前作のアル境も読んだのでこっちも購入。
もともとロボットアニメとか好きで、アル境もロボものだって言うから手に取ったような気がする。
ただ、ロボものとしての考証とか描写みたいなのは全然重視されてなくて、そういうディテールを求めてるならちょっと期待外れかも知れない。
どちらかと言うとファンタジー寄りで、ゲーム原作だからゲームっぽいと言うか、ノベライズになった時に、ゲームのあそこのデータ的な部分が小説の中で詳細に説明されてる……的な、そういうのが好きな人はいいと思う。原作のゲームは未プレイだけど特に問題なく読めた。
アル境の五年後という設定、いわゆるファーストとΖのような関係なのだが、今回の主人公機の『ゲフィオン』は前の『ライズラック』の後継機と言うわけでもなく、世界観だけ同じの別の話である。ただ、所属している会社は同じマヴロス・フィニクス。今回は最初からヤバいことやってるというのを前面に押し出してくる。
前作が視点が次々移り変わる作品だったのに対して、ある足はフィリップ=ファイヤーストーンと言うキャラの視点で統一されている。人間関係も大分狭くなっていて、フィリップと、表紙のグロリアがずっと話の中心である。
フィリップがどう行動するかと言うのではなく、フィリップから見たグロリアとそれに付随するフィリップ、という関係で、フィリップには途中までほとんど行動に主体性が見られない。それは、死にかけていたところをグロリアに助けられたから、とフィリップ自身は語っているが……本当の理由が明かされた時にはわりと驚いた。
ロボットというとっかかりで読み始めたが、メインに置かれてるのはあくまでフィリップとグロリアの関係の話で、伏線の回収とかもそこに終始している。ゲーム原作ではどうも世界終末エンドだったらしいのだが、清々しいレベルで触れられていなかった。
いい意味でも悪い意味でも、スケールがでかい話を背景にしながら、ものすごく個人的な話をやっている感じがするが、セカイ系ではない。年下の女子に振り回される男というのが好きな人におすすめ。恋愛ものではないので、そこ気にする人は大丈夫。