NPO法人信州そばアカデミーは、第1回公開講座 を2016年3月20日(日)午前、広丘公民館(塩尻市)で開催しました。共催は、塩尻市、後援は、長野県、信州ひすいそば振興協議会、一般社団法人全麺協です。”新品種「信州ひすいそば」の魅力を探る”をテーマに、長野県が2013年に発表した新品種「信州ひすいそば」の育種・特徴・魅力等について、各界の5名の専門家による講演と参加者にその食味を体験していただく催しでした。参加者は、ソバを生産している方など約60名でした。NPO法人信州そばアカデミー赤羽章司理事長の開会挨拶と共催者の塩尻市から地域ブランド担当赤羽誠治部長のご挨拶のあと、5名の専門家から講演をしていただきました。
最初の講演は、長野県農政部農業技術課 村山一善課長補佐から「信州ソバの新ブランド確立」の演題でお話していただきました。全国と長野県のソバの生産状況と長野県産のソバの知名度の紹介と信州ひすいそばの誕生の経緯と信州ひすいそば振興協議会による栽培・加工・販売に関する厳格な基準を通じて品質を確保しつつ生産拡大とブランド化を推進している取組みの紹介がありました。
2番目は、長野県野菜花き試験場畑作部 谷口岳志主任研究員から「信州ひすいそば長野S8号の育成と特徴について」の演題で講演がありました。ソバの新品種の育成の基本として植物としてのソバの特徴である受粉の仕組みの紹介があり、平成14年に関東1号と信濃1号の交配を始め、選抜を進めるなかで緑色の濃い品種が現れ、確認作業を経て、平成24年に「長野S8号」として品種登録出願された、信州ひすいそばの育成経過と特徴の講演がありました。
3番目は、”「そば」の味と香りを科学する”と題し、長野県工業技術総合センター食品技術部門吉川茂利部長から、そばの栄養と美味しさについて科学的分析の観点から講演がありました。そばの栄養については、そばには、アミノ酸スコア、GI値、ビタミン、ルチンの成分が他の食品と比較して多く含まれていて、優れていることの説明がありました。美味しさについては、香り、味、色および食感を最新の機器で分析した結果に基づき、そばの美味しさに迫るアプローチの紹介がありました。合わせて昨年4月にオープンした食品開発センターの紹介と昨年7月に行われたそばの製粉の違いによる研究会の様子の紹介もありました。
4番目の講演は、松本歯科大学口腔生理学 前教授浅沼直和先生による”味はどのように脳へ伝わるのか”ついての講演でした。味のセンサーは舌以外に軟口蓋、咽頭、喉頭にもあり、味の情報は、延髄→視床→大脳の味覚野に伝わり、判定される。食物の味(風味)には、5つの基本味(甘み、塩味、酸味、苦味、うま味)に加え、辛味、渋味といった刺激感覚、臭覚、触覚、圧覚、温度感覚さらには、食体験、食習慣、体調などが統合されて感じられているという紹介がありました。
最後は、芳香庵みのる 木村稔店主から”信州ひすいそばの人気度”の演題で、お店で提供している信州ひすいそばのお客様からの評価と提供するひすいそばのそば粉の保管、切り揃え、調理で注意している点についてお話がありました。ひすいそばを注文されたほとんどのお客様が、美味しいと評価され満足していただいているとのことです。
各講演の後には、会場から”ひすいそばを栽培するにはどうしたらよいのか”など活発な質疑が相次ぎ、信州ひすいそばへの関心が高い様子がうかがえました。
講演終了後に、参加者全員に信州ひすいぞば、信濃1号、常陸秋そばの3種類のもりそばを試食していただきました。この試食のアンケート結果を添付しました。
Post date: Apr 19, 2016 12:47:32 PM