検証39

このページではD-ZONE COIN (D-ゾーンコイン)、Firop (フィロップ)、AIEトークン、AISトークンという4つのアルトコインに関係する以下のサイトを検証しています。

●Dream-Pay ICO [D-ZONE COIN (D-ゾーンコイン)] (ドリームペイICO dreampay.jp/dzoneico/)
●Global Dream Japan (グローバルドリームジャパン gdj-pay.jp/)
●DreamNida (ドリームニダ dreamnida.com/)
●Firop(フィロップ firop-exchange.com/jp/)
●Exchange Ambassador [AIE トークン] (エクスチェンジアンバサダー ea-y.net/lp/2rfjl/)
●AIS [AIS Token] (ais-x.io/)
●AIS-X (ais-ex.com/)


D-ゾーンコインの検証から始めます。

●Dream-Pay ICO [D-ZONE COIN (D-ゾーンコイン)] (ドリームペイICO dreampay.jp/dzoneico/)
●Global Dream Japan (グローバルドリームジャパン gdj-pay.jp/)
●DreamNida (ドリームニダ dreamnida.com/)

この項目はYahoo知恵袋の質問への回答として書いたものです。

検索してみるとTwitterに日本の公式アカウント(twitter.com/dzonecoin)と思われるものがあって宣伝投稿が繰り返されていることも分かりました。この検証を書いている時点では以下のキャプに示す2018年5月23日付の投稿など見るとICOに先立って投資勧誘を目的に少額のコインの無料配布(エアドロップ)を行っている段階のようです。

>ご紹介者様のコイン配布につきましてはご紹介人数に応じて報酬額が変動いたしますので、明日、改めて発表させて頂きます!乞うご期待下さい。

といった文章があるので誰かを勧誘して登録させると報酬としてコインが貰えるというネズミ講的な勧誘が行われているようです。

さらにD-ZONE Coinで検索すると@Press社からプレスリリース記事が2本見つかりました。

ブロックチェーン技術利用の決済サービス“Dream-Pay”日本上陸! 仮想通貨との連動で、収益性・利便性・安全性が飛躍的に向上

配信日:2018.05.15 16:00

発信者:Global Dream Japan 株式会社

韓国発の仮想通貨D-ZONE COINが 5月26日 20:00~最大級の“Final”AirDropを実施!

配信日:2018.05.24 15:00

発信者:Global Dream Japan 株式会社

一連の検証で何度か同じ様なことを書いていますが、プレスリリース記事は発信者は有料で掲載を依頼する記事であり、記事の内容は第三者の取材によるものではありません。ちなみにこのプレスリリース記事が掲載されている@Press社では料金体系を見ると1配信当たり3万円からのお金が掛かるようです。

そしてこれらのプレスリリース記事にはD-ゾーンコインは韓国の企業(ドリームニダ社)が開発した仮想通貨であり、既に韓国では決済手段として普及しつつあるが今回日本でも展開するに当たって無料で少額の仮想通貨を配布するエアードロップ、さらに近いうちにICOを行うといったことが書いてあり、表題のサイトへのリンクが記されていました。表題の3つのサイトはそれぞれ、日本でのICO担当、日本での決済システム担当、仮想通貨を開発した韓国の企業のサイトということになります。

まず日本での事業を担当しているのがグローバルドリームジャパンという会社のようですがその連絡先情報は表題の2番目のサイトの会社概要にあるようです。住所は福岡ですが電話番号がありません。

さらに会社の設立が2018年5月と極めて最近であることが気になります。法人登録を調べると法人番号指定日は2018年5月17日となっています。

>法人番号 4290001081528

>商号又は名称 グローバルドリームジャパン株式会社

>商号又は名称(フリガナ) グローバルドリームジャパン

>本店又は主たる事務所の所在地 福岡県福岡市博多区博多駅東2丁目8番26-702号

>最終更新年月日 平成30年5月22日

>法人番号指定年月日 平成30年5月17日

プレスリリース記事の1本目の配信日が2018年5月15日ですから最初のプレスリリース記事が配信された時点では法人登録も完了していなかったことになります。実績は皆無の企業であるということになると思います。

ちなみに代表取締役となっている辻川智也という人名で検索するとそれらしき人物のLinked Inのアカウントが見つかります。肩書は株式会社インフォランナー・専務取締役となっています。

このインフォランナーという企業について検索してみるとそれらしきサイト (info-runner.com/)が見つかります。このインフォランナーという企業の連絡先情報は以下のようになっています。住所はグローバルドリームジャパンの住所と酷似していますからインフォランナーとグローバルドリームジャパンは事実上同じ会社でしょう。

ちなみにインフォランナーの業務内容として以下の様な項目が挙げられています(一部抜粋)。

>売れるホームページ制作

>ホームページ管理・保守

>SEO対策

>システム・プログラム構築

>企画・コンサルティング

>各種印刷物デザイン・制作

インフォランナーのサイトを見てもSEO対策(検索した時に上位に表示されることを狙う対策)などに注力している会社と思われ、金融関係の経験、実績があるとは思えません。またこのインフォランナーについては法人登録が見つかりません。

そしてグローバルドリームジャパンの会社情報にも「事業内容」として27もの項目が挙げられています。これも事業内容の一部を抜粋します。

一連の検証で何度も出ているように「仮想通貨の取引所運営」とか「仮想通貨の仲介」といった業務は日本では金融庁に仮想通貨交換業者の登録が必要な業務であるはずです。そして表題の最初に挙げたD-ゾーンコインICOのサイトプレスリリース記事によればICOは2018年6月1日に開始となっています。

>■D-ZONE COIN スケジュール

>【“Final”AirDrop】 2018年5月26日~(上限人数1万5千人)

>【パブリックICO】 2018年6月 1日~2018年6月7日

>【パブリックICO2】 2018年6月14日~2018年6月21日

>【ICO 3st FINAL】 2018年6月28日~2018年7月4日

2018年5月17日に法人登録したばかりの企業が2018年6月1日までに金融庁から仮想通貨交換業者の登録を得られるとは到底思えません。特にグローバルドリームジャパンと一体と思われるインフォランナーという企業はSEO対策などを専門とする会社と思われ、金融関係の経験や実績が豊富とは思えませんから登録が簡単に得られるとは思えません。言うまでもありませんが登録を得ずに仲介を行えば違法行為になるはずです。

またD-ゾーンコインについてはICOが開始される3日前の現在に至ってもホワイトペーパーが公開されていません。D-ゾーンコインICOのサイトには右のキャプに示すように「ホワイトペーパー」および「The Dream Pay 資料」へのリンクがあるように見えるのですが実際にはリンクが繋がっているのは「資料」の方だけでホワイトペーパーへのリンクはこのICOのサイト自体に繋がっていて何の意味もない状態になっています。ICO開始3日前になってもホワイトペーパーが公開されていないのというのは明らかに問題です。そもそもこの仮想通貨は韓国では既に使われている仮想通貨ということになっています。例えばプレスリリース記事には以下の様な文章があります。

>■Dream-Payとは

>Dream-Payとは、ブロックチェーンの技術を応用した新たな決済システムで2018年3月には、韓国のブロックチェーン産業部門で大賞を受賞した注目のICO案件です。

>韓国ではすでにサービスを開始しており、加盟店を拡大しています。

既に韓国で決済手段として使われているのならばそれを日本で公開することをICOと言えるのか疑問に思いますし、一体韓国では幾らで取引されているのか(どれほどの市場価値を持っているのか)を示すべきでしょう。ちなみに1000を超える仮想通貨の相場情報をまとめているCoinMarketCapというサイトでD-Zone Coinを検索してみましたが該当がありません。この仮想通貨が韓国で決済手段として使われているのかを確認しようとしましたがそれらしき情報は全く見つからないのです。ともかく韓国では既に決済手段として使われているはずの仮想通貨のホワイトペーパーが未だに存在していないという状態には強い違和感を感じざるを得ません。

表題の3番目に挙げた韓国でD-ゾーンコインを運営しているというドリームニダのサイトについてもかなり違和感を感じる部分があります。まず連絡先情報は以下のようになっています。

まずメールアドレス(thedreampay@gmail)はフリーのgmailのメールアドレスです。マトモな会社がフリーのメールアドレスを使うなんて有り得ません。またドリームニダへのアクセス状況を解析出来るサイトで見ると1日当たりの訪問者数は約30人、ページビューが60回しかありません。

ちなみにドリームニダのサイトで英語表記を選択すると酷似したInnochaingeという別のサイト(innochainge.net/index)に飛ぶようですが、こちらへのアクセス数はさらに少なく検出限界以下(殆どゼロ)のようです。

そしてこのInnochainge (ドリームニダ英語版サイト)にあるOur Historyという項目から一部を抜粋します。

2017.9.12 Dreamnida.Inc. Block-chain research lab approval, launch

2017.11 The 1st pre ICO briefing session for "The Dreampay"

2017.12 The 2nd pre ICO briefing session for "The Dreampay"

2018.2 The 3rd pre ICO briefing session for "The Dreampay"

2017年9月12日にドリームニダ社が設立され、2017年の11月、12月、そして2018年の2月にpre ICO briefing session (プレICOの説明会)が行われていることが分かりますが、韓国でこの仮想通貨が何らかの形で決済に使える形で発行されたのは何時なのか全く分かりません。3回目の説明会以降の項目を見ても非常に重要なイベントであるはずの仮想通貨の発行日時に関する記述が全く出てこないのです。

この仮想通貨が韓国では既に決済手段として実用化されているという記述は本当なのでしょうか?CoinMarketCapにこの仮想通貨の相場に関する情報がないことなどと併せ、非常に強い疑問を感じずにはいられません。ドリームニダという会社が韓国に実体のある会社なのかさえ疑問です。韓国でD-ゾーンコインが既に決済手段として普及しているという点が信用出来ないのならばこの仮想通貨プロジェクト全体を信用することは出来ません。日本でICOを担当するグローバルドリームジャパンの合法性の問題も考えると到底投資は推奨出来ません。

※付記1

グローバルドリームジャパンおよびインフォランナーと同じ福岡の住所に日本ブロックチェーン産業協会 (Japan BlockChain Industry Association Co.,Ltd. 略称:JBCIA) (jbcia.jp/)という法人が存在することが判明しました。

インフォランナーの場合と異なり、この日本ブロックチェーン産業協会(JBCIA)には法人登録もあるようです。そしてこのJBCIAのサイトにはグローバルドリームジャパンの代表取締役である辻川某によると思われる著者アーカイブも掲載されています。そしてJBCIAの業務内容にはグローバルドリームジャパンの場合と同様、「 仮想通貨の取引所運営」「仮想通貨の仲介」といった仮想通貨交換業者の登録が必須と思われる業務が並んでおり、合法性に疑問が持たれます。何故同じ住所に同じグループによると思われる業務内容まで重なる法人が複数存在するのか分かりませんが複雑な組織構造にはさらに不審を感じざるを得ません。

※付記2

Yahoo知恵袋でこの件について複数の投稿IDを使い、自作自演のステマが行われているようです。

これもTwitterで右に示したような宣伝投稿が盛んに行われているようなので検証対象にすることにしました。後述するようにドイツ発の案件ということになっていますが、公式サイト、ホワイトペーパーともに日本語版が存在しており、日本人も標的になっているようです。

そしてこういったTwitter投稿にリンクがありますが勧誘目的と思われるブログも確認されます。

COIN MEDIA

【仮想通貨ICO】Firop(フィロップ)とは?買い方、購入方法、評判、特徴を解説!(2018年05月02日投稿)

仮想通貨の比較ランキング!

ICO案件!仮想通貨フィロップ(Firop/FDP)のエアドロップも開催中!特徴や将来性 (2018年5月6日投稿)

ビットコイン予備校

Firop(フィロップ)のICO最新情報|12月上場予定!仮想通貨の内容・評判・買い方!水に関するプロジェクト!(2018年6月3日投稿)

最初の「COIN MEDIA」と3番目の「ビットコイン予備校」には

https://affiliate.firop-exchange.com/link.php?●●●●●●

で始まるアフィリエイトリンクがあるのでアフィリエイト報酬が目的のサイトと思われます。

まず例によって連絡先情報からですが、公式サイトやホワイトペーパーを見ても連絡先情報が殆どありません。公式サイトのFAQには以下の様な記述があります。

>所在地はどこですか?

>Firopはドイツ フランクフルトを拠点に活動しています。 仮想通貨業界は急速に発展を遂げるあまり、様々なリスクへの対策が遅れており、事業体や関係者への直接的な武力的強奪、ハッキングなどが頻発しています。そのため事業環境の安定が図られるまで、詳細な情報公開を控えています。

「検証23」で検証したREGAIN (リゲイン)、MOOVER (ムーバー)など5つの案件でも同様の理由で所在地を明かせないといった説明を見たことがありますが、この主張には同意出来ません。所在地を秘匿することでハッキングの可能性を低減出来るなんて思えません。明らかに情報開示が適切ではなく、信用度が低いと判断せざるを得ません。日本ならば明らかに特定商取引法違反です。

またこの案件がドイツのフランクフルトを本拠にしているという点には違和感があります。まず公式サイトで選択出来る表示言語は下のキャプの右端にあるように英語、中国語、日本語、韓国語、ロシア語の5つです。ドイツを本拠にしているのにドイツ語が選択肢にないことには強い違和感があります。

また以下は公式サイトにあるICOの売り出し条件ですが売り出し価格が0.5USD (50セント≒50円強)、ソフトキャップ(最低売り出し額)が500万米ドル、ハードキャップ(売り出し上限)が3500万米ドルといったように売り出し条件が全て米ドル単位で表記されています。

この案件がドイツの案件であるならば当然売り出し条件はユーロ建てで表記されるのが最も自然であると思います。売り出し条件が米ドル単位で表記されていることに違和感を感じます。これはドイツの企業というよりも英語圏、特にアメリカの企業であると考えた方がよほど自然です。

運営者についてはCEOのRobert Phillips氏以下5名の名前と写真が公式サイトにありますが、それらの人物の経歴についてはホワイトペーパーにも公式サイトにも情報がありません。この手のICO案件では運営者について真偽はともかくとして経歴とか所属組織が明示されている場合が多いのでこの案件について殆ど情報がないことには違和感を感じます。唯一、CEOのRobert Phillips氏については「Firop ICO Sale 先行インタビュー」と題するPDFファイルが公式サイトに用意されており、以下のキャプに示す経歴が示されていましたが、このPDFファイルは削除されたようです。

ともかくこの経歴を見るとまるで具体性に欠けています。「ウォール街で30年のキャリアを持つ」と書いてありますが具体的な金融機関名については触れられていません。固有名詞の出てこない経歴は真偽を確認出来ません。Robert Phillips氏を含む運営人の個人のTwitterとかLinked InといったSNSのアカウント情報もありません。

そもそもこの案件の資金の使い道とかビジネスモデルが全く理解出来ません。以下はホワイトペーパーの15ページにある「FDPとは」という項目ですが、「造水分野の平均値」とは具体的に何の平均値なのか想像も出来ません。

頻繁に取引されることなどあるとは思えない「造水技術」に市場価格が付いて平均値が計算され、その平均値が市場で活発に取引されるということがあるとは到底思えないのです。

また最後の節にあるトークンの価値が上昇するという論理も全く分かりません。造水技術の開発に参加する企業(?)の具体名も出てきませんし、これが水不足の解決に役立つ理論も全く分かりません。少なくともウォール街で長年活躍した人物が主導した計画、そのホワイトペーパーとは到底思えません。全てが具体性と論理性に欠けていると判断せざるを得ません。投資は推奨しません。


●Exchange Ambassador [AIE トークン] (エクスチェンジアンバサダー ea-y.net/lp/2rfjl/)

この項目もYahoo知恵袋での質問への回答として書いたものです。

質問の中にある短縮URLのリンクは項目の表題にも示したランディングページ (http://ea-y.net/lp/2rfjl/)に繋がっています。右のキャプはこのランディングページの冒頭部ですが100倍ICOとか爆上げトークンを漏れなく配布しますといったことが書いてあります。「某取引所に上場確定済みのAIEトークン」と書いてありますから新規発行(ICO)する仮想通貨の名称がAIEトークンであることが分かります。

しかし仮想通貨の価値は需要と供給、市場参加者がどれほど仮想通貨を買いたいと思うのかによって決まるものであり、「100倍になる」とか「爆上げする」といった主張には根拠があるとは思えません。個人的見解としてこういった根拠があるとは思えない数字を出して爆上げするという主張を見たらそれは危険信号だと思います。

またこの手のランディングページが用意されている案件では複数のランディングページが作られていることが多いので検索してみると同じドメインネームでさらに2つのランディングページが見つかりました。右は2つ目のランディングページ (http://ea-y.net/lp/1sdfg/) の冒頭部のキャプです。

>利益843億円以上をあなたに分配!

>2018年! AIを搭載したモンゴル発の取引所が遂に始動!

>世界初の仮想通貨AI取引所のオーナー権利をお渡しします!

>取引所の利益をシェア! 権利収入型の新ビジネス

といった記述が見られ、仮想通貨取引所の権利を購入すれば配当が得られるという投資の様に思われます。

ちなみに右上のキャプに「オーナー権利募集枠終了まで残り10名/500名 ※枠が埋まった時点で締め切らせて頂きます」とありますが、このランディングページをリロードすると残りの枠は479名まで回復し、再び10名まで減り続けてそこで止まることが繰り返されます。早く申し込まないと枠が埋まってしまうと錯覚させる為のデタラメな残り人数枠であるとしか思えません。

そしてこの2つ目のランディングページにはICOとかAIEトークンという仮想通貨の名称は一切出てきません。2つのランディングページのURLアドレスを見ればこの2つのランディングページの運営元は同じとしか思えませんし、1つ目のページでは「関係者」として登場する以下の3名の人物や経歴がそのまま2つ目のページにも登場します。

但し2つ目のページでは【関係者】と書かれていた部分が【モンゴルと日本の要人が全面的にバックアップする取引所】というタイトルに置き換わっています。この3名が取引所をバックアップするモンゴルの要人ということになるのでしょうが「日本側の要人」が何処の誰なのかはここでは触れられていません。

下は3つ目のランディングページ(http://ea-y.net/lp/4rpfl/)のキャプで「100倍ICO!! & 数百億の利益分配」となっていますが情報量は極めて少なく、画像が示されている関係者の数が8人に増えていることが目に付くぐらいです。8人の中で唯一日本人と思われる滝川准士の部分だけ拡大してありますが

>世界初のAI取引所「AIE取引所」を起ち上げる

とありますからこの案件の中心人物かと思われます。そして1つ目に挙げたランディングページで「あの有名な某仮想通貨取引所に上場確定!」とあるのはこのAIE取引所を指すのでしょうか?立ち上がってもいない取引所を「あの有名な」としているのだとすれば明らかに誇大広告でしょう。

さらにいずれのランディングページでも一番下の脚注部分に「特定商取引法に基づく表記」があって一応連絡先情報があります。最後の「個人情報ついて」の項目には強い違和感を感じる部分があるのですが後述します。

>販売会社 MEDIA TYCOON HOLDINGS LIMITED

>運営責任者 滝川准士

>所在地 P.O. BOX 957, Offshore Incorporations Centre, Road Town, Tortola, British Viagin Island.

ランディングページのタイトルは3つともExchange Ambassadorとなっているのでこの項目のタイトルにしましたがここにある連絡先情報は販売会社である「MEDIA TYCOON HOLDINGS LIMITED」のものとなっています。運営責任者は「AIE取引所」を立ち上げたという滝川という人物になっています。Exchange Ambassadorというランディングページのタイトルも何かの組織名のように思われますがその役割とかMEDIA TYCOON社との関連性は全く不明です。

そしてこの連絡先情報を見るとまず電話番号がないことに違和感があります。所在地住所は簡単にペーパーカンパニーが作れることで知られる租税回避地の英領バージン諸島、そしてこの住所を検索するとVISTRAというオフショア会社の英領バージン諸島の拠点の住所が私書箱番号まで完全に一致するのでこの住所に「MEDIA TYCOON HOLDING」が実在するとは思えませんが3つのランディングページの運営元はいずれも同じと考えざるを得ません。

つまり3つのランディングページの運営元が同じなのに1つ目はAIEトークンという仮想通貨のICOの勧誘、2つ目はモンゴルの仮想通貨取引所の権利の勧誘になっていて投資対象が何なのか食い違っているあるいは少なくとも非常に曖昧です。権利収入が伴う仮想通貨ということならば仮想通貨(決済手段)として機能するかどうかは非常に疑問になりますし、配当が伴う仮想通貨ということになるなら「検証21」で検証したポートフォリオコインのように金融商品として扱われ、金融商品取引業者でなければ扱えないことになる可能性が大です。そして販売会社となっているMEDIA TYCOON HOLDINGは金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者のリストに該当がありません。

さらにMEDIA TYCOON HOLDINGは販売会社となっていて仮想通貨の販売仲介を行っているのですから仮想通貨交換業者の登録が必要なはずです。しかし金融庁から公表されている仮想通貨交換業者のリストには該当がありませんし、2018年6月現在で残っているコインチェックなど4つのみなし業者とも一致しません。「Exchange Ambassador」とか「AIE取引所」についても金融商品取引業者や仮想通貨交換業者のリストに該当がないのは同様です。この状況で営業すれば違法業者と考えざるを得ません。

そして取引所の方については滝川なる人物が責任者となっているのに対してAIEトークンを発行している主体については明確な情報がありません。そもそも発行主体があるならその公式サイトやホワイトペーパーが公開されているべきでしょうけどそんなものは全く見当たりません。AIEトークンがどの様な目的で発行される仮想通貨なのか、どんな場面で決済手段として使われるのか、発行枚数や他の仮想通貨との差異といった基本的な点に関する情報も全く見当たりません。

関連してモンゴル側の「関係者」について調べてみると例えば最初に登場しているGANHUYAG Chuluum Hutagtという人物について検索すると英語版のWikipediaに加え、Linked InTwitterInstagramといったSNSのアカウントが見つかります。モンゴル語で書かれている部分が多く、特にTwitterの投稿数は非常に多いので完全に断言は出来ませんがAIEトークンとか仮想通貨取引所に関係するような記述は見つかりません。さらにBATTAMIR Adilbishという人物はモンゴル最大のマイニング会社であるitools社の代表取締役となっていますがそれを裏付けるような情報が検索しても見つかってきません。本当にこれらの人物はこの仮想通貨・仮想通貨取引所の計画に参加しているのでしょうか?勝手に名前を使われているだけではないかと疑いたくなるのです。

それから3つのランディングページのサーバー情報を調べると右のキャプに示したように同一サーバー上に全部で12のサイトがあることが分かりますが、これら同じサーバー上にあるサイトが問題です。調べてみるとAIEトークンのサイト以外に内容が確認されたサイトは7つありますが、7つのサイトは軒並み怪しげな投資案件とか金儲けノウハウとか情報商材のランディングページであり、記述内容などから同じ組織によるものと思われます。幾つかについて説明します。いずれも冒頭部の記述と「特定商取引法に基づく表示」にある連絡先情報を取り上げます。

http://iha-a.com/lp/2c/

>5クリック!! BINGO!! 毎月30万円~毎月1000万円以上の副収入GET!

販売会社 株式会社A&D

運営責任者 大橋東洲

所在地 愛知県日進市栄3-2105

詳細が不明ですが検索すると競馬必勝法の様なもので副収入が得られるとするものである可能性が高いようです。

http://fmp-b.net/lp/1lp/

>完全自動で資産を8ヵ月で8億円にするプロジェクトを期間限定で公開中

>FREEDOM MILLION PROJECT

~THE自由億プロジェクト~

運営会社 株式会社Beginsgate

運営責任者 沢辺博

所在地 福岡県筑紫野市二日市北4-21-14

これもこのランディングページだけ見ても「プロジェクト」の内容が分かりませんが検索するとビットコインFXの自動売買システムらしいです。

http://tsr-p.net/lp/1pjncb/

"ブックメーカー"を使った新しい稼ぎ方が日本初上陸! フィリピンハーフ青年実業家のLINEで2タップ完結型投資法 即金毎月400万円以上

販売会社 合同会社THI

運営責任者 亀井保

所在地 東京都港区浜松町2丁目2番15号

メールアドレス info@tsr-p.com

ブックメーカー(イギリスの賭け屋)で稼げる必勝法らしいです。

同じ様なサイトを紹介しても仕方がないので以下は省略しますが、いずれも怪しげなお金儲けの方法に関するサイトでサイトの構成とかデザインには共通性を感じます。そして「特定商取引法に基づく表示」に記されている販売会社、運営責任者、所在地はAIEトークンのサイトも含めてバラバラですがいずれにも電話番号がなくて違和感があります。そしてこれらのサイトでは「特定商取引法に基づく表示」の最後に共通して「個人情報について」という項目があります。例えば以下は「5クリック!! BINGO!! 」のサイト (http://iha-a.com/lp/2c/)にある特定商取引法に関する表示です。

ここにある「個人情報について」の文章を上でキャプも示したAIEトークンのサイトにあった文章と比較します。

>当社はお客様のプライバシーを第一に考え運営しております。お客様の個人情報は、厳正な管理の下で安全に蓄積・保管しております。 当該個人情報は、お客様の同意を得た場合、法律によって要求された場合、あるいは当社の権利や財産を保護する必要が生じた場合を除き、第三者に提供する事はありません。 なお本キャンペーンにご登録された場合、 と青山アフィリエイトセンターが発行するメールマガジンを送ることに許諾いただいたものとします。

これだけ長い文章なのに互いにほぼ完全に一致しています。異なるのは改行の位置と「5クリック!! BINGO!! 」のサイトにある文章で「株式会社A&D」という固有名詞の部分がAIEトークンのサイトでは完全に抜けていることだけです。

▼AIEトークンのサイト

>ご登録された場合、 と青山アフィリエイトセンターが

▼5クリック!! BINGO!!

>ご登録された場合、株式会社A&Dと青山アフィリエイトセンターが

上でこの文章には強い違和感を感じる部分があると書きましたがAIEトークンのサイトでは本来は「MEDIA TYCOON HOLDINGS LIMITED」という販売会社名を入れるべき文章をコピペで作る時にうっかり入れ忘れたのだと思われます。

いずれにしろこれら同じサーバー上にあるサイトはほぼ間違いなく同じ運営元が作ったサイトと考えて間違いないと思います。サイトの運営元だけでなくそれぞれの連絡先情報にある社名や住所がバラバラでもそれぞれの金儲け話を提供している提供元も同じである可能性は高いものと考えます。「特定商取引法に基づく表示」に共通して登場する「青山アフィリエイトセンター」は重要な役割を果たしている可能性があると思われますが、青山アフィリエイトセンターのサイト(www.affiliatecenter.jp/aoyama/)には連絡先情報が見当たりませんし、法人登録も見つかりません。

これら儲け話の提供元が同じならバラバラの連絡先はいずれも信用出来ないということになるでしょう。この案件への投資は推奨出来ません。


※付記1

Yahoo知恵袋にFXのシグナル配信(?)を行うという「朝倉健吾FX無料リアル配信」に申し込んでみたところ、AIEトークンの無料配布(いわゆるエアドロップ?)を受けないかという勧誘を受けたという投稿が出てきました。

この「朝倉健吾FX無料リアル配信」というのはやはりYahoo知恵袋に被害報告が出ているGr-FXという投資顧問的なグループと思われます。

「Gr-FX」を検索して出てくるサイト (http://ioas1.com/grfx15000/)にある特定商取引法に基づく表示は以下の様になっています。運営会社となっている株式会社EDGEGateの運営責任者が朝倉健吾となっていますが、電話は090から始まると思われる携帯電話の番号、メールアドレスは無料で登録できるgmailのアドレスです。また国税庁の法人登録公表サイトで検索しても株式会社EDGEGateの法人登録は該当がありません。つまり会社法違反の無登録法人と思われます。

無料でのシグナル配信と称しているのでおそらく海外の違法なFX業者に誘導して口座開設させ、アフィリエイト報酬を稼ぐことが狙いなのではないかと思われます。実際にネット検索するとXMという違法業者へのアフィリエイトリンクを踏んで口座開設するように誘導されるというブログの記述も出てくるようです。

さらに何らかの商材を販売していたり、有料でのシグナル配信などをしていた場合には金融商品取引業者の登録をしていない金融商品取引法の可能性もあると思われます。


※付記2

AIEトークンの案件で関係者としてGANHUYAG Chuluun Hutagt (ARD Financial Group最高経営責任者)という人物が登場していましたがこのARD Financial Groupが公式Facebookにモンゴル語と日本語でAITトークンとの関係を否定する声明を2018年6月13日付で公表していたようです。

このARD Holdingsという会社もARDコインという仮想通貨を発行している様子であり、公式サイト (ardholdings.com)が閉鎖されているように思われるなどどれほど信用出来るものか判断が難しいですがとにかくAIEトークンの信頼性については極めて大きな疑問を感じざるを得ません。

またAIEトークンの3つのランディングページはいずれも閉鎖されたようです。さらにランディングページには「某取引所に上場確定済みのAIEトークン」 と書いてありましたが、上場されている仮想通貨のデーターベースであるCoin Market Capというサイトにある2100以上の仮想通貨のリストにAIEトークンは該当がないようです。つまりAIEトークンがこれを書いている2019年5月時点で上場を確認出来ません。「某取引所に上場確定済みのAIEトークン」 というランディングページの記述は虚偽であった可能性が高いです。

次項で検証するAISという取引所仮想通貨の案件はこのAIEトークンの案件と同じグループによる案件と思われます。案件の内容としてもモンゴルの仮想通貨取引所が登場するなど類似点が多いです。併読してください。

●AIS [AIS Token] (ais-x.io/)
●AIS-X (ais-ex.com/)

実は結論から言えばこれは上で検証しているAIEトークンの案件と酷似しており、同一人物が関与しているようなので同じ組織による単なる看板を掛け替えだけの焼き直し案件と思われます。故に以下の検証は上のAIRトークンの検証と併読されることを推奨します。

まず表題の2つのサイトはAIS (Alternative Investment and Security Exchange) トークンという取引所コインのICOサイトとモンゴルに本拠を構えるという取引所のサイトです。以下のキャプはICOのサイトの冒頭部です。英語表示にのみ対応しているのですが、Mongolian's first cryptocurrency exchange (モンゴル初の仮想通貨取引所)と書いてあります。モンゴルの仮想通貨取引所が発行する取引所コインなのに英語表示にしか対応していない点にはかなり強い違和感を感じます。メニューバーの上に並んでいる項目の中にWhitepapar (ホワイトペーパー)という項目もあり、ここからこれも英語版だけですがホワイトペーパーがダウンロード出来るようになっています。

そもそもこの案件は2019年5月2日にYahoo知恵袋に出てきた質問で知ることになりました (以下のキャプ参照)。ここでも「モンゴルの仮想通貨:とされています。

この質問は「ID非公開」の設定で投稿されており、この案件について肯定的な内容だけが書かれた勧誘サイト3件と日本語版ホワイトペーパーへのリンクが付いています。後述しますが少し調べただけで上のAIEトークンの案件と関連のある危ない案件と判断したのでその方向性で否定的な回答を書いたのですが私の回答はほぼ無視されてベストアンサーに選ばれたのは非常に肯定的な回答でした。断言は難しいですがこの知恵袋での質問自体が自作自演のステマ目的であった可能性があります。とにかくこの質問に出てきた勧誘サイトも以降の検証材料にするのでリンクを以下の並べておきます。最初の3件のリンクは以下の勧誘サイトに繋がっています。内容は互いに殆ど違いがありません。

暗号資産トークンズ;仮想通貨「AIS」ICOセール中、モンゴルの鉱山開発事業も手掛ける取引所トークン (更新: 2019年5月4日)

Sharetube シェアチューブ;【仮想通貨】AIS,Jasmyほか 2019年にブレイクが予想される有望アルトコイン (投稿:2018年11月03日、更新:2019年04月30日)

COIN OTAKU;【AIS-X】モンゴル発、現地の主要銀行と連携した次世代の銀行提携型暗号通貨取引所とは?プロジェクトの詳細から開催中のエアドロップ申込方法、口座登録方法まで徹底解説!(投稿:2018年12月24日)

知恵袋の投稿にはありませんでしたが同様の勧誘サイトが他にも見つかりました。

NEXT MONEY; AIS-X(エーアイエス/AIS)の特徴・詳細とは|モンゴル発のハイブリッド金融型仮想通貨取引所 (投稿:2019年3月29日)

Yahoo知恵袋の質問にあった4件目のリンクはTOKEN ECONOMIST (www.token-economist.com)という仮想通貨投資の案件を紹介するようなサイトに繋がっており、このサイトには2件のAISに関する記事がアップされています。

TOKEN ECONOMIST;【ICO】AIS:現地の銀行と提携したモンゴルの仮想通貨取引所 (投稿:2018年10月23日 更新:2019年4月28日)

TOKEN ECONOMIST;AIS ミートアップ イベントレポート (投稿:2019年5月1日)

そしてこのTOKEN ECONOMISTというサイトのこれら2つの記事の末尾に英語版、日本語版のホワイトペーパーへのリンクが用意されています。

▼英語版ホワイトペーパー

https://ais-x.io/AIS_WhitePaper20181015.pdf

▼日本語版ホワイトペーパー

https://www.token-economist.com/wp_files/AIS_whitepaper_JP_20181022.pdf

Yahoo知恵袋の質問にあった4件目のリンクはこの日本語ホワイトペーパーへのリンクです。これら2つのホワイトペーパーへのリンクのURLアドレスをよく見ると英語版ホワイトペーパーがアップされているのは表題のAISのICOのサイト (ais-x.io/) なのに対して日本語版ホワイトペーパーのリンクは日本語の仮想通貨関連情報を集めたTOKEN ECONOMISTのURLアドレス(www.token-economist.com/)です。ホワイトペーパーが公式サイトにアップされておらず、勧誘サイトにアップされているなど前代未聞です。非常に強い違和感を感じます。

また検索すると以下のプレスリリース記事 (企業側発表をそのまま掲載した記事)が見つかりました。

PR TIMES;【AIS-X】モンゴル発、現地の主要銀行と連携した次世代の銀行提携型暗号通貨取引所とは? (投稿:2019年1月6日、配信元:National Investment Exchange LLC )

このプレスリリース記事の内容は上に出てきた勧誘サイトの内容と酷似していますが、運営による直接の発表ということになるので公式サイトやホワイトペーパーなどと同じ1次情報に近いものと考えられます。ここではこれらを主な検証対象にします。

まず検証の第一歩として例によって連絡先情報を探しましたが驚いたことに連絡先情報に当たるものが殆ど見つかりません。ICOのサイト(ais-x.io/)には連絡先情報に繋がるような項目自体がありませんし、取引所のサイト(ais-ex.com/)には「About」「Contact」という普通ならば連絡先情報が書いてあるであろう項目があるのに実際にはそれらの項目を見ても連絡先情報は皆無です。日本語・英語のホワイトペーパーや勧誘サイトにもそれらしき情報は見つかりません。唯一プレスリリース記事の発信元になっているNational Investment Exchange LLC (NIEX LLC)という会社 (?)について住所だけが記事の片隅に掲載されています (右のキャプ)。但しこの連絡先情報にあるのはモンゴルの住所と日本人らしきYoshinori Koretoという代表者の名前、業種が「水産・農林業」であるという情報だけで電話番号や公式サイト (URL)は空欄になっています。社名がNational Investment Exchangeとなっていて投資関係の会社としか思えないのに業種が「水産・農林業」になっている点についてはかなり違和感があります。

また唯一に近い連絡先情報であるモンゴルの住所は検索するとこの案件において提携先として登場するモンゴルの銀行、NI BankのHEAD OFFICE (本店)の住所にかなり似ているようです。

>National Investment Exchange LLC本社の所在地

>3rd Khoroo Usnii Street-1, Sukhbaatar, Ulaanbaatar, Mongolia, Royal Plaza Building


>NI Bank HEAD OFFICE (本社)の所在地

>National Investment Bank building, Usnii street-1, 3rd khoroo, 5th khoroolol, Sukhbaatar district Ulaanbaatar-14252, Mongolia

2つの住所を比較すると太字で示した部分は同じです。並びが違うとか後者の方が情報が多いとか、建物の名称は異なるとか違いはありますがかなり似た住所であることは間違いありません。ちょっと偶然とは思えません。

とにかくこの案件について所在地情報、連絡先情報が殆ど開示されていないのは極めて異様です。情報開示がほぼ皆無でしかも既に指摘したように表題の2つの公式サイトが英語にしか対応していない、つまりモンゴルの言語表示に対応していないことも考えるとそもそもこの案件が本当にモンゴルの案件かどうかも疑わざるを得ません。

本当にモンゴルの案件なのかについて疑いたくなるような点はこれだけではありません。以下は日本語版ホワイトペーパーの「チーム紹介」という項目からのキャプですがチームの筆頭であると思われるCEOのMatthew Kempという人物はイギリス出身であるとなっていても日本に留学して国際ビジネスを学んだという経歴が書かれていてモンゴルでの事業の経営トップになった経緯が分かりません。

経営陣のNo.2と思われるCOOのDorj Batkhishigという人物についても経歴を見るとモンゴル出身のようですが日本の大学への留学経験者であるとなっています。

これは日本語のホワイトペーパーだから日本との関係が特に強調されているのかとも思いましたが英語版のホワイトペーパーでも同様に日本との関係が強調されています。さらに「チーム紹介」に出てくる人物の中には少なくとも2人の日本人と思われる人物が出てきます。1人目はアドバイザーの肩書で登場しているJun Takigawaという人物です。

そしてこの名前や顔に既視感を感じたことから気が付きましたが、このTakigawaという人物は上に検証を書いた「100倍ICO!! & 数百億の利益分配」と称していたAIEトークンの案件に「ICOコンサルタント」という肩書で登場していた滝川准士という人物と同一人物と思われます。しかもAITトークンもモンゴルに仮想通貨取引所を開くという案件であったことも思い出しました。同じ人物が関係して両方ともモンゴルに仮想通貨取引所を開いて仮想通貨を新規発行するという案件であるとなれば2つの案件が存在する意味が分からなくなります。またAIEトークンについては上の検証で指摘したように数々の問題があり、提携先とされていた会社から提携を完全否定する声明が出ていること、モンゴルの取引所が実現したのかどうかも分からない状態で3つのランディングページは何の説明もなく閉鎖されているようです。さらにAIEトークンの検証の最後にも書きましたがCoin Market Capという仮想通貨の相場情報を集めているサイトの仮想通貨リストでAIEトークンは該当がありません。少なくとも現時点で何処かの仮想通貨取引所に上場されているとは思えません。当然AIEトークンの案件に投資した人が「100倍ICO!! & 数百億の利益分配」という宣伝文句に見合った利益を得られたような気配は全くありません。そして同じ滝川という人物が関与している2つの案件の1つ目が明らかに宣伝文句通りには運んでいないことからこのAISトークンの案件についても事業の信頼性を強く疑わざるを得ません。

ホワイトペーパーの「チーム紹介」に登場している2人目の日本人は右のキャプに示したRyosuke Hagiwaraという人物です。この人物については「QUATTRO EのCEO」であるという記述があるので早速調べてみましたがよく分かりません。

名古屋にあるQUATTRO E JAPAN (クアトロエジャパン)という会社のサイト (www.quattro-e.com/) は見つかりましたが、これは太陽光発電設備の会社の様です。仮想通貨と関係があるとは思えません。しかもクアトロエジャパン公式のNEWSの項目あるいはシャニムWEBというサイトの記事を見ると少なくとも2014年4月創業当時の社長は加藤有二という人物となっています。現在の社長についてはクアトロエジャパンの公式サイトにも記載がありません。

一方で法人登録を探すと名古屋のクアトロエジャパンの法人登録とは別に東京都墨田区に株式会社QUATTRO Eの法人登録が存在することが分かりました (下のキャプ)。しかしこちらは対応するホームページが見つかりません。法人登録では2017年10月に登録された新しい法人であることと東京都墨田区の住所しか情報がありません。Google Street Viewでこの東京都墨田区の住所を見ると普通の民家があるようです。

そしてこのホワイトペーパーに登場していた日本人らしい2人は日本で勧誘セミナーの講師役を務めているようです。勧誘サイトの記事、TOKEN ECONOMIST;AIS ミートアップ イベントレポート (投稿:2019年5月1日)にはこの2人と思われる講師が登場していた勧誘セミナーのレポートがあります。

スクリーンに投影されているプレゼン資料は滝川という人物の自己紹介の場面の様で「アドバイザー・滝川准士 (JUN TAKIGAWA)」と読み取れます。日本語でプレゼンが行われているのですから「AISミートアップイベント」は日本国内で開催されたものでしょう。この勧誘記事では滝川という人物は「プロジェクトの顔」であると書かれています。

ホワイトペーパーに登場していたもう1人のHagiwaraという日本人についても同じ勧誘記事にセミナー講師として登場していたことが記されています (下のキャプ)。

上のキャプの人物はホワイトペーパーに出ていたHagiwaraという人物と同一人物と考えていいかと思います。画像の説明も「プロジェクトを説明する萩原氏」となっています。これでHagiwaraという名字の漢字表記は「萩原」であることが分かりましたがRyosukeの漢字表記は不明のままです。とにかく日本国内でこれら2名が積極的に投資を呼び掛けていることは間違いないでしょう。むしろモンゴル発の案件となっていても日本国外で勧誘が行われているような気配が全く見つかってきません。そしてアクセス状況を解析出来るサイトICOサイトへのアクセスを調べた結果が以下の2つのキャプです。

ICOのサイトには1日平均で1226人の独立訪問者があるとなっていますが、国別のアクセス数を見ると訪問者の88.0%、ページビューの95.2%が日本からのアクセスです。2位以下はバングラデシュ、ロシア、ウクライナとなっていまずがいずれも1%以下。モンゴル発の案件のはずなのにモンゴルからのアクセスは検出限界以下ということになります。

この案件ではすでに少し触れましたがモンゴルのNI Bankという銀行などが提携先としてバックアップしているといった説明がされています。例えば以下のキャプはプレスリリース記事からの抜粋ですが、NI Bankが「日本にも支店を持つ、モンゴル有数の銀行」であり、有力な提携先であるとされています。

しかしNI Bankのサイトで支店網に関する情報のページを見ると下のキャプに示した様に日本にあるのは支店ではなく、Representative office in Japan (駐在員事務所)のようです。

そもそも日本の金融庁のサイトで公表されている銀行の登録リストにモンゴルの銀行は1つも含まれていないようです。日本で銀行業務が出来るとは思えません。

さらに英語表記も可能なNI Bankのサイト (www.nibank.mn/) でAISプロジェクトに関すると思われる記述を探しましたが見当たりません。つまりNI Bankのサイトでは本案件への関与を確認出来ません。AISのICOサイトへの国別アクセス解析でモンゴルからのアクセスがほぼ皆無という状況や本件と同じグループによると思われるAIEトークンの案件で関与していることになっていたARDという金融機関が関与を否定した件など考えると本当にモンゴルの大手銀行がこの事業に参加しているかどうか相当に疑わしいのではないかと考えざるを得ません。この件に投資を考えている人ならばNI Bankの日本駐在員事務所に確認するべき点かもしれません。

次にAISトークンに関して検証しておきます。まず右は勧誘サイトの1つ、TOKEN ECONOMISTの記事からのキャプですが、AISトークンのスペックとして

>プラットフォーム:Etherium

>トークン企画:ERC20

と書いてあります。これはAISトークンがイーサリアムのシステムを使って作られた仮想通貨であることを意味します。そこでイーサリアムベースの仮想通貨に関する情報を閲覧出来るEtherscan (etherscan.io/)というサイトでAISトークンに関する情報を探しましたが全く見つかりません。イーサリアムベースの仮想通貨ならば必ずこのサイトで情報が見つかるはずなのに見つからないということはイーサリアムのシステムを使ってAISトークンが作られたことを2019年5月現在で確認出来ないということになります。

一方で例えば以下のキャプに示す勧誘サイトの1つ、暗号資産トークンズにある2019年3月改定のロードマップを見ると2018年10月にはプレセールが開始されたことになっています。

またしばしば引用している2019年1月6日付のプレスリリース記事には

>(エアドロップ)キャンペーンが2月下旬まで開催、3月に配布を予定しております。

と記されています。既に販売されたり、エアドロップで配布されているはずのイーサリアムベースの仮想通貨の存在をイーサリアムのデーターベースで確認出来ないというのは極めて異様です。プレセールやエアドロップキャンペーンに参加した人たちには本当にAISトークンが配布されたのでしょうか?

そしてこの既に販売されているはずなのに存在が確認出来ないAISトークンについて触れておきます。まずは発行条件などです。以下のキャプも暗号資産トークンズからの抜粋です。

トークンのプレセール価格は1枚当たり0.1米ドル (約11円)~0.2米ドル (約22円)、2019年7月からのクラウドセールでは0.3米ドル (約33円)になるとされています。資金調達額は1000万ドル (約11億円)~4500万ドル (約49億5000万円)です。

そしてこのAISトークンについては購入すると利益配当が行われることになっているようです。以下も同じく暗号資産トークンズからのキャプです。

まず配当がAISトークンで支払われるというのは大問題でしょう。AISトークンが上場された時に多くの仮想通貨上場でICO価格割れが起きていることを考えれば、あるいは上で検証したAIEトークンの様に上場が実現しなければ配当として得たAISトークンは単に絵に描いた餅になってしまいます。また仮に上場が実現しても配当の形でAISトークンが乱発されればAISトークンの希少性が薄れて相場の下落要因になるのは確実です。トークンに対してトークンが配当として配布されてもトークンの相場が下落すれば配当には意味がありません。

配当の原資となるのは取引所での取引手数料収入、仮想通貨マイニング、および資源開発事業の3本柱となっているようです。また配当は現金などではなくAISトークンで支払われる、配当は一律ではなくAISトークンを大量に持つ人に多く傾斜配分されることになっているようです。そして配当額は決まったものではなく「各種事業から得る利益の30%を配分」とあるだけです。

ホワイトペーパーを見るとこの配当原資の3本柱について一応の説明がありますが、現実にその様な利益を生み出せる事業が行われているのかについては疑問を感じざるを得ません。まず仮想通貨取引所の手数料収入ですが上で引用したロードマップでは

>2019年04月:AIS-X取引所プレオープン

>2019年06月:AIS-X取引所グランドオープン

となっていてAIS-X取引所は既にプレオープンの段階であるはずなのに表題にも記したAIS-X取引所のサイト (ais-ex.com/) に行ってみても取引所が稼働しているような気配が感じられません。アクセス状況を解析出来るサイトで解析してみても1日当たりの独立訪問者数が300人以下です。

またこのAIS-X取引所のサイト (ais-ex.com/) へのアクセス状況を別のアクセス解析サイトで調べてみると日本からのアクセスが100%になっています。つまり日本語に対応していないサイトなのに日本以外からのアクセスが皆無です。とてもではありませんがモンゴルの仮想通貨取引所とは思えません。日本のグループが立ち上げた幽霊取引所の可能性を疑わざるを得ません。現時点で仮想通貨のデーターベースであるCoinMarketCapの取引所リストにもAIS-Xは入っていません。また少なくとも現在のようなアクセスの少ない状況でAISトークンの購入者に多額の配当を出せるほど取引手数料収入を稼げるとは到底思えません。

配当原資を生み出す3本柱の他の2本、仮想通貨マイニング事業と資源開発事業についてはホワイトペーパーを読んでみましたが、具体性が全くありません。何処にマイニングファームを作るのか、資源開発事業というけど何処の鉱山にどれほどの規模の投資を行ってどれほどの売り上げや利益を得るのか全く具体的情報がないのです。またこれまでに検証してきたICO案件の中にもICOで集めた資金を仮想通貨のマイニングに注ぎ込むとか、不動産などの事業を行って利益を出すといった案件が多数ありましたが実現が確認された案件は1つとして思い当たりません。そもそも新たな仮想通貨を出して決済手段として定着させることを目指すならば資金を決済手段として普及させることに集中させるべきであって成功するかどうか分からない仮想通貨と直接関連のない事業に集めた資金を注ぎ込むのは単なる使い込みだと考えます。

またこれまでの検証でも繰り返し指摘してきましたが配当が出る仮想通貨には法的な問題があります。以下は2017年10月27日に金融庁から出た「ICO (Initial Coin Offering)について ~利用者及び事業者に対する注意喚起~ 」という告知の抜粋ですが赤枠で囲った部分にあるように

>ICOが投資としての性格を持つ場合、(中略) 金融商品取引法の規制対象となると考えられます。

とされています。

そして「検証21」で検証したポートフォリオコインについては実質的に金融商品に該当するものを金融商品取引業者の登録を得ずに販売していた金融商品取引法違反で摘発されています。このAISトークンにも同様の法的問題が存在する疑いは濃厚です。さらに上で引用した金融庁から出た「ICO (Initial Coin Offering)についての抜粋の青枠で囲った部分にあるように仮想通貨の販売には仮想通貨取引業者の登録が必要です。AISは実体が本当にモンゴルにあるかどうかも疑わしい仮想通貨取引所の取引所コインという形で発行されており、殆ど日本でのみしか活動していないと思われることからこの点でも違法性が強く疑われます。

総合的に判断してこの案件には多くの疑問点、違法性の疑いがあります。モンゴルの案件とされていますがモンゴルに事業実体があるかどうかさえ疑問です。到底投資を推奨出来るものではないと結論せざるを得ません。