「お姉さま、面白い恋愛小説はない?」
そう、末の妹が尋ねるものだから、気恥ずかしいけど、紹介しない訳にはいかないわよね……。
という訳で、わたしのおすすめはこの本、「誓いの魔法を、あなたに」。城の図書館にある本よ。魔術の勉強が辛くなった時に読んだものだったわ。
主人公の王子・ダリルが幼い頃、魔法士見習いの年上の少女と出会う所から物語は始まります。その少女・アシュレイは優しくてかっこよくて、ダリルにはまぶしく見えたんだろうな……。わたしも彼みたいに外に出られなかったから、子供の頃を思い出したわ。
二人はすぐに仲良くなって、楽しい思い出を作ったのだけど、お別れの日は来てしまったの。せっかくできた友達なのに別れるのは嫌だと思ったダリルに、アシュレイは約束をします。いつか王国魔法士になって、あなたに仕えると。
そして十年後、約束を果たしたアシュレイとダリルは再会するわ。そこでダリルは、今は主従関係だけど、また友達になれたならと思うの。けれど、お互いに抱く気持ちの名前について、二人ともが悩むことになる。それに、年の差も身分差も関係ないって思っても、アシュレイは秘密を抱えているから、一筋縄ではいかないのよ!
ダリルとアシュレイは果たして結ばれるのか。その過程で冒険したり、愛を試されたりする所にドキドキしたわ。二人の真っ直ぐな想いに、幸せな夢を見たような心地になれたわよ。
あの子がどんな感想を聞かせてくれるのか、楽しみね。