画面の都合で改行を入れましたが、もとはすべて一行書きです
【偶然の沓冠 ひとかごのせみをとる】
人はなぜときどき不死身
海水をごくんごくんと呑んでみせる
昔、「かばん」の歌会でこの歌を披露したところ、
「歌の意味は不明だけど、沓冠を見つけたわ!ひと籠の蝉を取る、って読める!」
と、大発見をしてくださった人がいた。
「かばん」編集人をしたこともある田川みちこさんだった。
意味不明の歌に謎が増えて、歌会は沸きに沸いたっけ。
眼球がスノードームになってきた
家々生まれ 満ちて灯る
一馬身先回りしてふりかえる彗星
七月の老婆心
言語野でもゴリラ鯨雨に襲われて
走るずぶぬれ笑うずぶぬれ
暫く前まで「ゲリラ豪雨」と言われていたが、このごろフツーに雷つきで来るため、「ゲリラ雷雨」になってしまった。
気候変動・コトバも変動。この歌はもう古びてしまった。
泳ぎまわれ星空シナプス光らせて
短歌の上半身 下半身
木の股から生まれて春のこどもたち
味蕾ひろげて春をたべる
眠りながら口笛を吹くその深さを
聖夜はぞっと兆すのだよ
ふたたび と言えばはばたく気配する
古代の福耳未来の福耳
この歌を作ったときはいちばん左の白っぽい絵をあてていました。
が、豆歌集をつくるにあたり、今までしばしば使っていた花びら集めの絵を、耳集めに修正しました。
花びら集めよりも福耳集めのほうが、この絵を描いた当初のイメージに添っていると思われます。
絵が歌に出会って完成した、という感じ。
QRコードの微塵ふとゆらぐ
ほとけござるか ござらんござらん
ついてきた螢びかりのいもうとの
冷母音怖くてかわいがる
くんくんいう子犬を抱いて
胸固く青くいっそう婦警たるべし
失踪ママ消滅パパは楽隊にされてて
隣の街までは来る
いちどきに滅んだキューピー人たちの
異髪ふぶいて星をまもる
見渡せば墓ももみじもまっかっか
犯人【あのひと】はこの景色のなかに
半径100年のサンタさん大招集
こども画伯のトンデモツリー
2023年12月かばん東京歌会題詠「クリスマス」
パイロットフィッシュ
ふたっつぶらさげて徘徊中
夢枕ばあちゃん