みなさんこんにちは。この度は短編集「学者と花束」のご紹介をさせていただきます。
この本との出会いなのですが、なんと言いますか、私がまだ駆け出しの学者で若かった頃、方々へ出かけて興味に任せた質問をしていたのですが、その時のお話を纏めたいととある出版社からお話がありまして、それでご協力させていただいた物です。
今思うと、日緋色金だのオリハルコンだの、世界のはじまりだのと言う意味不明ともとれる質問に真摯に答えてくださった方々には頭が上がりません。
でも、その中でも詳細に回答を下さった方がいて、あの方達は一体何者であったのだろう。今でも不思議で仕方ないのです。
印象に残ったやりとりをこの「学者と花束」に収録していただいたのですが、なんとそれだけでは本にするほどのページ数に満たないと、編集の方から言われてしまいまして、思わず笑ってしまいました。
そんなわけですので、私が研究とは関係なく、趣味で読んだ本に載っていた過去の物語や、知り合いから聞いた話など、そんなものを編集さんに取り留めもなく語った所、「それだ!」と言って私の話を元に、小説家の方に短編としてまとめていただいた物も収録されています。
でも、何故でしょうね、私がお話していない短編が、一本だけ混じっているのですよ。一見して、現代を舞台にしたファンタジー小話のようにも見えるのですが、それだけではないようにも感じます。不思議ですねぇ。
私がこの本の依頼を受けたときに、装丁の相談なども受けたのですが、私は残念ながらデザインはからっきしで、ほとんど編集の方やデザイナーさんに丸投げしていまいました。
ただ、ひとつだけこうして欲しいという点があって、この短編集を花束に見立てたいと、そうお伝えしました。
そうしましたらば、デザイナーさんは表紙にきれいな花畑を置いてくださいまして、ああ、これは大事な人にプレゼントする花束としてとても良いぞと思いました。
私はこれでも学者でございますから、大事な人に渡すのに、本物の花よりも言葉の花束の方が良いなと、そう思った次第でございます。
この花束をみなさんはどう楽しまれるのか、私も楽しみにしております。