検証72

本ページで取り上げるサイトはいずれも仮想通貨取引所 (暗号資産交換業者) に該当すると思われますが、いずれも日本の金融庁が公表している暗号資産交換業者の登録リストに該当がありません。ここで検証するサイトの多くは日本語対応しており、さらに少なくとも一部のサイトについて日本人に向けた勧誘や被害報告が確認されていて単に無登録の違法業者であるというだけでなく、詐欺目的のサイトである疑いが極めて濃厚と考えられます。

▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1

「検証63」「検証64」「検証65」「検証66」「検証67」「検証68」「検証69」「検証70」「検証71」で検証してきたTinderを始めとするマッチングサイト (出会い系サイト) やSNSで外国人による勧誘が行われているという共通点がある一連の詐欺仮想通貨取引所のサイトについての検証10ページ目です。「検証73」「検証74」「検証75」「検証76」「検証77」「検証78」「検証79」「検証80」「検証81」「検証82」「検証83」「検証84」「検証85」「検証86「検証87「検証88」「検証89「検証90「検証91「検証92「検証93「検証94「検証95「検証96「検証97「検証98「検証99「検証100「検証101「検証102「検証103「検証104「検証105「検証106「検証107「検証108「検証109「検証110「検証111「検証112」「検証113」「検証114」「検証115」「検証116」「検証117」「検証118」「検証119」「検証120」「検証121」「検証122」「検証123」「検証124」「検証125」「検証126」「検証127」「検証128」「検証129」「検証130」「検証131」「検証132」「検証133」「検証134」「検証135」「検証136」「検証137」「検証138」「検証139」「検証140」「検証141」「検証142」「検証143」「検証144」「検証145」「検証146「検証147」にも続編があります。勧誘の手口などについては「検証63」の最初に書いてあるので参照してください。 本ページでは以下のサイトを検証します。


●LEMONCOIN (レモンコイン www.ftdime.com/#/)

●VTBIT (www.vtbit.com/#/home)

●CoolCoin (クールコイン www.coolcoin.pro/#/)

●InformationChain (インフォメーションチェーン www.inftoken.pro/)

●Signalize Generation Token (シグナライズ ジェネレーション トークン www.5ignalize.com/)

●Singularity Token (シンギュラリティトークン www.singularityx.org/)


まずは以下を検証します。

●LEMONCOIN (レモンコイン www.ftdime.com/#/)

これも以下に示したYahoo知恵袋の質問投稿で知ることになった仮想通貨取引所のサイトです。

この投稿には何故このサイトについて質問しているのか、例えば誰かに勧誘されたのならば勧誘された経緯など一切書かれていないのですがまずURLアドレスが気になりました。

>http://www.ftdime.com/#/

URLアドレスが暗号化されていることを示す「https」ではなく、暗号化されていない「http」で始まっています。この時点でマトモな仮想通貨取引所のサイトとは思えません。またURLアドレスに「#」が含まれています。この2つの点は「検証63」以降で検証している中国系の詐欺サイトのURLでしばしば見られる特徴です。例えば「検証69」で検証している同じグループによると思われる10個の詐欺サイトのURLアドレスを並べてみます。

▼Motivated (モチベーテド):http://www.motavatebi.cn/ 

TMTGlobal (TMTグローバル):https://www.xttmt.com/dist/#/

Biteas Global (Biteasグローバル):http://biteas.com/dist/#/

Kimax:http://www.arspweb.cn/html/#/home

BTC 360:http://www.giex.vip/dist/#/

Coinle Pro:https://coinle.pro/dist/#/

Yoobihttp://47.244.3.60/dist/#/

▼DIU:http://www.diuni.org/#/

BIT-C:http://bit-c.com.cn/html/#/home 

IKChttp://www.lkccoins.com/dist/#/

これら10個のサイトのURLの内、2番目のTMTグローバルと6番目のCoinle Proを除く8個については暗号化されていない「http」で始まっており、最初のモチベーテドの場合を除く9個のURLアドレスに「#」が含まれています。

そこでさらに調べる為にサイトを訪問してみたところと明らかな類似点があることに気が付きました。まずはサイトの冒頭部のキャプです。

表示対応言語は英語のみです。この冒頭部を見ただけで何となく既視感があったのですが、この冒頭部に続く部分を見ると一連の中国系と思われる詐欺サイトとの関連が確実視されることになりました。

このサイトの特長を説明する部分は例えば「検証69」で検証したMotivated (モチベーテド)などのサイトにも全く区別出来ない部分があります。以下はモチベーテドのサイトからのキャプですが、全く区別出来ません。

尚、この3つの特長を示すイラストと説明文の組み合わせ全く同じあるいは酷似したものが「検証63」で検証したHKEX (hkex.us/#/)のサイト、「検証66」で取り上げたANT COIN (アントコイン) やUCOIN (ユーコイン) のサイトでも確認されています。これらは全て同じグループによるサイトであると考えるのが妥当と思われます。

この部分に続いてもさらに明らかに既視感のある画像が出てきます。以下はレモンコインのサイトにあるiPhone、Andoroid、WhindowsとOSによらず、あるいはスマホでもパソコンからでも取引可能と説明する図ですが明らかに見覚えがあります。

以下は再び「検証69」で検証したMotivated (モチベーテド)のサイトからのキャプです。全く同じではないものの明らかに同じ画像が組み合わされていてパソコン画面に写っているチャートパターンまで同じです。同じテンプレートから作られたサイトであることは間違いありません。

次にレモンコインのサイトで連絡先情報を探しましたが全く見つかりません。この系統のサイトで多少は連絡先情報が掛かれていることが多い脚注部分にも何の情報もありません (以下のキャプ参照)。

上の脚注の一番右に「Contact Us」と書いてあってSNSのアイコンが並んでいるのが見えますが、これらはリンクになっておらず、単に画像があるだけです。一見すると連絡先が記されているように見えるけど実際には何もないという状況になっており、却って心証が悪いです。

さらに上の脚注には「About Us」という項目があります。この項目をクリックすると確かに「About Us」のページが出てくるのですがそのページのキャプを以下に示します。

活字が小さい上にコントラストが弱くて読みにくいので書いてある文章を以下に転載します。

>FTCoin Introduce

>FTCoin, founded in April 2019, is an advanced digital asset trading platform that provides services for all kinds of blockchain assets, digital assets and derivatives for global digital asset users. At present, super nodes operate in Singapore, South Korea, the Philippines, Japan, Thailand, the United States and other countries. The main business of FTCoin is currency trading, which supports common mainstream currencies and Trading right; BTB contracts cross bull bear market to meet the depth of user trading; innovative contracts / futures / options and other products Btb.io will always maintain its leading position in the market, provide support and transaction services for customers around the clock, and provide users with more types of digital assets. Safety, efficiency and speed are the pursuit of BTB's global team.

レモンコインのサイトを見ているはずなのにFTCoinは2019年4月に設立された仮想通貨取引所であり、シンガポール、韓国、フィリピン、日本、タイおよびアメリカなどで運営されているといったFTCoinの説明が延々と書かれています。どうやらレモンコインのサイトはおそらくは既に閉鎖されているFTCoinのサイトをテンプレートとして作られたのではないかと思われます。あるいはレモンコインのサイトのURLアドレスが「http://www.ftdime.com/#/」となっていることから考えるとこのサイトは以前FTCoinという名称だったのがレモンコインに改称したのかもしれません。

とにかくレモンコインの連絡先情報は皆無ということになります。

次にレモンコインで取引されている仮想通貨について確認しておきます。メニューバーの「Exchange」の項目をクリックすると下のキャプに示した取引されている仮想通貨のリストと現在の相場、さらにチャート画面が出てきます。

取引されているのは12種類の仮想通貨でビットコイン (BTC) などのメジャーな仮想通貨も含まれていますが、LMCとSMCという略号の仮想通貨は仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで該当すると思われる仮想通貨の情報が見つかりません。これらはレモンコインのサイトのみで取引されている取引所独自の仮想通貨なのかもしれません。そして何かエラーでも起こっているのかチャートはビットコインのようなメジャーな仮想通貨についても全く機能していません。さらに上のキャプにも見えますが、チャートの設定を変更しようとすると出てくる選択肢が全て中国語で書かれています。サイト自体は英語表示にしか対応していないのにチャートの設定だけ中国語というのは非常に異様です。やはりこのサイトは中国のグループによって運営されている可能性が高いように思います。

結論としてこのサイトは他の一連の詐欺サイトとの関連などから中国の詐欺グループが運営している詐欺サイトの疑いが濃厚です。このサイトでの取引は全く推奨出来ません。


※付記

レモンコインのサイトと極めてよく似たサイトが2つ見つかってきました。具体的には「検証80」で検証しているQMCoin (QMコイン www.sw-coins.com/#/)とMYMONEYCOIN (マイマネーコイン www.mmcoinweb.com/#/)という2つのサイトはレモンコインのサイトと冒頭部からそっくりです。同じグループによるサイトの可能性が極めて高いです。「検証80」を参照してください。またレモンコインのサイトは閉鎖されたようです。


●VTBIT (www.vtbit.com/#/home)

これは「検証71」で検証しているbitfiy (bitfiy.com/#/index) というサイトを調べていて見つけたHakasauars というYoutubeチャンネルで見つけたサイトです。ちなみに 「検証64」で検証したKWCCというサイトもこのYoutubeチャンネルで見つけたサイトです。結論から言えば上で検証しているレモンコインなどのサイトと明らかな共通点があり、同じグループによる詐欺サイトの疑いが極めて濃厚です。日本で勧誘されたといった情報はこれまで確認されていませんが一応日本語表示にも対応しているのでこれから勧誘の事例が出てくる可能性が高いと考え、ここで取り上げることにします。

まずURLアドレスが気になります。

>http://www.vtbit.com/#/home

一連の中国系詐欺グループによって立ち上げられたと思われるサイトの多くに共通してURLが暗号化されていることを示す「https」ではなく暗号化されてないことを示す「http」で始まっています、仮想通貨取引所のURLアドレスとして有り得ません。

次に以下がサイト冒頭部のキャプです。

右上に見えるプルダウンメニューに表示言語の選択肢が出ていますが中国語、英語、香港語に加えて既に書いたように一応は日本語表示も可能となっています。但し表示される日本語はかなり不自然ですし、上のキャプに見えるように中国語での表示がかなり残ります。中国系のサイトであることは確実でしょう。

この冒頭部に続いてお馴染みのイラストでサイトの3つの特長を説明する部分が出てきます。比較の為に英語表示を選択した場合のキャプを以下に示します。上で検証したレモンコインなどのサイトにも殆ど区別出来ないイラストと説明の組み合わせが出てきているので確認してください。

さらにこの下に出てくる以下のキャプに示したマルチプラットフォーム対応を説明する部分も上のレモンコインのサイトに酷似した部分が確認されています。これも上のレモンコインの検証にあるキャプと比較してください。

これだけ明らかな共通点があればVTBITはレモンコインなどと同じグループによる詐欺サイトで殆ど間違いないものと思われます。

次に一応連絡先情報を探しましたがやはり殆ど情報がありません。以下のキャプに示した脚注部分の右側にメールアドレスが1つあるだけです。

しかもこのメールアドレス

>vtbit@foxmail.com

「foxmail」を調べてみるとテンセントという中国の企業による無料登録可能なメールアドレスのようです。とてもではありませんが信頼出来る仮想通貨取引所の連絡先とは思えません。さらに連絡先情報を探すとCompany Profileというページに社歴とか運営者に関する記述があるのを見つけました。以下にそのCompany Profileから一部を抜粋引用します。まずは冒頭部です。

>Company profile

>Junex Foudation  PTE.LTD Foundation introduction

>Junex Foudation  PTE.LTD  It is a leading digital asset financial service provider in the world, approved by acra and supervised by Singapore company law. The foundation will manage general and privileged matters of open source community projects through the established governance structure.

何故か全く分かりませんが、VTBITのサイトを見ているはずなのにこのCompany Profile (会社概要)は「Junex Foudation  PTE.LTD」の説明になっています。おそらく「Foudation」は「Foundation」の間違いでしょう。この文章からすると「Junex Foundation  PTE.LTD」はVTBITの運営会社なのかもしれませんが説明不足です。とにかく「Junex Foundation  PTE.LTD」はACRA (おそらくシンガポールの会計企業規制庁)で認可を得ていてシンガポールの法律に従うとあります。

さらにCompany Profileから社歴や経営陣に関する説明などの部分をかなり長いですが引用します。

最初の文節には冒頭に出てきた「Junex Foundation  PTE.LTD」と微妙に名称の異なる「Junex Education PTE LTD」の社歴のようなものが書いてあり、「J Group」の日本における資産価値は200億円を超えるとか、設立翌年には取引総額が1億ドルを超えたとか、「Junex Education PTE.LTD 」が30社を超える会社に投資しているとか、シンガポール、中国、日本などにコンプライアンスのチームを置いたとか脈絡さえよく分からない実績のようなことが書いてあります。「J Group」とこのVTBITのサイトはどういう関係なのでしょうか?

そして2番目、3番目の文節にはそれぞれKan YuanchunというCEO (最高経営責任者)、Xiangtian XianngziというCTO (最高技術責任者)という経営陣に関する情報が記されています。例えばCEOは早稲田大学法学部を卒業して有名な化粧品会社に就職したといった経歴が書かれているのです。そしてここで気が付いたのですがこの文章と極めてよく似た文章が「検証69」で検証したモチベーテドのサイトにあったことを思い出しました。以下はモチベーテドの検証でも使ったキャプの再掲ですが上のVTBITのCompany Profileの文章と極めてよく似ています。

例えばCEOについてはVTBITではKan Yuanchun、モチベーテドではSugawara Atsushiとなっていますが共に早稲田大学法学部を卒業して日本の有名な化粧品会社に就職したといった経歴は全く同じです。このCEOに関する文節を比較してみます。

▼VTBIT

Kan Yuanchun

President & CEO graduated from the law department of Waseda University and worked in a famous cosmetics company in Japan. He has successively held the posts of minister and President of foreign brand cosmetics companies. In September 2011, with its rich operation and market experience, it established a comprehensive enterprise of health and beauty, and completed a total sales of one billion yen in the first year. Subsequently, the business contacts extended to overseas, and China and Hongkong, Thailand, Korea, Malaysia, Vietnam, Singapore, UAE, China, Taiwan and Chinese mainland were established in succession, and the local corporate legal persons were set up to play the banner of "health and beauty globalization" through the maintenance products and health food business. Beau is gradually expanding around the world.

▼Motivated 

Sugawara Atsushi

President & CEO graduated from the law department of Waseda University and worked in famous Japanese cosmetics companies. He has successively held the posts of minister and President of foreign cosmetics companies In June, with its rich operation and market experience, it established a comprehensive enterprise of health and the United States, and completed a total sales of billion yen in the first year. After that, it extended its business tentacles overseas, successively established local corporate bodies with Hong Kong, Thailand, South Korea, Malaysia, Vietnam, Singapore, the United Arab Emirates, Taiwan and Mainland China, through the maintenance products Health food industry, playing the banner of "health and beauty globalization". Beau is gradually expanding the world.

2つの文章で互いに異なる部分を太字で強調しましたが特に前半についてはほぼ同じ。後半も書いてある内容自体は殆ど同じです。両方とも文法的な間違いとか単語の重複などがあって意味がよく分からない部分があるのも気になります。元々モチベーテドとVTBITは上で指摘した3つの特長を説明する部分など明らかに共通する部分があって同じグループによって運営されていることは分かっていましたがこれだけの類似があるのは酷すぎます。これではCEOとかCTOの人物の経歴は到底信用出来ません。

次に取引されている仮想通貨について触れておきます。以下のキャプの左端にVTBITで取引されている仮想通貨のリストがあります。取引されているのは7種類と多くはなく、ビットコイン (BTC)やリップル (XRP)といったメジャーな仮想通貨が含まれていますが気になるのは右側に日足チャートを示したVTという仮想通貨です。

仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで調べるとビットコインとリップルに加え、Huobi Token (HT)OMG Network (OMG)0x (ZRX)Bytom (BTM)の4つはそれぞれ情報が見つかりますがVTについては情報がありません。VTという名称からしてもVTBIT独自の仮想通貨の可能性が高いと思われます。日足チャートを見ると取引開始以来相場は一進一退ですが出来高は増加傾向にあり、1日当たり5000万枚前後の出来高、1枚が3ドル前後なので1億5000万ドルあるいはそれ以上の取引があることになっています。探しても情報が全く見つからない仮想通貨について本当にこれだけの取引があるかどうか疑問を感じます。

総合的に判断してVTBITも中国系の詐欺グループによって立ち上げられた詐欺サイトの疑いが濃厚と判断します。勧誘されても取引は推奨出来ません。


●CoolCoin (クールコイン www.coolcoin.pro/#/)

●InformationChain (インフォメーションチェーン www.inftoken.pro/)

これもYahoo知恵袋への質問投稿で知ったサイトです。投稿の前半部のキャプを以下に示しますが理由は不明ですが投稿は短時間で削除されてしまっています。

Tinderで知り合った香港女性から勧誘を受けたという経緯は「検証63」以降で検証している中国系の詐欺サイトの勧誘方法として典型的なものです。そして勧誘を受けた結果としてInformationChain (インフォメーションチェーン、INF)という仮想通貨をその仮想通貨を扱っているクールコインという取引所で購入してしまったようです。まずクールコインのサイトから検証します。以下がサイトの冒頭部のキャプです。

表示言語の選択肢は右上のプルダウンメニューに国旗のアイコンが並んでいるのが見えますが中国語、英語、日本語、韓国語となっています。

いきなりサイト冒頭に知恵袋の投稿に登場していた「INF」という仮想通貨の名称がこの冒頭にイラストと共に出ていますし、メニューバーにも「INFを利用する」という項目があってこのサイトがINFを販売することを主目的としているような印象を受けます。但しメニューバーから「INFを利用する」という項目をクリックしても一瞬INFの説明ページらしきものが表示されるものの直ぐにログインを要求する画面に切り替わってしまいキャプを撮ることも困難です。辛うじて表題2つ目のINFのサイトのURLアドレス (www.inftoken.pro/) が記されているのは確認しました。仮にINFという仮想通貨を売りたい、広めたいと考えるのならば基本的な情報さえログインしないと見られない設定になっているというのは明らかにおかしいでしょう。非常に違和感があります。

次に連絡先情報を探しましたが辛うじてサイトの脚注部分に以下の様な記述があるのを見つけただけです。

>© 2019-2020 CoolCoin.pro Email:Cool_Coin@yeah.net 

Cool_Coin@yeah.net 」が連絡先情報として唯一公開されているメールアドレスと思われますが、「@yeah.net」というドメイン名のメールアドレスは「検証70」で検証したICEという仮想通貨取引所の検証でも出てきた中国のネット関連企業である網易という会社が提供しているフリーメールアドレスです。フリーメールのアドレスが唯一の連絡先情報という仮想通貨取引所の信頼度は極めて低いと考えざるを得ません。

次に取引されている仮想通貨ですが、右のキャプに取引されている仮想通貨のリストを示しました。ビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)、イオス (EOS)、リップル (XRP)、ライトコイン (LTC)などメジャーな仮想通貨が並んでいる中に問題のINFという仮想通貨が出てきます。このINFという仮想通貨の日足チャートを以下のキャプに示しますが2020年6月29日に初値0.061857ドルで上場されてからほぼ一方的な右肩上がりで1日の初値より終値が高い陽線 (緑のローソク足) ばかりが続き、このキャプを取得した時点では0.91ドルほどで取引されています。2ヶ月弱でドル建ての価値が14~15倍になったことになります。

しかし上場から2ヶ月弱の間に赤色のローソク足で示される陰線 (1日の初値の方が終値よりも安い) がたったの7回しか出現しておらず陽線ばかり続いていること、上ヒゲ、下ヒゲもかなり少ないこと、直近14時間の出来高が53万枚ほどもあることなど少なからず違和感を感じます。アクセス状況を解析出来るサイトでクールコインのサイトを調べると検出限界以下のアクセスしかないという結果になります (以下のキャプ参照)。これほどの出来高が毎日安定してあるというのは殆ど有り得ないと思います。

次にInformationChain (INF) のサイトについて検証します。以下がサイト冒頭のキャプで表示言語は英語と中国語の二択です。下のキャプのメニューバーの右端に「WHITE PAPER」と書いてあるのが見えますがホワイトペーパー (英語版のみ) がPDFファイルとしてダウンロード出来るようになっています。

まず連絡先情報を探しましたが全く見つかりません。ホワイトペーパーにも記述は見つかりません。ホワイトペーパーは44ページあってとても全てを隅から隅まで読む気にはなりませんが、プロジェクト自体は上のサイト冒頭部のキャプにも見えるように5G携帯の時代に適合した仮想通貨という主張の様です。但し5G携帯との組み合わせで利便性を提供出来る仮想通貨の利便性が何処にあるのか理解出来ません。さらに5G携帯と仮想通貨という組み合わせは「検証64」で検証したFS Chain (FSチェーン)という仮想通貨でも出てきた組み合わせですし、以下で検証しているSignalize Generation Token (シグナライズ ジェネレーション トークン)という仮想通貨も5Gと仮想通貨のプロジェクトということになっています。これらはいずれも似たような手口で勧誘されていることを考えると同じグループが似たような案件を名前を変えて量産しているのではないかと疑いたくなります。

そしてFSチェーンの検証でFSチェーンのホワイトペーパーが別の仮想通貨のホワイトペーパーを焼き直して作られているのではないかという疑惑を指摘しましたが、インフォメーションチェーンのホワイトペーパーでも同様の疑惑を感じる部分を見つけました。以下はホワイトペーパー31ページにあるインフォメーションチェーン用のウォレットに関する説明図です。

まず全編英語で書かれているホワイトペーパーなのにこの図には突然中国語が出てきていています。中国語の部分は意味が分からないのですが、何故か「GMC Token」というインフォメーションチェーンとは別個と思われる仮想通貨がインフォメーションチェーンがあるべきと思われる位置に突然出現しています。このウォレットではビットコインとかイーサリアムといったメジャーな仮想通貨と一緒にGMCを管理・保管出来るといった説明ではないかと思われるのですが全く意味が分かりません。「GMCトークン」に関する説明が一切見当たらないのです。そこでこのホワイトペーパーはGMCトークンという別の仮想通貨のホワイトペーパーを焼き直して作られているのではないかという疑いを持たざるを得ません。

さらにこのホワイトペーパーにはインフォメーションチェーンの発行条件に関するような情報が非常に乏しいのが気になります。以下はホワイトペーパー30ページ目からのキャプです、

総発行枚数が36億枚でその内の15%である10億8000万枚をパブリックセールで売り出すということは分かるのですが、これ以外に発行条件に関する情報が全く見つかりません。既にインフォメーションチェーンは上で検証したクールコインという取引所でチャートが動いているのですから既に売り出しは開始されているあるいは既に完了しているはずだと思われますが、発行枚数が分かるだけで売り出しの期日とか売り出し価格といった明らかに必須な情報が何処にも見当たりません。どういうことなのか全く理解不能です。これはホワイトペーパーの体をなしていないと言ってもよいかと思います。

尚、この案件と似た部分がある「検証64」で検証したFS Chain (FSチェーン)と以下で検証しているSignalize Generation Token (シグナライズ ジェネレーション トークン)という2つの仮想通貨はイーサリアムのシステムを使ったERC20と呼ばれる仮想通貨という情報があるので組織的な繋がりの可能性さえあるインフォメーションチェーンもイーサリアムのシステムを使っているのではないかと考えてイーサリアムのシステムを使っている仮想通貨のデーターベースであるEtherscanというサイト (etherscan.io/) でインフォメーションチェーンの情報を探してみましたが見つかりません。

さらにホワイトペーパーや公式サイトにある運営陣に関する情報にも疑問があります。例えば以下はホワイトペーパー41ページ目にあるCEO (最高経営責任者) の紹介です。

CEOの名前はPaul WALTHERとなっていますが、出身国、学歴、職歴、年齢といった情報は一切ありませんし、本人の写真もありません。経営陣としてはこのCEO以外にも

Carl Revilliod (Marketing director)

Kalle Olumets (CFO)

Howard Sands (CTO)

Julien Claret (Senior Technical Engineer) 

という4名の名前と役職が出てくるのですがいずれの紹介文を読んでもやはり出身国、学歴、職歴、年齢といった情報も画像もないのは同じです。この案件は中国系の組織による可能性が高いと思われるのに中国系と思われる名前は1つとしてありませんし、これらの人物が実在の人物か確認に結び付くような情報が一切ないというのはやはり異様です。

そしてクールコイン、インフォメーションチェーンのサイトのWho Is情報には本当の運営者に結び付くかもしれない情報があることに気が付きました。以下、順にクールコイン、インフォメーションチェーンのサイトのWho Is情報のキャプです。青色の枠で囲った部分にそれぞれのサイトのドメイン名があります。

それぞれのキャプの黄色の枠で囲った部分にはサイトの登録日が記されています。クールコインは2020年5月31日、インフォメーションチェーンについては2020年6月10日とほぼ同時期に登録、開設されていることが分かります。そして運営者に結び付くかもしれない情報は赤枠で囲った部分にあります。

>Registrant Organization: 李宝双

>Registrant State/Province: 吉林

>Registrant Country: CN

いずれのサイトでも登録者は中国吉林省の李宝双という個人名になっています。これが実在の人物なのかどうかは確認しようもありませんがこれら2つのサイトは勧誘の手口などからやはり中国系の詐欺グループによるものである可能性が高く、サイトに記されているPaul WALTHERといった中国人とは思えない名前よりも実際の運営者の名前である可能性は高いように思います。

結論としてクールコインという仮想通貨取引所とインフォメーションチェーンという仮想通貨は全く信用出来ません。投資勧誘されても決して応じないことを強く推奨します。


●Signalize Generation Token (シグナライズ ジェネレーション トークン www.5ignalize.com/)

新しい仮想通貨の売り出しサイトです。これもYahoo知恵袋に出てきた以下の質問で知ることになったサイトです。

Omiaiというマッチングアプリ (fb.omiai-jp.com/ ) で知り合った女性に勧誘されたようで手口としては「検証63」以降で検証している一連のサイトと似ていますが、「なつみ」と名乗っていたようですから中国系のグループではないのかもしれません。勿論、中国系のグループが日本人の名前を使っていただけどいう可能性もあります。その他、検証の中で重要な情報として購入したSignalize Generation (SIG) という仮想通貨をHB Walletというウォレットで管理しているとあります。この点については後述します。

ともかくこの投稿に記されていたリンクからサイトを訪問してみました。以下はサイト冒頭のキャプです。表示対応言語は英語のみです。

この冒頭部では以下の文章が目につきます。

>SIG is a company that develops AR software for 5G.

SIGという会社は5G (第5世代移動通信システム) 向けのARソフトウエアを開発しているというのですがARソフトウエアの意味が分からなかったので検索してみるとARというのはAugmented Reality (拡張現実) の意味らしいことが分かりました。一応ホワイトペーパーが用意されているのですがその大半が5Gとかブロックチェーンの説明に費やされていてざっと眺めてみただけでは仮想通貨が何の役に立つのかよく分かりません。またこの案件を有望だと主張する勧誘目的と思われるYJゲーム開発ブログという日本語ブログ (以下のキャプ参照) が存在するのですが、5Gとか拡張現実が有望な分野であるという主張が繰り返されているだけで仮想通貨の発行目的とか集めた資金で何をするのかといった説明はありません。

この仮想通貨を売って得た資金で何をするのでしょうか?投資した人にはどんなリターンがあるのでしょうか?何の説明も無いのは明らかに異様だし不適切です。

さらに気になったのは公式サイトにもホワイトペーパーにも連絡先情報らしきものが全く見当たらないことです。せいぜい以下に示したホワイトペーパーの40ページ目にある仮想通貨の発行条件のまとめの中に

>Project base : Shenzhen, China (深圳、中国)

と書いてあるのに気が付いたくらいです。情報開示として明らかに不適切でしょう。

さらにこの発行条件まとめには重要な情報が欠けています。すなわち発行枚数に関する情報が全くありません。情報としてあるのは1枚当たりの売り出し価格が0.01ドル (約1円) で今回の売り出しで調達する金額の上限が100万ドル (約1億円) であるということだけです。これから計算すると初回の売り出し枚数は1億枚ということになるはずですが総発行枚数は不明です。

こんな基本的な情報が欠けているのは極めて不適切です。しかし最初に引用した知恵袋の質問に購入した仮想通貨をHB Walletというウォレットに保管しているという記述があったので調べてみるとHB Walletはイーサリアムベースの仮想通貨専用のウォレットであることが分かりました。さらに上の発行条件の中にも

>Standard : ERC20

という記述があってイーサリアムベースの仮想通貨であることが分かります。そこで本サイトではしばしば登場しますがイーサリアムベースの仮想通貨に関する情報を見ることが出来るEtherscan (https://etherscan.io/) というサイトでSignalize Generation Tokenの情報を探してみました。すると何故か分かりませんが2つのSignalize Generation Tokenが見つかってきました。まず1つ目のSignalize Generation Tokenの情報を以下に示します。

これは総発行枚数 (Total Supply) がゼロ、保有しているアドレスもゼロです。登録があるだけで何の意味もありません。これが本項で検証対象にしているSignalize Generation Tokenとは思えません。そこでもう1つのSignalize Generation Tokenの情報を確認しました。

他方のSignalize Generation Tokenが発行枚数ゼロなのですからこちらが本項で検証対象としているSignalize Generation Tokenとしか思えないのですが、このサイトにおける他のイーサリアムベースの仮想通貨の情報では記載のある公式サイトの情報などは記載がありません。「Social Profiles」という項目には他のイーサリアムベースの仮想通貨の情報を見るとメールアドレスやSNSのアカウントが記されているのですがこちらも記載なしです。

そして問題の総発行枚数の項目を見るとこちらは異様に多くて桁数を数えるのも大変ですが何と1000兆枚となっています。仮に初回の売り出し価格、0.01ドル (約1円) で全部を売却すれば総額10兆ドル (約1000兆円) という日本の国家予算より1桁多いというべらぼうな金額になります。そしてこのキャプを取得した時点ではこの仮想通貨を保有しているホルダーのアカウントが155あることになっています。以下が保有枚数の多いホルダーの状況です。

最も多くの枚数を保有している運営と思われるホルダーは1000兆枚の内、999兆9996億7987万9761枚を保有しており、残りの3億2000万枚ほどを残りの154のホルダーが分け合っていることになっています。上で指摘したホワイトペーパーに書いてあった情報から計算した初回の売り出しでの売り増し枚数は1億枚でしたからどういう経緯で3億2000万枚が分散保有されることになったのか分かりませんが、とにかく総発行枚数の多さは明らかに異様です。1000兆枚の仮想通貨が1枚当たり約1円で時価総額が1000兆円になるといった事態はおよそ有り得ないでしょう。

結論としてろくに情報公開もしていないこの仮想通貨の運営が真剣にこの仮想通貨を成功させようとしているとは到底思えません。5Gとか拡張現実が有望な分野であるとしても何の実績も示されていない運営が総額1000兆円といった資金を集める合理性は全くないでしょう。ちなみに「検証64」で検証したFS Chain (FSチェーン)と上で検証したInformationChain (インフォメーションチェーン) という仮想通貨は共に5G携帯と仮想通貨の連動を標榜した仮想通貨でコンセプトは極めて似ているように思いますがやはり5G携帯と仮想通貨の組み合わせ何が生み出されるのか納得出来る説明がないという点でも本案件と似ているように思います。それぞれの公式サイトやホワイトペーパーに似た点はあまり感じられませんが同じグループによる案件であってもおかしくないかもしれません。

この案件が「検証63」以降で検証してきた中国系の詐欺グループによるものであるかどうかはよく分からない部分がありますが絶対に投資は避けるべきと結論します。

※付記

時期は不明ですがシグナライズ ジェネレーション トークンのサイトは閉鎖されたようです。代わりに次項で検証するシンギュラリティトークンという明らかに同じグループによると思われるサイトが立ち上がっているようです。併読してください。


●Singularity Token (シンギュラリティトークン www.singularityx.org/)

これは上で検証したシグナライズ ジェネレーション トークンと明らかに関連があります。このサイトもシグナライズ ジェネレーション トークンと同様にYahoo知恵袋に出てきた質問 (以下のキャプ参照)で知ることになりました。

検索してみるとハッピーメール (happymail.co.jp/) というのもいわゆる出会い系のサイトのようですが一連の検証でしばしば勧誘の場となっていることが判明しているTinderのような世界展開のサイトではなく、日本の企業による日本国内を対象とするサイトで明らかに日本人を標的に勧誘が行われていることになります。とにかく投資勧誘されたというサイトにアクセスしてみると上で検証したシグナライズ ジェネレーション トークンのサイトと酷似したサイトであることが分かりました。以下で2つのサイト冒頭のキャプを比較します。順にシグナライズ ジェネレーション トークンのサイト冒頭部のキャプ (再掲)、本項の検証対象であるシンギュラリティトークンのサイト冒頭部のキャプです。

これはもう似ているなどというものではありません。「Signalize Generation Token!」と書かれている部分が「Singularity Token!」に置き換えられているだけでSIGという略称も同じ、S字形のロゴさえ使い回しです。さらにシンギュラリティトークンのサイトを見ていくと以下のキャプに示したように「Signalize Generation Token」を「Singularity Token」に置き換えるのを忘れたとみられる部分があるのに気が付きました。

上のキャプでメニューバーにあるロゴには「Singularity Token」と書いてあるのにその直下にあるロゴには「Signalize Generation Token」と書いてあります。既に閉鎖されたシグナライズ ジェネレーション トークンのサイトに少々の修正を加えてシンギュラリティトークンのサイトに転換したのは確実です。

互いに酷似しているのは公式サイトだけではありません。シンギュラリティトークンのサイトにもシグナライズ ジェネレーション トークンのサイトと同様にPDFファイルの形でホワイトペーパーが用意されているのですが、2つのホワイトペーパーはほぼ同一です。例えば2つのホワイトペーパーの40ページにある発行条件を以下で比較してみます。左下がシグナライズ ジェネレーション トークンの発行条件、右下が本項で検証対象としているシンギュラリティトークンの発行条件です。

発行条件に書かれている項目で異なるのは仮想通貨の名称とホームページのURLアドレスだけで他は全て同じになっています。発行価格は1枚=0.01ドル=約1円のようです。プロジェクトの本拠地が中国の深圳となっていますがそれ以上の所在地情報は見当たりません。そしてシンギュラリティトークンについてもイーサリアムのシステムを使ったERC20の仮想通貨であると書かれています。となれば上のシグナライズ ジェネレーション トークンの検証で引用しましたがイーサリアムベースの仮想通貨に関する情報を見ることが出来るEtherscan (https://etherscan.io/) というサイトでシンギュラリティトークンに関する様々な情報を知ることが出来るはずということになります。そこで早速Etherscanで「Singularity Token」の情報を探してみましたが全く出てきません。一体どういうことなのか全く分かりません。

改めて言うまでもないと思いますがシンギュラリティトークンへの投資は絶対に推奨出来ません。特に明らかに同じグループによると思われるシグナライズ ジェネレーション トークンのサイトが何の案内もなく閉鎖されてしまった状況を考えればシンギュラリティトークンのサイトもいずれお金を集めるだけ集めて同じことになる非常に可能性が高いです。投資勧誘があっても決して応じないことを強く推奨します。