あけもどろ刊行会

あけもどろの空 ちびっこヨキの沖縄戦キーワード集


著者 高柳杉子 2010年11月 子どもの未来社 1500円 (刊行会のメッセージ)

「あけもどろの空 ちびっこヨキの沖縄戦」は著者杉子の両親(沖縄戦当時6歳)の体験をまとめたもの。

戦争の恐ろしさとともに、希望を失わずに生きることに重点を置いて書かれています。

■ハタラチャー

場所は沖縄の東風平という村。村の人々は先祖代々の畑を耕して平和に暮らしていました。

主人公は6歳のヨキ。ヨキの一家はハタラチャー(働き者)です。

一家の楽しみは、夕食のあとの団欒。父ちゃんが、沖縄に古くから伝わるわるお話をしてくれるのです。

しかし、時は第二次世界大戦の末期。ヨキたちの村にもイクサが迫り……。


■死んじぇならんどぅ。

いくさが終わいね、いい世の中になぃさー。命(ぬち)ぇ粗末に、死んじぇならんどぅ。

必(かんな)じ、生(い)ちこわるないんどぅ。

(イクサが終れば、いい世の中になるから、命を粗末にして死んではいけない。

必ず生きのびなければいけないよ。)

ヨキたちは、爆弾をくぐり、アメリカ兵に追われ、燃えるサトウキビ畑を逃げまどい……。

■うりちゃー

あちゃから、うりちゃーに学校いかりんどう (明日からきれいなかっこうで学校に行けるよ)

命からがらの数か月で、ヨキの服はぼろぼろに。


■あきさみよー!

「あきさみよー! バクダンが、うてぃとーん」(あれまー! 爆弾がおちたんだ。)

捕虜収容所から村にもどってヨキたちが見たものは??


■たぬみんど

いったーる、たぬまりーる、たぬみんど(あなたたちが頼みだ。頼むよ。)

ヨキはこのように作物に話しかけました。

詳しく知りたい方は、ぜひ本書を手に取ってください。

刊行会からのメッセージ

2010年10月吉日

各 位

『あけもどろの空――ちびっこヨキの沖縄戦』刊行会

高柳美知子


時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

このたび『あけもどろの空――ちびっこヨキの沖縄戦』を子どもの未来社より刊行いたしました。

本書は、著者の母親(沖縄戦当時六歳)の記憶を忠実になぞったもので、平和な家族が、突然おそいかかってきた「イクサ」の中を逃げまどい、生き抜き、希望を失わずに立ち直ってゆく姿をあどけない子どもの視点で描く、沖縄戦の生の証言です。

先祖代々の土地を守る素朴な暮らしにも字数をさき、その平和な暮らしが破壊される恐ろしさや、農民が大切な土地から引き離される思いなども痛感させられる物語となっています。

著者高柳杉子は、沖縄戦激戦地である沖縄南部の東風平村(こちんだそん)出身。「生き残った者の努め」として戦後処理に尽力した家庭に育ちました。東京の立正大学に進学し、卒業後は故郷沖縄で六年間教員を務め、平和活動などに積極的に参加。大学の同窓生高柳詩織との結婚により北海道へ渡り、本書の刊行に意欲を持って準備をしておりましたが、病に倒れ、昨年の夏に帰らぬ人となりました。本書は、家族親族と友人が遺志を継いで完成させたものです。

多くの人に読んでいただく価値のある本だと思います。教材としての使用など、ぜひともお力添えいただきたく、よろしくお願い申し上げます。


謹白


本書の三つのコンテンツ


・本編 「あけもどろの空――ちびっこヨキの沖縄戦」

六歳のヨキの現在形のモノローグで、沖縄戦の日々を語ります。小学校低学年でも理解できる内容です。


・解説編 「沖縄戦とは――ちびっこのヨキが見なかった沖縄戦と、その後の沖縄」

子どもの視点からは見えなかった部分をかんたんに補足し、世界大戦における沖縄戦としての把握や、戦後の復興に言及します。小学校中高学年が読むことを想定しています。


・あとがき 「ふたつの時代を〝子ども〟で生きて」

戦後の沖縄に生まれ育ち、沖縄返還を体験した立場から、沖縄を語ります。高学年以上の読者を想定しています。


『あけもどろの空――ちびっこヨキの沖縄戦』

著者:高柳杉子 刊行会発起人:高柳美知子

協力:仲座亀吉 仲座ヨキ 荒木美由樹 高柳蕗子 高柳年雄