「平成勤労婦人詩集2」
青川有子の架空の母曰く必読です!
青川有子の架空の母でございます。いつも有子がたいへんお世話になっております。
有子から鰊パイ互助会さんの『平成勤労婦人詩集2』のレビューを書いて欲しいと頼まれ、普段は本の感想や評価を文章にすることはないのですが、かわいい娘がどうしてもと言うので筆を執った次第です。
こちらの本は去年の5月に発行されたそうです。確かに去年、有子が「お母さん見て! 寄稿した本、こんなに立派だった!」と手渡してきたのを覚えています。
いつも有子が作っている本は、コピー屋さんで印刷してホッチキスでとめた簡素なものですから、このように本屋さんで売っていてもおかしくない見た目の本を渡されてたいへん驚きました。
最初に我が子のページを開いてしまうのは、これは親のサガですから、仕方のないことです。
少し前までほんの子どもだった有子が、今ではこのように職場の愚痴めいた内容をオブラートに包んで詩にするようになったのかと思うと、感慨深いものがありました。
他の方たちの作品も見ていきましょう。
短歌を書いている方、有子と同じように自由詩を書く方、ラップというのでしょうか、リズムに乗ってマイクで読み上げるようなものを書いている方、そしてまるで平安時代の随筆のように書かれる方(現代語訳付きですし、内容も現代のもののようです)、一口に詩と言っても、その形式は多様です。
また、書いている方たちのプロフィールも様々です。ずっと同じ会社に勤めている方、転職された方、独身の方や、これからお子さんが生まれる方もいれば、すでにお子さんのいる方も。またご夫婦で書かれている方もいます。
内容は、思わず笑みのこぼれるようなユーモアにあふれたものもありますが、多くは働くということ/生きるということに付随する理不尽を嘆いたり受け流したり抗ったりするものです。
ユーモアを交えフィクションに彩られていようと、この怨嗟は血の通った本物です。そう感じました。綺麗事ではないのです。
帯に寄せられた「なんだ、誰もキラキラしてねえじゃん」というコメントが、この本に驚くほどマッチしています。
今年は改元があり、平成は終わりますが、勤労婦人たちの人生はまだまだ続きます。理不尽と怨嗟も続くでしょう。
有子の話では、編者の方は新しい年号でも勤労婦人詩集を編みたいと言われているようです。有子もまた何か書くのでしょうか。楽しみですね。
青川有子の架空の母 さん