越中・二上山(ふたがみ) 大伴家持像と花の山

富山県   二上山273m、城山259m、摩頂山254m、鉢伏山179m  2019年3月22日

(二上山)百名山以外の名山50

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あの山は雪がすっかり融け

ヤブツバキやウメの花

この山はまだ雪に閉ざされ

頂上は真っ白な雪世界

でも、麓にはもう春が近づいている

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車道を横切って少し登ったところに大伴家持像があった。えらくハンサムな現代風の像で、この万葉の詩人はマンガや映画の主人公のような感じ。

その脇を登っていくと、ヤブツバキの赤い花がちらほら咲いていた。ふと足元に、薄紫の早咲きのカタクリが一輪。

二上山頂上はヤブツバキの灌木に囲まれた細長い平地になっていて、その中央に頂上標識と、通称・奥の御前という日吉社の簡素な祠が立っていた。

摩頂山へは、「立入禁止」表示をよく見ると、「どろぼうは立入禁止」となっている。つまり、山登りならいい訳だ。そこでその斜面を登ってみると竹林の道があり、果たしてそこに摩頂山の頂上標識があった。見つけられてよかった。

仏舎利の駐車場(PA5)に向かうと、大きな鐘を鳴らしている人がいた。この天気なのに、車が三々五々やってきてはいなくなる。

佛石寺の脇を登っていくと、道の両側に白やピンクの梅の花がかわいらしく咲いていた。梅の花を前景に、背後の二上山を撮ってみる。仏舎利とは釈迦の遺骨のことだが、そこには巨大なドームがあり、正面に仏像が立っていた。

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「百名山以外の名山50」の中に深田久弥は二つの「二上山」を入れている。一つは大阪の二上山、もう一つが越中の二上山。深田はどちらの二上山についても万葉集とのかかわりを述べており、歌をたくさん載せている。

佛石寺の脇を登っていくと、道の両側に白やピンクの梅の花がかわいらしく咲いていた。梅の花を前景に、背後の二上山を撮ってみる。(合成)
車道を横切って少し登ったところに大伴家持像があった。えらくハンサムな現代風の像
竹林の道
ヤブツバキの赤い花がちらほら咲いていた
紅白の梅
11:58 二上山万葉ライン・西口12:06 城山・駐車場12:12 城山12:18 城山・駐車場・・・・・・・・・・・・・・城山往復12分12:25 二上山・駐車場12:28 大伴家持像12:36 二上山12:41 二上山・駐車場・・・・・・・・・・・・二上山往復16分12:49 毘沙門天堂前12:57 摩頂山・西峰(引返し)13:07 摩頂山13:13 毘沙門天堂前・・・・・・・・・・・・摩頂山往復24分13:15 毘沙門天堂13:20 毘沙門天堂前13:29 鉢伏山・駐車地点13:34 鉢伏山13:40 鉢伏山・駐車地点・・・・・・・・・鉢伏山往復11分13:45 平和の鐘・駐車場13:53 仏舎利塔14:04 平和の鐘・駐車場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二上山万葉ライン・西口から1時間34分

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R8は富山市内では高速のようになっていて、それを高岡まで走り、R160に右折する頃には北に二上山らしき山並が見えていた。そこも全く雪はない。二上山万葉ラインに右折。曲がりくねった舗装路を走り、最初の山、城山の駐車場(PA1)に入り、城山を目指す。このために持ってきたキャラバン・シューズは今回ツアーの主役となった。車両進入禁止の舗装路手前に「国定公園・城山」の表示あり。その先はいかにも城跡のような平地で、「ふるさと眺望点」という表示もあるが、あいにくの天気で遠景は見えない。わずかに高岡市内の街並みが見えている。最奥には平和観音像という巨大な像が立っていて(総高13.5m)、肝心の頂上標識は見当たらない。GPSに三角点が出ないにのに困ったが、地理院地図には三角点が出ている。あたりに目を凝らすと、平和観音の手前の平地の一角に二等三角点があった。見つけられてよかった。城山駐車場(PA1)に戻ると、北の谷向こうに摩頂山らしき緑の山が見えていた。

万葉ラインを東に進むと、二上山頂上直下を通過。そこから登らねばならないらしいので、下りに転じた万葉ラインをUターンして駐車場(PA2)に入り、歩く。車道を横切って少し登ったところに大伴家持像があった。彼が生きていたのは平安時代、橘諸兄や藤原氏が政権を争っていたときで、家持は政争よりも万葉集の編纂が性に合っていたという。万葉集4,516首のうち家持の歌は473首というのはすごい(高岡市万葉歴史館)。「美意識および自然観照」というのが彼の歌の評価らしい。「ふり放(さ)けて三日月見れば一目見し人の眉引(まよびき)思ほゆるかも」「うらうらに照れる春日に雲雀(ひばり)あがりこころ悲しも独りし思へば」(コトバンク)。

大伴家持像はえらくハンサムな現代風の像で、この万葉の詩人はマンガや映画の主人公のような感じ。彼が越中守に赴任していたのは29歳からの5年間。像の脇の案内には、万葉集にある二上山の二つの歌が掲載されていた。「射水川 い行き巡れる 玉くしげ 二上山は 春花の 咲ける盛りに 秋の葉の にほえる時に 出で立ちて・・・・・(長歌)」「玉くしげ 二上山に 鳴く鳥の 声の恋しき 時は来にけり」。 その脇を登っていくと、ヤブツバキの赤い花がちらほら咲いていた。ふと足元に、薄紫の早咲きのカタクリが一輪。二上山頂上はヤブツバキの灌木に囲まれた細長い平地になっていて、その中央に頂上標識と、通称・奥の御前という日吉社の簡素な祠が立っていた。祠そのものには扉も文字も見当たらない。

摩頂山へは細い車道が分岐していて、その入口に「弘源禅寺毘沙門天の御由緒」案内があり、解読が難しいが、毘沙門天は行基の作らしい。「徒歩5分」とあり、400mくらいだが、車で向かう。細い道の先、東側に毘沙門天堂への階段があったが、摩頂山は更に西側なので、そこに駐車(PA3)して西に続く未舗装路を歩く。少し登ると右にお墓の並んだ一角があり、そこを通過すると、今度は右斜面に「立入禁止」の表示がある。更に未舗装路を進み、道がなくなったところで右斜面を登って最高点と思われるところまで登ってみたが、何もなし。竹と樹木が密集していて視界もなし。いったん諦めて下山。ここには三角点はなく、頂上標識もないのかもしれない。

降る途中、さっきの「立入禁止」表示をよく見ると、「どろぼうは立入禁止」となっている。つまり、山登りならいい訳だ。そこでその斜面を登ってみると、踏み跡は分かりにくいが要所に赤リボンが結わえてある竹林の道があった。最後は小高い丘にフィックス・ロープに掴まって登ると、果たしてそこに摩頂山の頂上標識があった。見つけられてよかった。駐車地点(PA3)に戻り、今度は東に階段を登って弘源寺にお参り。社が閉まっていて、中の毘沙門天は見れず。

万葉ラインを東に向かうと、途中に「大師ヶ岳、1.1㎞、35分」の分岐標示あり。行ってみてもよかった。鉢伏山の入口には駐車禁止の表示があり、いったん通り過ぎてその先の仏舎利の駐車場(PA5)まで行くが、300mくらいあるので車で引返し、車道脇(PA4)に駐車して歩く。駐車禁止のゲートの先に、今度は関係者外侵入禁止の表示。鉢伏山の頂上は墓地になっているので、一般立入禁止にしたのだろうが、登山ということで入らせてもらう。ここもGPSに三角点が出ないので困ったが、地理院地図の三角点の位置を見て頂上の北側を探し、お墓の間に三角点発見。見つけられてよかった。

再び仏舎利の駐車場(PA5)に向かうと、大きな鐘を鳴らしている人がいた。「平和の鐘」、重量11.25トン、高さ3.33mもある「日本でも有数の大梵鐘」ということらしい。この天気なのに、車が三々五々やってきてはいなくなる。駐車場(PA5)から佛石寺の脇を登っていくと、道の両側に白やピンクの梅の花がかわいらしく咲いていた。梅の花を前景に、背後の二上山を撮ってみる。仏舎利とは釈迦の遺骨のことだが、そこには巨大なドームがあり、正面に仏像が立っていた。ドームは立入禁止になっていたので、周囲から仏舎利をお参りするのであろう。城山駐車場(PA1)で少し仮眠し、帰途につく。

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「百名山以外の名山50」の中に深田久弥は二つの「二上山」を入れている。一つは大阪の二上山、もう一つが越中の二上山。大阪の二上山はダイヤモンド・トレールで有名だが、深田はどちらの二上山についても万葉集とのかかわりを述べており、歌をたくさん載せている。深田は、越中の二上山から北アルプスを見たかったらしいが、あいにくの曇。当時は二上山万葉ラインはなかったと思うが、深田はまず城山に登り、次いで二上山に行き、まず大伴家持の「二上山の賦一首」という長歌の大意(それでも7行もある)を紹介し、そこで見た景色にちなむ大伴家持の歌を2首、それに山道で見つけた越中の俳人、前田普羅の歌を載せている。どちらも万葉の山に違いない。

英遠(あそ)の浦に寄する白波いや増しに 立ち重(し)き寄せ来東風(くあゆ)をいたみかも

東風(あゆのかぜ)いたく吹くらし奈呉(なご)の海人(あま)の 釣する小舟漕ぎ隠る見ゆ

雪山に雪の降り居(お)る夕(ゆうべ)かな  前田普羅

二上山

R8は富山市内では高速のようになっていて、それを高岡まで走り、R160に右折する頃には北に二上山らしき山並が見えていた。そこも全く雪はない。二上山万葉ラインに右折。曲がりくねった舗装路を走り、最初の山、城山の駐車場(PA1)に入り、城山を目指す。このために持ってきたキャラバン・シューズは今回ツアーの主役となった。車両進入禁止の舗装路手前に「国定公園・城山」の表示あり。その先はいかにも城跡のような平地で、「ふるさと眺望点」という表示もあるが、あいにくの天気で遠景は見えない。わずかに高岡市内の街並みが見えている。最奥には平和観音像という巨大な像が立っていて(総高13.5m)、肝心の頂上標識は見当たらない。GPSに三角点が出ないにのに困ったが、地理院地図には三角点が出ている。あたりに目を凝らすと、平和観音の手前の平地の一角に二等三角点があった。見つけられてよかった。城山駐車場(PA1)に戻ると、北の谷向こうに摩頂山らしき緑の山が見えていた。

二上山万ラインの道標

国定公園・城山の表示

高岡市の眺望

二等三角点と平和観音像

城山の二等三角点

「大伴家持と二上山」案内

万葉ラインを東に進むと、二上山頂上直下を通過。そこから登らねばならないらしいので、下りに転じた万葉ラインをUターンして駐車場(PA2)に入り、歩く。車道を横切って少し登ったところに大伴家持像があった。彼が生きていたのは平安時代、橘諸兄や藤原氏が政権を争っていたときで、家持は政争よりも万葉集の編纂が性に合っていたという。万葉集4,516首のうち家持の歌は473首というのはすごい(高岡市万葉歴史館)。「美意識および自然観照」というのが彼の歌の評価らしい。「ふり放(さ)けて三日月見れば一目見し人の眉引(まよびき)思ほゆるかも」「うらうらに照れる春日に雲雀(ひばり)あがりこころ悲しも独りし思へば」(コトバンク)。

は立入禁止になっていたので、周囲から仏舎利をお参りするのであろう。城山駐車場(PA1)で少し仮眠し、帰途につく。

大伴家持像

大伴家持像はえらくハンサムな現代風の像で、この万葉の詩人はマンガや映画の主人公のような感じ。彼が越中守に赴任していたのは29歳からの5年間。像の脇の案内には、万葉集にある二上山の二つの歌が掲載されていた。「射水川 い行き巡れる 玉くしげ 二上山は 春花の 咲ける盛りに 秋の葉の にほえる時に 出で立ちて・・・・・(長歌)」「玉くしげ 二上山に 鳴く鳥の 声の恋しき 時は来にけり」。 その脇を登っていくと、ヤブツバキの赤い花がちらほら咲いていた。ふと足元に、薄紫の早咲きのカタクリが一輪。二上山頂上はヤブツバキの灌木に囲まれた細長い平地になっていて、その中央に頂上標識と、通称・奥の御前という日吉社の簡素な祠が立っていた。祠そのものには扉も文字も見当たらない。

大伴家持像

ヤブツバキ

ヤブツバキ

カタクリ

二上山頂上

奥の御前

弘源禅寺・毘沙門天の御由緒

摩頂山へは細い車道が分岐していて、その入口に「弘源禅寺毘沙門天の御由緒」案内があり、解読が難しいが、毘沙門天は行基の作らしい。「徒歩5分」とあり、400mくらいだが、車で向かう。細い道の先、東側に毘沙門天堂への階段があったが、摩頂山は更に西側なので、そこに駐車(PA3)して西に続く未舗装路を歩く。少し登ると右にお墓の並んだ一角があり、そこを通過すると、今度は右斜面に「立入禁止」の表示がある。更に未舗装路を進み、道がなくなったところで右斜面を登って最高点と思われるところまで登ってみたが、何もなし。竹と樹木が密集していて視界もなし。いったん諦めて下山。ここには三角点はなく、頂上標識もないのかもしれない。

「どろぼうは立ち入禁止」の標識

降る途中、さっきの「立入禁止」表示をよく見ると、「どろぼうは立入禁止」となっている。つまり、山登りならいい訳だ。そこでその斜面を登ってみると、踏み跡は分かりにくいが要所に赤リボンが結わえてある竹林の道があった。最後は小高い丘にフィックス・ロープに掴まって登ると、果たしてそこに摩頂山の頂上標識があった。見つけられてよかった。駐車地点(PA3)に戻り、今度は東に階段を登って弘源寺にお参り。社が閉まっていて、中の毘沙門天は見れず。

竹林の道

摩頂山の頂上標識

毘沙門天堂

鉢伏山の頂上

万葉ラインを東に向かうと、途中に「大師ヶ岳、1.1㎞、35分」の分岐標示あり。行ってみてもよかった。鉢伏山の入口には駐車禁止の表示があり、いったん通り過ぎてその先の仏舎利の駐車場(PA5)まで行くが、300mくらいあるので車で引返し、車道脇(PA4)に駐車して歩く。駐車禁止のゲートの先に、今度は関係者外侵入禁止の表示。鉢伏山の頂上は墓地になっているので、一般立入禁止にしたのだろうが、登山ということで入らせてもらう。ここもGPSに三角点が出ないので困ったが、地理院地図の三角点の位置を見て頂上の北側を探し、お墓の間に三角点発見。見つけられてよかった。

鉢伏山の四等三角点

平和の鐘

再び仏舎利の駐車場(PA5)に向かうと、大きな鐘を鳴らしている人がいた。「平和の鐘」、重量11.25トン、高さ3.33mもある「日本でも有数の大梵鐘」ということらしい。この天気なのに、車が三々五々やってきてはいなくなる。駐車場(PA5)から佛石寺の脇を登っていくと、道の両側に白やピンクの梅の花がかわいらしく咲いていた。梅の花を前景に、背後の二上山を撮ってみる。仏舎利とは釈迦の遺骨のことだが、そこには巨大なドームがあり、正面に仏像が立っていた。ドームは立入禁止になっていたので、周囲から仏舎利をお参りするのであろう。城山駐車場(PA1)で少し仮眠し、帰途につく。

白い梅

ピンクの梅

紅白の梅

ピンクのツバキ

仏舎利塔

二上山と梅の花

大師ヶ岳