検証55

このページでは配当型のウォレットと呼ばれている案件の幾つかを検証するつもりです。検証項目は順次追加の予定です。


●S BLOCK WALLET [SBOトークン] (エスブロックウォレット www.sblock.com/)


このサイトの通例に反しますが個別検証の前にこのページで検証する配当型のウォレットなどと呼ばれている案件の概況、問題点を簡単にまとめておきます。配当型のウォレットと呼ばれているものが登場したのは2018年の前半のプラストークンという案件が初ではないかと思われますがその後、類似の案件が特に最近になって増え続けているようです。例えば以下は小野里はじめという「検証33」で取り上げた想源プロジェクトや「検証54」で検証した新時代ベーシックインカムプロジェクトで広告塔役のインタビューアーとか推薦人として登場していた人物による動画 (左下)とそのキャプ (右下)ですがPlusToken (プラストークン)、WoToken (ウォートークン)、Sブロック、クラウドトークン、BlockEco (ブロックエコ)という5つの案件をウォレット型投資として比較、紹介しています。但しこの動画の結論としてはどれも互いに似通っていてどれがいいのかは分からないといった曖昧なものになっています。

後述しますがYoutubeにはこれ以外にも配当型のウォレット投資を勧誘する動画が大量にアップされていますし、勧誘目的のブログやSNSへの投稿も多数確認されます。こういった状況から容易に予測されるようにこの手の案件ではかなり高額の勧誘報酬が出るネズミ講方式の勧誘が行われているようです。例えば右も「投資家工藤新一」という名義でYoutubeにアップされている配当型ウォレットに関する動画のキャプですが、配当型ウォレットのメリットの1つとして「アフィリエイトシステム」という項目が挙げられています。これは勧誘報酬を意味するものでしょう。こういった勧誘方法を採っているとすればネズミ講防止法 (無限連鎖講の防止に関する法律)に抵触している可能性も出てくるものと思われます。

さらに「配当型」という呼称からも分かるようにかなり高額の配当が約束されていることもこの手の案件の共通点です。例えば最初にリンクした動画で小野里はじめなる人物が紹介している5つの案件では月利で7~10% (年利換算で84~120%)といった高配当が約束されているようです。右上のキャプに示した「投資家工藤新一」名義の動画でも配当型ウォレットのメリットの筆頭として「月利配当」が挙げられています。

異様としか思われない高配当を生み出すのは仮想通貨のアービトラージ取引とか仮想通貨取引所の収益などとなっているのですがそもそもそんな資金運用で異様な高利回りを生み出すことが可能かどうか強い疑問を持たざるを得ません。また仮にそんな投資やビジネスが実在するのであれば個人などから小口の資金をしかも紹介報酬まで支払って集めるまでもなく、金融機関などから資金を借り入れるなどして運用する方がよほど合理的でしょう。つまり経済的合理性がありませんし、配当を約束して投資名目で資金を募ることについても出資法違反など法的な問題が強く疑われます。

またプラストークン、ウォートークンといった案件名から分かるように少なくともこれらの案件の一部についてはウォレットへの投資を名乗りながらも仮想通貨の新規公開 (ICO)の側面も持っているようです。「投資家工藤新一」名義の動画でも「独自トークンを購入」という項目が挙げられています。本サイトの検証で繰り返し出ていますが日本の法律ではICOを行うあるいは仮想通貨を販売するには仮想通貨交換業者の登録が必要とされており、配当型ウォレットと呼ばれる案件では仮想通貨を販売するのに必要な登録を得ているとは思えないという点でも法的な問題 (資金決済法、金融商品取引法への抵触)の可能性が強く疑われます。

本サイトではこれまで配当型ウォレットと呼ばれている案件を検証対象にしていませんでした (上で引用した「投資家工藤新一」名義の動画では「検証42」で検証したクロスエクスチェンジを配当型ウォレットの案件としています。)。何故検証してこなかったのかと言えば例えばプラストークンなどは気が付いた頃には既に複数の検証サイトで検証が行われていたことなどもその理由です。しかしこれまで手を付けなかった最大の理由はこの手の案件は短期間で消滅する可能性が高いと考えていたという点にあります。すなわち月利で10%前後というかなり高額の配当を安定して生み出せるような投資があるとは思えないし、さらに加えて高額の勧誘報酬を出しているとなれば長期間に渡って案件を維持し続けることに相当にコストが掛かります。

きちんとした検証を行う前の個人的感触にすぎませんが、配当型のウォレットと呼ばれる案件はおそらく実際に高額の配当を出せるような事業としての実体はなく、HYIP (High Yield Investment、ハイプ)と呼ばれるポンジースキーム方式(自転車操業)の詐欺に属するものである可能性が高いと考えていました。そしてHYIP案件は高額の配当や勧誘報酬を出すが故に集中的に勧誘を行い、短期間で逃亡することが非常に多いです。高額の配当を出す案件を長期維持しようと思ったら高額の配当を払い続けることが必要になり、高額配当の負担を上回る勢いで新規加入者が増加し続けない限り、破綻が不可避になってしまうからです。こうした案件の勧誘サイトの中にさえこうした高利回りがポンジースキーム (自転車操業) によるものであることを暗に認め、全財産を注ぎ込むようなことはリスクが高すぎるけど早期に参加してネズミ講組織のピラミッドの上部に立てば紹介料報酬で元本は回収出来るといった書き方をしている場合さえあります。詐欺の可能性が高いことを認めながらも勧誘しているという神経が理解出来ませんが危ない案件であるとの認識を持ちながらも手放しで勧誘しているような場合よりは若干でも良心的と言えるのかもしれません。

いささか脱線しましたがきちんと調べて検証を書いた頃には既に案件そのものが消滅している可能性が高いとなれば検証のやりがいが乏しいです。しかし予期に反してプラストークンはどうやら1年を超えて勧誘が継続しており、プラストークンの成功 (?) で誘発されたものか同様の案件が続々と出現している状況なので遅ればせながら検証に手を付けることにした次第です。本来はプラストークンから順に検証するべきかもしれませんが、ここではむしろ新しい、これから勧誘が本格化すると思われる案件を優先して検証することにします。

●S BLOCK WALLET [SBOトークン] (エスブロックウォレット www.sblock.com/)

この項目を書いている2019年6月末の時点で最も新しいと思われる配当型ウォレットの案件です。海外の案件ということになっていますが日本語の勧誘ブログが多数見つかりますし、Youtubeにも日本語の勧誘動画が多数アップされていて日本でかなり活発に勧誘が行われているようです。以下に内容を確認した勧誘サイト、勧誘ブログの類を列挙します。後述するように公式サイトにある情報はかなり限定されているのでこれら勧誘サイトにある情報も以下の検証の対象にせざるを得ません。

超最新??プラストークン超え配当型ウォレットSBLOCKの紹介

投稿者:ウェッジ、投稿日:2019年6月12日

仮想通貨で最速で億り人になる方法;【世界47カ国同時展開の高配当ウォレット】SBLOCK(エスブロック)が本日ローンチ

投稿日 : 2019年6月15日

仮想通貨の教科書 ~初心者のための教室~;SBlock(エスブロック)の登録・仕組み・配当を大公開!

投稿者:ビット先生、投稿日: 2019年6月14日

お金を増やしたい!;S BLOCK

投稿日:2019年6月16日

お金を増やしたい!;S BLOCK2

投稿日:2019年6月16日

angoucoin88888’s blog;新世代ウォレット SBlock(エスブロック)

投稿日:2019年6月17日

シェリーと秘密のトレード訓練場;エスブロック(S BLOCK)のWalletについて。開設方法や使い方をゆっくり解説

投稿者:シェリー、投稿日:2019年6月17日

シェリーと秘密のトレード訓練場;エスブロック(S BLOCK)の最新情報。シンガポールで行われたWBFの様子について

投稿者:シェリー、投稿日:2019年6月27日

現在大注目の「S BLOCK WALLET」とは!?

投稿者:エンズツ、投稿日:2019年6月18日

SBLOCKが上場!?「WBFex」取引所に

投稿者:エンズツ、投稿日:2019年6月22日

まりもの仮想通貨で不労所得;S BLOCK 登録方法と使い方まとめ

投稿日:2019年6月22日

you-7777777のブログ;配当型ウォレット)SBLOCKの紹介(月利6%?15%)

投稿日:2019年6月29日

ビットコイン予備校 ICOとマイニングを学ぶ;SBLOCK(エスブロック)ウォレットとは?登録・入金・配当・紹介方法|仮想通貨の投資!

投稿日:2019年6月29日

一番儲かる仮想通貨;SBlock(エスブロック)は仮想通貨「詐欺」か?最新情報を随時更新

配当型wallet SBLOCKに投資中(2019/6/15からリリース);配当型wallet SBLOCK 先行者利益のチャンス

投稿者:sblock08、投稿日:2019年7月1日

配当型wallet SBLOCKに投資中(2019/6/15からリリース);配当型wallet 途中経過

投稿者:sblock08、投稿日:2019年7月2日

ゼロからはじめる副業;S BLOCK(エスブロック)の登録方法・特徴・将来性について解説!

投稿者:こーだい、 投稿日:2019年7月3日


これら勧誘サイト、勧誘ブログによればエスブロックへの投資は完全紹介制となっていて加入方法に加えて紹介コードとか招待コードといったものが示されています。記されている紹介コードを使って投資すると招待コードの登録者=勧誘サイトや勧誘ブログの投稿者に勧誘報酬が支払われ、ネズミ講組織の中でこれらのサイト、ブログの主の子ネズミという扱いを受ける事になるのだと思われます。

他に情報源としてはプレスリリース記事が見つかりました。プレスリリース記事はこのサイトで何度も説明しているように報道機関が企業側の発表をそのまま掲載しているだけですから内容を鵜呑みには出来ませんが、運営側からの直接情報と考えられます。

S BLOCKがワールド・ブロックチェーン・フォーラム・シンガポール&ワールド・ブロックチェーン・アワード・アジアを共催 (Business Wire)

公表日:2019年6月18日


先ずは表題の公式サイトによれば本案件は2019年6月15日にGlobal Launch (世界一斉の事業開始)となるとなっているようです (下のキャプ)。

しかし世界一斉の事業開始となっているのに公式サイトは英語表記しか出来ないようです。公式サイトからは一応ホワイトペーパーと称するPDFファイルがダウンロード出来るようになっていますがこれも英語版だけです。但し後述しますが日本語の勧誘サイトの幾つかには部分的に日本語化されたホワイトペーパーのファイルが用意されています。そしてこの公式サイトやホワイトペーパーにある情報は極めて断片的で決定的に情報不足であり、日本語の勧誘サイト/勧誘ブログに記載されている情報の方がよほど具体性があるような状態です。公式サイトなどでは形ばかりの情報公開に留める一方で勧誘に必要な情報についてはネズミ講的な勧誘組織を使ってのみ流すというのが運営の方針なのだとしか思われません。

例えば検証の第一歩として例によって連絡先情報を探しましたが公式サイトやホワイトペーパーには一切の情報が見つかりません。辛うじて公式サイトからリンクのあるエスブロックのTwitterアカウントからの2019年5月21日付の投稿に連絡先情報が見つかりましたが右のキャプにある通り、無料登録出来るgmailのメールアドレス (officialsblock@gmail.com)とスウェーデンという国名が記されているだけで電話番号も具体的な住所も記載がありません。

他には上で紹介したプレスリリース記事の末尾に右のキャプに示した様にメールアドレス (contacts@sblock.com) だけが示されています。こちらはフリーで登録出来るgmailのメールアドレスではありませんが住所も電話番号もありません。

連絡先情報については日本語の勧誘サイトの類にも全く記載が見つかりません。明らかに情報開示不足で話になりません。この時点で本案件の信頼性について疑わざるを得ません。

また国名がスウェーデンとなっていますがスウェーデンの公用語はスウェーデン語のはずです。しかし公式サイトは英語表記にしか対応していませんし、プレスリリース記事も英語、ドイツ語、フランス語、日本語など11もの言語で公表されているのに対応言語の中にスウェーデン語はありません。非常に違和感があります。

また「SBLOCK FOUNDATION PTE LTD」を検索して気が付きましたがINTERNSGというシンガポールのインターンレベルの仕事を紹介するサイトに「SBLOCK FOUNDATION PTE LTD」からの求人が出ていることに気が付きました。以下はその抜粋です。

求人が出たのは2019年7月2日。会社の所在地は以下の様になっています。

>9 Temasek Boulevard Level 7 Suntec Tower 2 Singapore 038989

この住所を検索すると複数のバーチャルオフィス/レンタルオフィス業者の住所と似ています。さらに問題は以下のキャプに示した会社概要の部分です。

SBLOCK FOUNDATION PTE LTDはマレーシアに本社があると書いてあります。さらに支店が東南アジア、具体的にはシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、カンボジア、中国などにあるとも書いてあります。しかしそれらの具体的な所在地情報などは見当たりません。上で取り上げたスウェーデンに本社があるという記述と完全に矛盾しているように思われます。

アクセス状況を解析出来るサイトで調べてみると以下のキャプに示した様に2019年7月6日現在で1日当たりの独立訪問者数が1866人、国別のアクセスを見ると2位ベトナム、3位インド、以下タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシアとアジア圏の国ばかり並んでおり、特にページビューの46.4%、独立訪問者数の55.1%を占めて1位になっているのは日本です。

アクセス状況から見ても本当にスウェーデンに本拠があるのかどうか疑われますし、殆ど日本以下、アジアでしか活動が見られないというのは異様なことに思われます。

日本からのアクセスが非常に多いことについては上で引用した多数の勧誘サイト、勧誘ブログやYoutubeに多数アップされている日本語の勧誘動画によるものでしょうがさらに遡ってそもそも日本でこれほど盛んに勧誘が行われている理由になりそうなのが公式サイトのTeam (運営陣)のCouncil Memberという項目に登場しているKunio Okuda (奥田邦夫)という人物 (下のキャプの中央の人物) の存在ではないかと思われます。

ここで「Council Member」を何と訳するべきか、どの様な役割を担っているのかが良く分かりませんがKunio Okudaの下にはJapanと書いてあるのを始めとして他のCouncil Memberの多くにも(色の薄いフォントが使われているのでキャプではよく見えませんが)インドネシア、フィリピン、ベトナムなど国名が並んでいるので各国で広告塔的な役割、別の言い方をすれば各国で後述するネズミ講的な勧誘組織の頂点に立つ役割を持つ人たちを意味するのではないかと思われます。左下は「S BLOCK Global Community」という名義でYoutubeにアップされている動画で2019年6月22、23日にシンガポールのマリーナベイサンズという著名な高級ホテルで開催されたイベントの様子を収めたもののようですがこのイベントにもこの奥田という人物が参加していたようです (右下のキャプ)。

さらにこの奥田という人物については複数の日本語勧誘ブログに記述があります。例えば右は「シェリーと秘密のトレード訓練場」という勧誘ブログにあったシンガポールのイベント会場での記念写真のキャプで「日本のファウンダーの奥田さんを含めて記念撮影されていました 」という説明が付いています。奥田という人物は日本での勧誘活動の為にこうしたチームを組織していると思われます。その肩書はファウンダー (創設者)となっていていますから単に日本での勧誘を下請けしているというレベルではなくこの案件についてもっと主体的な役割を担っているのかもしれません。

また以下は「angoucoin88888’s blog」というブログからのキャプですがこちらでは奥田という人物はアジア統括マネージャーという役職で本件に加わっていると書いてあります。またこの人物は「OmiseGo及びCindicatorの元メンバー」と紹介されています。このOmiseGoとかCindicatorというのは以前にICOした仮想通貨のようです。

残念ながらOmiseGoとかCindicatorについては調べたことがないのですが、さらにこの奥田邦夫という人物について検索してみると「検証42」で検証したCross (クロス)という仮想通貨のICO案件で公式サイト (cross.technology/ )やホワイトペーパーに奥田邦夫の名前があることが分かりました。以下はクロスのホワイトペーパーにあった奥田邦夫のプロフィールです。こちらでも「OmiseGoとCindicatorのメンバーであった」と書かれていますし、写真を見てもエスブロックの公式サイトに登場している人物と同一人物で矛盾がないように思います。

さらにGazaCoin、Swissborg、Lucyd Morpheus Labsなどにも携わったと書かれていますが、これらの案件についても残念ながら調べたことがないので評価出来ません。しかし「検証42」に書いた様に少なくともCross (クロス)という仮想通貨については投資に値するものとは思えません。また仮想通貨は決済手段なのですから互いに競合する部分があるはずです。短期間にこれだけ多くの仮想通貨案件に同じ人物が関与しているとなれば粗製乱造の感は否定出来ず、個々の仮想通貨にどれほど真剣に取り組んでいるのか疑問を感じざるを得ません。

さらに上に示したクロスのホワイトペーパーや公式サイトにおける奥田邦夫の肩書は「BAMPLE ASSOCIATION 代表」となっているので「BAMPLE ASSOCIATION」を検索してみましたが全く情報が出てきません。国税庁の法人番号公表サイトでも「BAMPLE ASSOCIATION」を探してみましたが該当がありません。既にエスブロックの運営組織に関して連絡先情報などが殆ど開示されていないことを指摘しましたが、日本における勧誘などについて中心的な役割を果たしている可能性が高い人物や組織についても何の情報も開示されていないのは極めて不適切でしょう。特にこの案件では後述するようにかなり高額の紹介報酬を出すネズミ講的な勧誘手法が採用されており、登録や購入に際しては当然本名などの個人情報を入力しなければなりません。運営側が一方的に個人情報を要求する一方で自分たちの情報を殆ど何も出していないという状況には強い不審を感じざるを得ません。

さらに他の仮想通貨案件に関与していたのは日本でのエスブロックの活動を主導している人物だけではないようです。以下は公式サイトのTeamという項目の最初に出てくるFOUNDATION MEMBERの4名の画像です。

これら4人の人物について検索してみると例えば左端のPresidentという役職名からおそらく本案件の責任者と思われるIVAN BOLONIKHINという人物についてはまずSNSのアカウントが見つかってきました。右のキャプはFacebookのアカウントの冒頭にある画像で明らかに同一人物の同じ写真でしょう。名前はロシア語で書かれているようです。そしてこのFacebookのアカウントにはこの人物の職歴、学歴、居住地などの情報がまとめられています。左下のキャプが職歴部分、右下が学歴と居住地、出身地の情報です。

まず学歴の項目が気になります。「International Christian University 東京都三鷹市」とあるのは国際基督教大学 (ICU)のことでしょう。この人物が日本に留学した経験があるのであれば日本に人脈があり、日本で盛んに投資を募っているのも不思議なことではありません。

職歴には5つの項目が並んでいますが最初のS-Block Foundationは名称からしてここで検証しているエスブロックそのものあるいは関連団体としか思えませんがPresidentになったのは2019年5月15日と世界的な事業開始日となっていた2019年6月15日のちょうど1ヶ月前でしかありません。またS-Block Foundationの説明として「シンガポール」と書いてあります。これがS-Block Foundationの所在地を示しているとすれば上で指摘したスウェーデンとかマレーシアという所在地情報と再び矛盾していることになるでしょう。

それ以外の職歴を調べてみると古い方からまずCupcake Studioというのはリンク先にあるホームページ (以下のキャプ参照) を見ても文字通りケーキ屋のようです。ホームページはロシア語表記で所在地はウクライナの首都であるキエフになっています。そして居住地や出身地もキエフになっていますからこの人物はウクライナ人ということになるはずです。

古い方から2番目の「11shoes」は2016年から現在も在職中となっていますがこれも名前から想像がつくように、また右のキャプに示したホームページを見れば明らかなように靴屋のようで表示言語はロシア語、所在地はやはりウクライナのキエフとなっています。

ここまでのケーキ屋とか靴屋を営んでいた、あるいは現在でも靴屋に在職しているという職歴は仮想通貨の投資運用とは何の関係もないとしか思われません。

これに対して職歴の古い方から3番目のElevenBotsというのはIT関係の企業の様でIVAN BOLONIKHINという人物はこの会社のCo-Founder (共同創業者)となっています。ElevenBots社のFacebookのアカウントを見るとカスタマーサービスなどで自動的に顧客への対応に当たるようなAIを開発するような事業をやっていたようです。ここで「やっていた」と過去形表現なのはElevenBots社の公式サイト (elevenbots.com/ ) が閉鎖されているようだからです。多少なりとも仮想通貨の運用に近づいてきた感はありますが事業としては成功していない可能性が高いです。

余談ですが「11shoes」に勤務していた人物が次に「ElevenBots」を創業したというのはこの人物あるいはウクライナ人にとっては「11」という数字に何か特別な意味があるのかとも考えたくなります。

古い方から4番目、エスブロックの直前の職歴となっているのがSTOBoxという会社ですが公式サイト (www.stoboxplatform.com/)を見ると確かにIVAN BOLONIKHINがCOO (最高執行責任者)として紹介されています (以下のキャプ参照)。これはこの会社におけるNo. 2の地位ということになると思われます。そしてNo. 1と思われるCEO (最高経営責任者) はGene Deyevとなっていますがこの人物は上で引用したエスブロック社の公式サイトではNo.3と思われるCHIEF TECHNICAL ADVISORとして紹介されている人物で使われている写真も同じです。この2人は2つの会社で上下関係が逆転していることになります。

そしてまずSTOBox社の連絡先情報を見ると右のキャプに示した様にアメリカのニューヨークになっています。

>1047 Brighton Beach, Brooklyn, New York, 11235.

>phone +1 415 985 28 88.

>email info@stoboxplatform.com

この住所を検索してみるとTax Target Groupという税金の申告書を作成代行する税務サービス会社の支店オフィスの住所に一致することが分かりました。

左下がTax Target Group社のニューヨーク・ブルックリンオフィスの連絡先情報です。住所はSTOBox社の住所と一致しています。そしてこのTax Target Groupの業務内容を見ると新規法人の登録代行業務 (Incorporation of New Business)を行っていることが分かりました (右下のキャプ)。いわばオフショア会社的な業務です。STOBox社はこのTax Tarhet Groupの新規法人登録代行サービスで登録されたペーパーカンパニーの可能性があるかもしれません。

さらにSTOBox社の業務内容を見ると提供するサービスとして事業者 (Business) 向け、投資家 (Investors) 向けの2つに分けて以下のような項目が挙げられています。事業者向けとしては仮想通貨を発行する為の法的、技術的問題を解決するといった項目も挙がっていますがそれ以外の項目は投資関係の業務が並んでいます。

さらには以下のキャプに示した様に早期登録すれば200ドル分のSTOBOXのセキュリティートークンをプレゼントしますと書いてあります。つまりSTOBoX社は独自のトークン (仮想通貨?)を発行しているということでしょう。

しかしこのサイトにある情報は非常に具体性に欠けています。投資とあって独自の仮想通貨を発行しているらしいことだけは分かりますが投資の利益がどのように生み出されるのか全く分かりません。また独自の仮想通貨を発行しているのならば当然開示されているべき発行枚数などの情報が全く見当たりません。ホワイトペーパーのようなものも見つかりません。

辛うじてSTOBoxのサイトには以下のような記述があります。STOBox社の提供するプラットフォームはDistributed Lab社によるものであることをTokenDのブロックチェーン技術をバックボーンにしているといったことが書いてあります。

そこで検索してみるとDistributed Lab社やTokenDの公式サイトらしきものが見つかります。

▼Distributed Lab (https://distributedlab.com/ )

▼TokenD (https://tokend.io/ )

これらのサイトにも連絡先情報が見当たりませんが、少なくともDistributed Lab社は右に示した公式Twitterアカウントのプロフィール欄によればウクライナの企業ということになっているようです。Facebookのアカウントにも何の説明もありませんがウクライナ第二の都市、ハルキウのGoogleマップが示されているようです。しかしそれ以上の連絡先情報は見当たりません。発行する仮想通貨に関する具体的情報もホワイトペーパーもやはり見つかりません。Distributed Lab社やTokenDについてはさらに脱線してしまうのでここではこれ以上掘り下げませんが情報開示が極めて限定されており、信用度を高く評価することは到底出来ません。

IVANBOLONIKHINのFacebookのアカウントにあった職歴はこれで全てですが、検索する他にもこの人物が関与している仮想通貨投資関係の企業が見つかってきました。それがCRYPTICS (クリプティクス cryptics.tech/ ) です。以下はこのVRYPTICSの公式サイト冒頭です。

英語、日本語を含む9か国語に対応していますが日本語訳に問題があり、日本語表示では書いてあることの意味がよく分かりません。例えば下のキャプに見える「暗号侵害率」という日本語訳は意味不明です。

英語版の記述ややはり英語版のホワイトペーパーを読むと仮想通貨の相場の動きを70%以上の制度で予測するAI (人工知能)を開発することに成功していて仮想通貨のプレICOに参加する形で出資するとAIによる運用によって資産が増えるということのようです。日本語表記を選ぶと

>Pre-ICOはすべての参加者のおかげで終了しました!

と書いてあるので投資の受け入れは既に終了しているのかもしれません。ちなみにこのクリプティクスの公式サイト、ホワイトペーパーあるいはTwitterのアカウントなど見ても連絡先情報が一切見つかりません。詳しく吟味していませんがとりあえず信用出来る案件かどうかかなり怪しいです。

そしてこのクリプティクスの公式サイトのTeam and advisory board (経営陣と顧問)として紹介されている20人以上の中にIVAN BOLONIKHINの名前と顔写真が出てきます (左下のキャプ)。さらにGOLDFINCH NETWORKという所属先と思われる名前とRadio Physics (電波物理学 ?)の修士学位を持っているとか20年の経験があるとか書いてあります。

ところがこのクリプティクスのサイトで日本語表記を選択するとIVAN BOLONIKHINの名前も写真も消えて代わりにユリー・チャバンという名前と顔写真が出てきます (右下のキャプ)。そしてこの人物の顔写真の下にラジオフィジックス、マスター、さらに「20年のコア経験」と英語版でIVAN BOLONIKHINの顔写真の下にあったのと似たような意味の文章が付いています。

これは意味が分かりません。また数年前までケーキ屋とか靴屋で働いていたはずのIVAN BOLONIKHINという人物が電波物理学で修士学位を持っているとか20年間の経験があるとか真実かどうか疑わざるを得ないような紹介文が付いていることには強い違和感があります。記されている情報が英語版と日本語版で異なっていること、連絡先情報が全く見つからないことなども考えるとこのクリプティクスという投資会社 (?)は全く信用する気になりません。そしてこの様な怪しげな案件に登場しているIVAN BOLONIKHINという人物についても信頼出来るような人物とは思えません。

詳しく説明するつもりはありませんがこれ以外にも人的、組織的繋がりがあると思われる仮想通貨関係の企業がかなりの数存在するようです。例えば以下はCRYPT ADVICE (www.cryptadvise.ch/) というサイトの冒頭部です。このサイトは1ページしかない情報量が非常に乏しいサイトで具体性には全く欠けていますがブロックチェーン技術関連のコンサルタント業務とか投資家に投資対象としての仮想通貨の評価を提供する投資顧問的な業務をやっているようなことが書いてあります。

そしてこのCRYPT ADVICE社の運営チームの一員として右のキャプに示したALENA YUDINAという女性がHead of Investor Relationsという肩書で紹介されています。この女性は上で取り上げましたがエスブロック社のFoundation MemberとしてIVAN BOLONIKHINらと並んで紹介されていた人物の1人です。

そしてこのCRYPT ADVICE社の所在地はスイスのツークという町になっています。スウェーデンにある (?)エスブロック社とスイスにあるというCRYPT ADVICE社に同じ女性が同時に勤務しているということがあるのか疑問を感じます。

これ以上数を増やしても仕方がないので以下は省略しますが、人的あるいは組織的に関連していると思われる仮想通貨関連の怪しげな企業は他にも存在するようです。一体何の為にこれほど多くの所在地さえ曖昧な企業が多数存在するのか全く分かりません。

次にこの案件の配当や勧誘報酬の条件などについて簡単に触れることにします。


この項目は未完成です。