こんにちは。はじめてお便りします。あたしは、鯖虎子猫のイチカ。みんなから、美少女イチカにゃんって呼ばれてます。
この前、かか様の読んでいた本が気になったから夜中にこっそり読んでみたんです。
「化狸浪華賑」って本で、何とあたしも登場してるんだって聞いたもので。姉ちゃんたちの話だと、あたしたちの一家をモデルに書いた物語だから作者から献本で貰ったんだそうです。
「化狸浪華賑」って本は、短編集であたしたち一家の話は「猫の竹本座」って題名でした。
読んでみてびっくりしましたんです。昨年の関西への家族旅行がそのまま載っていたんですから。作者は、ひょっとして「すとーかー」じゃないだろうかって。
京都を観光した後、伏見から夜船で大坂に向かったことまで書いてあって。何でわかったんだろう?って首を傾げちゃっいました。
「伏見から大坂の八軒屋に船で向かうなんて常識でしょ。近松門左衛門の心中天の網島を知らないの?」
って、りこ姉ちゃんが尻尾をはたはたさせて言ってました。みい姉ちゃんは眠そうにあくびをしてます。りこ姉ちゃんの毛皮は上品な灰色で、みい姉ちゃんは豪華なキジトラ毛皮です。
かか様が本場の芝居見物をしたいって言い出したのが、大坂行きの始まりでした。
それで、かか様や姉ちゃんたちと道頓堀のすぐ隣の日本橋にある猫宿屋に泊まって夜の竹本座に行きました。
猫宿屋の番頭さんは浄瑠璃狂いのハチワレで一日中、浄瑠璃を唸っていましたよ。
この猫宿屋のことは、本を読んでもらえればだいたい分かります。仲居さんのこと、宿屋の食事なども書いてありましたので。
芝居見物は途中で眠くなってよく覚えていませんが、隣の席だった船場のおばさまが物凄い豪華なお重をご馳走してくれたりお土産まで買ってくれて楽しかったです。船場のおばさまは、本にも書いてあったようにせれぶな白猫です。
芝居はですね、かか様や姉ちゃんたちが号泣していたので感動の超大作だったみたいです。
そんなこんなが「猫の竹本座」に書いてあるので、皆さん是非読んでみてあたしたちの家族旅行の追体験をしてみてください。
読んだら是非、あたしや姉ちゃんたちの「ふぁんあーと」とやらを描いてみてください。ちなみに、かか様は三毛猫です。
美しく描いてくれたら、作者も喜ぶと思います。よろしくお願いします。