この書籍……というよりも記録は、整理整頓の苦手な知り合いの、引き出しの奥深くから見つけてきた。表紙の見知ったアイテムたちを見て、誰のことが書いてあるのかは一目でわかった。住人が寝静まるのを待ってからこっそり読んだ。本を開くとよく知った懐かしいにおいがした。出てくるのはとある研究者とその被験者。生まれたときからずっと大人だったような、そして今でもずっと幼い子どものままのような、生きていくにはなんとも不自由しそうな二人だ。世界を見限った二人が、砂糖でコーティングされた『ままごと』のような毎日の中で自分のゆく道を決める、そういう話だった。これがこの二人なりのハッピーエンドなのかもしれない。いろいろと言いたいことはたくさんあるが、とりあえず、もう一人の登場人物には同情を禁じ得ないとだけ残しておく。