タイトルを見た瞬間、体中の血が煮えたぎるほどの怒りを覚えた。蒲田のころから10年以上文学フリマに通い続けるものとして、看過できないタイトルである。私の愛する文学フリマがクソイベントだと!?言語道断!こんな本に書かれることよりも私のほうがずっと文学フリマを知っているはずだ。
しかし、怖いもの見たさということもあり、読み始めた。
すると、意外なほどロジカルな主張が展開されていることに驚いた。
まず、この本の著者は「文学フリマに参加して売れていないサークルではない」ということ。すごく売れるほとではないが、大体50部は売っているというから小説本以外ではまあまあの売れ行きであろう。なので、売れないから腹いせに書いたたぐいではなく、あくまで冷静にイベント全体の分析を行っている。
内容は大きく分けて3つに分かれるが、文学フリマの現状の問題点と、それでも文学フリマの参加する人が絶えない理由。さらに、将来的な展望。
この本の著者は文章系同人誌をメインとしながらも様々なイベントを渡り歩いているのだという。その視点は、特に私のような文学フリマを愛してやまない人にほど刺さるものがある。的を射ている指摘故にだろう。
読み終えたときどう思うかは色々な考えがあるだろうが、私は文学フリマを愛するがゆえに、このような視点があったのかと感心するし、もっとイベント自体も良くしていけるのになと思ってしまった。