額々山 島根県最高地点とガクガク岩

島根県 額々山1,279m、寂地山1,337m 2020年11月11日

(寂地山)中国百名山

542

額々山に登ろうと思ったのは、安蔵寺山に登ったとき。「安蔵寺山は島根県の最高峰、ただし、単独の山として」という記述を見て、「つまり単独でない山でもっと高い山があるのだ。それは、寂地山の近くにある額々山に違いない」と気づく。そして額々山を二度見ていた。鈴ノ大谷山に登った時、東にこちらより高い連嶺が見えていて、それらが額々山と寂地山ではなかろうか。安蔵寺山頂上の南にある展望所からは、黒いシルエットで連なる連嶺が見えていて、どうやら額々山、安芸冠山、寂地山らしかった。これらを見た瞬間、どうしても登りたくなった。できれば島根県側から登りたかったが、ネットを見るとどうやら寂地山経由で登る道しかないらしい。

犬鋏峡入口まで車で登ってそこから林道を歩く。林道は長く、犬鋏峡入口から登山口まで3㎞ほど。その先の登山道は2㎞弱。落ち葉が厚く積もった荒れた林道をひたすら歩いていて、はっと気づくと紅葉の真っただ中にいた。左手に見える山の尾根は黄、赤、緑にあざやかに染まり、林道の両側にも黄色がまぶしいブナや真っ赤に染まったモミジが賑やかに葉を広げていた。

稜線分岐に到達すると「クマ注意」「マムシ注意」の標識があるが、これは8年前にも見た記憶があり、なつかしい。寂地山頂上までは200m。ここも辛い登りだった記憶があったが、落葉の道を少し歩いて見上げると、そこはもう寂地山頂上だった。三角点はないが頂上標識と祠、それにテーブルとベンチ、そして大きなブナがこの山の主のように立っている。ベンチに座って2度目の休憩。ブナを見上げると、「やあ、また来たのか」と言われたような気がした。「ああ、また来たぞ」と心の中で答える。

前日見たネット情報には、「安芸冠山への縦走路を少し進むと、額々山への入口がある」とあり、寂地山頂上から100m(200m?)ほどでその入口に出会うが、額々山への道はえらく頼りない踏跡だった。だが、その下り斜面は鈴ノ大谷山のときの強力な笹ヤブと比べるとなんてことはない薄ヤブで、赤テープもたくさんあり、たどるのは難しくなかった。

寂地山と額々山の間のコルまで下ってから、ほぼ水平の植林の中を進むと、目の前に縦に並ぶ大きな岩の集合体、いわゆるガクガク岩が現われる。この不思議な岩のこともネットに記載があったが、その特異な姿の巨大な岩が突然、目の前に姿を現わしたときは一瞬、息をのんだ。近すぎると全貌を把握するのが難しいが、林が遮っていて、少し離れるともう見えなくなってしまう。不思議な巨大な岩。

すごい、これをどうやって登るんだ?と思ったが、踏跡に従ってガクガク岩の左側に進んでみると、ガクガク岩の奥は土がかぶさり、北側は林の尾根になっており、ガクガク岩の西側に並ぶ二つの大岩の隙間をたどってガクガク岩の上=額々山の頂上部分に上がることができた。林の中に三角点があり、額々山の頂上標識が二つあった。周囲は林で眺望はなし。だが、それはあの不思議な「縦の大岩」の頂上、島根県の最高点であり、強い存在感を発散していた。三角点の南側、ガクガク岩のすぐ上(*1)に行ってみると、南東の樹間に、左を向いた安芸冠山の頂上が見えており、南の樹間には寂地山が見えていた。ここもまた、記憶に残る山頂になるだろう。

車で寂地峡駐車場に寄ると、駐車場は5分くらいの入りで、人々が大勢、行き交っていた。紅葉が実に見事。「寂地峡自然歩道」の案内(パンフレット)を手に入れ、滝巡りのBコース330mというのが一番短いので行ってみるが、それは五竜の滝(龍尾、登龍、白龍、龍門、龍頭)の、垂直に近い斜面をいくつもの滝が縦に並んで落ちているところに付けられた石段を伝って登っていく急な登りで、滑らかな斜面を滑り下り、深くえぐれた釜に流れ落ちるそれらの滝は実に立派で見事だった。

木部谷温泉松乃湯というのにいってみる。古くて小さな温泉で、冷たい鉱泉と熱い蒸気の二つの栓がついていて、湯を温めたりうめたりできる。温いので蒸気を出したらすごい音。

鈴ノ大谷山に登った時、東にこちらより高い連嶺が見えていて、それらが額々山(中央左奥)と寂地山(中央右)ではなかろうか。
安蔵寺山頂上の南にある展望所からは、黒いシルエットで連なる連嶺が見えていて、どうやら額々山、安芸冠山、寂地山らしかった。これらを見た瞬間、どうしても登りたくなった。
目の前に縦に並ぶ大きな岩の集合体、いわゆるガクガク岩が現われる。この不思議な岩のこともネットに記載があったが、その特異な姿の巨大な岩が突然、目の前に姿を現わしたときは一瞬、息をのんだ。近すぎると全貌を把握するのが難しいが、林が遮っていて、少し離れるともう見えなくなってしまう。不思議な巨大な岩。
三角点の南側、ガクガク岩のすぐ上(*1)に行ってみると、南東の樹間に、左を向いた安芸冠山の頂上が見えていた。
寂地山頂上のブナ
額々山の頂上標識1
紅葉
登竜の滝
  7:11 犬戻峡入口発  8:34 寂地山登山口  9:43 寂地山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り2時間32分  9:54 寂地山発10:22 額々山・三角点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寂地山から28分           ・・・・・・・・・・・・・・・・・犬戻峡入口から3時間11分10:28 額々山・三角点発10:59 寂地山11:14 寂地山発11:52 寂地山登山口12:35 犬戻峡入口・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・額々山往復5時間24分13:40 寂地峡P発13:49 竜尾の滝13:53 登竜の滝13:54 白竜の滝13:58 竜門の滝14:00 竜頭の滝14:04 木馬トンネル14:21 宇佐八幡宮14:31 寂地峡P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寂地峡周回51分

GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGG

額々山に登ろうと思ったのは、安蔵寺山に登ったとき。「安蔵寺山は島根県の最高峰、ただし、単独の山として」という記述を見て、「つまり単独でない山でもっと高い山があるのだ。それは、寂地山の近くにある額々山に違いない」と思い当たる。そして額々山を二度見ていた。鈴ノ大谷山に登った時、東にこちらより高い連嶺が見えていて、それらが額々山と寂地山ではないかと気づく。安蔵寺山頂上の南にある展望所からは、黒いシルエットで連なる連嶺が見えていて、どうやら額々山、安芸冠山、寂地山らしかった。これらを見た瞬間、どうしても登りたくなった。できれば島根県側から登りたかったが、ネットを見るとどうやら寂地山経由で登る道しかないらしい。寂地山には10年位前の11月に登っていて、その時は雪が降ってえらく寒かったが、雪の積もった静寂の頂上は印象的だった。

安蔵寺山に登った翌日、寂地峡入口の駐車場に駐車し、寂地林道を歩き始める(寂地山と額々山に登った帰りに寂地峡を下って周回しようと思った)。真っ赤なモミジが見事。舗装路を行くとカササギの待避所標識。だが、疲れがたまっていて腰が痛く、頭痛があった(温泉で検温したが熱はなかったので風邪ではない)。足ははかどらず、犬鋏峡入口まで登ったが、犬鋏峡は遊歩道の崩壊で通行止めになっていた。林道は斜面を大きな九十九折りで寂地山登山口まで続いているが、寒さに(5度)腰痛と頭痛が耐えられなくなり、そこで引き返す。厚手の服を着込んでいたが、このくらい寒いとレインウェアでは寒さをしのげず、ガーデン手袋では手も冷たかった。再び道の駅むいかまちの温泉に入って温まり、一日休んで翌日、再挑戦することにする。

一晩寝たら頭痛はほとんど治まり、腰の痛みも消えた。前日とほぼ同じルートで寂地峡に向かい、今回は犬鋏峡入口まで車で登ってそこから林道を歩く。前日は寒さに参ったので、この日は普段着にしている春用の上着を着ていく。日が射しだすと暑すぎると感じることもあったが、寒さは感じずに済んだ。更に良かったのはポケットの中に毛糸の手袋を入れていたことで、毛糸の手袋はガーデン手袋よりもはるかに暖かく、前日のような冷たさに悩まされずに済んだ。それにしても林道は長く、犬鋏峡入口から登山口まで3㎞ほど。その先の登山道は2㎞弱。体調は戻ったといえ、最初の歩きは辛く、頭痛はほとんどなかったが、腰はキリキリと痛んだ。林道は斜面を九十九折りで登っていくため、最初は寂地山とは逆の南の方角に進み、500mほど進んで方角を北に変える。(ウォークマンを聞きながら淡々と歩いているとなにか考え事に耽っていて、)落ち葉が厚く積もった荒れた林道をひたすら歩いていて、はっと気づくと紅葉の真っただ中にいた。左手に見える山の尾根は黄、赤、緑にあざやかに染まり、林道の両側にも黄色がまぶしいブナや真っ赤に染まったモミジが賑やかに葉を広げていた。

ようやく犬鋏峡からの遊歩道との合流点に着き(ここにも犬鋏峡へは通行止めの表示)、そこから更に寂地林道を進み、林道終点の寂地山登山口に着く。腰が痛いので最初の休憩をとり、スティック・パン(5本のうち)2本を食べ、5分間休んでから登山口に進む。寂地山までは1.7㎞、所要60分と表示してあるこの登山道を登るのも2回目。結構きつかった記憶があり、最初の階段の尾根登り(500m弱?)が辛かった。だが、二呼二吸で無理矢理酸素を送り込むと、足は止まらずに動いた。階段の尾根登りの次はなだらかな九十九折りが続き、比較的に楽にすすむ。稜線分岐に到達すると「クマ注意」「マムシ注意」の標識があるが、これは8年前にも見た記憶があり、なつかしい。寂地山頂上までは200m。ここも辛い登りだった記憶があったが、落葉の道を少し歩いて見上げると、そこはもう寂地山頂上だった。三角点はないが頂上標識と祠、それにテーブルとベンチ、そして大きなブナがこの山の主のように立っている。ベンチに座って2度目の休憩。ブナを見上げると、「やあ、また来たのか」と言われたような気がした。「ああ、また来たぞ」と心の中で答える。

またスティック・パンを2本食べ、5分間休んでから額々山に向かう。前日見たネット情報には、「安芸冠山への縦走路を少し進むと、額々山への入口がある」とあり、寂地山頂上から100m(200m?)ほどでその入口に出会うが、額々山への道はえらく頼りない踏跡だった。だが、その下り斜面は鈴ノ大谷山のときの強力な笹ヤブと比べるとなんてことはない薄ヤブで、赤テープもたくさんあり、たどるのは難しくなかった。行く手の額々山は立木に遮られ、すぐ手前に着くまでまるで見えなかった。寂地山と額々山の間のコルまで下ってから、ほぼ水平の植林の中を進むと、目の前に縦に並ぶ大きな岩の集合体、いわゆるガクガク岩が現われる。この不思議な岩のこともネットに記載があったが、その特異な姿の巨大な岩が突然、目の前に姿を現わしたときは一瞬、息をのんだ。近すぎると全貌を把握するのが難しいが、林が遮っていて、少し離れるともう見えなくなってしまう。不思議な巨大な岩。

すごい、これをどうやって登るんだ?と思ったが、踏跡に従ってガクガク岩の左側に進んでみると、ガクガク岩の奥は土がかぶさり、北側は林の尾根になっており、ガクガク岩の西側に並ぶ二つの大岩の隙間をたどってガクガク岩の上=額々山の頂上部分に上がることができた。林の中に三角点があり、額々山の頂上標識が二つあった。周囲は林で眺望はなし。だが、それはあの不思議な「縦の大岩」の頂上、島根県の最高点であり、強い存在感を発散していた。三角点の南側、ガクガク岩のすぐ上(*1)に行ってみると、南東の樹間に、左を向いた安芸冠山の頂上が見えており、南の樹間には寂地山が見えていた。ここもまた、記憶に残る山頂になるだろう。

寂地山頂上まで戻ってベンチで3回目の休憩をとり、5本目のスティック・パンを食べ、5分間休憩してから下山。何かの赤い実。なんとなく元気が出てきて、帰りはずっとジョギングで下る。腰が少し痛かったが、最後までジョギングで通した。途中で登ってくる二人に遭遇。犬鋏峡入口の駐車地点に着いて着替え、車で寂地峡駐車場に寄ると、駐車場は5分くらいの入りで、人々が大勢、行き交っていた。紅葉が実に見事。「寂地峡自然歩道」の案内(パンフレット)を手に入れ、滝巡りのBコース330mというのが一番短いので行ってみるが、それは五竜の滝(龍尾、登龍、白龍、龍門、龍頭)の、垂直に近い斜面をいくつもの滝が縦に並んで落ちているところに付けられた石段を伝って登っていく急な登りで、滑らかな斜面を滑り下り、深くえぐれた釜に流れ落ちるそれらの滝は実に立派で見事だった。一方、長くて急な石段を登ってすっかり汗だくになってしまった。こんなことなら着替えなければよかった。滝巡りを終え、木馬トンネル(*2)というのをくぐり、宇佐八幡宮によって駐車場に戻る。これで一応、寂地峡を歩いたことになるだろう。

この日も道の駅むいかまちの温泉に向かうが、なんと水曜は定休日。仕方ないので柿木村の温泉に行くが、なんと、ここも水曜は定休日!近くにある木部谷温泉松乃湯というのにいってみると、営業していた。古くて小さな温泉で、冷たい鉱泉と熱い蒸気の二つの栓がついていて、湯を温めたりうめたりできる。温いので蒸気を出したらすごい音。450円。

(*)三角点よりも南側の方が標高は少し高いようだったが、鈴ノ大谷山や安蔵寺山から見た姿を見ると、額々山の最高点は三角点の北側なのかもしれない。

(*2)このトンネルはケヤキ、ハンノキ、ブナ、ツガ、スギなどの木材を運搬するために手のみで堀り、完成までに10ヶ月かかりました。これらの木材は丸太を敷きならべた木馬道の上の木馬に積んで人力で引っ張って運び出していました。

モミジ

額々山に登ろうと思ったのは、安蔵寺山に登ったとき。「安蔵寺山は島根県の最高峰、ただし、単独の山として」という記述を見て、「つまり単独でない山でもっと高い山があるのだ。それは、寂地山の近くにある額々山に違いない」と思い当たる。

寂地峡P

そして額々山を二度見ていた。鈴ノ大谷山に登った時、東にこちらより高い連嶺が見えていて、それらが額々山と寂地山ではないかと気づく。安蔵寺山頂上の南にある展望所からは、黒いシルエットで連なる連嶺が見えていて、どうやら額々山、安芸冠山、寂地山らしかった。これらを見た瞬間、どうしても登りたくなった。


カササギの待避所標識

できれば島根県側から登りたかったが、ネットを見るとどうやら寂地山経由で登る道しかないらしい。寂地山には10年位前の11月に登っていて、その時は雪が降ってえらく寒かったが、雪の積もった静寂の頂上は印象的だった。

安蔵寺山に登った翌日、寂地峡入口の駐車場に駐車し、寂地林道を歩き始める(寂地山と額々山に登った帰りに寂地峡を下って周回しようと思った)。真っ赤なモミジが見事。舗装路を行くとカササギの待避所標識。

犬戻峡入口

だが、疲れがたまっていて腰が痛く、頭痛があった(温泉で検温したが熱はなかったので風邪ではない)。足ははかどらず、犬鋏峡入口まで登ったが、犬鋏峡は遊歩道の崩壊で通行止めになっていた。林道は斜面を大きな九十九折りで寂地山登山口まで続いているが、寒さに(5度)腰痛と頭痛が耐えられなくなり、そこで引き返す。


犬戻遊歩道通行止の表示

厚手の服を着込んでいたが、このくらい寒いとレインウェアでは寒さをしのげず、ガーデン手袋では手も冷たかった。再び道の駅むいかまちの温泉に入って温まり、一日休んで翌日、再挑戦することにする。

一晩寝たら頭痛はほとんど治まり、腰の痛みも消えた。前日とほぼ同じルートで寂地峡に向かい、今回は犬鋏峡入口まで車で登ってそこから林道を歩く。

寂地山登山口

前日は寒さに参ったので、この日は普段着にしている春用の上着を着ていく。日が射しだすと暑すぎると感じることもあったが、寒さは感じずに済んだ。更に良かったのはポケットの中に毛糸の手袋を入れていたことで、毛糸の手袋はガーデン手袋よりもはるかに暖かく、前日のような冷たさに悩まされずに済んだ。

稜線分岐

それにしても林道は長く、犬鋏峡入口から登山口まで3㎞ほど。その先の登山道は2㎞弱。体調は戻ったといえ、最初の歩きは辛く、頭痛はほとんどなかったが、腰はキリキリと痛んだ。林道は斜面を九十九折りで登っていくため、最初は寂地山とは逆の南の方角に進み、500mほど進んで方角を北に変える。

クマ注意、マムシ注意

(ウォークマンを聞きながら淡々と歩いているとなにか考え事に耽っていて、)落ち葉が厚く積もった荒れた林道をひたすら歩いていて、はっと気づくと紅葉の真っただ中にいた。左手に見える山の尾根は黄、赤、緑にあざやかに染まり、林道の両側にも黄色がまぶしいブナや真っ赤に染まったモミジが賑やかに葉を広げていた。

落葉の道

ようやく犬鋏峡からの遊歩道との合流点に着き(ここにも犬鋏峡へは通行止めの表示)、そこから更に寂地林道を進み、林道終点の寂地山登山口に着く。腰が痛いので最初の休憩をとり、スティック・パン(5本のうち)2本を食べ、5分間休んでから登山口に進む。寂地山までは1.7㎞、所要60分と表示してあるこの登山道を登るのも2回目。結構きつかった記憶があり、最初の階段の尾根登り(500m弱?)が辛かった。

寂地山頂上

だが、二呼二吸で無理矢理酸素を送り込むと、足は止まらずに動いた。階段の尾根登りの次はなだらかな九十九折りが続き、比較的に楽にすすむ。稜線分岐に到達すると「クマ注意」「マムシ注意」の標識があるが、これは8年前にも見た記憶があり、なつかしい。

寂地山頂上標識

寂地山頂上までは200m。ここも辛い登りだった記憶があったが、落葉の道を少し歩いて見上げると、そこはもう寂地山頂上だった。三角点はないが頂上標識と祠、それにテーブルとベンチ、そして大きなブナがこの山の主のように立っている。ベンチに座って2度目の休憩。ブナを見上げると、「やあ、また来たのか」と言われたような気がした。「ああ、また来たぞ」と心の中で答える。

寂地山頂上のブナ

またスティック・パンを2本食べ、5分間休んでから額々山に向かう。

額々山入口表示

前日見たネット情報には、「安芸冠山への縦走路を少し進むと、額々山への入口がある」とあり、寂地山頂上から100m(200m?)ほどでその入口に出会うが、額々山への道はえらく頼りない踏跡だった。だが、その下り斜面は鈴ノ大谷山のときの強力な笹ヤブと比べるとなんてことはない薄ヤブで、赤テープもたくさんあり、たどるのは難しくなかった。

植林の中を行く

行く手の額々山は立木に遮られ、すぐ手前に着くまでまるで見えなかった。

ガクガク岩

寂地山と額々山の間のコルまで下ってから、ほぼ水平の植林の中を進むと、目の前に縦に並ぶ大きな岩の集合体、いわゆるガクガク岩が現われる。


ガクガク岩

この不思議な岩のこともネットに記載があったが、その特異な姿の巨大な岩が突然、目の前に姿を現わしたときは一瞬、息をのんだ。近すぎると全貌を把握するのが難しいが、林が遮っていて、少し離れるともう見えなくなってしまう。不思議な巨大な岩。

額々山

額々山

ガクガク岩の登路

すごい、これをどうやって登るんだ?と思ったが、踏跡に従ってガクガク岩の左側に進んでみると、ガクガク岩の奥は土がかぶさり、北側は林の尾根になっており、ガクガク岩の西側に並ぶ二つの大岩の隙間をたどってガクガク岩の上=額々山の頂上部分に上がることができた。

ミヤマシキミの実

額々山頂上

林の中に三角点があり、額々山の頂上標識が二つあった。周囲は林で眺望はなし。だが、それはあの不思議な「縦の大岩」の頂上、島根県の最高点であり、強い存在感を発散していた。三角点の南側、ガクガク岩のすぐ上(*1)に行ってみると、南東の樹間に、左を向いた安芸冠山の頂上が見えており、南の樹間には寂地山が見えていた。ここもまた、記憶に残る山頂になるだろう。


頂上標識1


頂上標識2

安芸冠山

寂地山

赤い実

額々山(中央左奥)、寂地山(中央右)

鈴ノ大谷山に登った時も額々山を見ていた。それはやはり寂地山のすぐ北(左)に並んでいた。

額々山、安芸冠山、寂地山

寂地峡自然遊歩道の案内

寂地山頂上まで戻ってベンチで3回目の休憩をとり、5本目のスティック・パンを食べ、5分間休憩してから下山。何かの赤い実。なんとなく元気が出てきて、帰りはずっとジョギングで下る。腰が少し痛かったが、最後までジョギングで通した。途中で登ってくる二人に遭遇。

紅葉

犬鋏峡入口の駐車地点に着いて着替え、車で寂地峡駐車場に寄ると、駐車場は5分くらいの入りで、人々が大勢、行き交っていた。紅葉が実に見事。

紅葉

黄葉

寂地峡五竜の滝の標識

「寂地峡自然歩道」の案内(パンフレット)を手に入れ、滝巡りのBコース330mというのが一番短いので行ってみるが、それは五竜の滝(龍尾、登龍、白龍、龍門、龍頭)の、垂直に近い斜面をいくつもの滝が縦に並んで落ちているところに付けられた石段を伝って登っていく急な登りで、滑らかな斜面を滑り下り、深くえぐれた釜に流れ落ちるそれらの滝は実に立派で見事だった。

竜尾の滝

一方、長くて急な石段を登ってすっかり汗だくになってしまった。こんなことなら着替えなければよかった。滝巡りを終え、木馬トンネル(*2)というのをくぐり、宇佐八幡宮によって駐車場に戻る。これで一応、寂地峡を歩いたことになるだろう。


登竜の滝

白竜の滝

竜門の滝

竜頭の滝

木馬トンネルの案内 

(*2)このトンネルはケヤキ、ハンノキ、ブナ、ツガ、スギなどの木材を運搬するために手のみで堀り、完成までに10ヶ月かかりました。これらの木材は丸太を敷きならべた木馬道の上の木馬に積んで人力で引っ張って運び出していました。

宇佐八幡宮

この日も道の駅むいかまちの温泉に向かうが、なんと水曜は定休日。仕方ないので柿木村の温泉に行くが、なんと、ここも水曜は定休日!近くにある木部谷温泉松乃湯というのにいってみると、営業していた。古くて小さな温泉で、冷たい鉱泉と熱い蒸気の二つの栓がついていて、湯を温めたりうめたりできる。温いので蒸気を出したらすごい音。450円。