検証 3

本ページでは以下の4グループ、6社を検証しています。

●FusionCoin(フュージョンコイン fusioncoin.info

●Circle Coin (サークルコイン circle-coin.com)

●Ocean Coin (オーシャンコイン ocean-coin.com/jp)

●EAST ASIA CROWD ESTATE [XRC コイン XRC Regulus coin] (イースト・アジア・クラウド・エステート xrc.asia)

●Regulus (レグルス regulus-japan-inc.com)

●ASIAN PAY (アジアン・ペイ www.asian-pay.net)


それでは検証を始めます。

●FusionCoin(フュージョンコイン fusioncoin.info

まず連絡先情報は以下のようになっています。

>運営会社

>FUSION PARTNERS PTE.LTD

>10 Anson Road, #35-11 International Plaza, Shingapore 07993

>MAIL info@fusioncoin.net

>日本窓口

>ワールドアセットマネジメント株式会社

>東京都港区虎ノ門4-3-20 神谷町MTビル14階

>TEL 03-5404-3824 FAX 03-5404-3401

運営会社はシンガポールの住所になっていますがシンガポールの連絡先情報は住所とメールだけで電話番号、FAX番号はありません。一方で日本の住所には電話番号、FAX番号がありますが、住所を検索してみるとバーチャルオフィス業者のRegusの拠点の住所と完全に一致しますし、FAX番号もRegusのFAX番号です。

つまり東京の住所は明らかに架空住所です。またフュージョンコインのサイトは日本語しか表示言語が選択出来ません。シンガポールの電話番号、FAX番号がないことと併せてシンガポールの会社のサイトとは到底思えません。一方でサイトには以下のキャプに示すような記述もあります。

Fusion Coin 日本発.PNG

>Fusion Coinとは?

>Fusion Coinは、あらゆる仮想通貨(デジタル通貨)を知り尽くしたメンバーが集まって開発した日本発の新しい仮想通貨(デジタル通貨)です。

ここでは「日本発」が強調されていてサイトは日本語版だけしか存在しないのにどうして運営会社はシンガポールなのでしょうか?明らかに矛盾があるとしか思えません。サーバー情報を見ても日本の「さくらインターネット」の東京にあるサーバーを使っています。やはりシンガポールの会社とは到底思えません。

Fusion Coin サーバー.PNG

シンガポールの住所もダミーである可能性は非常に濃いと判断せざるを得ません。会社の本体はシンガポールにはなく、日本にあると考えるのが妥当でしょう。しかし日本の住所も架空です。要するに連絡先情報がないことになりますし経営者情報も見当たりません。到底信用出来ません。

さらにそもそもこれは仮想通貨として何処で通用するのか情報がまるで見当たりません。例えば小売店、飲食店、通販サイトなどで通貨と同様に使えなければ「仮想通貨」とは呼べないでしょう。サイトの冒頭には以下のような文章があります。

>Fusion Coin (フュージョンコイン)とは世界中どこにいてもスピーディーに他の電子通貨に交換ができ、金で保全されている新しい仮想通貨です。

買い物をするのに他の電子通貨(仮想通貨)に交換することが必須ならばフュージョンコインは仮想通貨とは呼べないだろうし、利便性の観点からこれを購入しようとする人もおよそ期待出来ません。最初から仮想通貨として通用する仮想通貨を買った方が明らかに賢明な選択だからです。そして購入する人が増えなければ必然的にフュージョンコインの価値の上昇など見込めるはずがありません。

>我々独自のルートで金や銀などを入手し、その貴金属などによって30%の保全がされております。

という記載も会社の連絡先情報が架空では到底信用度を高めるものとは思えませんし、Q&Aに見られる

>Q. 買ったけど価値が下がる事はあるのですか?

>A. 現在は底値での販売ですので、これ以下に価値が下がる事はありません。

といった記載も何を根拠に底値と主張出来るのか理解不能です。投資先として全く推奨出来ません。


●Circle Coin (サークルコイン circle-coin.com)

連絡先情報は以下のようになっています。

>NEOSEED CORP.

>8275 S. Eastern Ave. S-200 Las Vegas, NV89123

>TEL:1-702-974-1775

>Email:info@circle-coin.com

>URL:http://circle-coin.com

>JAPAN AGENT

>ECLAT DE COEUR LLC

>TEL:+81-50-3465-9540

>Email:info@ccnavi.club

>URL:http://ccnavi.club

会社の住所はアメリカのラスベガスになっていますが、この住所を検索するとDavinci Virtual Office Solutionというバーチャルオフィス会社の拠点の住所と一致します。下のキャプに示すように1ヶ月59ドルで郵便物の受け取りなどを代行するようです。明らかに架空住所です。

Circle Coin バーチャルオフィス.PNG

ちなみにDavinci社は日本を含む世界30ヵ国に拠点を持っており、日本国内にも東京都内に3つの拠点があるようです。サークルコインの真の拠点が日本国内であるとするならこれら3つの拠点のいずれかで契約を行っている可能性はかなり高いと考えられます。

サークルコインの真の拠点が日本ではないかと考えられる一つの根拠はサーバー情報にあります。サークルコインのサイトのサーバー情報を見ると以下に示すように東京所在でGMOインターネットのサーバーのようです。

Circle Coin サーバー.PNG

これはアメリカの会社のサイトとは到底思えません。日本の詐欺グループがアメリカの架空住所を使っているだけである可能性が高いと思われます。もう一つの連絡先であるJAPAN AGENT (日本の代理店)となっているCC NAVIのサイトには「アフィリエイトプログラム運営サイト」と書いてあります。つまりこちらは従属的な組織という扱いです。

Circle Coin CC NAVI.PNG

しかしアメリカがダミーと思われますのでこちらが本拠の可能性が高いと思います。CC NAVIの連絡先は以下のようになっています。

>会社名 ECLAT DE COEUR LLC(合同会社エクラドクール)

>設立 2012年6月

>所在地

>Head Office

>〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち4-6-19 FLEXおもろまち202

>Office

>〒141-0022 東京都品川区東五反田5-22-37

>TEL 050-3465-9540

>FAX 03-4330-1136

>EMAIL info@ccnavi.club

>URL https://ccnavi.club/

>業務内容 アフィリエイトサイト運営管理、システム開発、仮想通貨事業全般

住所は沖縄と東京の五反田になっていますが、まず沖縄の住所はライザップのトレーニングジムの住所と部屋番号まで完全に一致します。

http://www.rizap.jp/lp/20161/map/map_kyushu.html

Circle Coin 沖縄住所.PNG

※アドバイスを寄せてくださった方によれば現在はライザップ那覇店はおもろまち町内で移転したようです。http://www.rizap.jp/gym/detail.php?ad=J&store_id=61

>那覇市おもろまち4-16-29 カーサラピスラズリ303

さらに東京五反田の住所はOffice Circle N五反田というバーチャルオフィスの住所です。

Circle Coin バーチャルオフィス2.PNG

両方とも架空住所の可能性が高いと判断せざるを得ません。CC NAVIのサイトにはセミナー開催の予定などが書かれています。このセミナーが勧誘の主な手段になっているようです。

Circle Coin セミナー予定.PNG

そして仮想通貨について最も重要なことは他の仮想通貨の検証でも指摘してきた通り、実際に仮想通貨が仮想通貨として支払いや送金に使える体制になっているのかという点であるはずです。サークルコインの場合には流通に関する情報が一切示されていません。支払いや送金に使える体制がないのならば仮想通貨としての将来性はゼロであり、何の価値もない、将来の値上がりの可能性も見込めないと判断せざるを得ません。投資対象としては論外だと思われます。

※付記

2019年6月6日にサークルコインを販売していた合同会社エクラドクールが所得隠しを指摘され、修正申告に応じたとみられることが報道されました。

仮想通貨販売で9億円所得隠し 国税指摘、「サークルコイン」(産経新聞 2019年6月6日)

仮想通貨販売で9億円所得隠し (共同通信 2019年6月6日)

仮想通貨販売会社、9億円所得隠し 国税局指摘 (日本経済新聞 2019年6月6日)

暗号資産販売で9億円所得隠し=「サークルコイン」-東京国税局 (時事ドットコム 2019年6月6日)

上は時事ドットコムの記事のタイトルと抜粋ですが、やはりアメリカの「ネオシード (NEOSEED CORP.)」には実体がなかったと報じられており、実際には上の検証で可能性を指摘したように「エクラドクール」が事業の主体だったようです。これらの記事は告発が国税局によるものだけに税金の問題だけを取り上げていますが、サークルコインは上で取り上げた勧誘セミナーの日程が2016年4月ですからICOが行われてから既に3年以上経過しているはずなのに決済手段になっている気配もなく、上場も行われていないと思われます。少なくとも現時点でCoinMarketCapの上場されている仮想通貨のリストには該当がありません。記事には25億円の売り上げがあったとありますが、サークルコインを購入してしまった人たちには換金の機会がなかったと思われます。そしてこの件についてはmatomaというサイトで集団訴訟の呼びかけが行われているようです (以下のキャプ参照)。税金の問題よりもこうした被害の回復が優先されるべきと考えます。


●Ocean Coin (オーシャンコイン ocean-coin.com/jp)

発行会社はOcean's Fortune Limitedとなっていてその連絡先情報は以下にあるのみです。

住所 #1 Mapp Street Belize City, Belize C.A

E-mail: info@ocean-c.com

電話番号がありませんし、経営者情報もありません。住所は中米のベリーズになっており、検索するとオフショア会社、International Corporate Services Limited (ICS Ltd.) の住所と酷似していることが分かります。

>#1 Mapp Street, 3rd. Floor, Belize City, Belize C.A

Ocean Coin 住所.PNG

要するにこれはペーパーカンパニーの住所と思われ、ベリーズに会社の実体は存在しないでしょう。また公式サイトの日本語版で「コイン購入」の項目を見るとお金の振込先が以下のようになっています。

Ocean Coin 振込先.PNG

>お振込み先(収納代行会社)

>銀行名 :西武信用金庫

>支店名 :千駄ヶ谷支店(102)

>預金種類:普通

>口座番号:2123831

>口座名義:カ)エーテイーエム

ちなみに収納代行費用として手数料4000円が別途に必要となっています。この収納代行業者、カ)エーテイーエムというのはおそらく以下の会社と思われます。

http://atm-service.co.jp/about/

何故ベリーズの会社が日本の収納代行業者を使っているのか意味が分かりません。さらにオーシャンコインのサイトは日本語版に加えて英語版が存在しているのですが、英語版の「Buy Coin」の項目を見ると以下のキャプに示すように日本語表記のメールアドレス送信用の窓があるだけです。

Ocean Coin 英語サイトBuy Coin.PNG

これはベリーズの会社のサイトとは思えません。明らかに日本の詐欺グループによる詐欺サイトと考えていいでしょう。

さらに公式サイトに書かれている情報は極めて限られているので検索するとYoutubeに勧誘目的でアップされたと思われる動画が複数存在するようです。ちなみにこれらの動画も日本語版しか見つかりません。例えば「オーシャンコイン(OCC)について」と題された動画(投稿者は「OCEAN COIN」)

https://www.youtube.com/watch?v=YbzzOZk80L4

によればオーシャンコインの発行枚数は15億枚、担保として集めたお金の50%を投じてフィリピンのパラオにホテルを建設する他、ハワイ、北海道の不動産にも投資するとなっています。

Ocean Coin 動画1.PNG
Ocean Coin 動画2.PNG
Ocean Coin 動画3.PNG

しかしパラオのホテルが建設される場所の住所とかホテルの客室数など具体的情報は全くありません。ハワイや北海道についてはさらに情報が乏しく実際に不動産投資が行われているのか確認するすべがありません。またそもそも集めたお金の50%を投じてフィリピンのホテルを開発することが「担保」になるという説明に全く説得力が有りません。

ホテルの建設に集めたお金を注ぎ込んでしまった状態でコインを買った人たちの50%以上が現金への換金を希望したらどうなるのでしょうか?また仮に不動産事業が実際に行われるとしてもホテル事業の採算が取れる保障は何処にあるのでしょうか?事業が失敗したら「担保」になるどころか大きな負債となってオーシャンコインの価格が暴落することになるのは火を見るより明らかです。これは「担保」というよりむしろ「使い込み」であると言うのが正しいと思います。「担保」というなら現金をそのまま信託銀行にでも預託するべきです。

さらにこの一連の仮想通貨の検証では実際に仮想通貨がどれほど通貨として使えるのか、現金への換金が実際に出来るのかを重視してきましたが、オーシャンコインの流通や換金に関する具体的な情報はほぼ皆無です。

どうやら以下のキャプにあるように2017年の1月になれば仮想通貨としての流通が始まって換金も可能になるという主張のようですが、

Ocean Coin 動画6.PNG

逆に言えば2016年の末まではコインを使って何かを購入するとか現金を引き出すといったことは出来ないように思われます。少なくともそういった手段に関する情報は一切見つかりません。結論としてオーシャンコインは信頼性が著しく低く、仮想通貨としても、投資対象としても論外と結論せざるを得ません。

※付記1

知恵袋への以下の投稿によれば「エーティーエム」という収納代行業者はこれまでにも多くの被害者を出しているリディアリッチ系列の詐欺グループが立ち上げたグループ企業のようです。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13159072788

これが正しければこれまでのリディアリッチ系列の投資詐欺の手口から判断してオーシャンコイン自体もリディアリッチ系列の詐欺会社である可能性が濃厚と思われます。リディアリッチについては別サイトを参照してください。

※付記2

「検証7」で検証したプラネットコインという仮想通貨はオーシャンコインと同じパラオのホテルに投資して担保とする、2017年1月にオーシャンコインに自動的に変換されるなどと称しており、同じ詐欺グループによる仮想通貨の可能性が高いです。併読されることを推奨します。

※付記3

2021年7月にOZプロジェクト (オズプロジェクト) という投資詐欺が摘発されたという報道が出ました。

OZプロジェクト、言葉巧みに資金集め 暗号資産開発詐欺 (2021年07月12日 時事ドットコム)

暗号資産「4カ月で2.5倍に」 架空投資話OZプロジェクトで被害60億円超 (2021年7月13日 東京新聞)

暗号資産の投資詐欺容疑、5人目の逮捕者 (2021年7月31日 朝日新聞)

仮想通貨ブームに便乗か…被害総額60億円超とみられる「OZプロジェクト」被害拡大の要因に“紹介料”も (2021年7月24日 FNNプライムオンライン)

これらの記事によれば当初、石田祥司、橋谷田拓也、山下幸弘、戸島正道の4名が逮捕され、その後川村祥人が逮捕されたとあります。このOZプロジェクトについては以下のサイトにかなりきちんとした検証がありますがマルチ商法で勧誘する投資詐欺で資金運用の実態があったかどうかは極めて疑問です。いわゆるポンジースキーム型の詐欺ではないかと思われます。

投資案件検証委員会:OZ Project(オズプロジェクト)の検証、レビュー: 常識はずれの高配当、還元率100%MLMコミッション、破綻前提に作られたポンジスキームか (2018年9月5日更新)

そしてこのOZプロジェクト摘発に関係した記事の中にこのOZプロジェクトを主導して逮捕された石田祥司という人物がオーシャンコインにも関与していたという記述が出ていることに気が付きました。

「AIで儲ける」で65億円超「仮想通貨」詐欺犯 RIZIN格闘家「堀口恭司」「ミルコ・クロコップ」との関係 (2021年7月29日 デイリー新潮/Yahooニュース)

記事の一部を以下に抜粋します。

有料記事なので記事全体は読んでいませんが、逮捕された石田祥司という容疑者はOZプロジェクト以前にオーシャンコインを主導していたようです。

さらにenjinというサイトでOZプロジェクトについて集団訴訟の呼び掛けが行われていたのですが、そこにある記述にもOZプロジェクトとオーシャンコインは組織的に繋がりがあることが記されています。

根拠は示されていませんがOZプロジェクトを運営していたグループが以前に関与していた案件としてキャナル、アセットコイン、プラネットコイン、オーシャンコイン、インディアンコイン、ネストなどがあり、いずれもポンジスキームと思われると記されています。さらに関連案件としてキングダイスコインという案件があったとなっています。

これらOZプロジェクトと関連ありとされている案件の内、オーシャンコインは言うまでもなく本項で扱っている案件、アセットコインは「検証4」で検証した案件、プラネットコインは「検証7」で検証した案件と思われます。

さらにアジアンペイとパラオエピアに責任転嫁しているとありますがアジアンペイについては以下の項目および姉妹サイトの「無登録海外送金業者検証1」で説明していますが違法な送金業者と思われます。さらにそれぞれの項目で説明してありますが組織的な繋がりはさらに広範である可能性があります。例えばアセットコインが同じグループによるものなら同じく「検証4」で検証したベイジアコインやノーフィアットコイン(XNF)なども同じグループによるものである可能性があります。今回の摘発から全容が解明されることを望む次第です。


●EAST ASIA CROWD ESTATE [XRC コイン XRC Regulus coin] (イースト・アジア・クラウド・エステート xrc.asia)

●Regulus (レグルス regulus-japan-inc.com)

●ASIAN PAY (アジアン・ペイ www.asian-pay.net)

互いに関連している会社のようですから3社をまとめて検証します。

まずイースト社ですがXRCコイン(XRC Regulus coin)という仮想通貨を発行しているようです。上で検証したオーシャンコインと同様に不動産をフィリピンに購入して担保にすると称しています。

Regulus Coin 相場.PNG

連絡先情報は以下にあるだけです。

>Address: 145-157 ST JOHN STREET, LONDON ENGLAND EC1V 4PW. United Kingdom

>Web: xrc.asia

>E-mail: info@xrc.asia

まず電話番号がありません。さらにイギリスの住所は検索するとMade Simpleというバーチャルオフィス業者の住所と一致します。年間45ポンド+VAT(付加価値税)でこの住所を使えるようです。明らかに架空住所です。

Regulus Coin イギリス住所.PNG

さらにイギリスの会社なのにサーバーは大阪です。

Regulus Coin XRC.asiaサーバー.PNG

イギリスの架空住所を使っていますが日本の詐欺グループによる幽霊会社と考えるのが妥当でしょう。フィリピンのダバオという町に不動産を購入する、ダバオの不動産価格は間違いなく上昇すると延々と説明されていますが具体的にフィリピンで不動産を購入してどのように活用して利益を出すのか不明です。単に根上がりが確実だから買っておいて転売するという地上げみたいなことをするつもりでしょうか?

Regulus Coin フィリピン不動産.PNG

上で検証したオーシャンコインの項目でも書きましたが不動産の様な直ぐに換金することが困難である上に確実に収益が上げられるとは限らない投資に仮想通貨を売って得た現金を注ぎ込むことが「担保」になるという説明には説得力がありません。これは「担保」ではなく「使い込み」と言うべきです。仮に不動産への投資が実際に行われるとしても、不動産投資が失敗すれば仮想通貨は価値の裏づけを失って価値が暴落することになるはずですし、そもそも本当にフィリピンの不動産が妥当な価格で購入されているのか確認することが困難です。イギリスの住所が架空であることなどを考えると信頼性は低いとしか言い様がありません。

レグルス社のサイトには以下のキャプに示すようにイースト社のサイト(http://xrc.asia/)へのリンクが用意されていてこの2社が関連していることが示されています。

Regulus 社 XRCへのリンク.PNG

また仮想通貨事業を行っているとして以下のような記載があります。

>フィリピンのダバオの不動産を担保にした仮想通貨『XRC』を取り扱っています。

>XRCを通して、1口50万円からの小額海外不動産投資ができます。

>1年間で1.5倍~2倍の資産価値の上昇を目指しています。

>XRCの特徴として、今後経済発展が高い確率で見込まれ将来性を持つダバオの不動産が担保であることが挙げられます。

明らかに投資名目で資金を集めているのに金融商品取引業者の登録リストに該当がありません。違法な無登録業者と考えられます。また仮想通貨を介した不動産への投資であるという主張のようです。しかしここでも具体的な投資対象となる不動産の詳細情報は記載がありません。またレグルス社の連絡先情報は以下にあるのみです。

>会社名 株式会社レグルス

>設立 2014年7月9日

>所在地 東京都港区六本木 7-8-10 ワールドシガレットビル 5F

>資本金 300万円

>代表者 今村祐紀

電話番号の記載がないのは明らかに異様です。「お問い合わせ」の項目をクリックしてもメール送信用の窓が開くだけです。これも信用出来る会社とは思えません。

もう一つの関連会社であるアジアン・ペイ社はウォレット機能を担っていると思われます。連絡先情報は以下のようになっています。

>Company Name: AsianPay Limited

>Address: Regus Plaza Level, 41 Shortland St., Auckland, 1010, New Zealand

>LICENSE: Company No.3937781

>License: No.FSP236005

住所はニュージーランドになっています。この住所を検索するとバーチャルオフィス業者のRegusの拠点の住所と完全に一致します。明らかに架空住所です。

ライセンス番号なるものが記載されているのでニュージーランドの会社登録を検索すると確かに登録が見つかります。

>Company number: 3937781

>NZ Business Number: 9429030568587

>Incorporation Date: 30 7 2012

>Company addresses: 24 Jacinta Grove, Swanson, Auckland, 0612 , New Zealand

>Directors Showing 2 of 2 directors

>Yoshikatsu ANZAI

>Yogawest 101, 2-37-11 Yoga, Setagaya-ku, Tokyo, 1580097 , Japan

>Michael REPS

>3 Waimanu Place, Rd 6, Warkworth, 0986 , New Zealand

会社の事業内容は「Business consultant service」となっていて仮想通貨に関連する事業は届け出られていないようです。また会社登録の住所はサイトに書かれている架空住所とは異なります。そして経営者は東京都世田谷区に居住するYoshikatsu ANZAIという明らかに日本人らしき名前の人物になっていて、株主構成情報を見るとこの人物がアジアン・ペイ社の100%株主となっています。

ちなみに世田谷の住所は不動産会社の物件情報によれば2階建てアパートのようであり、海外に会社を持つ国際的な企業経営者がこういったアパートに実際に居住しているかどうかは非常に疑問です。総合的に判断してこれも日本の詐欺グループによる海外の架空住所を使った幽霊会社の可能性が高いと判断します。そしてこのアジアンペイ社は無登録で海外送金業務を行っていたいわゆる地下銀行と考えられ、他の非常に怪しげな投資案件でも関与が確認されています。詳しい説明は本サイトの姉妹サイトである「危ない投資の備忘録」「無登録海外送金業者検証1」にまとめてあります。

ちなみにニュージーランドの会社登録で日本人の名前が経営者として出てくるとかバーチャルオフィス業者の架空住所を使うというのはリディアリッチ系列の詐欺会社でしばしば見られるパターンです。このXRCコイン(XRC Regulus coin)を扱う3つの会社もリディアリッチ系列である可能性があると思われます。リディアリッチについても姉妹サイトの「無登録海外送金業者検証1」で扱っているので参照してください。

※付記1

姉妹サイトのアジアンペイの検証でも説明してありますが本サイトの「検証5」で検証したプレストリップル社などXID、XNC、XIPという3つの仮想通貨を扱う一連の会社もXRCレグルスコインに関係する各社と共通点があり、同じ系列である可能性が高いです。同様に参考にしてください。

※付記2

アジアンペイは以下の投資詐欺と思われる事案でも送金業者あるいは仮想通貨のウォレットとして登場していることが判明しました。

◆仮想通貨Digital Gold Coin (デジタルゴールドコイン DGC)およびYes! Gold Coin (イエス! ゴールドコイン YGC) → 「検証15」を参照。

◆MGK GLOBAL (MGKグローバル mgk-global.com)というFX業者 → 姉妹サイトの「海外FX業者検証6」を参照。

◆Monte Carlo Binary (モンテカルロバイナリー www.mc-binary.com) というバイナリーオプション業者→ 姉妹サイトの「海外バイナリーオプション検証5」を参照。

これらはかなり大きな投資詐欺グループを形成している可能性が考えられ、当然これがリディアリッチ系列の詐欺グループである疑いも濃厚です。つまりかつてのリディアリッチの役割をアジアンペイが担っている可能性が考えられます。厳重な注意が必要です。

※付記3

2017年12月に知恵ノートからの移管に伴って確認したところ、EAST ASIA CROWD ESTATE (イースト・アジア・クラウド・エステート xrc.asia)とRegulus (レグルス regulus-japan-inc.com)のサイトは閉鎖されているようです。

またイースト・アジア・クラウド・エステートのイギリスにおける法人登録が2018年1月9日付でDissolved (解散) という扱いになったようです。

さらにこのイースト・アジア・クラウド・エステートの法人登録にある経営者情報を見るとYUKI, ImamuraとYUICHI, Itoという2人の日本国籍、日本在住の人物が社長職を受け継いでいることが分かります。

1人目のYUKI, Imamuraという人物は会社解散時点で現職であった人物で神奈川県横浜市神奈川区の住所が記されています。2人目のYUICHI, Itoは2016年1月21日で辞職していますが、イギリスの法人登録データーベースでイースト・アジア・クラウド・エステート以外にNUMISMATIC LAB LTDという企業の役員を兼務していた時期があることが分かります。両社とも既にDissolved (解散) という扱いになっている会社ですがYUICHI, Itoの在職当時の役職は両社ともDirector (社長) で就任も2015年7月14日と同じ日です。そして両社について2016年の1月あるいは3月に辞職しています。

そしてこのNUMISMATIC LAB LTDは「検証5」で検証しているXID、XNC、XEPという3つの仮想通貨の内、XNCというアンティークコインに投資すると称する仮想通貨の運営担当として登場する企業です。既にXRCコイン(XRC Regulus coin)とXID、XNC、XEPという3つの仮想通貨についてはアジアンペイという共通の海外送金&仮想通貨のウォレットを提供する企業と共通して関連していることから同じ系列である可能性を指摘していましたが、人的な面でも関連が再確認されたことになります。

さらに「検証5」のXID、XNC、XEPの検証に詳しく書いてありますが、YUICHI, Itoという名前は「検証37」で検証しているRise Token Project (ライズトークン)という仮想通貨、「検証41」で検証したRevollet (レボレット) / xGateToken (クロスゲートトークン)という仮想通貨案件でも登場してきます。これらの非常に怪しげな投資案件は全て同じグループによるものである可能性は極めて濃厚です。厳重な注意が必要と考えざるを得ません。