商品に◯◯期限というものが記載されるようになってかなりの時間が経過した.食品の場合,製造年月日の表示から賞味期限へ移行したのは1995年(平成7年)である.
食品の期限はそれなりに理解できるが,日本薬局方のエタノールに使用期限が3年と書いてあるのには疑問を感じる.一律ではなく用途に応じた使用期限が あってよいと思う.本来なら,街角の化学者である薬剤師に用途を言って相談すれば,用途に応じた正解が得られるはずである.しかし,それがかなわない時代 かもしれない.卒業実験などで,アルコールを扱っていれば,アルコールの物性から容易に解答が得られるはずである.何を基準に使用期限を設定したのか分か らないが,アルデヒドや酢酸に変化するというのだろうか? 化学者ならすぐに答えが出るはずである.
口に入れるアルコール,酒はビールを除き期限はないようである.数年寝かせるた方がうまい酒もある.マニュアル人間には理屈を言うより,廃棄させた方が よいということかもしれないが,もったいない.もともと飲用ではないのだから,それなりに流用すればよい.例えば,無水エタノールなら少し薄めて消毒用エ タノールにしてスプレーに入れて噴霧することにより,エアコン内部の消毒に使うことができる.そのままなら燃料にすることも可能である.水では落ち難い色 素なども落とすことことができる.
使用期限を記載することにより,用途に関係なく捨ててくれるのでメーカーには都合がよいかもしれない.調味料の穴の直径を大きくしたら消費拡大し,儲けたという発想に近いような気がする.
なお,クレゾール石鹸液の使用期限は5年である.アルコールと同様に,「使用期限を過ぎた製品は使用しないでください」と書いてある.