年齢短歌

60以上

数字の◯◯歳のような表現だけ集めましたので、

「還暦」など以下は除外してあります。

「還暦」6首、「古希」はナシ、「喜寿」3首、「傘寿」ナシ

「米寿」2首、「卒寿」1首、「白寿」1首

60代

■60歳 3首

六十歳のわが靴先にしろがねの霜柱散る凛々として散る

ルビ:凛々【りり】

木俣修『去年今年』

■61歳 1首

厄年は六十一歳が最後らしそののち厄のなきがごとくに

伊藤一彦『土と人と星』

■62歳 なし

■63歳 1首

おのつから六十三になりたるは蕨うらがれむとするさまに似む

ルビ:蕨【わらび】

斎藤茂吉『小園』

■64歳 2首

この村にのがれ来りてするどくも刹那を追はむ六十四歳のわれ

ルビ:来【きた】/刹那【せつな】

斎藤茂吉『小園』

■65歳

六十五に八十七に八十の死者の無念の嵩(かさ) 反比例

古谷智子「詩客」2013年12月06日

■66歳 なし

■67歳 なし

■68歳 2首

夏草のなかに消えゆく蛇を見て六十八歳のわが足すくむ

小池光『沈黙の藤』

■69歳 なし

70代

■70歳 4首

七十には七十の恋があるべしと思ふ心にほのぼのとゐる

稲葉京子『忘れずあらむ』

「七十歳のコンビニ強盗」といふ見出し付けられてゐる男のあはれ

中地俊『覚えてゐるか』

■71歳 なし

■72歳 なし

■73歳 なし

■74歳 なし

■75歳 1首

雛の日をはちじふの母の取り出でて飾りし人形七十五歳なり

伊藤一彦『海号の歌』1995

■76歳 なし

■77歳 1首

節電や七十七歳天皇(すめらぎ)の重ね着底の忍耐力【ぢから】

ルビ:力【ぢから】

大野道夫『秋意』

■78歳 1首

暗い緑の路面電車がやって来る寺山修司七十八歳

加藤治郎『噴水塔』

■79歳 1首

七十九歳媼のスリは捕らえられだんだら模様に暮れゆく空や

鈴木英子『油月』2005

80代

■90歳 8首

黄金の八十の年代、傘を差し時には濡れて歩いています

ルビ:年代【とし】

奥村晃作『八十の夏』

二月二十九日晴天 八十のこころ八十のからだを支ふ

竹山広

軍事用八十歳がはつなつの公民館に格納される

木下龍也『つむじ風、ここにあります』2013

■82歳 なし

■83歳 1首

ほほゑみがどんどん深くなつてゆくピーター・ヒッグス八十三歳

坂井修一『亀のピカソ―短歌日記2013』

■84歳 1首

この次は八十四歳くらいかなしあわせになるのとか手をつなぐこととか

飯田有子


■85歳 なし

■86歳なし

■87歳なし

■88歳なし

■89歳なし

90代

■90歳 5首

九十歳の先は幾歳でもいいやうなお天気の中花が咲くなり

ルビ:幾歳【いくつ】

斎藤史『風翩翻以後』

ドン・キホーテのごとぎくしやくと野をあるき九十歳の父が摘むふきのたう

ルビ:九十歳【くじふ】

日高堯子『振りむくひと』2014

■91歳 1首

憫笑の中に入りゆく思ひして 九十一歳といふ年齢になる

ルビ:年齢【とし】

齋藤史

■92歳 2首

歌作らむ歌作らむと九十二歳われは苦しされどもされども

武川忠一「音」2011・2

■93歳 2首

ぼんやりと九十三歳近づくか右往左往の雪の降りつつ

岡部桂一郎『坂』

■94歳 1首

高松光代九十四歳いういうとをんな保ちてうふふつと笑ふ

高田流子『猫町』2011

■95歳 なし

■96歳 1首

ていねいにこの世のヨセを打ち終へて九十六の祖父は逝きたり

大松達知『スクールナイト』

■97歳 2首

鉄板の上にちいさな山をなす母九十七の白骨目守る

奥村晃作『八十一の春』2019

■98歳 なし

■99歳 2首

わが母の九十九歳の齢をばちりばめたりき敷妙の屋

ルビ:齢【よはひ】/屋【いえ】

森岡貞香『敷妙』

100歳

■100歳以上 10首

百歳さして遥かならねば生姜湯を飲みさして讀むガルシア・マルケス

塚本邦雄『詩魂玲瓏』1998

生きてゐてむなしいと言ふ百歳の母の言葉の古陶のひかり

伊藤一彦『土と人と星』

きみ逝きてわれは百歳年とれど生きてゐるかぎりきみにとどかぬ

渡辺松男『雨(ふ)る』2016

いかがでしたか?

2019年9月22日

私のデータベースは、語の使われ方の変遷などを見るためなど主に統計を目的としてデータを集めております。

直接入力だけでなく、青空文庫、歌人のブログ、そのほかネット上で見つけたデータをコピーさせていただくこともあります。

見ず知らずの方々の努力の成果を労せずして頂戴しており、感謝してもしきれません。評論などで世の中に還流させることで報いたいと思います。。

データベースに収録した歌句は、日々表記等の確認に努めておりますが、数が多いこと、また、自分が原典を有しないものがあるなど、なかなか点検が追いつかない状況です。上記の歌句を引用してどこかに掲載する場合は、必ずなんらかの手段で確認してください。

高柳蕗子