「CROSS in the Night」

とあるおばあちゃんより愛をこめて♡

「なんて甘酸っぱい!」それが最初の印象だったわ。

そして「事実を受け止めるには、相当の覚悟が必要だったでしょう!」とも。

「CROSS in the Night」の名が示すとおり、これはクリスマスの日に起こった、素敵な不思議な出会いと奇跡の物語。

何不自由なく過ごしてきたお嬢さんが、正体不明の異国の少年に、日常を振り回されて掻き乱されて、それでも素敵な感情を実らせていくお話。

とてもとてもたくさんの事件や問題があったわ。

彼は奇妙に敏いのに、妙なところで世辞に疎いというところも、人柄や正体が掴めない不思議なところだったわね。

全てを知っている風に見せかけて、何も知らない子供を演じているのだと分かるのだけど、それにしたって、お嬢さんを振り回しすぎて、困らせてばかりいたわ。

お嬢さんは面倒見はいいけれど、何事にも奥手すぎるのが、彼とのギクシャクしたものを生み出していたのかも。

けれどある一線を乗り越えたら、お嬢さんはとても強かった。

強情な彼を逆に説き伏せてしまうほどにね。

きっとこの素敵で不思議な出会いの物語は、二人を強く結びつけるために必要だったのだと、今ならよく分かるわ。

だってその不思議な彼は、今では私の隣で優しく笑っているんですもの。

こんな「おばあちゃん」に、歳を取らない彼は昔と同じように接してくれているんですもの。

お嬢さんの……いえ、私の人生の全ては、彼のためにあるんだから。

レビュアー
とあるおばあちゃん さん

CROSS in the Night(天海六花)

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