検証50

このページでは以下の案件を検証しています。

●WEENZEE [WNZ token, ウィーンジートークン] (ウィーンジー weenzee.com/)
●株式会社K-Base (ケイベース www.kbase.co.jp/)
●CRYPTO TOWER (クリプトタワー crypto-tower.com)


まずWEENZEEという案件から検証します。

●WEENZEE [WNZ token, ウィーンジートークン] (ウィーンジー weenzee.com/)

これはYahoo知恵袋に出てきた質問によって知ることになった案件です。WEENZEE (ウィーンジー)は仮想通貨の名称でもあるようですが仮想通貨としての機能については殆ど説明も見当たらず単に高利回りの投資案件という印象です。以下のキャプが質問の冒頭部ですが仮想通貨を預けておくと月利30%という有り得ない高利回りが得られると称して投資勧誘が行われれているようです。

海外発、名目上は後述するようにイギリスが本拠になっている案件ですが公式サイトは以下のキャプに示すように不完全なものの日本語でも表示可能になっています。結論から言えば何年か前に流行して全て短期間で破綻してかなりの被害者が出たと思われるHYIP (High Yield Investment Program)と呼ばれるポンジースキーム (自転車操業)方式の詐欺に属する案件だと思われます。

最初に引用した知恵袋の質問の中に出てくるリンク先は削除されているあるいは登録しないと見ることが出来ないようなので「weenzee」を検索するとかなりの数の勧誘ブログ、勧誘サイトなどが見つかりました。以下に内容を確認したサイトについてまとめておきます。

ALIS: 日利1%のAI投資信託【Weenzee】とは?

ALIS: Weenzeeが詐欺かどうか、身銭切って確かめる。

FavoriteONE そうだ、会社を辞めて 旅に出よう

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これらの勧誘ブログ、勧誘サイトの多くには以下の様なURLアドレスの公式サイトへのリンクが用意されています。

https://weenzee.com/WR●●●●● (一部伏字)

最後の●●●●●●の伏字にした部分は勧誘者のIDと思われます。この案件はネズミ講方式の勧誘システムが採用されているようで、こういったリンクをクリックしてこの案件に参加すると勧誘者の子ネズミになる仕組みと思われます。リンクはしませんがTwitterには同様のリンクが付いた子ネズミ募集目的の投稿が多数あるようです。

公式サイトが日本語表示可能なこと、日本語での勧誘サイトやSNSでの投稿がかなり見つかることなどを反映してでしょうけどアクセス状況を解析出来るサイトで調べてみると右のキャプに示したように日本からのアクセスが訪問者の17.6%を占めていて国別訪問者の1位になっています。

別のアクセス解析サイトで見ると1日当たりの全世界からの訪問者が23000人程となっているので日本からの1日当たりの訪問者が4000人程とかなり多いようです。

検証の第一歩はまず連絡先情報ですが、Contactの項目にある連絡先情報は右のキャプにあるだけ、つまり住所だけで電話番号がありません。

>WEENZEE LTD

>Suite 17052 43 Bedford Street, London, England, WC2E 9HA

電話番号がないというのは明らかに危険信号です。

そして住所はイギリスのロンドンになっています。そこで社名からイギリスの法人登録を探すと確かに該当の住所にウィーンジー社の法人登録を確認することが出来ました 。法人登録の会社情報に関する部分を下のキャプに示しますが法人登録の日時 (Incorporated on の日時) は2018年11月23日とこの検証を書いている時点で法人登録から3ヵ月未満というかなり新しい会社であることが分かります。

さらに法人登録の経営者情報(以下のキャプ参照)を見ると登録されている経営者は1名のみでPAVLOVSKIS Mareksというラトビア国籍でラトビア在住の人物になっています。ちなみにラトビアは旧ソビエト連邦から独立したバルト三国の1つです。但しこの経営者についてラトビアの住所は明らかにされておらず、連絡先住所は会社の所在地と同じイギリス・ロンドンの住所になっています。そして驚いたのがこの経営者の生年月 (Date of Birth)です。2000年3月生まれとなっていますから現在18歳で日本ならばまだ高卒1年目ということになります。悪い冗談としか思えません。ちなみに公式サイトには経営者に関する情報は見当たりません。

一方で公式サイトにある経営者、運営者情報はFAQ (よくある質問)の項目の最初の項目にあるだけです。その部分を以下のキャプに示します。

活字が小さくなって非常に見にくいですが書き出すと以下の様になっています。

>WHO IS A DEVELOPER AND FOUNDER OF WEENZEE?

>We have gathered a Team of cryptocurrency Specialists, Professional Traders and Financiers with unique knowledge. They are from Singapore, countries of Central Asia, as well as specialists from Europe and the UK.

日本語訳すると「ウィーンジーの開発者、創設者は誰ですか?」という質問に対する答えは「我々は仮想通貨の専門家、プロのトレーダー、金融の専門家から成るチームであり、シンガポールを始めとするアジア諸国、欧州、イギリスの出身者が集まっている。」となっています。ラトビア在住のラトビア国籍の18歳の若者が1人で立ち上げたことになっている法人登録の情報と矛盾しているとしか思えません。

また会社の所在地となっているイギリス・ロンドンの住所も問題です。この住所をGoogle Street Viewで見ると左下のキャプに示したようにMAIL BOXES ETCという看板が掲げられていることが分かります。そしてMAIL BOXES ETCのサイトでこの住所に確かにMAIL BOXES ETCの拠点があることが確認出来ます (右下のキャプ)。

>43 Bedford Street, London, WC2E 9HA, England

名称から想像がつきますがこのMAIL BOXES ETCというのは私設私書箱を提供するバーチャルオフィス業者の様なものです。業務内容を見ると法人登録を代行するオフショア業務や郵便物を別住所に転送するようなサービスも行っているようです。ウィーンジー社の住所は「Suite 17052」から始まっていてSuiteは通常は部屋番号を意味しますがこの場合には部屋番号ではなく、私書箱番号を意味しているものと思われます。私書箱の住所であることを隠すためにSuiteと書いてあるとしか思えません。とにかくこの住所にウィーンジー社が実在するとは到底思えません。

運営元に関する信頼度は最低レベルと考えざるを得ませんが投資案件としての評価についても高い評価は厳しいです。まずウィーンジーの公式サイトを見てもどうやって利益を出すのか説明らしい説明が殆どありません。運用実績に関する情報も見つかりません。公式サイトの一部の内容は登録しないと見ることが出来ないようなので一般には公開されていないということなのかもしれませんが、投資していない人に情報公開がされていないのだとすればそれだけで非常に危険と判断せざるを得ません。

そこで既に登録した人が書いていることになっている勧誘サイトに何が書いてあるのかを見ると例えば「仮想通貨もう売っちゃたの?」というサイトには以下の様な記述があります。

>自動アービトラージ系のHYIPで、最低利率の30日プランでも平均日利0.77%(月利約23%)を誇っているバケモノ高配当案件です。360日間プランだと月利31%

またFavoriteOneという勧誘サイトの投稿では類似のアービトラージ案件ということで「検証47」で取り上げたアービタオという案件と比較して以下の様な比較表が掲示されています。

ウィーンジーが仮想通貨のアービトラージ取引で利益を出すものだとすればこれまで検証してきた同様に仮想通貨のアービトラージ取引で利益を出すというアービタオの様な案件で指摘してきた問題点、疑問点がこのウィーンジーでも指摘されることになるでしょう。要するに取引出来高が為替相場などと比較して格段に少ない仮想通貨取引のアービトラージ取引で実際に毎日0.5%とか1%といった非常に高い利回りを実現することが果たして可能かどうかという問題です。これまで繰り返してきたのと同じ論議を繰り返すつもりはありませんが、出来高が小さい、板が薄いで仮想通貨市場で特に多くの投資家から資金を募って巨額の資金を動かすなんておよそ実際的ではないと思います。板の薄い市場で大きな資金を動かしたら自らの注文で相場を動かしてしまい、わずかな市場間の価格差なんて簡単に埋まってしまうことが確実だからです。

さらに仮想通貨市場ではスプレッド (事実上の取引手数料)が高く、高額のスプレッドを埋めるほどに市場間の価格の歪みがどれほど発生するかはかなり疑問ですし、市場から市場に資金を移動するのにかなりの時間が掛かる上に送金手数料も決して無視出来ません。多くの市場に資金を用意すれば運用効率が下がります。結局不特定多数の投資家からかなり大きな資金を集め、仮想通貨のアービトラージ取引で大きな利回りを叩き出すなんて非現実的としか思えません。

さらにこの案件で分からないのがWNZトークンという独自の仮想通貨の存在意義です。少し長くなりますがこのWNZトークンに関する説明を勧誘サイトの1つから以下に抜粋します。

WNZトークンは米ドルとの相場が固定されたドルペッグの仮想通貨であるとなっており、仮想通貨の相場が下落しても損失を抑えられるという説明になっています。しかしこの説明には全く納得出来ません。アービトラージ取引というのは複数の市場での相場を比較し、高い市場で売ると同時に安い市場で買うことによって利益を出す取引です。常に買いポジションと売りポジションの量が同じなのですからポジションを保有している間に仮想通貨の相場が下落しようとも損失が発生するはずがありません。しかもWNZトークンという独自の仮想通貨が多くの仮想通貨市場に上場されているとは思えませんから、価格差が発生するまで各市場に待機させておく資金をWNZトークンの形で保有するなんて出来るはずがありません。一体WNZトークンが取引出来る市場は幾つあるというのでしょうか?しかもドルペッグの仮想通貨はTether (USDT)など既に複数存在しているはずです。既存の既に多くの市場に上場されているドルペッグ仮想通貨を使う方がよほど実際的としか思えません。またWNZトークンについてはホワイトペーパーさえ存在していないようで決済手段として普及させるつもりは全く無いようです。これでは仮想通貨と呼ぶことさえ適当ではないように思います。単にウィーンジーのシステムの中でのみ使えるポイントのようなものでしょう。

さらにこの案件では他のHYIPと呼ばれた案件と同様にネズミ講方式での勧誘システムが使われているようです。つまり誰かを勧誘すれば勧誘報酬が支払われる仕組みになっており、詳しく調べる気にもなりませんがさらに多くの人数に多くの投資をさせることに成功すれば報酬が高くなるようです。以下の表は公式サイトにあるネズミ講方式の勧誘報酬の説明の為と思われる表の一部です (実際には8段階ある階級のランクの低い方から4つの階級の部分を抜粋)。投資額とか勧誘した人数などで勧誘報酬のランクが上昇するシステムになっている、まさにこの手のHYIP案件で見るシステムの典型だと思います。

そしてこの様な案件で何度も指摘していますが、高額の勧誘報酬を出せば実際に運用に回り資金が大きく減ります。勧誘報酬を考慮に入れなくても相当に無理がある運用利回りが提示されているのに勧誘報酬で最初から失われる部分を埋め合わせてさらに高い配当を支払うなんてますます非現実的とは思えません。

運営者の信頼性、ビジネスモデルなど総合的に判断してこの案件は全く信用出来ません。いわゆるポンジースキーム方式の詐欺である疑いが極めて濃いです。そして既に紹介したこの案件の勧誘サイトでさえがこの案件をHYIPと呼び、短期間で破綻する可能性があることを認めている場合が多いです。破綻する前に逃げきれば儲かる可能性があるといった主張になっているのです。自分だけ逃げきれば自分が勧誘した人がどうなろうと知ったことではないということなのでしょうが、詐欺を分かっていながら勧誘するなんて犯罪行為にも等しいでしょう。投資は絶対に避けるべきと結論します。

●株式会社K-Base (ケイベース www.kbase.co.jp/)
●CRYPTO TOWER (クリプトタワー crypto-tower.com)

これはYahoo知恵袋に質問が出てきたことで検証することにした案件です。仮想通貨取引所を設立する投資を募っているようです。調べてみると取引所独自の仮想通貨を発行する計画などもあるようです。

この質問で説明会の資料とされていたPDFファイルというのは以下のURLアドレスにあるようです。以下の検証ではこのファイルを「プレゼン資料1」と呼びます。

http://www.kbase.co.jp/assets/pdf/pdf_01.pdf

さらに検索していて気が付きましたが内容が一部重複するプレゼン資料のPDFファイルがもう1つ存在するようです。こちらを以下の検証では「プレゼン資料2」と呼ぶことにします。

http://www.kbase.co.jp/assets/pdf/pdf_03.pdf

さらに申し込み代行依頼書というPDFファイルが確認されました。

http://www.kbase.co.jp/assets/pdf/pdf_02.pdf

2つのプレゼン資料を紹介しましたがこれらはホワイトペーパーの様なものではなくまさにプレゼン資料であり、キーワードと図表が並んでいるだけなので具体的な点についてはあまり詳しいことは分かりません。しかし表題の2つのサイト、K-Base (ケイベース)とCRYPTO TOWER (クリプトタワー)で公開されている情報も極めて限られており、他に参考になりそうな資料も見つからないのでこれらのプレゼン資料を検証材料の中心にせざるを得ません。

まずこの案件で登場する会社 (法人)を整理しておきます。以下の2つのキャプはそれぞれ「プレゼン資料1」の28ページ、39ページからのキャプです。

4つの法人についてそれぞれこの案件における役割や会社情報などを説明します。

最初のCrtpto Towerは分散型暗号通貨取引所となっていてこの案件の中心的な存在のはずです。しかし表題にも掲げた公式サイト (crypto-tower.com/) にある情報は非常に限られています。分散型ということを反映しているのかもしれませんが、連絡先住所さえありません。但しサイトを見ると下のキャプに示したようにサイトの冒頭部の背景にはシンガポールの夜景が使われており、シンガポールに本拠があることが示唆されているように思います。下のキャプの左端にあるのはシンガポールのランドマークとして知られるマリーナベイ・サンズ(Marina Bay Sands)という有名な高級ホテルでしょう。

しかしこのクリプトタワーのサイトには違和感を感じる部分があります。まずログインすれば見ることが出来る情報も増えるのかもしれませんが、少なくともログインしない状況では仮想通貨取引所のサイトならば当然見られるはずの扱っている仮想通貨のリストとか、それらの相場などに関する情報が全く見当たりません。経営者情報もありません。仮想通貨取引所のサイトらしき雰囲気は全く感じません。

またクリプトタワーのサイトは基本的に英語だけで書かれています。シンガポールは中国語、英語、マレー語、タミル語の4つの公用語がある国であり、クリプトタワーがシンガポールを本拠にしているならば少なくとも最も第一言語としている人の割合が多い中国語での表記が出来ないことには違和感があります。また言語表記について言えば、検索で発見したのですが、クリプトタワーのサイトのトップページからリンクの無いページ (crypto-tower.com/crypt/) が右のキャプに示したように日本語表記になっています。

さらに最も違和感を感じるのはこの案件はこのクリプトタワーという仮想通貨取引所への出資を呼び掛ける投資案件のはずなのにクリプトタワーのサイトの何処にも投資に関する情報が見当たらないことです。この取引所への投資に関する情報は日本語で書かれたものしか見当たらないのです。

さらに以下のキャプはクリプトタワーのサイトのWho Is情報ですがドメインネームの取得にGMOインターネット、お名前ドットコムという明らかに日本の業者が使われていることが分かります。シンガポールの企業がドメインネームの取得に日本の業者を使うことが絶対にないとは言いませんが相当に違和感を感じます。このクリプトタワーの実際の運営者は日本のグループであるとしか思えません。

クリプトタワーの運営元が実際には日本のグループではないかという疑いについて書きましたが、プレゼン資料1の19ページには以下のキャプに示したようにクリプトタワーの運営会社はEIGHT BLOCKCHAIN PLATFORMというシンガポールの会社であると書かれています。上で紹介したこの案件に関わる4つの法人の2つ目に出てきていたEIGHT PTE.LTDと同じ法人かと思われます。住所とYU, CHIN-YUNというCEOの名前も記されています。

しかしこのEIGHT BLOCKCHAIN PLATFORM、あるいは EIGHT PTE.LTDという法人について検索してみましたが、それらしきサイトや情報が全く出てきません。クリプトタワーのサイトにも運営者であるはずのEight社に関する情報は全く見当たりません。さらに上のキャプに出てきたシンガポールの住所について検索してみましたが、この住所は以下の2つのバーチャルオフィス業者の拠点の住所と似ていることが分かりました。

The Executive Centre

住所:Six Battery Road, Singapore 049909

電話番号:+65 6232 2777

SERVCORP

住所:Singapore, Six Battery Road, 6 Battery Road Level 30

電話番号:+65 6550 9888

仮想通貨取引所の運営を担う会社が公式サイトを開設していないということはおよそ考えにくいですし。クリプトタワーのサイトに運営企業に関する情報が全く見当たらないのは異様としか思えません。さらに住所がバーチャルオフィス業者の住所となればEight社が実体の無い幽霊企業である可能性も疑わざるを得ません。

クリプトタワーの運営元に関しては2つのプレゼン資料のPDFファイルと並んでケイベースのサイトにアップされていた「申し込み代行依頼書」の中に矛盾するとも思える記述があります。以下がその「申し込み代行依頼書」の末尾の部分です。取引所運営会社はGOLDEX SINGAPORE PTE.LTDとなっていてその社名に添えられた「SIX BATTERY ROAD, 6 BATTERY ROAD, SINGAPORE」という住所はプレゼン資料の中に「EIGHT BLOCKCHAIN PLATFORM」の住所として登場していた住所と酷似しています。

そしてこのGOLDEX SINGAPORE PTE.LTDについては下のキャプに示したように同じ「申し込み代行依頼書」の中にURLアドレス (https://goldex-sgp.site) が明示されています。

早速ここに示されているGOLDEX SINGAPORE PTE.LTDのURLアドレスにアクセスしてみましたがサイトが存在しないあるいは閉鎖されているようです。そこでさらに検索してみるとGOLDEX SINGAPOREというシンガポールの会社ではなくGOLDEX株式会社という日本の会社のサイト (www.goldex.jp/) に以下のキャプに示した告知を見つけました。

>2019年2月5日

>CRYPTO TOWER運営に関する告知

>最近、弊社に対し、株式会社K-base様の募集代行事業クリプトファウンダーに関するお問い合わせが急増しております。弊社は、シンガポール法人EIGHT GATE社様より依頼を受け、CRYPTO TOWERのシステム開発及び保守管理を担っているシステム開発会社であり、K-base様も一取引先企業様であり、募集事業には一切関与しておりません。今後は弊社に対するお問い合わせのご連絡はお控えいただきますよう、よろしくお願いします。

「シンガポール法人EIGHT GATE社」から依頼を受けてクリプトタワーのシステム開発及び保守管理を担っている、ケイベース社も一取引先であると書いてあって問い合わせについて迷惑しているような雰囲気が感じられます。ともあれこのGOLDEX株式会社という日本の会社がクリプトタワーの運営に参加していることは間違いないようですし、ケイベース社が取引先となっていることは注目に値します。ケイベースは如何なる業務をGOLDEX社に依頼しているのでしょうか?

プレゼン資料ではクリプトタワーの運営元でされているEIGHT BLOCKCHAIN PLATFORM、あるいは EIGHT PTE.LTDという法人に関する情報が全く見つからないことを考え併せるとケイベース社が実質的にはクリプトタワーの運営元であることを意味するのではないかと考えざるを得ません。

ちなみにGOLDEX株式会社は日本の会社であると書きましたが所在地は以下のキャプにあるように東京都品川区東品川になっています。後述しますがケイベース社の住所は東京都品川区北品川ですから決して遠くはありません。

GOLDEX社のサイトを見てもシンガポールにGOLDEX社の支社とか関連企業があるといった記述は見当たらないのでクリプトタワーの運営会社がGOLDEX SINGAPOREになっていたことには疑問、違和感を感じざるを得ません。

この案件に関与していることになっている4つの法人の3つ目がCRYPTEX FZEという法人です。プレゼン資料では「グローバルポートフォリオ運営・配当金支給」の役割を担っていることになっています。しかしこの法人に関する情報はEIGHT BLOCKCHAIN PLATFORM、あるいは EIGHT PTE.LTDという法人と同様に非常に限られており、検索しても公式サイトらしきものが見つかりません。プレゼン資料にあるのは右のキャプに示したように社名と不完全と思われる中東・ドバイの住所だけで電話番号もメールアドレスも公式サイトへのリンクもありません。

この住所はUAE (アラブ首長国連邦) という国名、ドバイという都市名、そしてJEBEL ALI FREE ZONE (ジュベル・アリ・フリーゾーン) というドバイの経済特区の名前だけで終わっています。明らかに住所として不完全です。

また右のキャプで住所の下にある会議室らしき部屋の画像が気になったので画像検索してみるとこの画像はネット上に多数存在していることが判明しました。例えば以下のキャプは「ビバ!Linux」というパソコン関係のサイトからのキャプですが同じ画像が使われていることは間違いないでしょう。おそらくこれは著作権フリー素材画像の類と思われ、ドバイのCRYPTEX社の会議室の画像ではありません。

プレゼン資料によればCRYPTEX FZEは投資を募集し、配当金を分配する業務を担っているはずです。だとすればCRYPTEX FZEに公式サイトが存在しないということは非常に考えづらいでしょう。シンガポールに本拠のある仮想通貨取引所への投資ですし、CRYPTEX FZEはドバイの会社なのですから日本以外で投資を募っていないと考えるのは著しく不合理です。しかしCRYPTEX FZEについて検索しても全く公式サイトが確認出来ず、リンクも見当たらない、プレゼン資料に掲載されている情報も非常に限定されているというのは異様です。

実はこの案件についてはSNSでも勧誘が行われているようです。以下の2つのキャプはTwitterでの勧誘の例です。

特急営業マンの小遣稼ぎ (投稿日:2019/02/16)

えどまる (投稿日:2019/02/21)

これらのTwitterの勧誘投稿には以下の様なアフィリエイトリンクが付いています。

https://eightfounder.com/member/register/?r=●●●●●● (アフィリエイターのIDと思われる部分を伏字)

そしてこのアフィリエイトリンクの先は以下のキャプに示すようなログイン画面だけのサイトになっています。

一番上にCRYPTEXと書いてあるのでこれがCRYPTEXの公式サイトに繋がっているのかとも思いましたがこのURLにはこのログイン画面以上のものが見つかりません。ログインすれば見られる画面があることは予期されますが、投資を募集し、配当金を分配する業務を担っているはずなのにログインしないで見られる情報がログイン画面だけというのは異様です。またこのサイトのWho Is情報を見ると (以下のキャプ参照)クリプトタワーのサイトと同様にドメインネームの取得先などとしてGMOインターネットとかお名前ドットコムといった日本の業者が登場しています。

さらにAlexaというサイトでアクセス状況を見るとアクセスの100%が日本からという結果が出ます。これはとてもではありませんがドバイの会社のサイトとは思えません。日本人が日本人の為に開設したサイトでしょう。

結局、CRYPTEX FZEについてもEIGHT BLOCKCHAIN PLATFORM、あるいは EIGHT PTE.LTDという法人の場合と同様に公式サイトらしき公式サイトは確認出来ませんし、所在地情報なども極めて曖昧、海外で本当に業務を行っていると考えられる様子も確認出来ないということになり、幽霊法人である可能性を疑わざるを得ません。

この案件に関与する4つの法人の最後が日本での投資受入れの窓口、申請代行の役割を担うとされている株式会社 K-Base (ケイベース)です。まず連絡先情報ですが以下の会社概要によれば住所は東京都品川区北品川になっています。この住所は不動産屋の情報サイトによればミッドサザン・レジデンス御殿山という高層マンションの一室のようです。電話番号は会社概要にはありませんがトップページのお問い合わせの項目に記載されています。

法人名と住所から法人登録を探すと以下のキャプの様になっています。法人登録は平成27年 (2015年) 10月で法人登録半年後に社名の変更が行われており、住所も佐賀県鳥栖市 → 福岡県福岡市 → 現在の東京都品川区と2回変更になっています。2度目の転居は平成30年12月14日ですからつい最近のことです。

そしてケイベースの事業内容ですがホームページに行ってみると海外事業部と称してコンサルティング、外貨両替システム販売、偽札検知器販売を行っていることになっています。但し例えば偽札検知器を販売しているとなっていてもどんな機種を幾らで販売しているのかなど具体的な情報は何も見当たりません。

また株式会社K-Baseについて検索すると以下の様な検索結果が出てきます。サイトのタイトルが居酒屋・バル「八幡や」札幌店、葉山店となっており、さらにサイトの説明部分に

>北海道食材専門店として居酒屋・バル「八幡や」を札幌店、葉山店の運営

と書いてあります。

検索するとこの「八幡や」の葉山店に関する情報がトリップアドバイザーという旅行関係の口コミサイトに見つかりました。但しこのトリップアドバイザーの記事に「八幡や」の公式サイトへのリンク (http://www.8youya.com/hayama/) があったのでクリックしてみましたが既に閉鎖されているようです。この住所をGoogle Street Viewで見ると撮影日の2017年11月の時点では確かに「八幡や」が確認出来ますが、おそらく現在は店舗も閉鎖されているのではないかと思われます。

ケイベース社は法人登録によれば佐賀県鳥栖市 → 福岡県福岡市 → 東京都品川区と本拠を移してきた会社のはずなので飲食店を札幌と神奈川県の葉山で営んでいたという点、あるいは元々九州に本拠のあった会社が北海道食材専門店として飲食店を営んでいたという経緯には若干の違和感を感じます。また元々飲食店事業をやっていた企業が仮想通貨交換所への投資受入れの役割を担うことにも疑問があります。投資名目で不特定多数から資金を受け入れるならば金融商品取引業者の登録が必要、無登録で行えば出資法違反の可能性ありということになるのではないかと思われます。

そしてケイベース社の公式サイトにあるクリプトタワー関連の記述は先に紹介した2つのプレゼン資料と申込書の3つのPDFファイルを除けば以下のキャプに見えるQRコードと短い説明だけです。

>仮想通貨取引所 (CRYPTO TOWER) のファウンダー募集の日本申請手続き代行を弊社で受け付けています。

>詳細は「CRYPTO TOWER」サイトにてご確認ください。

「詳細はこちら」という上のキャプの左下にあるリンクは「プレゼン資料2」に繋がっています。

そこでこのプレゼン資料の中身、投資対象としてのクリプトタワーという仮想通貨交換所について以下で検証します。まず以下が「プレゼン資料1」の1ページ目です。

この1ページ目を見るとEIGHT PTE LTDがこのプレゼン資料をまとめたということになっているのかもしれませんが、既に上で書いたようにEight社はシンガポールの会社のはずですから日本語のプレゼン資料を作るとは思えません。またそもそもEight社は実在を確認出来ない、幽霊会社ではないかと疑われるような存在です。このプレゼン資料に対応する英語版とか中国語版のプレゼン資料といったものも見つかりません。実際にこのプレゼン資料をEight社が作成しているかどうかは疑問です。

「プレゼン資料」2ページ目にはご挨拶という項目があります (右のキャプ参照)。これによれば分散型取引所は既に2018年11月にオープンしたことになっています。しかし既に指摘したようにクリプトタワーのサイトはアクセスしてみても仮想通貨が活発に取引されているような様子は全く感じられません。どんな仮想通貨を上場しているのかさえ分かりません。実際にアクセス状況を解析出来るCuteStat.comというサイトで解析してみるとアクセス数は極めて少なく、1日当たりの訪問者数が算出出来ないという結果が出てきます。本当にこれが既に稼働中の取引所なのでしょうか?

さらに続く部分で口座開設、お預入れだけでなくICO上場などを推奨しています。日本で積極的に顧客を勧誘するならば日本の金融庁に仮想通貨交換業者の登録が必要なはずですが、クリプトタワーは金融庁のサイトにある仮想通貨交換業者の登録リストに該当がありません。この点はクリプトタワーのサイトが英語表記にしか対応していない (日本語には非対応である) ことだけで問題にならないと考えているのでしょうか?

「プレゼン資料1」の25ページには取り扱い暗号通貨としてビットコインとイーサリアムの2種に加え基軸通貨と称してこの取引所独自と思われるEightcoin (オープンコイン)が挙げられています。さらに将来的にはビットコインキャッシュなど70種類以上を随時追加するともあります (下のキャプ参照)。

ここでこの取引所独自の基軸通貨、Eightcoin (オープンコイン)の意義が分かりません。何しろプレゼン資料に確認出来るだけでホワイトペーパーはおろか、これ以上の説明が何もないのですが同じプレゼン資料の次のページ (26ページ)を見ると以下のキャプの様にオープンコインを基軸通貨の様に使う予定のようです。

しかし仮想通貨の取引では圧倒的に普及しているビットコインが基軸通貨的な役割を十分に果たしていると思われますし、ドルなどの法定通貨も基軸通貨的な役割を果たせるはずです。さらにはドルとの交換レートが固定されたドルペッグの仮想通貨も複数存在しています。この案件のオープンコインシステムの必要性には説得力を感じません。

この案件への投資をエイトファウンダー登録と呼んでいるようです。そして投資は1口1200ドルのようです。

そして1口=1200ドルの投資をするとトランザクションフィーの0.001%の配当が付与されるとあります。最大1万口の投資を集めるとなっており、総額は1200万ドル、1ドル=110円とすると13億2000万円の資金が集まることになります。そして既にオープンしているはずのクリプトタワーという仮想通貨取引所では取引高の5%の手数料収入が得られるとなっており、出来高を500万ドル~5000万ドルの範囲で想定した場合の配当の予測額をまとめたのが以下の表ということになるようです。

取引所の出来高が1日当たり500万ドルならば1に当たりの配当が2.5ドル、年間では900ドルの配当となり、1200ドルの出資額に対して年利回りが75%ということになります。さらに取引所の出来高が5000万ドルに達すれば年間配当が9000ドル、年利回りは750%ということになるようです。

しかし本当にこんな驚異的な高利回りが現実的に得られるものでしょうか?またそんなに驚異的な利回りが得られるのならばどうして自分で金融機関から妥当な利回りで資金を借り入れて自分の利益を増やさないのでしょうか?どうも経済的な合理性が欠けているとしか思えません。

既に指摘したようにクリプトタワーという仮想通貨交換所は既に稼働中ということになっていても実際に取引が行われているかどうかも確認出来ず、サイトへのアクセス数も明確な数字が出ないほど少ないという状況です。CoinMarketCapという仮想通貨関連の情報サイトには通貨取引所の出来高ランキングがあり、241の仮想通貨取引所がリストされていますがそれらの中にクリプトタワーは入っていません。仮想通貨取引所として認められてもいない状況から1日の出来高が500万ドル、5000万ドルといったレベルの取引所になれる可能性がどれほどあるのでしょうか?そもそもクリプトタワーあるいはその運営元であるとされるEIGHT PTE.LTDは実体が本当にあるのでしょうか?

さらにケイペースの提供する投資案件はこれだけではないようです。プレゼン資料1の54ページには仮想通貨のレンディング投資に関する説明が出てきます。暗号通貨を借りたい人と貸したい人の仲介をクリプトタワーが行い、貸し手は年利3.0~10.0%の利息を得られるとあります。

さらにこの借り手というのがイメージしにくかったのですが、「プレゼン資料1」の続きを見ていくと56ページ、57ページに太陽光ファンドレンディング、インドネシア不動産レンディングというものが出てきます。それぞれ予定年利が7.0%、6.0%となっています。

どうやら借り手は仮想通貨建てで借金をしてそれを太陽光発電やインドネシアの不動産投資に充てるという説明のようですがこの説明には納得出来ません。仮想通貨建てで借金したら仮想通貨が値上がりした場合に借り手にとっては返済額が大幅に膨らんで大打撃になるはずです。2017年末の様な仮想通貨バブルが来てしまったら明らかに太陽光発電とか不動産への投資が破綻します。マトモな投資ならこんなに大きなリスクを受け入れるはずがありません。非現実的な投資案件としか思えません。またこういった案件を募集するならば徹底した情報開示とか金融商品取引業者の登録も必要でしょう。信頼性や合法性に再び問題があるようにしか思えません。

最後に「プレゼン資料2」にのみある勧誘報酬のシステムについてです。以下の2つのキャプは「プレゼン資料2」の36ページ目、37ページ目です。

これ以上詳しい説明が何処にもないのですがおそらく勧誘した子ネズミの数などの条件を満たすことによって最低のファウンダーから50ファウンダー、100ファウンダー、200ファウンダー、最上位の300ファウンダーとランクが上昇してランクが上昇すれば受け取れる配当が上昇していくというシステムを説明しているものと考えられます。最上位の300ファウンダーになると最下位の単なるファウンダーの倍の配当利回り (20%) が適用されるように解釈出来るようです。

いわゆるネズミ講防止法に照らして違法かどうかの判断はしませんが、こうした勧誘報酬を支払う原資は何処から来るのか考えるとさらに危険な臭いがします。高額の勧誘報酬を出せば案件自体が短期間で破綻してしまう可能性が高くなるのは間違いありません。

総合的に判断してこの案件には多様な問題点があると思います。情報開示は不充分不適切、海外の関係法人は実在さえ確実とは思えず、実際に活動しているかどうか極めて疑問であり、当然案件が実際に事業として成功する可能性も疑わしく感じられます。さらに分散型取引所であることや海外を拠点としていることを言い訳にしているように思われますが仮想通貨取引所を稼働するのに際して少なくとも日本の仮想通貨交換業者の登録は得ておらず、ライセンス関係については何も情報がありません。

そして実在が確実なのは検証した関係4法人の中で日本で投資を募るという極めて限定的な役割しか担っていないはずの日本のケイベース社だけです。海外の案件のはずなのに海外では投資を募集している様子さえありません。クリプトタワーというこの案件の中心となる取引所でさえドメインネームが日本の業者で取得されていること、アクセスが非常に少ないこと、取引所として活動している確証がないことなど考えると実際には幻に近い存在であり、この案件で実在しているのはケイベース社だけではないかと疑いたくなります。

そもそもそれほど事業として大きな利益が得られる見込みがあるならば異様に高い配当利回りが可能であるとして小口の資金を集めるよりも銀行などの金融機関から資金を借り入れるなどして資金を調達するのが遥かに合理的でしょう。金融商品取引業者の登録が確認出来ないのに投資名目で出資を集めれば出資法違反の可能性が出てきますし、ネズミ講方式での投資勧誘についても合法性に疑問があります。

全体的に粗雑としか言い様のないほど問題点だらけの案件であり、これでは最悪の場合、事業は全く進展せずにそのまま破綻という可能性だってあるでしょう。投資は絶対に推奨出来ないという結論にならざるを得ません。