私、梅水晶です。
コリコリした軟骨を梅の酸味と塩気でからめた、日本酒をちびちびと呑むにはもってこいの肴だと自負しております。
先日、友人の鮭とばから「つまみになる本がある」と聞き、早速取り寄せました。『あるペロリストの酒記・壱』という題名で、中には数行の短い散文から何頁かに渡る短編小説がぎっしりと収まっています。その一つ一つが日本酒を実際に舐めて作者が感じ取った物語だというのです。どこか懐かしい風景のスケッチ、人ではない世界との艶めいた交流、生々しく切り取られたいくつもの心情……酒によってこんなに違うのかと驚かされました。私と一緒に口に含まれるお酒はどんなストーリーを隠しているのかしら。ああ、呑めないけど呑みたい、そう思わせる本でした。