


荒れた左岸の道を行く


植林の急斜面を無理やり登る

ようやく平坦になる(滝の上)

登山道に復帰



樽峠の手前に大きな鼻と大きな口の石像が二人




樽峠



顔が削られた石像


樽峠の道標(高ドッキョウまで2時間半)


稜線の広い道


細尾根


ヒメシャラを掴んでよじ登る


ぼんやり見えた太平洋と市街地(清水方面展望所より)


樹間の高ドッキョウ

高ドッキョウの頂上

高ドッキョウから見る富士山


平治ノ段への長い階段

貫ヶ岳登山道の道標


平治ノ段手前の分岐標識


平治ノ段の頂上


平治ノ段から見る富士山











ヨメナの群落

ミヤマシキミの実


問合せ・コメント等、メール宛先: kawabe.goro@meizan-hitoritabi.com