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私はMachintoshを利用しているが,大学で使用していたPower PC G5は消費電力が大きいため,最近はもっぱらCore 2 duoを搭載したMac mini (2009) を使っている.しかし,どうしてもWindowsマシンを使用せざるをえない場合は,一昔前のCPUであるPentium 4を積んだマシンを使用してきた.
ところが,ビデオ映像を編集するようになってから,もっと処理速度の大きいマシンが必要になった.そこで最近のPCの動向を調べてみるとCPUは様変わりしていた.最近発売中の民生用パソコンはほとんどCore i5をCPUに採用している.
「Core i」シリーズは,2010年1月8日にインテルが発表したデュアルコアCPUである.動作周波数を引き上げる「ターボブースト」機能,「ハイパースレッディング」機能などの新機能を盛り込んでいる.メモリーコントローラーとグラフィックス機能をCPUに統合するなど,これまでの 「Core 2」シリーズとはまったく別物である.
ハイパースレッディング」機能とは,プロセッサ内のレジスタやパイプライン回路の空き時間を利用して,1つのプロセッサをあたかも2つのプロセッサであるかのように見せかける技術である.
2006年にPentiumからデュアルコアプロセッサを搭載したCore 2 duoになった際,処理速度は2倍以上になった.最近主流のCore i5は,Core 2 duoの2倍程度処理速度が大きいそうである.
そこでCore i7をCPUとしたパソコンの自作を考え,地元のパソコンショップのメニューを手がかりに周辺部品の品定めを始めた.ところが,ネットでBTOパソコンを購入しソフトは自分でインストールした方が安上がりであることがわかった.BTO業者は各部品を大量購入するので,各部品が安価になり全体として安くなるようである.購入したのはCore i7 2600kというCPUを搭載したマシンである.さっそく無線LANやIEEE1394カードのインストール,さらにドライバー,繁用ソフトのインストールを行った後,処理速度を調べてみた.
分子計算対象は密度汎関数法による[3,3]-sigmatoropyの遷移状態構造を求める計算である.すなわち,O-allyl S-methyl dithiocarbonateがS-allyl S-methyl dithiocarbonateへ転位する際,反応過程でもっともエネルギーの高い状態の構造を計算で求めようというものである.この反応を利用すると,allyl alcoholからにんにくの臭い成分の原料を簡単に合成できる.
4個のCPUの並列処理を示すグリーンの帯が下から一つおきに4本見える.各CPUの稼働率は100%に近い.
今回のCore i7では,アイオワ大学が公開している無償プログラムを用いた.他はGaussian社から大学のライセンスで購入したGaussian98,および03である.
プログラムは異なるが,結果を得るまでの時間はこれまで使用していた大掛かりな並列処理計算サーバーより速い結果を得ることができた.
最近まで,学部新設の際に購入してもらった並列処理サーバーをネットワーク経由で利用していたが,6年目に故障で利用できなくなってしまった.伝え聞くところによればサーバーの更新はまだ実現していないようである.
今回の経験で,最近のマルチコアパソコンを購入し,フリーウエアを用いた方が得策であると確信したしだいである.
大型計算機センターでしか計算できなかった時代はそんなに遠い過去のことではない.
その頃を考えるとまさに隔世の感がある.(2011/11/28)
追記
上記の計算はメモリー4GB実装時のデータである.現在は8GBに増やして実行している.