「MIST OF WAR REJECTION アルファベットの境界線」
男子大学生のおすすめ。
ライトノベルはあまり読まないのですが、友人から紹介されて読みました。紹介されてというか、床に積まれてた本で、それだけえっちな本じゃなかったから……
主人公は表紙にもいるエイビィというキャラクターとなっていますが、中盤からは視点が何回か切り替わり、それぞれのキャラクターの視点で物語が語られています。とは言え、その視点の中心にいるのはエイビィであり、かれ(あるいは彼女)の話であることは間違いありません。
帯にはこの物語がエイビィの正体を追う話であると明言されていて、そういう話ではあるけれど、それが周りがかれの正体を追うという意味であると同時に、かれ自身が自分の正体を探す話でもあると感じました。
エイビィという人はいわゆる女性役割語を使う人物として登場します。そのような言葉遣いをする理由は、作中では明言されていません。作中ではかれはおおむね男性として扱われていて、本人もそこに不快さを特に感じていないように見えます。
そして、エイビィの「正体」も、かれの性別にはあまりかかわりはないのですが、かれの振る舞い自体は、その正体を知るための一助になっていたように思いました。
けっこうシリアスな話だと思ったんですけど、コミカルなシーンがないわけではなくて、特に、序盤から登場するダリルというキャラがすごかったです。読む前からこのキャラやばいみたいな話は聞いていたかも。
かれの思考はちょっと常軌を逸していて、ダリルの視点から話が展開する時はついていくのがちょっと大変なレベルでした。
後半、かれに対する見方であるとか、こちらの読者としての立場?ががらりと変わっていくのですが、後から5話を読み返しても、かれが何でそういう考えに至るのかは全然分からなかったです。やっぱりエイビィはビルってなに?
ロボットものっていうのは、悪役が出てきてそれを倒す話だと思っていたんですが、そうじゃないんだなと思いました。この本にも悪役っぽい人は出てくるんですけど、イメージする悪役とはちょっと違いました。
本を紹介してくれた友達にそれを言ったら、ロボットものはむしろ勧善懲悪であることはあんまりなくて、とものすごく早口で語られてしまった。そういえば彼もロボットを勉強してるから、こだわりがあるのかも知れません。
続編もあるそうなので、そっちも読んでみようと思います。
男子大学生 さん