「落ち星拾い」

僕は好きかも

やあ、こんにちは、はじめまして。今日は「落ち星拾い」という本のレビューを書こうと思う。

まずはこの本と出会ったきっかけについて。先日、僕は大学の創作サークルの先輩に連れられてテキレボ──Text-Revolutionsという文章系同人即売会に一般参加した。サークルで小説を書いてる先輩は、卒業後の発表の場としてテキレボを下見に来たというわけさ。

僕はこういうイベントに参加するのは初めてで驚いたよ。アマチュアの作家がこんなにたくさんお店を出していて、凝った作品が山ほどあるなんて。先輩の付き合いだったけど、僕も何冊か本を買ったんだ。そのうちの1冊がこの「落ち星拾い」さ。

この本は、人の願いを叶える流れ星とそれを追う流れ星ハンターをモチーフとした2つのお話が載っているよ。

1つは文野華影さんの「花と星の歌」。

〈修復士〉を目指して放浪修行(ワルツ)をしている青年カレルが、星拾い屋の少女ナスターシャムと出会い、彼女の星拾いの旅にしばらくの間同行する。児童文学にありそうなファンタジーの世界観で、詩のように綺麗な文章で綴られているよ。

ナスターシャムが星拾い屋を目指すきっかけとなった幼い頃の「お嬢様」との思い出が、とても切なくてね……。あとカレルがナスターシャムの傘を直すシーンなんか描写が凝っててよかったよ。そしてカレルを待つ少女、レイラのことも気になるね。

もう1つは青川有子さんの「フリージアと流れ星の夜」。

こちらは少し不思議な学園ものという感じかな。高校生と流れ星ハンターの二足の草鞋をはく少年ヒョウの物語。過去に何かあったらしく、他人と上手くコミュニケーションがとれない彼が、それでも友人と親しくなっていく過程が書かれている。まあ、流れ星のおかげでそれだけでは済まないんだけど。

ヒョウはいつもぼんやりしていて口数も少ない。ヒョウと違って僕は喋りすぎる質だけど、コミュニケーションが上手くないという点では彼に親近感を覚えたよ。ヒョウが親切な人たちに囲まれていてよかった。

「落ち星拾い」にはそれぞれの前日譚を載せた「―再録― 月の森と夜の魚」が付属しているよ。時系列に沿うならこの再録の方を先に読むのがいいみたいだけど、まあ「落ち星拾い」が先でもだいたい大丈夫だよ。

他にも関連作が頒布されているらしいね。また今度テキレボへ行って、カレルとレイラの、そしてヒョウと友人たちの物語を、手に入れたいものだね。

レビュアー
僕 さん

「落ち星拾い」(青川有子 他)

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