アップル社の携帯型電子端末(タブレットPC)iPadがアメリカで発表されたのは今年の1月,4月には米国,5月には日本でも発売が開始された.
iPadが発売された時のマスコミやIT関係者のフィーバーぶりをテレビで見て何となく疑問に思ったことを思い出す.
その時のマスコミ,評論家の評価は総じて,PCや読書の概念を変えてしまうというものだった.特に読書に関しては,指で本をめくる映像があちこちのテレ ビ番組で放映された.その映像につられて購入した人も多いそうである.ところが,購入すべき和文の電子書籍がなく,がっかりしている購入者も多いようであ る.本をスキャンしてpdfファイルをつくり,それを取り込む方法などが紹介される始末である.
使用して感じたことは,起動時間がない,マウス操作から開放され指で操作できる程度で,特に新しいことはない.トロン計画が米国の圧力で頓挫していなかったら,ずっと前に実現していた技術である.
我が国だけでも,3ヶ月間に300万台以上売れたようである.売れると分かると,国内メーカーも同じような機能を持った端末を作り始めたようである. ハードウエアが発表される度に,ソフトウエアや利用可能なデータの整備が叫ばれるがいっこうに進まない.iPadもその典型的な例と言えそうである.ハー ドウエアの能力を生かすソフトウエアの開発やデータベース,電子書籍の集積が急務である.
[一言]読書好きな人は容易に本にアクセスすることが出来るため,読書が進むかもしれないが,読書嫌いが読書好きになるとは思えない.
(平成22年10月11日)