「サンヤー号によせて」

小学六年生のミズカ不本意ながらおすすめする

私ミズカはCis.1 から登場するメインキャラクターです。子どもながら、ちょっと真面目にレビューしようと思います。

この度、今までとは全く異なる新刊『サンヤー号によせて』が誕生したと聞きました。

Cis.2 の舞台裏を描くオムニバス作品のようです。Cis シリーズからは独立したもので、当然、私は登場しません(がっかり)。

なぜCis.3 より先に本作を優先させたのか、謎は深まるばかり。シリーズの危機ではないかと心配して、読んだのです。

読み終わってわかりました。

作者が今一番書きたかった思いが、まさにこの本にこめられてあるということに。

悔しいけれど負けを認めます。この本は今までの本を越えるものであり、Cis.2 とあわさることで、当分超えられないハイレベルに達した力作になっています。

不本意ながらオススメ作品です。

豪華挿絵は6枚もあるし、表紙も可愛いイラストだし。

中身だってそうです、8歳から大人になるまでの軌跡を描いたり、生と死が分かれるまさにその瞬間が描かれてあったりとボリューム満点。

恋愛表現が苦手だとあんなに嘆いていたのに、結構がんばって書いてあってそこも面白いです(片思いを含めて)。

それにしても作者は、設定おばけだと思います。よくこんなに緻密に設定を考えこんでおける。

そしてなんとこの本、Cis.1 との関連性もあったんですね。びっくりだよ! ここで伏線回収してたの?!っていう(あとがきで知りました)。

世界観はつながっているようで、読めて良かったです。勉強になりました。


長年作者と付き合いがある私だからこそ言える感想を、最後に書きこみます。

作者は8歳の頃、大切な人を亡くしているんです、その後に大きな引っ越しもありました。

どうしようもない出来事が立て続けに身の回りで起きて、けれど彼女自身は幼くて、何もできなくて、辛かったんだと思います。

そして何より、もっと遊んでいたかったんだと思います。

十五年以上の時を経て、やっと言葉にできたんですね。ファンタジーの力をかりてはいますけれど。

幼かった自分の夢を、この本の中で叶えたのだと思います。

変えられない暗い過去も、本の力で昇華させることができると示したような。

〆切に間に合わせるべく有給を二回消化したり引きこもったりと、かなり荒技を使ったようですが、完成できて良かったと私も思います。

心からお祝いします!


ミズカ

レビュアー
小学六年生のミズカ さん

「サンヤー号によせて」(新島みのる)

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