第100回薬剤師国家試験:想定外の補正

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(薬剤師国家試験,6年制課程4期生,必須問題,補正,救済措置)

3月27日に合格発表があった.

後任教授と話をしている最中,発表時刻になったので厚労省のページからPDFファイルをダウンロードして結果を確認した.

彼は大学別の合格資料を見た途端,驚いていた.

その訳を聞くと,「自己採点による予想より合格率が高い」とのことであった.

全国的に展開し,模試を実施している予備校の予想でも「足切り」によって,昨年の衝撃的結果より悪いという見解が示されていた.

6年制課程移行後の総合合格率は以下の通りである.

新卒 総合

第 97回 1期生 95.33% 88.31%

第 98回 2期生 83.60% 79.10%

第 99回 3期生 70.49% 60.84%(昨年)

第100回 4期生 72.65% 63.17%(今年) 受験者:1万4316人、合格者: 9044人

総数 6年制新卒 6年制既卒 4年制課程等

国立 75.07% 84.14 69.31 44.17

公立 75.40% 82.89 60.78 43.33

私立 62.27% 71.65 52.72 10.46

合格基準は次表のように,事前に細かく決められている.

整理すると

◯総得点の65%以上

◯一般問題で,各科目35%以上

◯必須問題で,各科目50%以上,かつ全問題で70%以上

したがって,自己採点で合否や合格率は予想可能である.

予想よりよい結果となると,何らかの理由で合格基準が変更されたということを意味している.

厚労省の公開資料を精査すると,試験でよくある「解なし」となる出題ミス3問(全員を正解として採点)のほかに,11問が「補正」の対象になり,「全員を正解として採点する」という異例の措置をとっている.

その理由として,「問題としては適切であるが、今回の受験者の正答率及び識別指数等を考慮し、全員を正解として採点する」と記載されている.誤った解答をした受験生にも加点されるから,大幅に「下駄を履かせた」ことになる. 補正

の対象となった問題は,11問中3問が, 「必須問題」の「物理・化学・生物」の科目である.予想において合格率低下要因であった「必須問題」の全15問中,8問正解しなければ足切りになるところを, 3問の「全員正解」の補正が加わった.したがって,残り12問中, 半分以下の5問正解できていれば足切りを免れることになる. 誰が

みても,想定外の「救済措置」であることは明々白々である. 何が

そうさせたのかは,想像できるが今後の情報を待ちたい. 追記

)厚労省が薬剤師の需給に支障を来さないよう,補正を行った可能性もある(薬事日報3月30日). 来年

からは自己採点で不合格になった人が補正に期待する可能性がある. 補正

基準?の明確化が必要である. 関連

資料 大学

別の出願者数を公表 厚生

労働省は,第100回薬剤師国家試験から,大学別の出願者数を公表した.これまでは,全体の出願者数しか公表していなかったが,大学別の出願者数も明らかにすることで,各大学で実際に何人が受験しなかったのかが把握できるようになった.今回,受験者数が出願者数の70%を切った私立大学は17校に及んだ.入学者数は定員+アルファ,出願者数は期末試験,CBT, OSCE等の共用試験,実務実習を修了した数,受験者数は卒業判定で篩にかけられた数である.薬系大学の乱立による学力低下のため,受験者数が入学者数の50%以下という大学が生じ始めている. なお

,医師や歯科医師など他の医療職種の国試では,各大学の出願者数を公表している. 本件

に関する「薬事日報 2015年1月9日」の記事:大学側にとって国試の合格率は,受験生や保護者への大きなアピール材料となるため,一部の大学では国試に受かりそうもない学生を留年させるなどして,合格率を操作しているのではとの疑いがある.今回の措置について厚労省は,「そうした大学にとっては一定の障壁にはなるだろう」としている. 第1

0回薬剤師国家試験 大学別合格者数 【薬

部・薬科大学一覧】薬学部偏差値・学費・新設