主体は郵便。あるいは郵便のようななんらかの役目を負った人。普通なら仕事を終る開放感を表しそうなネタだが、「いいですか」と許可を得るところにもう一捻りある。相手との地位の差が大きい感じが付加され、また「まぶた」の切手という身体への言及も、パワハラに近いぐらいの服従を思わせる。
「切手」という題材で、こういうことを書くのは希少だと思う。
怒り、反発、抵抗。こういう歌は難しい。だから珍しい。(負けることは現実問題としては辛いけれど、なぜか負ける愚痴や自嘲は気楽に書けちゃう。)
また短歌に詠まれる曜日名のうち「火曜」は最少であり、最多の「日曜」の六分の一しか詠まれていない。
手紙は早く確実に届いてほしいものである。切手の歌には当然その願いを詠むものがたくさんあるが、その当たり前を、へんに力をいれずに、このように自然なことばですっきりストレートに詠むのは案外むずかしい。
2018.12.6