第一期の時代の資料ではないかと、第二期を専門に研究している同僚から手渡された本です。
一体どこで見つけてきたのでしょう。別の惑星でしょうか? この研究所の書庫は全て確認したはずなのに。
こうした研究資料については、何度も肩すかしを食らっているので、この本も大して期待せずに目を通しました。まさか小説だとは思いませんでした。群像劇、とでも括ればよいのでしょうか。
確かに、心をエネルギーとする魔法のような力が当たり前に存在する世界のようでした。なるほど、第一期の条件に当てはまります。
しかし、こんな荒唐無稽な話が事実であるわけがありません。人間ではない生物が争っているだとか、別世界と行き来できるだとか。傷まで治せるらしいんです。そんなことが本当に可能だったのなら、その文明が滅びるようなことにはならなかったでしょう。
それでも今までの資料と合致する記述も見られました。地球という星が出てくるのも驚きです。第一期と言えば地球。これは様々な持論を展開させる研究者たちの間でも、共通認識となっています。
もしかしたら、実際に第一期の間、もしくはその直後の時代に作られた話なのかもしれません。空想を織り交ぜて、波乱に満ちた物語に仕立て上げたとか。
当時の技術の参考にはなりませんが、文化の資料としては価値があるかと思います。どうやら結婚という制度もないみたいですね。血の繋がりよりも住む場所を重視するというのは面白い考え方です。私たちが出身星を重んじているのと似ているのかもしれません。
物語はまだ続いているようですので、続刊を探してみたいと思います。