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画面の都合で改行を入れましたが、もとはすべて一行書きです
第４集 2017～2023
似た人をどんどん融合［マージ］していくと何体にきわまるのだろう人類
似た人をどんどん融合［マージ］していくと何体にきわまるのだろう人類
ＱＲコードの微塵ふとゆらぐ ほとけござるか ござらんござらん
ＱＲコードの微塵ふとゆらぐ ほとけござるか ござらんござらん
正直じいさんが足りない 吉相の印鑑たちをヒトにもどせ
正直じいさんが足りない 吉相の印鑑たちをヒトにもどせ
詞書 しきしまのヤマトのニュースかなしいよヨクバリジイサンがぞろぞろ ※印鑑の書体に「吉相体」というのがあります。
カンガルーやモルゲッソヨをひきつれてただいま 秋晴れのふるさと
カンガルーやモルゲッソヨをひきつれてただいま 秋晴れのふるさと
もとは「好きな歌を本歌取りせよ」という題詠
「ぞろぞろと鳥けだものをひきつれて秋晴の街にあそび行きたし（前川佐美雄『植物祭』1930）」を本歌として、
カンガルーやモルゲッソヨをひきつれて遊ぼうよ街は秋晴れごっこ
を当日は詠みましたが、その後、上記のように改作しました。
※カンガルーもモルゲッソヨも、「あれは何」と問われた現地の人が「分かりません」と答え、それが名称になった語。
みぎひだり願いこぼして泣きながら浴衣で自転車こぐ夢みたい
みぎひだり願いこぼして泣きながら浴衣で自転車こぐ夢みたい
手を上げろ願いをよこせぜんぶ出せ あとかたもなく叶えてやろう
手を上げろ願いをよこせぜんぶ出せ あとかたもなく叶えてやろう
ぼるぼる ぼるぼる 八十億の臍筋がこっくりさんをうごかしている
ぼるぼる ぼるぼる 八十億の臍筋がこっくりさんをうごかしている
磨墨音空にみなぎるいまここでわかれよう青い他人になろう
磨墨音空にみなぎるいまここでわかれよう青い他人になろう
ルビ：磨墨音【まぼくおん】
すれ違う列車に俳句が書いてある むこうもこっちを読み上げている
すれ違う列車に俳句が書いてある むこうもこっちを読み上げている
はるかさに睾丸がある 身を揺らすアニマル画伯たちのふるさと
はるかさに睾丸がある 身を揺らすアニマル画伯たちのふるさと
第3集 全歌集(2007）後～2016
第3集 全歌集(2007）後～2016
探偵は泳いだ全ての橋をくぐった あっちの輪廻もおもちゃだった
探偵は泳いだ全ての橋をくぐった あっちの輪廻もおもちゃだった
ベートーベン雲になってもかっこいいゆるめて通るそのほうれい線
ベートーベン雲になってもかっこいいゆるめて通るそのほうれい線
願いましては永遠なーり 引くことの同じぐらいの永遠なーり
願いましては永遠なーり 引くことの同じぐらいの永遠なーり
日曜が暮れる 罪状は何でもいい思い出の場所で逮捕されたい
日曜が暮れる 罪状は何でもいい思い出の場所で逮捕されたい
牛は倒すニワトリは乗る馬は蹴る 墓地では羊を飼えと力説
牛は倒すニワトリは乗る馬は蹴る 墓地では羊を飼えと力説
醜貌のいちりんひらくその背後ひゃくまんりんがはじまっている
醜貌のいちりんひらくその背後ひゃくまんりんがはじまっている
かしてごらん指と事実はこのように一本一本へしまげるんだ
かしてごらん指と事実はこのように一本一本へしまげるんだ
ふうん君は海洋深層水なのかぼくはそらみつヤマト糊だ
ふうん君は海洋深層水なのかぼくはそらみつヤマト糊だ
ひとむかしもうひとむかしおまけだよ うしろ姿にフォースをもらう
ひとむかしもうひとむかしおまけだよ うしろ姿にフォースをもらう
ああこども きっと探偵になりなさい三つの乳房かきまぜなさい
ああこども きっと探偵になりなさい三つの乳房かきまぜなさい
第2集 連作十の世 全歌集『潮汐性母斑通信』より
第2集 連作十の世 全歌集『潮汐性母斑通信』より
一の世はいつも夕暮れいつも秋
いろんな人のいのちを舐めよ
一の世はいつも夕暮れいつも秋
いろんな人のいのちを舐めよ
虹匂う二の世に鬱ぐ銀髯の
祖父にうまって越冬すべし
虹匂う二の世に鬱ぐ銀髯の
祖父にうまって越冬すべし
三の世に再々婚は淋しけれ
さばしびさばしび空耳埠頭
三の世に再々婚は淋しけれ
さばしびさばしび空耳埠頭
ヨーデルで呼べばやわらぐ四の世に
詠みのこされし神仙の臍
ヨーデルで呼べばやわらぐ四の世に
詠みのこされし神仙の臍
香水をふりふりあやせ
五の世的語法指南役金剛鸚哥
香水をふりふりあやせ
五の世的語法指南役金剛鸚哥
六の世に驚くなかれ
漏刻とみまがう老婆しかも論客
六の世に驚くなかれ
漏刻とみまがう老婆しかも論客
七の世も幼し
聖徒の撫でまわす姿なきだいじなオットセイ
七の世も幼し
聖徒の撫でまわす姿なきだいじなオットセイ
八の世は葉影はるかに歯を磨く父母おわします
はろう はろう
八の世は葉影はるかに歯を磨く父母おわします
はろう はろう
くしゃみするたんびに星が倍になる
九の世に頭くぼむクラーケン
くしゃみするたんびに星が倍になる
九の世に頭くぼむクラーケン
十の世の地雷畑に発根をうながすおばば
じゃらじゃら声
十の世の地雷畑に発根をうながすおばば
じゃらじゃら声
第1集 全歌集『潮汐性母斑通信』から少しピックアップ
第1集 全歌集『潮汐性母斑通信』から少しピックアップ
手があれば胸をこうしてばってんに
手があれば胸をこうしてばってんに
押さえて飛び立つだろう飛行機
押さえて飛び立つだろう飛行機
世は白雨 走り込んでは牛たちの
世は白雨 走り込んでは牛たちの
おなかに楽譜書く暗号員
おなかに楽譜書く暗号員
霊能を集めて一家がかきまぜる
霊能を集めて一家がかきまぜる
ジグソーパズルの父の肖像
ジグソーパズルの父の肖像
聴診器あてるまぶたのまなうらの
聴診器あてるまぶたのまなうらの
宇宙映画の人類滅ぶ
宇宙映画の人類滅ぶ
色褪せて流れつく虹
色褪せて流れつく虹
たくさんの手が抱きおろす西方浄土
たくさんの手が抱きおろす西方浄土
うずいている夕焼けている
うずいている夕焼けている
関係者各位わたしの乳首は交番である
関係者各位わたしの乳首は交番である
暮春という言葉を揺らし揺らしして
暮春という言葉を揺らし揺らしして
友よなるべく遠くまで帰ろう
友よなるべく遠くまで帰ろう
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