検証15

このページではD Coin (Dコイン)あるいはDコインが名称変更したDragon Coin (ドラゴンコイン)、Digital Gold Coin (デジタルゴールドコイン DGC)、Yes! Gold Coin (イエス! ゴールドコイン YGC)という3種の仮想通貨に関する以下の3つのサイトを検証しています。

●株式会社DCジャパン [Dragon Coin、ドラゴンコインあるいは旧名称 D Coin、Dコイン] (旧名称 株式会社Dコインジャパン d-coin.co.jp)

●Digital Gold Marketing [Digital Gold Coin (デジタルゴールドコイン DGC) / Yes! Gold Coin (イエス! ゴールドコイン YGC)] (デジタルゴールドマーケティング www.digitalgold-marketing.com)

●Japan Virtual Currency Reseach Institute (一般社団法人 日本仮想通貨総合研究所 www.jvcr.institute)


それでは検証を始めます。

●株式会社DCジャパン [Dragon Coin、ドラゴンコインあるいは旧名称 D Coin、Dコイン] (旧名称 株式会社Dコインジャパン d-coin.co.jp)

仮想通貨の名称は当初D Coinだったのが2017年の途中でDragon Coin (ドラゴンコイン)という名称に変更されたようです。社名についても「株式会社Dコインジャパン」から「株式会社DCジャパン」に変更されています。仮想通貨及び社名の名称変更についてはこの項目の末尾の「付記」で説明しますので以下はとりあえずDコインという旧名称で説明が始まります。

まずこのサイトには以下の様な記述があります。

>「Dコイン」とは2017年10月公開予定の新しい暗号通貨

>「Dコイン」は通貨のようにECサイトで利用することができる

ここで「ECサイト」のECはエレクトロニックコマース=電子商取引の意味と思われ、要するにネットショッピングに使えるということと思われます。さらに以下の様な記載が続きます。

>「Dコイン」の価値はそれを支払いとして承諾する人々の存在によって生まれます。よって、「Dコイン」で決済ができるECサイトが増えれば増えるほど、その価値は高くなっていくのです。万が一、「Dコイン」を日本円に換金できなくなるような事態が起きたとしても、「Dコイン」での決済を承諾するECサイトがあれば、通貨を使うように「Dコイン」を使い続けることができます。

>実店舗・ECサイトで使用できる

>「Dコイン」は実店舗、ECサイトでも使用することができます。

この仮想通貨を判断するには本当に多くの店舗やショッピングサイトで使用される予定があるのかが問題になりそうです。残念ながらこのサイトには実際に使用出来るサイトや店舗の情報は全く見つかりません。一方でFAQには以下の様な一項があります。

D Coin 上場予定.PNG

要するに2017年10月まで仮想通貨として使うことは出来ないようです。この上場期日近くにならないと仮想通貨として使えるサイトや店舗も明らかにされないということでしょうか?一方で既にコインの売り出しは始まっているようで本日の購入レートなるものが表示されています。但し過去のレートの変動、コインの販売が何時から幾らで始まってどういう変動をしてきたのかに関する情報は見当たりません。

D Coin 交換レート.PNG

さらに単に販売が始まっているだけでなく誰かを勧誘してDコインを買わせることに成功すれば1%の報酬が出る様です。

D Coin 販売報償金.PNG

さらにDコインに「高い信頼性」がある根拠として

>「Dコイン」は顧問弁護士を設け、仮想通貨事業で実績がある企業と連携しています。

と主張していますが、顧問弁護士が誰なのか、「仮想通貨事業で実績がある」連携先が何処なのかについても情報がありません。さらに経営者が誰なのかさえ見つかりません。情報がとにかく不足していてどれほど信じてよいのか分からない記述ばかり多い印象を持ちます。

さらにこの会社の連絡先情報は以下の様になっています。

D Coin 連絡先情報.PNG

>株式会社Dコインジャパン:

>東京都港区芝3-12-1 ICHIGO芝公園ビル3F

>Phone 03-6453-9334

>Fax 03-5444-8445

>Email info@d-coin.co.jp

この住所を検索してみると全く同じ住所に「株式会社ワンワールド (www.oneworld-japan.com)」という別の会社があることが分かりました。以下のキャプに示すワンワールドの会社概要を見ると住所だけでなくFAX番号も全く同じなので同じグループの会社と考えざるを得ません。そしてこちらにはDコインジャパンのサイトにはなかった代表取締役の名前があります。但し下に示すキャプでは分かりませんが代表取締役の乾某という名前の部分はテキストデーターではなく、画像データーになっています。この名前で検索されたくないという意図を感じます。

D Coin 同じ住所会社情報.PNG

そしてこのワンワールドという会社はTouch Mall (タッチ・モール touch-mall.com)という会員制のネットショッピングモールを運営しているようです。こちらのサイトの会社情報にも「Dコインジャパン」および「株式会社ワンワールド」のと同じ港区芝の住所、同じFAX番号が書かれています。

D Coin Touch Mall.PNG

Touch Mallには3段階の会員ランクがあり、会費無料の無料会員では最もお買い得という「原価スーパー」「ecomo」での買い物が出来ないから有料会員になりましょうというシステムのようです。

D Coin Touch Mall 会員ランク.PNG

さらにワンワールドの代表取締役の名前が画像データーになっていたので乾某という名前でも敢えて検索してみるとさらに「株式会社Sakuraiz」という関連企業らしきサイトが見つかってきました。こちらの会社所在地は大阪で電話番号やFAX番号も全く異なります。

D Coin Sakuraiz会社情報.PNG

こちらの会社もSakura Mallという会員制のネットショッピングモールを経営しているようです。

D Coin Sakura Mall 冒頭.PNG

何故同じグループ内に2つの会員制ネットショッピングモールがあるのかは分かりませんがDコインが使用出来るショッピングサイトというのはこれらの2つのサイトを指している可能性が高いと思わざるを得ません。何故Dコインジャパンのサイトでこれらの同じグループが経営していると思われるショッピングサイトの存在を隠しているのか不審を抱かずにはいられません。

そしてともかくこれらのサイトを少し見回してみましたがあまり購買意欲を感じさせるようなサイトとは思えません。特にSakura Mallについては商品構成も貧弱でアクセス数を解析出来るサイトで見るとTouch Mallでも1日当たりの閲覧者が1350人、Sakura Mallに至っては1日当たりの閲覧者がわずか25人です。

D Coin Sakura &touch Mall アクセス数.PNG

同じアクセス数解析サイトの評価でアマゾン(www.amazon.co.jp)や楽天市場(www.rakuten.co.jp)といったメジャーなショッピングサイトと平均閲覧者を比較すると以下の表の様になります。閲覧者数は桁違いなどというものではありません。Touch Mall、Sakura Mallは共にショッピングサイトとして繁盛しているとは言い難いです。

さらにこれらのショッピングサイトについて検索してみると必ずしも評判が良くありません。知恵袋でもマルチ的な方式で勧誘を行っている。原価で販売などと称しているが必ずしも安くない、安価な商品は数量限定で希望しても買えないことが多いなどのネガティブな評価が多いようです。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13156522023

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13153005173

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11156669821

本サイトの目的はショッピングサイトの評価ではありませんからこれ以上は掘り下げませんが、この項目の最初に引用した

>「Dコイン」は通貨のようにECサイトで利用することができる

という記述の「ECサイト」に該当するのがこれら同じグループによって運営されている2つのショッピングサイトのことなのだとすれば正直なところ、Dコインについて特に優位性、将来性、そして値上がりの可能性があるとは思えません。また仮にグループ企業内で通用する電子マネーの様な存在を考えるとするならば資金移動業者としての登録が必要でしょう。金融庁のサイトで公開されている「資金移動業者登録一覧」にDコインジャパンなどDコインに関連すると思われる会社は見当たりません。

結論として少なくともDコインが使用可能なショッピングサイトや店舗についてよほど広範な拡がりが確実にならない限り、投資対象にするのは危険と判断します。逆に最悪を考えれば以前に多くの被害者を出した株式会社エル・アンド・ジーと円天市場のような展開になることさえ考えられます。投資は推奨しません。

※付記 (2017年7月)

Dコインの販売目的と思われるSakura World Holdings Limited創立記念レセプションなる集まりの開催が多数のTwitterアカウントから宣伝されているようです。以下はその一部です。

まじまーにゃ‏ @majima_nya

>【 明日で参加予約は締め切りです!レセプションパーティーのご案内】

>・参加者全員になんと5000Dコインプレゼント

>・抽選で100万円分のDコインが当たる!?

>〜Dコインはこれから始まる仮想通貨です〜

さりのす@sarinosu

ぼらぼら@borabora6765

こじー@koji_5465

いろはに@irohani_ga

桑原正守‏ @masamorikuwahar

これらの「つぶやき」のリンク先(http://information.re-value.biz/)を見ると創立記念レセプションは複数の芸能人ゲストを招き、会費は1万円、抽選でDコインが配布されるとあります。

D Coin Sakura World Holdings 創立パーティー.PNG

>総額最大500万Dコイン(500万円相当)をプレゼント!大抽選会あり!

>・特典1:もれなく参加者全員に5000 Dコインプレゼント! (5000円相当)

>・特典2:さらに原価スーパーでおなじみのタッチモールのポイントももれなく参加者全員に1000ポイントプレゼント!(1000円相当)

上の検証に出てきたようにDコインを1枚当たり150円で売っていたはずなのに500万Dコインが500万円相当ということは1枚のDコインが当初価格の150分の1である1円に大暴落したということになるのでしょうか?何故150分の1に暴落したののかさっぱり分かりませんがDコインの相場には期待出来そうにないと思っておいた方が良いかと思います。

ちなみに芸能人を招いてのパーティー形式での勧誘はクローバーコイン(「検証6」を参照)やノアコイン(「検証13」を参照)などでも行われている勧誘の手法です。この件について投資は全く推奨出来ません。

※付記1

2017年7月に開かれたはずの創立記念レセプション案内の時点ではDコインだった名称が2017年12月になって確認してみるとDragon Coin (ドラゴンコイン)に変更されているようです。公式サイトの「Dragonコインとは」という項目に小さな字で

>「Dコイン」から正式名称の「Dragonコイン(Dragon-Coin)」に表記を変更しております。

と書かれています。これに伴って連絡先情報に書かれていた社名も「株式会社Dコインジャパン」から「株式会社DCジャパン」に変更されたようです。また以前は明記されていた電話番号やFAX番号、メールアドレスが消滅して住所だけに改悪になりました。住所は以前のままです。

以前の連絡先情報

2017年12月に確認された新しい連絡先情報

Dragonコインを「(仮想通貨として)使用できる場所」として以下のような記載が登場しました。2017年12月の現時点で使用出来るのはTouch Mall (タッチ・モール touch-mall.com)だけのようです。また1枚150円で販売されていたコインが1枚=1円で使われているようです。デノミネーション(通貨単位の変更)があって1枚が150枚に分割されたということでしょうか?

>現在:株式会社ワンワールド社が運営する「タッチモール」(2017年11月現在)※1DCJ=¥1相当での取引となります。上場後は相場に連動した金額での決済となります。

>今後の予定:決済システムと連動して多数の店舗およびWebサイトで利用を可能とする予定です。※今後、取引可能な店舗やオンラインショップを順次拡大します。

サイトの冒頭には

>Dragon-Coinは実際の商取引に使用できる暗号通貨です。

と書かれていますが現時点では相場が1枚=1円で固定されているようですから仮想通貨(暗号通貨)というよりも先払い型の電子マネーに近い扱いのようです。しかしこれが先払い型の電子マネーだとすれば金融庁のサイトで公表されている資金移動業者のリストに「株式会社DCジャパン」は見当たらないので違法な無登録業者という扱いになる可能性が高いです。

結論として合法性に疑問がある上に仮想通貨としての使い道が限定されており発展性にも疑問があるこのコインの購入は推奨出来ません。

※付記2

ワンワールド社およびタッチモールはAXE Coin (エクゼコイン)という別の仮想通貨に関係しているようです。詳細は「検証38」のエクゼコインの項目を参照してください。またこの件に関係してタッチモールのサイトを確認しましたが、「お支払いについて」という項目で認められている支払い手段は銀行振り込み、クレジットカード、ビットコインだけでドラゴンコイン(旧名称Dコイン)はタッチモールで決済手段として使える様子がありません。

●Digital Gold Marketing [Digital Gold Coin (デジタルゴールドコイン DGC) / Yes! Gold Coin (イエス! ゴールドコイン YGC)] (デジタルゴールドマーケティング www.digitalgold-marketing.com)

●Japan Virtual Currency Reseach Institute (一般社団法人 日本仮想通貨総合研究所 www.jvcr.institute)

SNS上に仮想通貨への投資を勧誘されたという書き込みがあったので検証することにしました。Digital Gold Coin (デジタルゴールドコイン DGC)とYes! Gold Coin (イエス! ゴールドコイン YGC)という名称の2種類の仮想通貨をSNSやセミナーで勧誘して販売しているようです。前者が仮想通貨の発行元、後者が日本での販売を委託されているということになっていますが、結論としては実際には前者に実体が存在するかどうか疑わしく、単に責任を擦り付ける為の架空の存在である可能性が濃厚と思われます。まず前者のサイトにある連絡先情報から検証を始めます。

Digital Gold Marketing 会社概要.PNG

>DIGITAL GOLD MARKETING CO.,LTD

>Established:1st April, 2016

>Representative:Hiroaki Shibata

>Capital:HKD 10,000

>Head Office:Level 19, Two International Finance Centre, 8 Finance Street, Central, HongKong, China

>Phone&Fax:+852-2251-8866(Phone) +852-2251-8822(Fax)

住所は香港になっていますがこの住所を検索するとバーチャルオフィス業者、Servecorpの拠点の住所と完全に一致します。明らかに架空住所です。また代表者(Representative)の名前は「Hiroaki Shibata」となっていて日本人らしき名前ですし、そもそもデジタル・ゴールド・マーケティングのサイトは香港の会社のはずなのに基本的に日本語だけで書かれています。香港に会社の事業実体があるとは到底思えません。ちなみにこのバーチャルオフィスの住所にはオンラインゴールドショップと称するYes! Gold Online (イエスゴールドオンライン www.yesgoldonline.com/jp/index.html)という関連会社も存在していることになっていますがこれも架空住所を使う危ない業者と考えられます。このサイトは仮想通貨に関しての検証を目的としていますからこの会社についてはこれ以上ここでは掘り下げませんが「Yes! Gold Online」の名前で金の現物投資などを募っている可能性があると思われますので注意が必要です。

一方で表題の2つ目のサイトである日本仮想通貨総合研究所の研究所概要は以下の様になっています。

>法人名称 一般社団法人 日本仮想通貨総合研究所

>所在地 〒110-0015 東京都台東区東上野 1-13-2 成田第2ビル7階

>役員

>代表理事:米澤 遼

>理事:戸島 邦俊

>理事:黒川 忠司

>監事:田中 克明

>目的 当法人は、仮想通貨に関して、正しい有益な情報を広く一般に提供するため海外を含めた情報を研究・調査把握し、良好な社会の活性化に貢献することを目的とし、その目的に資するため次の事業を行う。

(中略)

>設立年月日 2016年9月15日

>電話番号 03-5816-2867

>FAX番号 03-5816-2850

>URL http://www.jvcr.institute/

>Eメール info@jvcr.institute

「研究所」を名乗っていますが何を研究しているのかその研究成果はどんなものなのか分かりません。住所は台東区東上野、山手線の御徒町駅近くですが、このサイトにある「セミナースケジュール」の項目を見るとこの研究所の所在地は頻繁に勧誘用のセミナー会場として使われているようです。2017年2月の1ヵ月で18回、3月の1ヵ月で30回のセミナーがこの会社の住所となっている場所で開催されているのです。

日本仮想通貨総合研究所セミナー一例.PNG

不動産屋のサイトでこの成田第2ビルの情報を見ると典型的な雑居ビルですが「研究所」の研究業務スペースに加えてセミナー会場のスペースを確保出来るのか疑問を感じます。「研究所」の実体が本当にこの場所にあるのか疑いを抱かざるを得ません。

さらにこの御徒町の住所には上で取り上げたYes! Gold Online (イエスゴールドオンライン www.yesgoldonline.com/jp/index.html)というオンラインで金を売るという会社と関連する日本鉱物資源開発支援機構 (Japan Support Association of Mineral Resources Development、J SAM (ジェイサム))という謎の組織、さらに長野県に金鉱山を持つという地蔵鉱山株式会社東京営業所の所在地でもあるようです。

Digital Coin Market 日本鉱物資源開発支援機構.PNG
Digital Coin Market 地蔵鉱山会社情報.PNG

日本仮想通貨総合研究所と日本鉱物資源開発支援機構の役員名簿を見ると田中克明という名前が両方に登場しているし、日本仮想通貨総合研究所、日本鉱物資源開発支援機構、地蔵鉱山東京営業所のFAX番号(03-5816-2850)は同一であることなどから互いに関連があるのは確かですが21坪(約69平米)しかない部屋に3つの組織があって投資勧誘のセミナー会場としても頻繁に使われているというのはかなり想像しにくい状況です。この住所には一体何があるのでしょうか?

さらに地蔵鉱山東京営業所と全く同じ電話番号、FAX番号を使っているのに住所が異なるジェイエナジーというマグネシウム電池の会社があるのを発見しました。住所は台東区東上野で最寄駅は山手線の上野駅です。日本仮想通貨総合研究所などの住所は同じ山手線の御徒町駅近くでGoogle Mapによれば2つの住所は550メートル、徒歩6分の距離にあるようです。

Digital Coin Market ジェイエナジー会社情報.PNG

たった550メートルの距離とは言え、同じ固定電話の番号、FAX番号が2つの住所で使われているというのはやはり異常です。一体この電話はどちらの住所にあるのでしょうか?とにかく所在地情報を調べただけで既に疑問点が多数です。

またキャプに示したように日本仮想通貨総合研究所のセミナーの「内容」が「アフィリエイター募集説明会」となっている点にも強い違和感を感じます。仮想通貨で重要なのは利便性でしょう。どれほどの店舗やネットで支払い手段に使えるのかが実用性、投資での利益のいずれを求めるにしても最も重要なのは一連の検証で繰り返し指摘してきたことです。実際に支払い手段として多くの人が利用するようにならなければ需要は発生せず、仮想通貨の市場価値が上昇することなど有り得ないはずだからです。しかしこの点に関する説明、情報は表題の2つのサイトのいずれにもありません。さらにセミナーの「内容」が「アフィリエイター募集」という状況ではこれまでこのサイトで検証対象にしてきた他の仮想通貨と同じく、最初から支払い手段として普及させる気など皆無の仮想通貨を合法性に疑義があるネズミ講方式で売るだけの投資詐欺である可能性が高いのではないかと疑わざるを得ません。

さらに「日本仮想通貨総合研究所」のサイトにある「販売取次事業」の項目を見ると以下のキャプに見える3種類の仮想通貨を販売しているようです。

日本仮想通貨総合研究所販売事業.PNG

この3種類の仮想通貨の内、最後に出てくるOcean Coin (オーシャンコイン)は既に「検証3」で検証したものです。キャプの中に「詳しくはこちら」というリンクが見えますがリンク先はまさに以前のオーシャンコインの検証で検証したサイト (ocean-coin.com/jp)です。ちなみに以前の検証を行った時にはオーシャンコインは2017年1月に市場取引開始となっていたはずですが、現時点(2017年3月)になってこのオーシャンコインのサイトにアクセスしてみるとOcean Zero (オーシャンゼロ ocean-zero.com)というサイトにリダイレクトされており、このリダイレクト先を見ても現時点でオーシャンコインが市場取引されているあるいは支払い手段として使われているような様子は見受けられませんし、その理由についての情報もありません。以前の検証でも詐欺の疑いが濃厚という結論を出した上に約束されていた市場公開時期も守られていないオーシャンコインを扱っているだけでもこの「日本仮想通貨総合研究所」の信用度は非常に低いと判断するしかありません。

そしてこの研究所が販売している残りの2つが今回の検証対象の仮想通貨ですがまず2つの仮想通貨(オーシャンコインを含めれば3つ)を併売する理由が分かりません。仮想通貨としての利便性を考えれば1つの仮想通貨が何処に行っても通用する方が望ましいことは明らかであり、同時に複数の仮想通貨を通用させようとすれば結果としていずれも流通することなく、共倒れに終わる可能性が高くなるはずです。またこの項目での検証対象の仮想通貨に関してビットコインのような既に支払い手段として使われている仮想通貨と比較して何処に特長があるのか説明がありません。さらにデジタルゴールドコインとイエス! ゴールドコインの違いもよく分かりません。以下のキャプに示すように最小販売価額が500ドルと1000ドルで異なるとかデジタルゴールドコインの価値が金で担保されているといった記述はありますが仮想通貨としての機能とか利便性に関する情報が全く見当たらないのです。

Digital Coin Market 2つの通貨&販売元.PNG
Digital Coin Market DGC vs YGC.PNG

加えて仮想通貨の発行上限枚数などに関する情報もありません。一方で「保有運用益が年率7%」といった記述があるようですが、この運用益とは何処でどういった運用をして生まれるものなのでしょうか?2017年12月にならないと市場も開かない仮想通貨なのに運用益が得られる仕組みについて想像することさえ出来ません。

そして日本仮想通貨総合研究所のサイトには2つの仮想通貨を購入するに際してAsianPay (アジアンペイ asianpay.net)というサイトのウォレットを使うように指示があり、下のキャプに示すようにアジアンペイのサイトへのリンクも用意されています。

Digital Coin Market 仮想通貨研究所アジアンペイ.PNG

このアジアンペイというサイトは「検証3」でのXRCコイン(XRC Regulus coin)の検証でウォレットとして指定されていたサイトですがバーチャルオフィスを利用した架空住所を使っていることなどから到底信用出来ません。さらにアジアンペイはやはり詐欺の疑いが濃いMGK GLOBAL (MGKグローバル mgk-global.com)というFX業者 [姉妹サイトでの検証を参照]および既に閉鎖されたMonte Carlo Binary (モンテカルロバイナリー www.mc-binary.com)というバイナリーオプション業者への入金先としても指定されていました。海外への送金に関与していることになっているのに銀行とか資金移動業者の登録は得ていないようなので違法な地下銀行の疑いがあります。このアジアンペイについても姉妹サイトに検証を書きなおしたので参考にしてください。

そしてこういった複雑な繋がりを考えるとこれらはかなり大きな投資詐欺グループの一角である可能性がかなり高いと考えざるを得ません。またオーシャンコインなどについてはリディアリッチ系列と呼ばれる巨額の被害を出している詐欺グループに属する可能性があります(「検証3」を参照)。だとすれば本項で検証したデジタルゴールドコインやイエス! ゴールドコインについても当然リディアリッチ系列の詐欺である疑いが生じてきます。リディアリッチ系列の詐欺については姉妹サイトにある「LIDYARICH (リディアリッチ)」の検証を参照してください。

結論としてデジタルゴールドコインやイエス! ゴールドコインへの投資は到底推奨出来ません。


※付記

2019年10月に再訪してみると日本仮想通貨総合研究所のサイトは存続しているもののデジタルゴールドマーケッティングのサイトは閉鎖されて代わりにDigital Gold Laboratory (デジタルゴールド研究所 www.digitalgold-laboratory.com) というサイトが立ち上がっているようです。以下のキャプはその新しいサイトの冒頭部でデジタルゴールドコインのみですが販売が行われています。

但しこのキャプに見える「BUY NOW」の項目をクリックしてみると以下のキャプに示したような警告が出てきて内容を確認出来ません。

このデジタルゴールド研究所のサイトにある「About Us」のページには連絡先や運営者に関する情報があります。まず連絡先情報ですが以下の様になっています。

電話番号はなく、住所は閉鎖されたデジタルゴールドマーケッティングのサイトに記されていたのと全く香港のバーチャルオフィス業者の拠点の住所と一致する住所になっています。代表者 (CEO)は以下のキャプに示すようにRYO Yonezawaとなっており、他の3人もKazuo Kishimoto、Shinya Takai、Sho Shinnoといずれも日本人らしき名前になっています。この内、Shinya Takai、Sho Shinnoについては例えば上の検証で登場している日本鉱物資源開発支援機構の役員として名前が出ていた高井信也、新野翔と同一人物でしょう。

住所がバーチャルオフィス業者の住所と一致すること、電話番号がないことなど考えるとデジタルゴールドラボラトリー社の事業実体が香港にあるかどうか疑問でしょう。特にデジタルゴールド研究所のCEOとなっているRYO Yonezawaという人物は以下のキャプに示した様に日本仮想通貨総合研究所代表理事も兼任しているようです。

日本で仮想通貨を販売することが違法とされている為に香港に名目だけ販売業者を立ち上げて規制逃れをしているのではないかと疑わざるを得ません。

それからデジタルゴールドコイン (DGC)とイエス! ゴールドコイン (YGC)のその後は非常に気になるところですが、両方とも仮想通貨のデーターベースであるCoinMarketCapで探しても情報が見つからず、上場されているような気配さえありません。デジタルゴールド研究所のサイトのMILESTONEのページある事業計画を見ると以下のキャプに示した様に2018年8月にはロンドン、ニューヨーク、香港の取引所にデジタルゴールドコインの上場申請、2018年秋には同じく上場許可、2019年春には独自の取引所を設立するなどと書いてあるのですが、こういった事業計画は全く実現しているとは思えません。さらにイエス! ゴールドコインのその後については全く情報が見つかりません。

デジタルゴールドコイン (DGC)やイエス! ゴールドコイン (YGC)に投資した人がいるとすれば非常に憂慮するべき状況と考えざるを得ません。