ここ数年の歌
全歌集後の歌(2011年~現在)ピックアップ
ときどきイラストつき
ときどきイラストつき
★印は豆歌集『未来の福耳』収録歌
豆歌集『未来の福耳』は、全歌集後~2011年までの作から50首、
『雑霊のシナプス』はそれ以後から2024年まで50首を厳選収録。
収録の際一部改作した歌があります。
このコーナーの歌もそれに合わせて修正しました。
最近のお気に入り(2025年上半期)
橋の字が下手で今年もごめんなさい橋の字のある年賀ともだち
幸福を着なさい希望をかぶりなさい 新年制服制帽検査
産気づくことば今年はにんげんを短歌が丸詠みします 無痛です
ねえうしとらみんな泳いでどうぶつのお茶漬けみたい この国がすき
あやにしき星座記号と干支の文字おどる運気の染色体たち
両の手を組んでひねって覗いたら光の秘所が見えた チョキだ
おすそわけ むなしいむなしい言ってたら胸に椎茸こんなに生えて
われはゆく 山あり谷ありがんばっておもんパカって馬になって
怪獣は世界中にいる 地球儀に描く宿題出されたような
もののあわれ織りなすいのち韻文はみやびな陰部そなえています
ばらまいた小銭みたいなじんせいを伊勢神宮で拾い集めよ
最近のお気に入り(2024年下半期)
透けぎみの耳を吹かれて七月の街にあふれるショートスリーパー
おばあちゃんこれ猫ちゃんの診察券ですよ七月 あの子は去年
七月のロングレシートしなやかに八月のそれは乱暴に 飛ぶ
ヒトマガジン七月号に群がって漫画で学ぶヒトのけっこん
七月ちゃん八月ちゃん 深夜分かたれて産声ふたつ追いかけあう
ルビ:七月 【ふづき】八月【はづき】一馬身先回りしてふりかえる彗星 七月の老婆心
なんにもないあたりを撃てば七月の指ぴすとるの指がすずしい
七月のびんぼうゆすり空いっぱい無音の誤変換いとなまれ
親が子に捨てさせた夢 子が親に捨てさせた夢 星空マルシェ
多義性は掟を破る 踏んじゃったティッシュの箱をスリッパに履く
最近のお気に入り(2024年上半期)
この春の桜はとうとう咲かなくて人のひとりも死なない夏が
まず橋がかかってぞろぞろ家たちが渡って来てる まだからっぽ
結婚では好転しないもろもろをかかえて再婚 みたいな天気
言語野でもゴリラ鯨雨【げいう】に襲われて走るずぶぬれ笑うずぶぬれ
絵にかいた餅でなくこれは餅にかいた未来みんなでこれから食べる
地球儀を団扇であおぎ目に見えぬ付箋を散らす 日本の夏
朝霧に濡れ夕靄にまみれつつ山を四十こだましてきた(題詠)
最近のお気に入り(2023年下半期)
日めくりの空ほの甘し駄菓子屋の店先で舐めた紙クジのスカ
題詠 紙 「かばんネプリ2023夏炊飯器に知らない人のふるさとが憑いてこの秋 臍の匂い
雨の日に喧嘩をするな ふすま紙弱アルカリ性壁【かべ】は弱酸性
銅像が霧におぼれる 両腕が浮き輪をはめてもらいたそうに
パイロットフィッシュふたっつぶらさげてめぐりくる夢枕ばあちゃん
半径100年のサンタさん大招集 こども画伯のトンデモツリー
2023年月かばん東京歌会題詠「クリスマス」最近のお気に入り(2023年上半期)
正直じいさんが足りない 吉相の印鑑たちをヒトにもどせ
※印鑑の書体に吉相体というのがある。
右腰が痛い痛いとさっきからあなたはさすっている左腰
見渡せば墓ももみじもまっかっか 犯人はこの景色のなかに
ルビ:犯人【あのひと】落掌するなかれ桜をひっふっふっ 吹きたわむれる千手観音
枕元に置いたげようね地球儀を 起きたら回して秋を呼んでね
(掲載時は詞書をつけなかったが、山下一路追悼歌)雨雲をつれてびしょびしょママが言う お嫁にいきますごめんなにもかも
隷書体の月がかかって黙考は手さぐり ラクダの骨のパズル
似た人をどんどん融合していくと何体にきわまるのだろう人類
ルビ:融合【マージ】でんしんばしらえんとつおはか ひとびとの心の字幕も縦書きの国
義母継母養母実母のぼんのくぼ 用途さだめぬ仏具でしょうか
こどものとき一回耳にしたきりの言葉のおばけ 「助平屋敷」
木の股から生まれて春のこどもたち味蕾ひろげて春をたべる
一生をさかさに振って言うだじゃれ 哄笑ふかく霧の大喜利
題詠 大喜利泳ぎまわれ星空シナプス光らせて 短歌の上半身下半身
最近のお気に入り(2022年)
ペーパーレス今後こころは書き残さず各自の空に持ち帰りなさい
以下「短歌詠」
自然詠・社会詠と同じく、短歌を対象として詠む歌がときどきありますね。
短歌詠は、いろんな言葉が新たな短歌評用語になるところがおもしろくて、いまハマってます。
2021年のお気に入り 一部修正。掲載時と異なります。
2020年のお気に入り
2019年のお気に入り
2018年のお気に入り14首(豊作でした)
一部修正。掲載時と異なります。
2017年のお気に入り5首
2016年のお気に入り5首
2015年のお気に入り5首
※題詠「水」。「かばん」誌の特集(藤本玲美歌集『オーロラのお針子』)で実施
2014年のお気に入り12首 (この年はなぜかいっぱい歌ができた)
2013年のお気に入り3首
2012年 歌ナシ
2011年のお気に入り5首
2007年の全歌集発行後しばらく歌を休みました。