入学者は禁煙

朝日新聞,毎日新聞,西日本新聞,熊本日日新聞,および系列のテレビで,「入学者は禁煙」が報道された.

それにしても実現するのに時間がかかった.遡ると,薬学部開設後間もない2005年5月24日のことである.学生厚生委員の横溝助教授から,全学委員会 において分煙対策が議題にのぼっているとの報告があり,薬学部としての対応を決めるため,意見聴取のメールが教員各位に配信された.

私は学科主任として次の提案をした.

・率先して全面的な禁煙にすべきです.

・全学がびっくりするような提案をしたらいかがでしょう.

その後,公衆衛生学を教えている衛生化学研究室の山口教授を全学禁煙委員会の委員に推薦し,学問的立場からの説明を行ってもらった.しかし,他学部との考 え方のギャップに大変苦労したようである.日常的には,オリエンテーションや講義の際,あるいはホームルームにおいて学年担任からの禁煙についての説明を 実施し,2007年には学部のホームページに禁煙のページを作成し広報活動を開始した.その間,学部にも禁煙委員会を設置し,議論してもらったが,ここで も委員間に微妙な考え方の相違があったようである.一方では,教員の中に喫煙者がいて,薬学部キャンパスから出て道路や田圃で喫煙している姿を見ると,し ばらく様子を見ることも必要ではないかという意見もあり強行突破し難かったと言っても過言ではない.

3年が経ち,薬学部事務を取り仕切ってきた江藤事務員が入試課に異動したこともあり,表題の件は早急に実現すると思ったが,大学首脳が理解し,周囲の合意を得るにはそれから2年以上を要したことになる.

世の中には,「在って当たり前」というものがたくさん存在する.後世になって,実現するのにどうしてそんなに時間が必要だったのだろうと思うであろう典型的な例のひとつである.

テレビでは,受験者が減るという意見が存在したようなニュアンスの報道があったが,マイナーな私的な意見であり,実施を躊躇させるような意見ではなかったと記憶している.

(平成22年9月19日)