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高齢者による交通事故が大きな社会問題になっているが,その多くがアクセルとブレーキの踏み間違いに起因するという.そのためか,「高齢者は免許を返納すべき」と言わんばかりの報道が目立つのは歳の所為ばかりではないようである.
そのような中,昨年11月,免許更新の通知(葉書)が届いた.免許更新期間は誕生日の前後1か月であるが,誕生日の6か月前から自動車学校で高齢者講習(70歳以上)を受ける必要がある.さらに,75歳以上の高齢者は,講習を受ける前に,記憶力・判断力を調べる講習予備検査(別名 認知機能検査)を受けなければならない.葉書落手後3か月が経ち,寒さも和らいできたので改めて葉書を見直すと「平成29年3月12日から制度が変わります.詳細は自動車学校へお尋ねください」という赤印が押されていて,県警のホームページに自動車学校の予約状況が掲載されていることが付記されていた.さっそく調べてみると2月中は殆んど埋まっていて,2月28日に予約することができた.電話申し込みのついでに「制度変更の詳細」を尋ねたが,「新道交法施行日前はこれまでと変わらない」という返事であった.
改正直前ということで,改正道路交通法に準じた予備検査が経験できるのかと思ったが,3年前に初めて経験した予備検査(別稿)と同じであった.今回の認知機能検査においては,問題点の指摘はなかったが3年後はどうなっているか疑問である.実車運転のテストは3人一組で受けたが,80歳を超えていると思われる二人の男性は S 字カーブで脱輪,一時停止標識の見落とし,寸止め操作(段差乗り上げ後ポール直前で急ブレーキ操作)等のミスを指摘されていた.数年後の自分の姿を見ているようで,他人事ではなかった.
制度変更については,講習全体を通して詳細な説明がなかったので,講習終了後に政府広報オンライン等で調べてみた.
今回の改正は,1)高齢者免許更新の厳格化,2)準中型運転免許の新設の二点に絞られる.
以下はその概要である.
高齢運転者対策の推進
下図は,改正道路交通法における「高齢者講習の流れ」をまとめたものである.免許更新前の認知機能検査の細分化と免許更新後の追跡調査および臨時検査,臨時診断,臨時講習等が追加された.
青線は75歳未満,赤線は75歳以上の講習である.
新制度では,更新前の認知機能検査の結果に応じて三段階に分類される.
認知機能検査の分類と対応
第3分類:記憶力,判断力に心配のない者 → 講習2時間
第2分類:記憶力,判断力が少し低くなっている者 → 講習3時間
第1分類:記憶力,判断力が低くなっている者 → 医師の診断書 → 講習3時間
免許更新後に「一定の違反」があると,「臨時の認知機能検査」を受ける必要がある.この場合も三段階に分類され,前回の認知機能検査結果と比較することにより判定が分かれ,臨時高齢者講習等をへて免許の継続が許可される.認知症と認められた場合は免許取消・停止といった行政処分となる.「一定の違反」についての詳細は資料を参考にしてほしい.これまでの「信号無視」,「通行禁止違反」等の14項目に加え,「交差点右左折等方法違反」,「環状交差点左折等方法違反」,「 合図不履行」,「安全運転義務違反」の4項目が追加された.
準中型運転免許の新設
今回の道交法改正のもう一つの目玉?は,普通免許と中型免許の間に準中型免許が新設されたことである.これまでと異なり高校卒業時点で中型トラックに準じる重量車両の運転免許が取得できるように改正された.準中型免許で運転できるトラックは,宅配便やコンビニの配送,建設や土木などの資材運送をはじめ,幅広い分野で利用されている.高校を卒業してすぐに運輸・配送などの仕事に就こうと考えている人や,大学生などでトラックを運転するアルバイトをしようと考えている人にとっては,準中型免許取得により仕事の範囲が広がると期待されていると報じられている.
改正前
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改正後
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