検証62

▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1

このページではプランスゴールド、ジュビリーエースという仮想通貨のアービトラージ取引で高利回り配当を生み出すという案件を検証します。


●PRANCE GOLD (プランスゴールド prancegoldholdings.com/?lang=ja)

●坂本よしたか PGAシステム (sakamoto999.com/zero/lp1/)

●世界最先端の「打ち出の小槌」[泉忠司&蝶乃舞] (notresouhait.com/uchide/)

●JUBILEE ACE [アクアナイト] (ジュビリーエース jubileeace.com/?lang=ja)

●JENCO (ジェンコ jenco.team/index.html)

●AQUA LABS [アクアナイト] (アクアラボ www.aqualabs.io/)

●株式会社SNS (https://sns-company.info/)


それでは検証を始めます。まずPRANCE GOLD (プランスゴールド)という投資案件を検証します。

●PRANCE GOLD (プランスゴールド prancegoldholdings.com/?lang=ja)

●坂本よしたか PGAシステム (sakamoto999.com/zero/lp1/)

●世界最先端の「打ち出の小槌」[泉忠司&蝶乃舞] (notresouhait.com/uchide/)

これは仮想通貨のアービトラージ取引で高利回りを叩き出すという投資案件ですが結論から言えばHYIP (High-Yield Investment Program)と呼ばれるタイプの詐欺案件の疑いが極めて濃厚です。そしてこの案件はHYIP案件の特徴の1つでもありますがマルチ商法で勧誘が始まっており、これまで本サイトで検証してきた多くの怪しげな案件の宣伝に関与していた小野里はじめ、坂本よしたか、泉忠司といった人物も参加しているようです。

まずこの案件に気が付いた端緒になったのは小野里はじめという人物による勧誘動画です。以下にキャプと共に示します。

PG(プランスゴールド)について解説します

投稿日:2020年4月2日、投稿者:小野里はじめ

この小野里という人物が案件の紹介役とか広告塔的な役割で登場し、本サイトあるいは本サイトの姉妹サイトである「危ない投資の備忘録」で検証対象としてきた案件としては以下のようなものがあります。

■With Coin (ウィズコイン withcoin.info/) →「検証32」

■想源プロジェクト (sougen-project.com/sdil1sg/) → 「検証33」

■AXE Coin (エクゼコイン www.axecoin.io) → 「検証38」

■S BLOCK WALLET [SBOトークン] (エスブロックウォレット www.sblock.com/) → 「検証55」

■THRONE LEGACY CAPITAL (TLC、スローン・レガシィ・キャピタル www.tlcglobal.asia/) [主にIBH投資銀行の名称で勧誘] → 姉妹サイト「海外FX業者検証8」

一番下の姉妹サイトにおけるTLC (スローン・レガシィ・キャピタル) & IBH投資銀行の検証で書きましたがこの小野里という人物については仮想通貨のアービトラージとマイニングで高収入が得られると称して投資を募っていたJPCエブリデイ・ホリディという案件についてmatomaというサイトで集団訴訟の呼びかけが行われており、この検証を書いている2020年4月現在で113人もの人たちが呼びかけに応じており、請求予定額合計は2億円に迫るほどになっています。そして本案件への投資を勧誘する複数の動画が上でリンクした動画以外にも小野里はじめ名義のyoutubeアカウントから複数投稿されています。

標題の2番目に取り上げたサイトでPGAシステムという名称で本案件の勧誘を行っている坂本よしたかという人物も小野里はじめと同様に本サイト過去に検証してきた怪しげな投資案件に広告塔的な役割で繰り返し登場していた人物です。坂本よしたかが登場していた案件についても以下にまとめておきます。

■S Change The World (チェンジ・ザ・ワールド) → 「検証52」

■「Power of Dreams (パワーオブドリームス) 」→ 「検証52」

■「億の近道プロジェクト」→ 「検証54」

■ 「新時代ベーシックインカムプロジェクト」→ 「検証54」

■坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト (リップルアルファ) →「検証60」

■坂本よしたか 100チャレプロジェクト (ウェルネストークン) → 「検証60」

これらの案件の中で最初のチェンジ・ザ・ワールドについては「検証52」に書いたようにmatomaというサイトで集団訴訟の呼びかけが行われています。そして坂本よしたかの紹介してきた案件の傾向として案件名だけ聞いても投資対象などが明確でないことが多いような印象があるのですが、プランスゴールドの勧誘についてもプランスゴールドという固有名詞を敢えて表に出さずにプランスゴールドの略称と思われるPGAシステムという名前で勧誘を行っているようで少なくとも3つのランディングページを確認しました。

https://sakamoto999.com/zero/lp1/ (表題のページ)

https://sakamoto999.com/zero/lp2/

https://sakamoto999.com/zero/lp3/

しかしこれら3つのランディングページは理由は不明ですがこの検証を書いている間にいずれも削除されたようです。削除されたランディングページの1番目、2番目について冒頭部のキャプを以下に示しておきます。いずれを見てもPRANCE GOLD (プランスゴールド)という案件名ではなくPGAシステムという略称を使って勧誘を行っていることが分かります。このPGAというのはPrance Gold Arbitrage (プランスゴールドアービトラージ)の略称と思われます。さらにこれらのランディングページには投資対象とか利益を生み出す仕組みに関する説明は全く見当たりません。右下のキャプに示したランディングページには「コロナショックで働く場所が見つからない方」といったことが書かれていて困っている人たちの弱みに付け込もうとする悪意を感じます。

坂本よしたかの勧誘するPGAシステムがプランスゴールドと同一案件であることはプランスゴールドの公式サイトにあるプランスゴールドのロゴ (右のキャプ参照)と同じロゴが左上の坂本よしたかのランディングページでも確認されることから確実と思われます。さらにランディングページの特定商取引法に基づく表示を以下のキャプに示しますが、販売会社がPrance Gold Holdingsになっています。

また坂本よしたかの案件が紹介されるサイトにプランスゴールドのプレゼン資料がPDFファイルの形で公開されているようです。坂本よしたかの勧誘するPGAシステムがプランスゴールドと同じであることは間違いないでしょう。

そしてこの特定商取引法に基づく表示には住所も電話番号もなく、適切な情報開示を要求している特定商取引法を守っているとは言い難いです。広告運営会社として株式会社ライトニングプレミアムという社名が見えますが、これは以前に検証した坂本よしたかの案件でも登場していた会社です。以前に確認したライトニングプレミアムのサイト (lightning-premium.com/)を確認してみましたが2020年4月現在でも以前と同じ愛知県名古屋市栄三丁目15番27号という住所で存在していることになっていて坂本好隆(サカモトヨシタカ) が代表者になっています。

但しこの名古屋の住所は「検証54」の億の近道プロジェクトの検証でも指摘したようにFabbit Sakae (fabbit.co.jp/facility/sakae/) というシェアオフィス/バーチャルオフィス業者の住所の住所と一致しますからこの住所にライトニングプレミアムの事業実体が存在するかどうかは疑問ですし、特定商取引法に基づく表示に連絡先情報を明記しない会社を信用するのは危険でしょう。

坂本よしたかと同様にプランスゴールドの名前を明確には示さずに勧誘を行っているのがこのサイトにおける検証で最も頻繁に登場している泉忠司という人物です。本サイトで扱った案件の中で泉忠司の関与が確認されている案件としては以下の様なものがあります。

■ノアコイン (アルトコイン) → 「検証13」

■ビットクラブ (マイニング投資) → 「検証13」

 ■チリーズ (アルトコイン) → 「検証35」

■ホットークン (アルトコイン) → 「検証35」

■仮想通貨バンク→ 「検証35」

■オーキッド (アルトコイン) → 「検証38」

■ザ・マイニング (マイニング投資) → 「検証49」

そして泉忠司については2019年の春に消費者機構日本という組織から提訴されたことが報道されました。詳しくは「検証13」のノアコインの検証の付記11にまとめてあります。さらにはこれをきっかけとして関連してmatomaというサイトでパルテノン、ノアコイン、仮想通貨バンクなど泉忠司が関与してきた案件に対して括的な集団訴訟の呼びかけが行われ、2020年4月現在で参加者700人越え、請求金額合計が35億円超ということになっています (以下のキャプ参照)。到底信用に足る人物とは思えません。

そしてこの泉という人物は本項の表題の3番目に掲げたランディングページを介し、世界最先端の「打ち出の小槌」という名称でを立ち上げてプランスゴールドへの投資を勧誘しています。以下はそのランディングページの冒頭部ですがプランスゴールドという案件名は敢えて隠されているようです。

しかしこのランディングページ特定商取引法のページを見ると以下のキャプに示した様に坂本よしたかの場合と同じで販売業者としてPrance Gold Holdingsの名前が出てきます。この「打ち出の小槌」と称する案件の中身はプランスゴールドであると考えられます。さらにこれも坂本よしたかの場合と同じで特定商取引法のページには住所とか電話番号といった連絡先情報が何もありません。明らかに情報開示が不足しており、違法性が強く疑われます。

この「打ち出の小槌」という案件の中身がプランスゴールドであることはこのランディングページに埋め込まれている勧誘動画でも確認出来ます。まずこの勧誘動画の主要な登場人物は左下のキャプに見える2名で左側がこのサイトではお馴染みの泉忠司という人物、右側は蝶乃舞を名乗る人物です。そしてこの動画を見ていくとはっきりとプランスゴールドという名前が登場し、字幕でも確認出来ます (右下のキャプ参照)。

ちなみにこの蝶乃舞という人物についてもここでは詳しく説明しませんが、matomaというサイトで少なくとも2件の集団訴訟の呼びかけに名前が出ています。

【集団訴訟に向けて】蝶乃舞・渡辺雅典の『ダイアモンド・ミリオネア・クラブ』について

さらにパンダ渡辺の”アンフィニパンダアカデミー,ドリーマーズアカデミー”という案件への集団訴訟の呼びかけにも蝶乃舞の名前が出てきます。やはりこの蝶乃舞という人物も信頼に値するとは到底思えません。

プランスゴールドの勧誘に関与している中で私がこれまでにも様々な案件で登場していたことを確認していたいわば有名人は小野里はじめ、坂本よしたか、泉忠司 (+蝶乃舞)までですが、それ以外にも本案件には勧誘、そしてマルチ商法における自分の子ネズミの獲得に参加している人たちが多数確認されます。例えばYoutubeを検索すると多数の勧誘動画が見つかりますし、Twitterへの勧誘投稿やブログなども確認されます。とても全部は取り上げられませんがそれらの中で内容を確認し、検証の参考にしたものを以下に列挙しておきます。

Prance Gold PGA プランスゴールド    【フルバージョン完結版】    テレビ会議サービス「ZOOM」

投稿日:2020年4月1日、投稿者:IBH & PRANCE GOLD

このYoutubeアカウントからは投稿者名 (IBH & PRANCE GOLD) からも分かるように小野里はじめと同様にプランスゴールド以前にIBH銀行・THRONE LEGACY CAPITAL (TLC、スローン・レガシィ・キャピタル)への投資を勧誘する動画が複数アップされています。右下のキャプに示した講師役はAkira Satoと名乗っているようです。

プランスゴールド(PGA)アービトラージ案件の概要と特徴

投稿日:2020年4月1日、投稿者:marketing yu

演者は「さとう」と名乗っていてもしかすると上のIBH & PRANCE GOLD名義の動画に登場しているAkira Satoと同一人物なのかもしれませんが右下のキャプに示したように終始暗がりの中で話している為に顔は確認出来ません。この動画にはブログのURL (https://ykls.jp/pga/) が出てきます。このブログも検証対象にします。

PRANCE GOLD (プランスゴールド) PV

投稿日:2020年3月22日、投稿者:PRANCE GOLD Arbitrage

英語の動画に日本語字幕が付けられたものです。演者は登場せず、アニメーションで案件の紹介が行われています。アフィリエイトリンクがないので海外の運営本体が投稿者かもしれません。この動画が埋め込まれている日本語だけに対応している勧誘サイトも確認されます。

PGA【プランスゴールド・アービトラージ】手動アービトラージのやり方

投稿日:2020年3月28日、投稿者:PGA徹底解剖

投稿者はNoJiと名乗っていますが動画に登場しません。毎日の配当をブログで公開しているようです。

サルでも分かる!プランスゴールド入金マニュアル

投稿日:2020年4月3日、投稿者:超インスタ集客術・橋本 久美子

このYoutubeアカウントからもIBH銀行・THRONE LEGACY CAPITAL (TLC、スローン・レガシィ・キャピタル)への投資を勧誘する動画が複数アップされています。また勧誘目的のブログも開設しているようです。

さらにアドエンターグループ株式会社 (adeg.jp/) という企業からプレスリリースが複数のプレスリリースサイトに出ています。いかはそれらのプレスリリース記事の1つですが、その内容は投資勧誘に近いです。

平均月利15%~20%!! 最新投資情報 「プランスゴールドアービトラージ(Prance Gold Arbitrage)」PGAとは一体ナニ?

投稿日:2020年4月3日

このプレスリリース記事の発信元であるアドエンターグループというのも公式サイトのサービス内容を見ると広告代理店となっていますが公式サイトには右のキャプに示したように「検証59」で検証対象としたRevollet Marketing Japan (レボレットマーケッティングジャパン revollet.in/) へのリンクが用意されており、レボレットの勧誘にも携わっているとしか思えません。このレボレットも「検証59」に書きましたがマルチ商法で投資勧誘を行っていて違法性が強く疑われるグループです。またアドエンターグループも法人登録を見ると法人登録を取得したのが平成31年 (2019年) 4月16日とちょうど1年ほどしか経過していない新しい法人であること、所在地となっている「東京都渋谷区桜丘町21番7号ライブリー渋谷桜ケ丘204」という住所が専有面積22平米というワンルームマンションの一室であることなどから考えて信用性はかなり疑問と考えざるを得ません。そもそも金融ライセンスを持っているとは思えない広告代理店が投資勧誘することの合法性も疑問です。

以上、本案件の勧誘に関係している個人や企業を調べてみるだけでかなり危険な気配を感じざるを得ませんが、検証の次のステップとして表題の公式サイトを訪問してみました。まずは例によって連絡先情報を探したのですが全く情報がありません。公式サイトの「お問い合わせ」というページを見てもメール送信用の窓が用意されているだけです。

公式サイトに所在地さえ見つからないというのはあまりにも異様ですが、上でリンクした勧誘動画や勧誘サイト、プレスリリース記事の幾つかにはプランスゴールド社がセーシェルの法人であるという情報が出てきます。以下はプレスリリース記事からのキャプです。

>英国セーシェルで登記

とありますが、セーシェルはWikipediaによればかつて英国領であった時期はあるものの1976年に独立しているので「英国セーシェル」は意味が分かりません。またセーシェルの住所 (Suite 201 2nd Floor,Beside Eden Plaza,Eden Island,Mahe, Seychelles) が書いてありますが、セーシェルは有名な租税回避地ですし、「登記」と書いてあるのはこれが名目だけの住所であることを意味していると思われます。勧誘動画の1つではセーシェルで登記したのは税金が安いからであると明言されています。だとすれば事業実体が実在するのが何処なのかが問題ですが、上のプレスリリース記事の概要には

>システム拠点:深圳 (中国)

とありますが具体的な住所はありません。

さらに以下はEIN NEWSDESKというサイト (www.einnews.com/) に出ていた2020年2月20日付の英語でのプレスリリース記事のタイトル部分と本文の抜粋のキャプです。このプレスリリース記事にも断片的なプラスゴールド社の所在に関する記述があります。

ここで特に注目して欲しいのは上のキャブの本文抜粋の赤枠で囲った部分でプランスゴールドホールディングスの本社は欧州のマルタにあると書いてあります。それに続く青枠で囲った部分には技術開発部門が中国の深圳にあるとも書いてあります。深圳については日本語のプレスリリース記事にも出てきた地名ですがマルタに本社というのはこれ以外に見つからない情報です。またマルタという国名が出てくるだけで詳しい住所は出てきません。

さらにこのプレスリリース記事に付いている寄稿者の情報を右のキャプに示しますが、寄稿者はプランスゴールド社のLinda Fairbrotherという人物であり、電話番号と思われる番号 (+66 955170296) が書いてあります。これが電話番号だとすれば「+66」から始まっていて国際電話の国番号リストと照らし合わせるとタイの電話番号ということになります。タイにも拠点があるのかもしれませんがこれ以上の情報はありません。

さらにmarketing yuの勧誘動画ではセーシェルでの登記は節税の為であり、実際に本拠があるのはシンガポールであるという発言が出てきます。泉忠司のランディングページに埋め込まれていた動画でも実際にやっている人たちはシンガポール人が中心で社長はイギリス人という情報が出てきます。泉忠司の動画にはシンガポール出身で35歳、プランスゴールドの大口出資者で共同オーナーを名乗るジェフリーと人物 (左下のキャプ右側)、マーケッティングマネージャーのデーブという人物 (右下のキャプ右側)が相次いで登場してシンガポールに事業実体があることを主張しているのですがその所在地情報も全く出てきません。上で引用した英語のプレスリリース記事が出た2020年2月の時点ではマルタに本社があったけどそれ以降のわずかの期間にシンガポールに移動したということなのでしょうか?非常に不可解としか思えません。

泉忠司の動画に共同オーナーとかマーケッティングマネージャーが登場していたことを書きましたが、この2名は公式サイトやプレスリリースに出てくる経営陣には含まれていません。公式サイトで紹介されているのは以下のキャプに示した3名です。

最高経営責任者 (CEO) がAndre Gerald (アンドレ・ジェラルド)、最高技術責任者 (CTO) がSai Hein (サイ・ハイン)、最高執行責任者 (COO) がJacob Coulsen (ジェイコブ・コールセン)となっています。そしてこの3人の中で泉忠司の動画では社長がイギリス人となっていましたからCEOのアンドレ・ジェラルドがイギリス人ということになると思われます。そこでこのアンドレ・ジェラルドの経歴を確認しようとして検索してみたのですが、出てくる情報は少ないです。特にプランスゴールド以前の経歴を裏付けるような情報が殆ど見つかりません。以下は見つかってきた数少ない記事でプランスゴールドからのプレスリリース記事がアメリカの報道サイトに掲載されたものです。プレスリリース記事は掲載依頼しているこの場合はプラスゴールド社が提出した記事をそのまま掲載しているだけですから取材の裏付けは一切ありませんが、その冒頭部にはアンドレ・ジェラルドの簡単な経歴が記されています。

この記事によればアンドレ・ジェラルドはアメリカのテキサス州にある名門のライス大学 (Rice University)で経済学の学位とコンピューターサイエンスで修士学位を得たとなっています。そして卒業後はやはりアメリカのニューヨーク証券取引所でリスクコンサルタントとして働いたことになっています。その後、10年以上前にBank Indonesia (インドネシア銀行)で証券取引の職を得て働き、さらに幾つかの取引所で仮想通貨の取引に取り組んできたとなっています。例えばこの人物の年齢とか勤務してきた取引所の名称など具体的な情報に乏しいのですが、個人的に一番気になるのは果たしてこの人物は本当に泉忠司の動画にあったようにイギリス人なのだろうかという点です。少なくともこのプレスリリース記事によれば大学入学の時点で既にイギリスを離れていることになります。さらにBank Indonesia (インドネシア銀行)で証券取引業務に10年以上携わったと書いてあるのですがBank Indonesia (インドネシア銀行)はインドネシアの中央銀行のはずです。中央銀行は要するに日本の日銀の様な国の金融政策を担う銀行であって証券取引業務と全く無関係とは言いませんがインドネシア人とは思えないこの人物が本当にインドネシア銀行で勤務していたという記述は容易に信用出来ないように思います。少なくともこの人物が本当にインドネシアの中央銀行に勤務していたという情報は検索しても第三者の情報で確認することが出来ません。宣伝用と思われるTwitterアカウント2020年4月17日付の投稿でリンクされていたYoutube動画 (以下参照)ではこのアンドレ・ジェラルドという人物が英語で挨拶をしていますから全く架空の人物ではないにしろ、その経歴などについては疑問が残ります。

同様に最高技術責任者 (CTO) のSai Hein (サイ・ハイン)、最高執行責任者 (COO) のJacob Coulsen (ジェイコブ・コールセン)についても検索してみましたが過去の経歴について裏付けになるような情報が見つかってきません。例えばジェイコブ・コールセンは以前にアメリカの大手金融機関、JP Morganに勤務していたといった情報があるので確認しようとしましたが裏付けになるような情報が出てきません。結局名前が出ている経営陣3名のいずれの経歴も確認出来ないという状況です。非常に曖昧な会社の所在地情報と同様、プランスゴールド社の信頼性を疑わざるを得ない状況としか思えません。

そして所在地が曖昧であることにも関連しますが、この案件での入出金は仮想通貨 (具体的にはビットコインあるいはステーブルコインのUSDT)での入出金になるようです。これはHYIP案件の多くで共通する特徴でもありますが真の事業の本拠を隠したいとか、銀行口座を開設するのが難しいということを反映しているのではないかと強く疑わざるを得ません。

次にこの案件の資金運用方法についての検証です。プランスゴールドは仮想通貨のアービトラージ取引で1日当たり0.7%、月利で20%という容易には信じ難い高利回りが得られると称しています。しかも後述しますが、この案件はネズミ講方式 (マルチ商法)で勧誘が行われており、その勧誘報酬もアービトラージ取引で生み出されていることになっています。以下のキャプは勧誘用のTwitterアカウントからの2020年4月18日付の投稿からのキャプですがアービトラージ取引で得られる利益の30%をプランスゴールド社が受け取り、40%をマルチ商法の勧誘報酬に充て、残りの30%を投資家 (参加者) に配分するという説明になっています。

投資家 (参加者) がアービトラージ取引の30%しか受け取らないのに1日当たりの利益が投資額の0.7%、月利で20%になるということは実際の資金運用利回りは1日当たりで2.33%、月利では66,7%。年利では複利運用を考えなくても800%という運用利回りに達していなければならないことになります。これはあまりにも非現実的としか思えません。

本サイトではこれまでにも仮想通貨のアービトラージ取引で高利回りを叩き出すという投資案件を幾つか検証してきました。具体的には以下がこれまで検証してきた仮想通貨のアービトラージ取引に属する案件です。

▼AI Trade [AIトレード} / Bit-life [ビットライフ] → 「検証46」

▼Arbitao [アービタオ} → 「検証47」

▼ARGUS CRYPTO LAB [アルゴスクリプトラボ] → 検証27」

▼Bit Station [ビットステーション] → 「検証11」

▼WEENZEE [ウィーンジー] → 「検証50」

これらの内、最初の3件、AIトレード/ビットライフ。アービタオ、アルゴスクリプトラボについてはそれぞれの検証にまとめてありますが既に破綻して集団訴訟の呼びかけが行われています。ビットステーションについてもサイトは残っているものの仮想通貨交換業者 (暗号資産交換業者) の登録を得ることを断念して全く別のサイトになっています。そもそもビットステーションについてはアービトラージ取引の対象となるとしていたタオコインが自社の取引所でしか取引されていなかったのですからアービトラージ取引など出来なかったとしか思えません。最後のウィンジーについてもサイトは短期間で閉鎖されており、イギリスの法人登録も提出しなければならない書類の提出がないということで取消寸前の状況の様です。会社として活動停止の状況と思われます。

つまりこれら5つの案件は全滅だったことになります。こうした多くの失敗あるいは詐欺の疑いが濃厚な事例からしてもこれまでの案件と同じビジネスモデルでは説得力がないと考えたのかプランスゴールドはこれまでのアービトラージとは異なるシステムであるということを強調しているようです。以下はプレスリリース記事からのキャプですがこれまでのアービトラージ運用とプランスゴールドの運用の違いを説明するものです。

左上の図に示されているこれまでの仮想通貨アービトラージ取引では複数の取引所での仮想通貨の値動きを監視し、例えばビットコインが安い取引所でビットコインを買い、それをビットコインの相場が高い別の取引所に送って売却するという形で利益を出すと説明されています。実際問題としてはこんなやり方ではビットコインを安い取引所で買ってそれを別の取引所に送っている間にビットコインの相場が変わってしまい、買値よりも高く売れる保証はないということになるはずです。だからこれまで検証したアービトラージ案件では送金手数料など考えると利益が出るかどうかは疑問ながら資金を複数の取引所に分散しておいて安い取引所での買いと高い取引所での売りをそれぞれ実行して後に相殺するという形で利益を出すというモデルになっていたと思います。

これに対してプランスゴールドのアービトラージ取引は三角アービトラージと称して1つの取引所の中で3つの仮想通貨の相場の歪みを見つけ出して短時間で3つの仮想通貨を次々と乗り換えることで利益を出すということになっています。右上のキャプではビットコイン→イーサリアム→リップル→ビットコインと3つの仮想通貨の売り買いを一周してビットコインに戻ってくることで利益が得られる可能性があるという説明になっています。果たしてこんな方法でべらぼうな高利回りを生み出すことが可能なほど相場に歪みが生じることがあるのか非常に疑問ですが、この三角アービトラージと呼ばれている仕組みはこのプランスゴールドが最初の例ではなく、「三角アービトラージ」とか「トライアングルアービトラージ」を検索してみるとこの方法で利益が出せるという主張が以前からあったようです。そしてプランスゴールドのモデル的な案件としてJUBILEE ACE (ジュビリーエース jubileeace.com/ ) という案件がプランスゴールドの勧誘でも取り上げられています。例えば坂本よしたかのサイトにあったプレゼン資料には以下のキャプに示した図があります。「同一取引所でアービトラージする会社は世界に2社」と題して三角アービトラージによる運用のロジックは同じであるとしています。

このJUBILEE ACE (ジュビリーエース)という案件については勧誘動画などで肯定的な評価がされています。例えば上で引用したIBH & PRANCE GOLD名義で投稿された勧誘動画 (演者はAkira Sato) ではジュビリーエースではでは多数の億万長者が生まれており、日本でジュビリーエースを広めた玉井という人物 (おそらくフルネームは玉井暁) は参加した人たちから感謝されているといった非常に肯定的な意見が述べられています。

ジュビリーエースについてはこのページの下に書いた検証を書いたので併読して頂ければと思いますが到底信用出来る案件とは思えません。特に気になるのはジュビリーエースがプランスゴールドと同様、マルチ商法で勧誘が行われている案件であることです。マルチ商法で必要な勧誘報酬を払っても高利回りを実現することが出来る投資案件なんてそれだけで合理性が疑われます。

ともかくプランスゴールドはジュビリーエースの運用モデルを引き継ぎながらジュビリーエースよりも優れた点を持つ、より有利な案件であるというのがプランスゴールドの勧誘における主張のようです。例えば上のキャプにもありますが、ジュビリーエースがBINANCE (バイナンス www.binance.com/en)という仮想通貨交換業者だけで取引をしているのに対してプランスゴールドはバイナンスに加えてHuobi (フォビ www.huobi.com/en-us/)、BITFINEX (ビットファイネックス www.bitfinex.com/)も含めた3つの取引所で利益の出る三角アービトラージの機会を探しているので多くの機会をとらえて多くの資金を運用できるというのがプランスゴールドの優位であるというのが主張となっています。

さらにジュビリーエースは公式サイトに明確な記述がないのですが多くの勧誘サイトでは月利2.4%~20% という配当利回りになっており、月利20%と称しているプランスゴールドの方が少なくとも同等以上の利回りであること、さらにジュビリーエースでは投資した元金が返金されず、配当だけが入ってくるシステムなので実際の配当利回りの動きによるけれども投資額を回収するのに年単位の時間が掛かる可能性があるのに対し、プランスゴールドではロックアップもなく何時でも自由に投資した元本や配当分を引き出すことが出来るといった点を挙げてジュビリーエースよりもプランスゴールドの方が投資として有利であるといったことが主張されています。

但し本当に手取りで月利20%、会社の取り分 (30%) や勧誘報酬分 (40%) も含めて考えると年利800%といった運用利回りが実際に可能かどうかについては非常に疑問です。例えば以下は勧誘ブログにあった三角アービトラージ取引の実例の説明図です。

BTC (ビットコイン)ETH (イーサリアム)MFT (メインフレーム)という3つの仮想通貨の間で

1 BTC = 57.238 ETH

1 ETH = 145,138.881 MFT

1 BTC = 7,692,307.692 MFT

で取引されている時に

1 BTC → 57.238 ETH → 8,307,402 MFT → 1.0799 BTC

という取引をすれば1ビットコインが1.0799ビットコインになって8%ほど増えるというのです。実際にこんな取引で利益を出せる条件が成立しているような相場がどれほどの頻度で発生しているのかが大きな疑問です。そしてここで登場する3つの仮想通貨の内、ビットコインとイーサリアムは時価総額1位、2位のメジャーな仮想通貨ですが、MFT (メインフレーム)という仮想通貨は聞いたこともなかったので調べてみると仮想通貨データーベースのCoinmarket Capでこの検証を書いている2020年4月現在で時価総額ランキングが429位、1枚の価格が5~6銭というマイナーなコイン、いわゆる草コインであることが分かりました。さらにこのメインフレームというコインについて調べてみると以下のキャプに示したCoinmarket Capの情報によれば上場している取引所も7つほどと多くはなく、取引の大半がセーシェルのBilaxy (bilaxy.com) とシンガポールのMXC (www.mxc.com/) という2つの取引所に集中していることも分かりました。

プランスゴールドが三角アービトラージに使っているという3つの取引所の中ではこのMFT (メインフレーム)の取引があるのはバイナンスだけでHuobi (フォビ)とBITFINEX (ビットファイネックス)では扱いがないようです。Huobi (フォビ)については日本法人のフォビジャパンが運営し、日本の金融庁の登録を得た日本語対応サイト (www.huobi.co.jp/)もありますがこちらは取引可能な仮想通貨が10種類しかなく、やはりMFTの扱いはありません。

そして上のキャプに見えるようにバイナンスでの取引もMFTとドルペックのステーブルコインであるUSDTの取引、MFTとイーサリアムの取引、MFTとバイナンスの取引所コインであるBNBの取引の3つだけでMFTとビットコインの取引が確認出来ません。

上で引用した勧誘資料に出てくる三角アービトラージの実例ではイーサリアムでMFTを買う段階、MFTでビットコインを買う段階が含まれているのですからMFTでビットコインを買うことが出来るのかどうかが大問題なのですが、バイナンスの公式サイトを見てもMFTでビットコインを買うことが可能なのかどうか確認出来ません。さらに上のキャプにあるようにバイナンスにおけるMFTとイーサリアムの取引量も24時間の日本円換算で48万円ほどでしかありません。これほど取引量が少ないマイナーなコインだからこそ、三角アービトラージで利益が出せるような相場の歪みが生じやすいのかもしれませんが同時に取引量が少ない、板が薄いであろうマイナーコインの相場は少々大きな注文を出しただけで簡単に動いてしまい、三角アービトラージで利益が出るような相場の歪みなんて簡単に解消してしまうであろうことも意味していると考えます。

同様に上で引用したIBH & PRANCE GOLDというアカウントからの勧誘動画にも三角アービトラージでの運用実例として以下のキャプに示したBTC (ビットコイン) → GRS (Groestlcoin) → ETH (イーサリアム) → BTC (ビットコイン)という取引が出てきます (以下のキャプ参照)。 この取引でどれ程の金額の取引が実行されてどれ程の利益が出たのか情報が出てきませんが取引所はHuobi (フォビ)だそうです。

そこでCoinMarketCapでGRS (Groestlcoin)の取引高を見ると2020年4月現在でHuobi (フォビ)における過去24時間での出来高はGRSとBTCの取引が70万円弱、GRSとETHの取引が85万円余りという数字になっています (以下のキャプ赤枠で囲った項目)。

MFTに比べればGRSの出来高の方が多いですけどやはり24時間で数十万円のレベルでしかありません。これでは少し大きな金額の注文を出せば確実に相場が動いてしまうでしょう。アービトラージ取引で利益を出すどころか逆に損失を出す可能性が高くなってきます。

これは本サイトでこれまでに検証してきた他の仮想通貨アービトラージ案件の検証でも指摘してきた仮想通貨アービトラージ運用案件に共通する大きな問題点です。そしてこの問題点については認識があるようで、この検証の冒頭で引用した小野里はじめによる勧誘動画では一度のアービトラージ取引に投じる金額は最大で3万円であり、1日に7万回の取引を繰り返すといった文言が出てきます。右はその動画のキャプですが赤枠に囲った部分に「Max 3万円」と板書してあるのが確認出来ます。

実際に1日に7万回も三角アービトラージで利益を出せる機会が見つかるかどうかについても非常に疑問ですが、1度の取引への資金投入額が最大3万円では仮に本当に7万回の取引を行ったとしても

最大3万円 X 7万回 =最大21億円

の資金しか運用出来ない計算になります。

一方で例えば以下のキャプに示した坂本よしたかのサイトにあったプレゼン資料の冒頭には日本を含む世界9ヵ国から1000億円の投資を集めて運用するという計画が出てきます。

さらにプランスゴールドでは1日に3回の取引を繰り返すという説明が複数の勧誘動画などに出てきます。仮に1000億円の投資資金が集まって1日に資金を3回転させようと思ったら1度に最大3万円しか投入出来ないアービトラージ取引を最低でも1000万回繰り返す必要があります。7万回では全く足りません。勧誘の中では取引に使用する取引所の数を増やすとかアービトラージ取引の対象も仮想通貨以外に拡大するとかいう説明も出てきますが1000万回の三角アービトラージ取引なんてさすがに非現実的としか思えません。仮に1000万回の取引が可能であったとしても実例として出てきた1回転させただけで8%近い利益が得られる取引など滅多に見つからないでしょう。アービトラージでは投資資金を増やせば増やすほど運用利回りが低下するのは事実上不可避です。

そしてプランスゴールドでは1000億円規模の投資マネーを集める為にマルチ商法での勧誘が行われています。マルチ商法の報酬システムについてここで細々と紹介するつもりはありませんが、紹介報酬は紹介ボーナス、新規開拓ボーナス、ランクリワードの3種類があるそうで以下の2つの表は紹介ボーナスの説明のようです。

入金額とか勧誘した人数などによって勧誘報酬とか子ネズミ以下の得た配当に対応するボーナスの額が変化するようでより大きな金額を入金し、多くの人を勧誘した方が有利と主張したいものと思われるシステムになっています。例えば自分が3万ドル以上を投資すれば子ネズミ、孫ネズミ以下25段下までの収益に対して3%のボーナスが手に入るという説明になっており、25段下までの総投資額が10億円になれば月利20%で月間の資産が2億円増加、そしてこの増加分について最低でも2%の紹介ボーナスが手に入るので紹介ボーナスだけで月収600万円になると説明しています(下のキャプ参照)。

さらに誰も自分の資産を引き出さずに月利20%で複利運用を続けたと仮定すれば11ヶ月後には25段下までの資産が当初の10億円の10倍である100億円になり、月収6000万円になると主張しています (以下のキャプ参照)。

3万ドル (300万円強)の出資と子ネズミの勧誘で1年以内に月収6000万円を達成するなんて夢物語としか思えません。

さらに1ヶ月ごとに新たな投資額に対して支払われる新規開拓ボーナス、基準を満たすことによって与えられるタイトル (バロン、ヴィスコンティ、アール、マーカス、デュークの5段階) を得ることによって紹介ボーナスの報酬率がアップするランクリワードの制度と詳しく説明する気になりませんが大盤振る舞いです。既に説明したようにアービトラージで得られる収益の40%をもアフィリエイト報酬の支払いに割り当てるとなっていますが、それでもこうした報酬の支払いを維持することは出来るのか非常に疑問です。

以上、運営者の信頼性、ビジネスモデルなど総合的に判断してこの案件は全く信用出来ません。いわゆるポンジースキーム方式の詐欺である疑いが極めて濃いです。 

そしてこの案件については検証を用意している間にYahoo知恵袋に以下の投稿が出てきました。

どうやら出金に問題が生じているようです。この案件は他の類似の案件と比べて配当利回りが高いことなど考えるとかなり短気で飛んでしまう (=破綻してしまう) 可能性が高いとは思っていましたが4月1日から大規模なキャンペーンが始まったばかりと思われる案件としては半月で既に出金に問題が生じているのが事実であるのだとすれば非常に危険と考えざるを得ません。この手のHYIP案件ではいずれは破綻することを覚悟の上で短期間で子ネズミを多数勧誘して元を取ることを目指すような参加者も少なくないような印象もあるのですが、これではそういった気持ちで参加する参加者でも元本の回収を達成出来る人は非常に少なくなる可能性が高いと考えます。改めて言うまでもありませんがこの案件への投資は絶対に推奨しません。


※付記1

リンクはしませんがSNS上でのつぶやきなどによれば2020年9月ごろからプランスゴールドの出金に支障が生じ始め、10月20日頃にプランスゴールドのサイトにログイン出来なくなるという事態が起こったようでプランスゴールドは破綻したものと思われます。今から思えばYahoo知恵袋にプランスゴールドへの投資を勧誘された人たちからの質問投稿が増加するなど破綻の直前に特に勧誘が強化されている印象がありました。破綻前の荒稼ぎを狙った動きであった可能性が高く、予定された破綻だったと思われます。2020年11月15日にはYahooニュースにプランスゴールドが破綻したという以下の記事が出てきました。かなり長い記事ですが冒頭部のみ引用します。

>被害規模は400億に上るといわれ

とあり、多数の被害者が出ている可能性が高いです。儲かったのはピラミッドの頂点に近い地位を占めていた一部の主導的な立場にあった人たちだけでしょう。詐欺組織の解明がきちんと行われて首謀者や悪意を持って勧誘に走っていた人たちにはしっかりとした法的処罰が下されること、真の被害者には出来るだけ多くの弁済がなされることを願うばかりです。首謀者でも被害者を装って逃げ切ろうとするのがこの手のマルチ商法で勧誘する案件の常ですが。

尚、偶然なのか不明ですが下で検証している同様の案件、ジュビリーエースについてもプランスゴールドとほぼ時期を同じくして出金が停止されて破綻した疑いがあるようです。

※付記2

2021年1月にも上で引用した記事と同じHarbor Business Onlineからプランスゴールドに関する続報記事が出てきました。冒頭部のみ引用します。

この記事によればプランスゴールドは2020年10月に出金が停止され、被害額は500億円となっています。また日本国内でお金を集めた運営側の人間は海外に逃亡中で一部の被害者は集団訴訟を準備中とも書かれています。


※付記3

20236月にもプランスゴールドの件で組織側の人物だったとされている人物について続報が出ていました。

暗号資産投資トラブルで「20億円」丸儲け ヤクザに追われ、米国で50万ドルを踏み倒し…笑顔が眩しい「日本人ギャンブラー」はどこへ消えた? (デイリー新潮、2023年06月05日)

※付記4

本件の勧誘に関与していた泉忠司という人物について新たな活動が確認されたので以下の株式会社SNSという項目で概要を説明しています。参照してください。


●JUBILEE ACE [アクアナイト] (ジュビリーエース jubileeace.com/?lang=ja)

これは上のプランスゴールドの検証の中でも触れた案件です。プランスゴールドと同様に仮想通貨のアービトラージ取引を主な運用先とする案件でマルチ商法で勧誘が行われていると思われる点などでもプランスゴールドと似ています。結論から言えばこれもプランスゴールドと同様にHYIP (High-Yield Investment Program)と呼ばれるタイプの詐欺案件である疑いが濃厚です。ごく最近、JENCO (ジェンコ)という高額案件、AQUAnite (アクアナイト)という仮想通貨の発行も開始したようです。次項のジェンコの検証、さらにその次のアクアナイトの発行元であるAQUA LABS (アクアラボ) の検証も併読してください。

実はこの案件についてはかなり前から存在自体については気が付いていました。例えばYahoo知恵袋を検索すると2019年7月には以下のキャプに示した質問投稿が出ています。

さらにYoutubeを調べてみると例えば「ジュビリーエースJubileeaceの実践」というこの案件を宣伝する為だけのアカウントがあって毎日宣伝動画が投稿されているようですが「ジュビリエースの実践 JubileeAce」というタイトルの最初の動画が投稿されたのは2019年6月19日となっています。この検証は2020年6月半ばに書いているので少なくとも1年も前から勧誘が始まっていたことになります。

ちなみにジュビリーエースのサイトのWho Is情報を見るとサイトの開設日は2018年10月になっています。

しかしYahoo知恵袋でのこの案件に関する投稿は当初はそれほど多くはありませんでした。その為に他の案件を優先してこの件については本サイトでの検証対象とはしてきませんでしたが最近、具体的には2020年の4月以降に知恵袋への投稿が急激に増えていることに気が付きました。実際にYahoo知恵袋を検索してみると「JUBILEE ACE」の検索で7件、「ジュビリーエース」の検索で29件、重複が3件あるので計33件ほどの質問投稿があるのですが、それらの内で26件ほどが2020年4月以降の投稿です。こうしたマルチ商法で勧誘する案件の多くは比較的短期間で拡大し、破綻して終了するというパターンが多いのですがこの件については最近の勧誘拡大が著しいのではないかと思われました。また調べてみるとジュビリーエースが新しい仮想通貨を発行するという話しも出てきているようなのでさらに活動を活発化させるつもりではないかと思われました。上で検証したプランスゴールドとの比較の意味も含めて今さらながらですが検証対象にすることにしました。

検索すると簡単に表題の公式サイトが見つかってきましたが、このサイトで開示されている情報は非常に限定されています。そこで同じく検索で多数見つかってきた勧誘目的のサイトやYoutubeに大量にアップされている勧誘動画も一部以下の検証の対象にします。具体的に勧誘対象にしたサイトの幾つかを以下にまとめておきます。

■勧誘サイト

▼JUBILEE ACE JAPAN (jubileeace.jp/)

以下の検証で最も参考にした勧誘サイトです。プレゼン資料や簡単な運用成績などの資料がPDFファイルでダウンロード可能になっています。サイトの名前やURLアドレスからもジュビリーエースの勧誘の為だけに立ち上げられたサイトとしか思えませんが、Who Is情報にあるサイトの開設日は2019年4月2日となっています。日本で勧誘が開始された時期をさらに遡れることにもなります。

▼ジュビリーエースをやってみた結果 (jubileeace.biz/)

この勧誘サイトの運営者は「ジュビリーエースJubileeaceの実践 」というYoutubeチャンネルも運営しているようで毎日のようにジュビリーエースに関する動画をアップしているようです。それらの動画も検証の参考にします。

▼ジュビリーエースの実践報告サイト (hiroto-affili.com/ )

▼ジュビリーエース | アービトラージ投資ブログ (jubileeace-sedori.net/)

▼独身サラリーマンのビット投資日記 (hiromasajin.com/)

▼ジュビリーエースで月利5%運用 (jubileeace.online/)

▼RanQ:JUBILEE ACE(ジュビリーエース)って稼げるの?? (ranq-media.com/articles/14857)


これら以外にも参考にしたサイトや動画があれば出来るだけ引用していくことにします。まず例によって連絡先情報ですが、公式サイトの連絡先情報は以下のキャプに示した通りになっています。

>BVI: Sea Meadow House, Blackburne Highway, (PO Box 116), Road Town, Tortola, British Virgin Islands

>Shenzhen: 深圳市福田区沙头街天安社区泰然四路29号天安创新科技广场一期A座705F

>Malta: Swatar, City Center Regus, Tower Business Centre, 2nd floor, Tower Street, Swatar, BKR4013, Malta

>電話: +356 2546 6666

住所は上から順に英領バージン諸島、中国の深圳、マルタの3ヶ所がありますが、電話番号は1つだけです。電話番号は[+356]から始まっていてこれは国際電話の国番号リストで調べるとマルタの電話番号です。3つの住所について調べてみるとそれぞれジュビリーエースの事業の本拠と考えるには疑問があります。

まず最初の住所は租税回避地の代表格である英領バージン諸島ということで最初から予測されていましたが以下のキャプに示したAMS Trustees Limited (amsfinancial.com/ ) というオフショア会社の拠点の住所と私書箱番号まで完全に一致することが分かりました。

ついでに英領バージン諸島の金融機関登録を担当しているBritish Virgin Islands Financial Services Commission (英領バージン諸島 金融サービス委員会) のサイトにある登録金融機関のリストにジュビリーエースの登録があるかどうか探してみました。リストはアルファベット順になっており、以下はそのリストの一部のキャプですが、「JTC TRUSTEES」の次は「Juicy Capital Limited」になっており、「JUBILEE ACE」の登録は存在しないようです。

次は中国の深圳の住所ですが検索すると「深圳市腾跃菲凡科技有限公司」という企業のサイト(https://shenzhen101008.fy35.com/ ) が見つかってきました。以下はこの企業の企業ロゴと会社情報と思われる部分のキャプです。

中国語は全く分かりませんが、Googleの翻訳機能を使って出てくる翻訳文を見るとソフトウエアの開発などを行っている企業のようです。上のキャプの最後の行、赤枠で囲った部分に見える住所はジュビリーエースの深圳の住所と部屋番号まで一致しています。さらに上のキャプの緑色の枠で囲った部分には会社の創設日が2020年1月6日であると書かれています。会社創設日が新しいのでこの会社が移転した後でジュビリーエースがこの住所に拠点を構えたという訳ではないでしょう。「深圳市腾跃菲凡科技有限公司」の企業情報から考えるとかつてはこの住所にジュビリーエースの拠点があったが既に移転しているという可能性はあるかもしれません。この深圳の住所については再度後述します。

最後のマルタの住所も検索してみると以下のキャプに示したRegusというバーチャルオフィス/レンタルオフィス業者の拠点の住所と一致するようです。唯一示されている電話番号がマルタのものなのですが、マルタも租税回避地として有名な国ですしやはりこの住所にもジュビリーエースの事業実体があるかどうかは極めて疑問と考えざるを得ません。

以上、公式サイトに記されていた3つの住所について調べてみるものでといずれも実在する拠点なのか非常に疑問を感じます。そこで勧誘サイトなどを調べてみると「ジュビリーエースの実践報告サイト」という勧誘サイトに「ジュビリーエース(Jubilee Ace)の本社はどこ?オフィスの写真公開!」という投稿を見つけました。一部抜粋します。

>確かに、会社登記はイギリス領のバージン諸島にあります。バージン諸島はご存知のとおりタックスヘイブンです。

>しかしながら、JAがそこで実際に業務を行う場ではなく、単に節税のために登記をしているだけです。

>だから、私書箱が設置されているのです。そこにオフィスもなければスタッフもいません。

>今現時点(2017/8現在)で、ジュビリーエース(Jubilee Ace)の本社は、中国の深圳にあります。

記事が2017年8月とかなり以前に書かれたものであることが気になりますが英領バージン諸島の住所は節税の為の名目的なものであると認めており、本社は中国の深圳であると明言しています。さらにこの記述に続けて中国深圳のオフィスの画像なるものを幾つか載せています。ジュビリーエースのロゴも現在の青いロゴとは異なるのは最新の画像ではないからでしょう。

これが本当に深圳のオフィスの画像なのかについては確認出来ませんし、いずれにしてもかなり以前の画像です。そこでさらに探すと関西地区でジュビリーエースを勧誘しているという川嶋ひろゆきという人物のTwitterアカウントには2020年1月13日付で深圳のオフィスを訪問したという投稿があるのですが、この投稿画像を見ても深圳のオフィスであるかどうかを判断出来るような材料は見当たりません (以下のキャプ参照)。

何しろ深圳の住所に対応する電話番号が無いのが非常に気になりますし、2020年創業の別個と思われる企業が全く同じ住所を所在地としていることの説明がつきません。

中国に本拠地を置く企業と思えない理由は他にもあります。以下はアクセス状況を解析出来るサイトでジュビリーエースの公式サイトへのアクセス状況を調べた結果ですがページビュー、訪問者とも95%以上が日本からのアクセスで占められていて次に多いのがアメリカからのアクセス、中国からのアクセスは検出されないという結果になっています。

また公式サイトからもリンクがあるジュビリーエースのYoutubeチャンネルを見ると現時点で48本の動画がアップされています。それらの中で15本が日本語の動画なのに対して中国語の動画は3本しかありません。他はタイ語の動画が7本、韓国語の動画が6本、ドイツ語が3本などとなっていてジュビリーエースの勧誘の標的として日本の比重が非常に高い、日本での事業の割合が非常に高いことは確かでしょう。中国に本社があるのなら普通に考えて中国での勧誘に力を入れるのではないかと思われるのですが違和感があります。

15本の日本語の動画の中で最も気になるのは日本での勧誘を主導していると思われる9人の日本人の自己紹介動画です。動画で名乗っている9名の氏名と居住地は以下の様になっていてそれぞれジュビリーエースのACE President (エースプレジデント)という肩書になっています。

安座間周平 (沖縄)、たからいちこ (沖縄)、玉井暁 (東京)、宮城良太 (東京、沖縄)、濱崎圭吾 (沖縄)、比嘉香織 (沖縄)、かみおおさこ [Hirofumi Pepa] (千葉)、ナカ サトアキ (東京)、岡田正悟 (東京)

そしてその9名のエースプレジデントの中で最も主導的な立場にあると思われるのが以下の動画とそのキャプに登場している玉井暁と名乗る人物と思われます。

上の動画で本人はここ1年間で400回の勧誘セミナーを開催したと発言しており、他の8人のエースプレジデントの内、東京在住のナカ サトアキと沖縄在住の比嘉香織の2名はそれぞれの自己紹介動画の中で玉井暁に勧誘されてジュビリーエースに加わったと語っています。さらにこの検証を書いている時点で他の8つの自己紹介動画は2000回からせいぜい4000回の再生数なのに対し、玉井暁の動画の再生数は現時点で1万3000回越えと飛び抜けています。

勧誘サイトの1つ、JUBILEE ACE JAPANにはセミナーの日程情報があり、現在でもセミナーが日本各地で開催されていることが分かりますが例えば以下のキャプに示した2020年6月23日、24日の岡山、広島のセミナーのスピーカーがいずれも「創業者・玉井ACP」となっています。

またジュビリーエースについて検索すると玉井暁の名前は頻繁に登場してきます。この玉井暁という人物は日本における勧誘の先頭に立っている人物としか思えません。

そこでこの玉井暁という人物についてさらに検索してみると以前から怪しげな投資の勧誘に関与していたようです。以下はMayuhime (坂井増由美)という人物のブログにMayuhimeと並んで登場している玉井暁の画像です。このMayuhime (坂井増由美)という女性は「検証46」で検証したAIトレード / ビットライフという仮想通貨のアービトラージ取引で高利回りを叩き出すという案件に関与していた人物です。そして「検証46」に書きましたがAIトレード / ビットライフは集団訴訟の呼びかけが行われているような案件です。

そして上の画像がMayuhimeのブログに投稿されたのは2017年4月19日で投稿のタイトルは「玉井暁氏とMayuhime二人のミリオネアが教える「億万長者の成り方」」となっています。どうやらMayuhimeと玉井暁は「検証13」で検証対象にしたビットクラブという仮想通貨のマイニング案件の勧誘に共通して関与していたようで「玉井 Mayuhime」で検索すると2017年当時のビットクラブに関するセミナーの情報が複数出てきます。ジュビリーエースの勧誘ブログ、「独身サラリーマンのビット投資日記」にも玉井という人物がビットクラブに関与していたことが記されています。「検証13」にまとめてありますが、ビットクラブは海外で詐欺として摘発されて首謀者が逮捕されているような案件であり、日本国内でも少なくない被害者が出たようで集団訴訟の呼びかけが行われています。こうした経緯からみればこの玉井暁という人物の信頼性については非常に疑わしいと考えざるを得ません。

この玉井という人物と並んで上で引用した勧誘セミナーのスピーカーに頻繁に登場しているのが「創業者」という人物です。何故名前を書かずに「創業者」という紹介の仕方なのか分かりませんが、この創業者に当たるのはボビーという人物と思われ、勧誘サイトなどにしばしば登場しています。例えば左下のキャプは上でも引用した川嶋ひろゆき名義のTwitter2019年11月20日付の投稿に登場している「ボビー」の画像です。そして以下は「独身サラリーマンのビット投資日記」という勧誘ブログにあったこのボビーという人物の紹介や略歴です。

ボビーのフルネームは何故か開示されていないようなのですが、このブログによれば2015年に仮想通貨バブル前のビットコインに投資して大富豪になったとありますから検索すれば簡単にフルネームや経歴など見つかると思って検索してみました。しかし一向にそれらしき人物の情報を確認することが出来ません。シンガポールは投資で得たキャピタルゲインが非課税になるという投資家を極めて優遇している、投資家にとって非常に有利な国ですからシンガポールから転居する可能性は低いだろうと考えてForbes誌のシンガポールの資産額上位50人 (Singapore’s 50 Richest) など調べてみたのですが該当すると思われる人物を見つけることが出来ません。そもそもそんな大富豪が連日日本で投資勧誘セミナーの講師などやっている暇があるのかという疑問もあります。普通に考えてそんな業務を大富豪自らが務めるなんて非常に考えにくいでしょう。しかもこのジュビリーエースは後述しますが資金量が過度に増えると投資利回りの低下が不可避なアービトラージ取引です。大富豪なら自分の資産だけを運用することを考えるのが最も合理的な考え方でしょう。こう考えてくるとフルネームが開示されていないのも経歴を確認されたくないからという解釈だって可能でしょう。これだけで100%デタラメと決めつけることも出来ませんが、この人物の経歴などに関して裏付けとなるような情報を確認することも出来ず、強い不審を感じずにはいられません。

次にジュビリーエースのビジネスモデルについて検証します。但しジュビリーエースは市場間の相場の歪みを利用して利益を出すアービトラージ取引で利益を出すという案件であり、上で検証した同じくアービトラージで運用するプランスゴールドと似た案件です。アービトラージで運用する以上は巨額の資金を引用してしかも高い利回りを生み出すということに無理があるという点では同じであり、同じ趣旨の検証を繰り返しても仕方がないので以下では主にプランスゴールドとの違いについて説明していくことにします。必要に応じてプランスゴールドの検証を併読してください。

プランスゴールドとの明らかな違いは幾つかあるのですが、まず最初に挙げられるのはプランスゴールドは仮想通貨のアービトラージ取引だけを運用手段としていたのに対してジュビリーエースは仮想通貨取引以外に複数のブックメーカーのオッズの違いを利用して利益を出すスポーツアービトラージおよび石油や金属、穀物などコモディティ取引の市場でアービトラージ取引を行うコモディティアービトラージの3つを選択出来る形になっているようです。

しかしスポーツアービトラージにしてもコモディティにしてもプランスゴールドの検証で書いたように巨額の資金を投入すれば相場が動いてしまうことは避けられませんから投資家から集めた巨額資金を高利回りで運用するなんてことが可能になるとは思えません。また新型コロナウイルスであらゆるスポーツの試合が中止されているような現状ではスポーツアービトラージは開店休業でしょう。コモディティ市場はそれなりに大きな市場ではあると思いますが、それだけにアービトラージ取引を行っているアービトラージャーは必ずいるはずです。競争の厳しい市場では大きな利益を出すことは非常に困難でしょう。やはり巨額の資金を高利回りで運用するなんて非現実的としか思えません。

具体的にどの程度の金額でどれ程の利益を出せる運用をしているのかが気になりますが勧誘サイトのJUBILEE ACE JAPANにはAQUA分析レポートという名称で2019年7月以降、3ヶ月ごとの実績報告がPDFファイルで用意されています。このAQUAというのは自動売買プログラムのようです。最新の2020年1~3月のAQUA分析レポートから仮想通貨での運用に関する部分を以下のキャプに示します。

このレポートによると例えば3月の場合、1億7347万ドルの資金に対して5349万ドルの利益が生み出されていることになっており、1ヶ月での利回りが30.84%という驚異的な運用利回りです。同様に1ヶ月の運用利回りを1月、2月についてもそれぞれ41.41%、42.37%とさらに高い運用利回りを上げたことになっています。

これだけ高い運用利回りはそれだけで現実的とは思えませんがこれだけの高利回りを達成するのに必要なトレードの回数が問題です。平均トレード額は例えば3月の場合、0.041829 BTCとビットコイン建てになっていて1BTC = 1万ドル (100万円強) で換算すると418ドル29セントということになります。1億7347万ドルという巨額の資金があるのに1度のトレードで動かす資金がわずか418ドル29セントということになると資金全額を1回転させるのに41万4712回のトレードが必要になります。さらにこれだけのトレード回数では平均トレード利益の1.41%しか利益が出ません。30.83%という月間利回りを実現するには資金を21回転以上トレードに使う必要があります。結局3月の1ヶ月に必要だったトレード回数を計算すると906万回以上ということになります。1日当たり29万2500回ほどのトレードが行われていたことになります。上で検証したプランスゴールドの場合と同じでそんなにアービトラージ取引で利益の出る取引機会があって実際にそんな膨大な回数の取引が実行されているかどうか極めて疑問です。

ついでに同じ2020年1~3月のAQUA分析レポートによればコモディティやスポーツアービトラージで運用した場合も仮想通貨でのアービトラージ運用と同様に異様な高利回りが達成されていることになっています (以下のキャプ参照)。

また2019年7~9月のレポート2019年10~12月のレポートを見てもやはり月利30%前後あるいはそれ以上の驚異的な数字が並んでいます (以下の表を参照)。但し、この案件では実際に受け取れる配当はこの運用利回りよりかなり少なく、さらに出金に際してはかなり高額な手数料も課せられるようです。この点については後述します。

プランスゴールドとの比較で2つ目の大きな違いはプランスゴールドを検証した際に出てきたジュビリーエースでは元本が返済されないという点です。これが事実なのかどうか確認しようとしたのですが公式サイトにある情報は極めて限定されていて元本が返済されるかどうかについて記述がありません。しかし複数の勧誘サイトなどには元本は戻ってこないという記述が確認されます。例えば以下はジュビリーエースの実践報告サイトからのキャプですが元本が戻ってこない理由を一応説明しようとしているようです。

しかしこの説明は全く理解不能です。例えば玉井暁らがかつて勧誘に関わっていたビットクラブというマイニングの案件 (「検証13」を参照) も元本が返済されない案件でしたがマイニングの案件ならば投資家から集めた資金でマイニングマシンを購入し、何年か経つとより優れたマイニングマシンが供給されることによってマイニングマシンとしての価値を失うということで元本が返済されないというシステムでもある程度納得出来る説明になっていました。しかしジュビリーエースのようなアービトラージ取引で利益を出すという案件では元本が失われることはないのですから元本が返済されないことに全く合理性を感じません。

ジュビリーエースの3つ目の特徴として出金手数料が異様に高いという点が挙げられます。但し手数料が幾らなのかについては公式サイトに明確な説明が見当たらないだけでなく、勧誘サイトや勧誘動画の説明も不明確で情報が一定していません。10%、20%、30%といった数字が出てきてどれが正しいのかよく分からないのです。高額な手数料が課せられることは確かなのですが、高額な手数料は勧誘する上では都合の良くない情報の部類ですから詳しい説明が避けられているのではないかと思われます。

以下は勧誘サイトでダウンロード出来るプレゼン資料からのキャプですが、公式サイトでログインしなければ見ることが出来ない操作画面の冒頭部を示しています。そして赤枠で囲った部分にAQUA (アクア)という自動売買ソフトの使用料をおそらく期間限定で30%から20%に割引中といったことが書いてあります。

さらに以下は同じプレゼン資料の出金方法に関する部分のキャプですがこれも赤枠で囲った部分に出金手数料10%と書いてあるのが確認出来ます。

要するに手数料は2種類あってまずアクアという自動売買ソフトの使用料金が原則30% (期間限定で20%)、さらに出金時には10%の手数料が必要ということではないかと思われます。

こういった高額のソフト使用料、手数料を差し引いた実際の収益に関して例えば「ジュビリーエースをやってみた結果」という勧誘サイトの「ジュビリーエースとは?」という投稿には以下のキャプに示した記述があります。

元本金額の区分が不連続になっていて例えば3000ドル~5000ドルの範囲、あるいは1万ドル~3万ドルの範囲ならどうなるのか分かりませんがとにかく投資額が多い口座の方が利回りが優遇されるというシステムになっているようです。おそらくこれは後述する「レベル」と言われるものに対応しているものと思われます。そして例えば1000~3000ドルの区分のリターン

>7.5%(-2.25%)実質5.25%

という記述の(-2.25%)という部分はアクアの使用料として30%が差し引かれているということだと思われます。そして使用料徴収前の数字は投資利回りとしては驚くほど高い月利ではあっても上で引用したAQUA分析レポートに出ていた1ヶ月の運用利回りの数字と比べれば相当に低いです。仮想通貨、コモディティ、スポーツのいずれを選んでも30%とか40%といった驚異的な月利が叩き出されていたはずなのに3万ドル以上を投資して得られるAQUA使用料差し引き前の最高の運用月利が15%程度となっていて半分かそれ以下でしかありません。何故ここで月利が半分以下になってしまうのか全く理解出来ません。そもそもこの案件では既に説明したように元本は返済されないことも忘れるべきではないでしょう。実質的な運用利回りが5.25%~10.5%では元本分を取り戻すだけで10~19か月を要することになります。出金手数料の10%も考えれば元本分を取り戻すのに必要な期間はさらに長くなります。

元本分を出来るだけ早く取り戻そうとするなら利益分を毎月引き出すのは止めて複利運用する、さらに多くの元本を投入して高い利回りが得られる3万ドル以上といった大口の投資をする、マルチ商法の勧誘報酬を狙って身の回りの人たちなどを積極的に勧誘するということになるのだと思われます。

次にそのマルチ商法に関してですが複数の勧誘サイトで以下の様な記述が見つかります。

>ジュビリーエース/JA(Jubilee Ace)のは「完全招待制」となっており、すでにJAで投資運用されている方の紹介をうけないと参加できません。 

勧誘サイトの目的はサイト運営者が自らの子ネズミとなってくれる人を探すことでしょうから実際には紹介なしで登録する方法もあるのかもしれませんがここでは追求しません。マルチ商法の報酬システムについて勧誘サイトに出ている情報を簡単に説明します。まず以下は勧誘サイトの1つ、「ジュビリーエース | アービトラージ投資ブログ」からのキャプですが、ジュビリーエースの紹介報酬は4種類あるようです。

最も分かりやすいのは最初の誰かを勧誘すれば得られる直接スポンサーボーナスでしょう。以下も「ジュビリーエース | アービトラージ投資ブログ」から引用してきた表ですが、紹介者には勧誘してきた人物が入金した金額の一部が報酬として支払われるようです。そしてその割合は「レベル」というものの違いによって6~12%の範囲で変わるようです。

本件が信頼出来るかどうかという本質的な問題とはあまり関係がないので詳細は省略しますが、他の3つの紹介報酬もレベルが上がれば増えるシステムになっているようです。詳細を知りたいならば勧誘サイト・「ジュビリーエース | アービトラージ投資ブログ」を参照してください。

さらに詳細は情報不足でよく分かりませんが「レベル」は上で書いたアービトラージで得られる利益の手取りが出資額が大きくなると増えるシステムと対応しているものと思われます。以下はJUBILEE ACE JAPANという勧誘サイトからダウンロード可能なボーナスプランに関するプレゼン資料からのキャプですが、レベルが上がれば仮想通貨アービトラージで得られる利益の配分も増えるように読み取れます。

とにかくこうしたレベルによって報酬、配分が増えるシステムになっているのでジュビリーエースに加入した人たちはこのレベルを上げようとするのだと思われます。このレベルを上げるには細かい部分は省きますが自ら多くの金額を出資する、多くの人たちを勧誘する、あるいはその両方が必要になるようです。勧誘サイト・「ジュビリーエース | アービトラージ投資ブログ」の記述によれば以下の表にある最後のブラックダイヤモンドという3段階のレベルは本人の出資額と勧誘への貢献度 (勧誘人数や勧誘した人たちが出資した金額)の両方を満たさなければならないとなっています。

ジュビリーエースではマルチ商法での勧誘が行われていることは間違いないでしょう。そしてマルチ商法の勧誘報酬は返済されない元本や異様に高い手数料などが原資になっているのかと思われます。

ジュビリーエースのシステムを見ていくと類似のマルチ商法で勧誘して異様な高利回りを出すHYIP (ハイプ) 案件の多くが短期間で破綻してしまうのに対し、ジュビリーエースがこれまでおよそ1年も破綻せずに来ている理由が見えてきたように思います。すなわち元本が戻ってこないのでとにかく元本分だけは回収しようという心理が働く上に非常に高額な手数料や口座残高が減ると不利な扱いを受けるシステムでは出金が著しく不利になっているので参加者の多くが出金を控えているから破綻が避けられているのだと思われます。さらに本項の最初に書いたように特に今年になってから勧誘を強化して新規の参加者を多数呼び込んでいるというのも破綻を避けられている大きな理由でしょう。

しかし勧誘を開始してから1年にもなると初期に投資した人たちの中には既に元本分を確保している人が出てきているはずです。そうなれば元本分を確保しておこうと高額な手数料を払っても出金を考える人が増えて一気に破綻の可能性が高くなってくるかもしれません。これを避けようとしているのではないかと思われる新展開が次に説明するAQUAnite (アクアナイト)という仮想通貨の発行です。この仮想通貨発行については最初は上でも引用した川嶋ひろゆき名義のTwitterアカウントからの以下の2件の投稿で知ることになりました。

2件の投稿でアクアナイト1枚の販売価格が1円と1ドルで食い違っていますが、1ドルが正しいようです。ともかく仮想通貨のデーターベースであるコインマーケットキャップでトップ10 (時価総額の上位10位以内?)を狙うとなれば一大プロジェクトのはずでまずは出来るだけ広く情報公開して投資家の関心を集めなければならないはずです。

ところがこの情報を直ぐに公式サイトで確認しようとしましたが全く情報が見つかりません。調べてみるとジュビリーエース公式サイトではどうやらログインしないと見られない、つまり既にジュビリーエースに投資している人たちだけに限定してこの仮想通貨の発行計画情報が公開されているらしいことが判明しました。以下はYoutubeで見つけた2020年6月10日投稿の勧誘動画ですがログインすると見られる画面が既にアクアナイトに対応してアクアナイトの購入申し込みが可能になっていることが示されているようです。

アクアナイトについては検索するとさらに幾つかの勧誘動画やブログなどに断片的な情報があることが分かりました。

上で引用したTwitterの投稿によれば2020年7~8月、つまり1ヶ月以内という非常に近い時期に発行される、さらに既に申し込み可能になっているというのに公式サイトでのこの仮想通貨に関する情報は全てログインしないと見られない設定になっているという状況には強い違和感を感じざるを得ません。仕方がないのでアクアナイトの評価は勧誘動画や勧誘サイトにある情報に頼らざるを得ません。まず引用元になっている勧誘サイトや動画の幾つかについてリンクしておきます。まず勧誘ブログとかプレスリリースの類です。

ジュビリーエース アクアナイト AQUAnite 新しい仮想通貨登場 (投稿日:2020年6月9日)

ジュビリーエースにAQNという新しい窓が出てきた (投稿日:2020年6月10日)

【ジュビリーエース】6/25最新情報まとめ・アクアナイトとは? (投稿日:2020年6月25日)

Jubilee Ace:独自の暗号通貨「アクアナイト(AQUAnite/AQN)」を初ローンチ (プレスリリース記事、投稿日:2020年6月29日)

勧誘動画にも上で既に引用したもの以外にもアクアナイトに関するものが幾つかあります。

【ジュビリーエース/Jubilee Ace】ジュビリーエースのアクアナイト(AQN)について!! (投稿日;2020年6月9日)

ジュビリーエースJubileeAceアクアナイト分からん0616  (投稿日:2020年6月16日)

これらにあるアクアナイトの情報を箇条書きしてみます。

■「Jubilee Group(ジュビリーグループ)」は子会社である「AQUA Labs(アクアラボズ)」を通じて独自の暗号通貨「アクアナイト(AQUAnite/AQN)」を立ち上げる。

■ジュビリーエースから出金する際に支払わなければならない自動売買ソフトの使用料金をアクアナイトで支払い可能でしかも料率が30%から20%に減額される。

■発行上限は5億枚で販売はプリローンチ (2020年6月10~15日、5000万枚、販売価格0.98ドル、ボーナス20%)、コミュニティーローンチ (2020年6月15日~7月15日、5000万枚、販売価格1ドル、ボーナス20%)、パブリックローンチ (2020年7月15日~、詳細は後日発表) の3段階で売り出す。

■最初のプリローンチで購入可能なのはジュビリーエース参加者の中でもエースプレジデントあるいはエースクラウンプレジデントというランクにある人だけ。次のコミュニティーローンチは全てのジュビリーエース参加者に購入権が与えられる。

■アクアナイトの相場は変動するが仮に値下がりしても自動売買ソフトの使用料支払いでは1枚=1ドル換算で使用可能。

■将来は仮想通貨取引所に上場を予定している。

■発行上限5億枚でスタートするが半分の2億5000万枚は償却するので価値が何倍にもなるような上昇が期待出来る。

■アクアナイトについても販売ボーナス (紹介報酬) の制度がある。

公式サイトからの情報ではない為にどれほど信頼出来るのかさえ不明なのですが、既に販売が開始されているにしては明らかに情報開示が不足しています。例えばアクアナイトの発行元はジュビリーエースの子会社である「AQUA Labs(アクアラボズ)」であるというのですが、この「AQUA Labs(アクアラボズ)」に関する情報が何もありませんし、検索しても何も出てきません。こんな状態でおそらくジュビリーエース参加者以外にも販売が始まると思われるパブリックローンチが2020年7月15日から始まる予定となっているのですが、全く一般への情報開示がないのに売れるわけがないと思います。ジュビリーエースの参加者が自動売買ソフトの使用料を払うのに割引が得られるというだけの仮想通貨で川嶋ひろゆき名義のTwitterアカウントからの投稿にあった「コインマーケットキャップでトップ10を狙う」なんて全くの夢物語としか思えません。そもそも何故ジュビリーエースの参加者しか使いそうにないような仮想通貨を発行するのかこのアクアナイトという仮想通貨の存在意義さえ疑問に感じます。

むしろ怪しげな数多くの案件を検証してきた立場から容易に可能性として浮かび上がってくるのはジュビリーエースの利益なども近い将来にアクアナイトに換金するように仕向ける、また利益の支払いもアクアナイトで支払うようにシステムを変更し、形だけアクアナイトを上場させて暴落させるという形で参加者への利益の支払いを回避するという参加者にとって悪夢のシナリオです。そもそも日本の法律では仮想通貨を販売するには金融庁で仮想通貨(暗号通貨)交換業者の登録を得ることが必要なのですから交換業者の登録リストにないジュビリーエースが仮想通貨を販売すること自体が違法のはずです。さらにそれ以前にジュビリーエースは投資名目で不特定多数からの出資を受けていることも出資法違反の可能性が高いです。

ジュビリーエースの違法性については海外で既に指摘があったようです。ジュビリーエースについて検索していて偶然見つけたのですが、スウェーデンのTrijoという仮想通貨取引所から出ている2020年5月15日付の記事によればオーストリアの金融当局がジュビリーエースの違法性を指摘して警告を出し、スウェーデンの金融当局もこれを受けて同様に警告を出したということです。以下はその記事からリンクのあったオーストリアのFinancial Market Supervision in Austria (FMA、金融市場監督局)から出ているジュビリーエースに対する警告のキャプです。警告の日付は2020年2月27日になっています。

ジュビリーエースの公式サイトへのアクセスの大半が日本からのアクセスであることを上で指摘しましたがオーストリアからこうした警告が出ていることからすればどうやら当初は日本以外の欧州の国でもジュビリーエースの活動はあったようです。しかし違法性の指摘が早い時期になされることなどによって日本以外の国では大きく拡大することなく終了してしまったのに対して日本では金融庁などから警告が出たような様子もなく、ジュビリーエースが拡大してしまったということではないかと思われます。

結論としてジュビリーエースには合法性の問題や情報開示の著しい不足、実際に高利回りを実現出来るとは到底思えないビジネスモデルなど非常に多くの問題点があります。到底信頼出来る投資案件とは思えません。投資は全く推奨出来ません。

※付記1

この検証を書いている途中の2020年6月21日頃に表題の公式サイト (jubileeace.com/?lang=ja) にアクセスしようとすると別の英語表示にしか対応していない別のサイト (www.myaqua.jubileeace.com/ ) にリダイレクトされるようになりました。日本語に対応しなくなっただけでなく、開示されている情報がますます減ったような印象があります。意味が分かりません。

※付記2

到底事実とは思えない話ですが、ジュビリーエースが破綻した際に投資家の損失を補償する保険が用意されているという情報がネット上に見つかります。

Twitter投稿 (2020年3月7日付)

本当に運営がこういう情報を流したのか、あるいは何としても子ネズミを獲得したい末端が暴走してばら撒いたデタラメなのか分かりませんが、ロイズや東京海上といった保険会社に確認するまでもなく常識的に考えて到底事実とは思えません。

※付記3

以下のキャプに示した勧誘動画によれば渋谷駅前の一等地にジュビリーエースの野外広告が出たようです。相当の広告経費を投入していることは間違いないでしょう。急速に勧誘を強化している傾向にあることは間違いないものと思われます。だとすれば非常に危険な臭いがします。マルチで勧誘する案件では大規模に勧誘が行われる直後に案件が計画的な破綻に至る可能性が充分に考えられます。

さらに本項の最初にも書きましたがジュビリーエースについてJENCO (ジェンコ)という高額案件とアクアナイトという仮想通貨について進展があったようなので以下で別項目として検証します。


※付記4

上で検証しているジュビリーエースとほぼ時を同じくして2020年9月頃に出金が停止されてこのまま破綻する疑いが生じているようです。運営側はあくまでも一時的な出金停止であるという主張のようですがこれまでの多くの事例から言って出金が再開されるかどうかは極めて疑問でしょう。仮に出金を再開したとしてもプランスゴールドが破綻したことからも不安を覚えた参加者から出金依頼が殺到してやはり破綻に至ることになることが当然予想されます。運営側の主張は勧誘サイトの投稿を参照してください。

ジュビリーエースの公式メモ出ました

▼ジュビリーエースで今、何が起こっているのか?


※付記5

2021年10月12日に産経新聞からジュビリーエースや以下で検証しているジェンコという案件について本格捜査が行われるという記事が出ました。冒頭部のみ引用します。

ジュビリーエース、ジェンコに加えて同じグループによる後継案件と思われるグローバリティクス・テック・リサーチという案件についても出金トラブルが発生していて捜査対象になっているようです。続報を待ちたいと思います。

※付記6

2021年11月10日、ジュビリーエースの勧誘組織で主導的な立場にあった人物として上の検証にも名前が出ていた玉井暁という人物を含む7人が逮捕されたというニュースが出てきました。集金額は650億円と報じられています。かなり以前から違法性など強く疑われていたのですからもっと早期に摘発できなかったのかと思う次第です。

暗号資産で出資募集、男ら7人逮捕 全国初、金商法違反容疑―警視庁 (2021年11月10日 時事ドットコム)

【速報】金融マルチ商法で650億円集金か 勧誘の男ら逮捕 「シンガポールの天才が作ったシステムで稼げる」(2021年11月10日 FNNプライムオンライン)

「マルチのカリスマ」逮捕 無登録で仮想通貨など投資勧誘の疑い (毎日新聞 2021/11/10)

「ビットコインで20%の高配当」無登録で投資募った7人逮捕…650億円相当を集金か (2021/11/10 読売新聞オンライン)

金商法違反で「ジュビリーエース」関係者7人逮捕 警視庁 (2021年11月10日 産経新聞)

※付記7

ジュビリーエースや以下で検証しているジェンコという同じグループによると思われる案件で被害者となった女性が自殺してしまい、遺族が勧誘役だったかつての同級生らを提訴したというニュースが出ています。

「投資に興味ある?」同級生の“勧誘”で自ら命を絶った女性 遺族が損害賠償を求め訴え【大阪発】(2022年11月12日 FNNプライムオンライン)

投資被害に悩み自殺、女性の母親が勧誘者らを提訴 東京地裁 (2022年11月2日 産経新聞)


●JENCO (ジェンコ jenco.team/index.html)

以前にジュビリーエースの検証をした時に既に気配はあったのですが、JENCO (ジェンコ)という高額案件が2020年9月から始まるようです。例えばYahoo知恵袋にも以下の質問が出ていました。最低投資額が1000ドル (約10万円) だったジュビリーエースに対してジェンコは1万ドル (約100万円)と10倍になっているようです。

最低投資額が10倍になったこと以外に何が違うのかと思って公式の情報を探しましたがジュビリーエースの場合よりもさらに公開されている情報が限定されているようです。まずジュビリーエースの公式サイトを確認しましたが、以下のキャプに示したようにジェンコのロゴとZOOMを使ったネットでの勧誘セミナーが連日開催されているらしいことが分かるだけの情報しかありません。

さらに探すと表題のジェンコの公式サイト (jenco.team/index.html) があるということが判明しましたが肝心の部分は以下のキャプに示したようにこのサイトでもログインしないと見ることが出来ない設定になっているようです。

上のキャプに見える背景が海上油井と思われる画像になっているのはJENCOが「Jubilee Energy Commodities」の略であり、原油などコモディティ(商品)で資金を動かしているということに対応しているものと思われます。

そしてこのサイトからは幾つかのPDFファイルをダウンロードすることが出来るようになっています。ダウンロード出来るファイルは全て日本語のファイルであり、日本での勧誘に力がそそがれていることを意味するものでしょう。実際問題としてはジュビリーエースは海外発祥の案件であるにも関わらず、日本以外の国でジェンコの勧誘が行われているかどうかも疑問です。とにかく以下がこのサイトからダウンロード出来るPDFファイルです。

jenco チュートリアル

アフィリエイトプログラム

プライベートプレースメント

しかしこれらのファイルにある情報は断片的であまり検証の役には立ちません。そこで不本意ですがジュビリーエースの場合と同様に以下にリストした勧誘目的のサイトや勧誘動画も検証対象として調べてみました。ジュビリーエースの検証対象にしたサイトと重複しますが以下に内容を確認したものを列挙しておきます。

Crypto Dogs : JENCOの操作方法紹介!アフィリエイト・入金方法・プライベートプレースメントなど!

GUCCHIの暗号通貨で兆億長者ブログ:【ジュビリーエース】JENCOを超・簡単に徹底解説っ!

GUCCHIの暗号通貨で兆億長者ブログ:【ジュビリーエース】JENCOの報酬プランとは?

ジュビリーエースの実践報告サイト:JENCO(ジェンコ)がスタートしました!ジュビリーエース(Jubilee Ace)新サービスの参加方法

ジュビリーエースJubileeAceのJENCO気になる点0720 (Youtube動画)

ジュビリーエースJubileeAceのJENCOやるべきか0723 (Youtube動画)

ジュビリーエースJubileeAce-JENCO利益率0729 (Youtube動画)

しかしこれらの勧誘サイトを見てもやはり情報は極めて断片的でジュビリーエースとあまり違いはないように思われます。これらのサイトや動画から分かってきたジュビリーエースとの違いとされている点を以下に箇条書きでまとめます。

中でも大きな違いは最低投資単位が10倍になっている点と利益上限が大きくなっていることかと思われます。以下は公式サイトに用意されていたプレゼン資料のPDFファイルからのキャプで非常に読みにくいですが投資金額別にお試しコース的なトライアルを除くとベーシック、エリート、プリビレッジ、リザーブ、トレジャーズ、プレステージの6段階になっていることが分かります。

例えばベーシックでは1万ドルの投資が必要で予想利益は3~11%、報酬上限は投資額の5倍、次のエリートでは5万ドルの投資が必要で予想利益は4~12%、報酬上限は同じく投資額の5倍となっています。

さらに5番目のトレジャーズと最上位のプレステージについては必要投資額の欄にそれぞれ100万ドル (約1億円)、300万ドル (約3億円)という金額が書いてある他に「※スポンサー2X500,000」「※スポンサー2X1,000,000」という記述があります。何の説明も見当たらないのですがマルチ商法での勧誘で相当の実績を積むことがトレジャーズやプレステージの地位を獲得するのに必要なのではないかと推測されます。投資額が非常に多いのに加えて勧誘の実績も必要となればトレジャーズやプレステージの地位を獲得するのは非常に困難でしょう。

またジュビリーエースでは投資額の3倍までしか増やすことが出来ないがジェンコでは5~8倍まで増やすことが出来るという点が非常に強調されているのですが、これが実質的なメリットと言えるかどうかはかなり疑問です。

ジュビリーエースでは月利8%前後で元本は返済されないシステムでしたから元本分を取り戻すのに1年ほど、出金時にアクアの使用料として30%もの支払いが必要になる分も考慮すれば実質的な運用利回りは5%台ぐらいと思われますから元本分を取り戻すだけで1年半ぐらいの期間が必要であるはずであるという説明をジュビリーエースの検証でしました。ジュビリーエースの募集が始まったのは2019年になってからと思われるのでマルチ商法の勧誘報酬を考慮しなければ最も初期に投資した人でもようやく元本分の回収が可能になった程度ではないかと思われます。別の言い方をすればジュビリーエースの3倍という報酬上限に達した人など殆どあるいは全く出ていない可能性が高いと思います。それなのにジェンコで上限が5~8倍に拡大されたことがどれほどジェンコのメリットと言えるかどうかは極めて疑問なのです。5倍~8倍もの上限に達するには相当の年数が必要なはずで上限に達する前に案件自体が破綻してしまう可能性を考えざるを得ません。特に本サイトで何度も説明しているようにアービトラージ取引は大きな資金を運用するのに向いていません。ジェンコで大きな資金を受け入れたら運用利回りを維持するのはますます困難になるでしょう。その為にコモディティ市場などジュビリーエースよりも幅広い市場での運用を行うとしているのでしょうが、コモディティ市場にはプロの投資家が多数参加しているはずですから大きな利回りを得るなんて高い運用利回りを維持するなんて非現実的としか思えません。

結局ジェンコとジュビリーエースには本質的な違いはないように思います。実際に主張されているような異様な高利回りの配当が可能なほどのアービトラージ取引が行われているかどうかさえ疑問であり、単にジュビリーエースの破綻を先延ばしにするために考え出された非常に危険な案件である可能性が充分に考えられます。投資は絶対に避けるべきと結論します。


●AQUA LABS [アクアナイト] (アクアラボ www.aqualabs.io/)

ジュビリーエースの項目でも触れたジュビリーエース独自と思われるAQUANITE (アクアナイト) という仮想通貨に関する情報が少しずつ出てきたようなので簡単に検証を行います。表題のAQUA LABS (アクアラボ)はアクアナイトの発行元の名称です。このアクアラボの存在を知ったのは以下に冒頭部のキャプを示したプレスリリース記事からです。記事の日付は2020年7月16日、赤枠で囲った部分にプレスリリース記事であることが記されています。つまり情報発信元 (この場合にはアクアラボ)が提供した八っ票内容をそのまま掲載した記事ということでメディア側の取材や確認に基づく記事ではないということです。

ちなみにこのプレスリリース記事は朝日新聞ZDNetなど他のメディアのサイトにも掲載されていますがプレスリリース記事であることが明記され、内容は全く同じです。

とにかくこの記事によってかねてからジュビリーエースに関連して発行されるとされていたAQUAnite (アクアナイト)という仮想通貨の発行元がAQUA Labs (アクアラボ)という企業(?)であるということが判明しました。また上のキャプには入っていませんが記事の末尾にはお問い合わせ先としてアクアラボのメールアドレス (media@aqualabs.io) と公式サイトのURLアドレス (https://www.aqualabs.io/) が記されていました。以下がその公式サイトの冒頭部のキャプです、

表示言語は英語のみです。プレスリリース記事が日本語で出ているのに公式サイトが英語だけという点には違和感があります。まず連絡先情報を探しましたが脚注にプレスリリース記事にも記されていたメールアドレスが1つと香港の住所が1つあるだけです (以下のキャプ参照)。

この住所を検索してみましたが「458-468 Hennessy Road, Caseway Bay, HK」という住所にCameron Commercial Centreというオフィスビルがあることは確認出来ました。しかしこのCameron Commercial Centreというは不動産業者の情報によれば22階建てのかなり大きなオフィスビルであり、部屋番号とか階数の記載が無いのは不完全な住所としか思えません。また電話番号や運営者の情報がないこと、ジュビリーエースの連絡先情報が英領バージン諸島、中国の深圳、地中海のマルタの3ヶ所であったのに組織的に明らかに繋がっているはずのアクアラボの連作先が香港であることにも強い違和感を感じます。香港の住所がどれほど信用出来るかは疑問と感じます。

とにかくこのアクアラボのサイトでアクアナイトの情報を探すと以下のキャプに示した概要とホワイトペーパーへのリンクを見つけました。

上のキャプの左側にはジュビリーエースのアクアという自動売買システムの使用料をアクアナイトで支払えば割引になるという以前にも出ていた説明が書かれていますが、こうした極めて限定された用途専用の仮想通貨がそもそも必要か、このアクアナイトという仮想通貨が広く普及するのか考えれば非常に否定的な意見を持たざるを得ません。

上のキャプの右側にはアクアナイトの基本情報が書かれています。

>Total Supply: 500,000,000 AQN

>Token Ticker: AQN 

>Blockchain: Ethereum ERC20

アクアナイトの総発行枚数が5億枚、略号がAQNであること、ERC20というイーサリアムのシステムを使った仮想通貨であることが分かります。さらに英語版しかありませんがホワイトペーパーのPDFファイルがダウンロード可能になっているので一応眺めてみましたが17ページしかない上に10ページ目ぐらいまではジュビリーエースのアービトラージ取引で利益を出すというシステムの説明ばかりでアクアナイトという仮想通貨の存在意義とか他の仮想通貨との違いみたいな説明は殆どありません。極めて貧弱で説得力に欠けるホワイトペーパーとしか思えません。立派なのは右のキャプに示したアクアナイトのロゴぐらいです。

とにかくイーサリアムのシステムを使った仮想通貨であることは分かったのでイーサリアムのシステムを使っている仮想通貨のデーターベースであるEtherscanアクアナイトの情報を確認しました。以下がアクアナイトの情報の冒頭部のキャプです。

AQUANITE (アクアナイト) という名称が一致しているだけでなく、総発行枚数が5億枚であるといった基本情報も一致しているのでこれがここで検証しているアクアナイトの情報であることは間違いないでしょう。しかしこの検証を書いている2020年8月半ばの時点では既に第一期の売り出しが終了し、第二期の売り出しが進行中のはずなのにアクアナイトを保有しているホルダーのアドレスが7つしかありません。7人のホルダーの保有枚数情報を以下に示します。

総発行枚数の内、2番目のホルダーは10万枚ほどを保有していますが、3番目のホルダーは1万枚、4番目以降は9970枚、129枚、108枚、20枚となっていてこれでホルダーリストが終了です。5億枚の大半は売り出し元と思われる一番上のアドレスに残ったままなのです。既に第一期の売り出しが終了し、第二期の売り出しが始まっているはずなのにこの状況ではアクアナイトは殆ど売れていない、あるいは売れているとしてもさっぱり送金されていないということになります。

一方でホワイトペーパーの15ページ目にはFUTURE ROADMAPと称して以下の様な文章があります。

現時点で既に10万人を超える人がジュビリーエースのアクアシステムを使っており、2022年末までには500万人を超えるユーザーが見込まれ、 (1枚=1ドルで売り出している) アクアナイトの価値は2022年末までに1枚=18ドルに達するだろうと見込まれている、アクアナイトは時価総額で90億ドルに達して仮想通貨の時価総額ランキングで10位以内になるだろうといったことが書かれているのですが、上で示したアクアナイトの売れ行き状況を見るとどう考えても非現実的な見通しとしか思えません。そもそも繰り返し書いているようにアービトラージは巨額資金を運用するのに向いていないという本質的な問題があることを考えればジュビリーエースがそこまで多くの投資家を受け入れることが非現実的です。

さらに指摘するまでもないかもしれませんが、日本の法律では仮想通貨を販売するには暗号資産交換業者の登録が必要です。そして金融庁のサイトで公表されている交換業者の登録リストを見てもアクアナイトを扱っている登録業者は見当たりません。アクアラボのサイトが日本語非対応なのはこうした規制を逃れようとする意図によるものなのかもしれませんが実態として日本国内でアクアナイトの購入を勧誘し、販売しているのは間違いないと思われます。違法の疑いは極めて濃いです。

言うまでもありませんがアクアナイトの購入は絶対に避けるべきと結論します。


●株式会社SNS (https://sns-company.info/)

2024年4月半ばにYahooで相次いで見つけた以下の2つのネット広告で知った案件です。どんな案件なのか全く情報がなく、仮想通貨関連かどうかさえ不明であり、ここで取り上げるべきかどうか迷ったのですが、本サイトで度々登場していた人物の関与している案件のようなので参考資料として残しておくことにします。

1件目はYahoo知恵袋、2件目、3件目はYahooニュースで発見した広告です。

>10万円を両替したら・・・3か月後→ 2億円

>20万円を両替したら・・・3か月後→ 4億円 | 億越え投資家が暴露した【完全な裏情報】で儲かる初心者が続出・・・! 

>貯金の一部を両替したら・・・20万円→ 4億円

と記されています。運用期間が具体的なのは2件目のみですが20万円が3ヶ月で4億円になる投資というのはどう考えても非現実的でしょう。そしてこれら2つのネット広告はいずれもランディングページ (https://sb-sinnihon-project.discover-news.tokyo/ab/ijftmfzGRmBPU_YzFWyQ) にリンクされています。出稿主は

PR:株式会社SNS

と書かれています。このランディングページの一部を抜粋引用します。

Yahooで見かけた広告では

>10万円を両替したら・・・3か月後→ 2億円

>20万円を両替したら・・・3か月後→ 4億円 | 億越え投資家が暴露した【完全な裏情報】で儲かる初心者が続出・・・!

となっていましたがこの広告サイトでは

>6万円が800万円に!

となっています。投資額が6万円なら800万円、10万円だと2億円ということになるのでしょうか?投資額が6万円で800万円になるなら133倍、10万円が2億円とか20万円が4億円になるなら2000倍です。しかも運用期間がたった3ヶ月で2000倍に増えるというのです。そんな非現実的としか思われない高利回りの投資が存在するかどうか極めて疑わしいとしか思われません。投資先の情報としては

>銀行で「〇〇」に両替するだけで億万長者になっている人が続出

とあるので法定通貨?ということになりますが、具体的な情報はありません。

そして「英国ケンブリッジ大学名誉教授」が暴露と書いてありますがこの「英国ケンブリッジ大学名誉教授」を名乗っているのが本サイトではしばしば登場している以下の人物です。

この泉忠司という人物は本サイトの検証でしばしば登場している人物であり、関与していたことが確認されている案件のリストは上のプランスゴールドの検証に出ているので参照してください。

この泉忠司という人物は2017年に「アメリカ合衆国大統領府最優秀顕彰」を受賞とか「ケンブリッジ大学名誉教授就任」といった輝かしい経歴があるとなっています。本当にアメリカ大統領から「最優秀顕彰」を受賞したのならば、ケンブリッジ大学名誉教授に就任したのならば本人の主張だけでなく、それを裏付ける情報がネット上に見つかるはずと考えて検索してみましたがいずれについても裏付けるような情報は見つかりません。例えばケンブリッジ大学の公式サイト (https://www.cam.ac.uk/) で「Tadashi Izumi」を検索してみましたが、それらしい情報は出てきません。そもそも「アメリカ合衆国大統領府最優秀顕彰 (The President’s Council Certificate of Excellence)」が実在するかどうかさえ確認出来ません。逆に「アメリカ合衆国大統領府最優秀顕彰 (The President’s Council Certificate of Excellence)」の実在、本人が主張する経歴を疑いようなSNSの書き込みが見つかります。

そしてこのランディングページからリンク先になっている「泉さんのホームページ」というのがまた別個のランディングページ (https://sns-p.net/lps/lpb/020/) です。以下にその別個のランディングページの冒頭部を示します。

こちらは「一億円以上の個人資産を作る完全マニュアル」というDVDのサイトになっています。8万円のしきんが2014年から2023年の9年間の運用で680万円になったというのですが、投資対象などに関する情報は何もありません。

そしてこれら2つのランディングページの末尾には「運営者情報」「特定商取引に基づく記載」「プライバシーポリシー」という3つのリンクが並んでおり、最初の「運営者情報」のリンク先がた表題の株式会社SNSのサイトのトップぺージ (https://sns-company.info/)、2番目の「特定商取引に基づく記載」のリンク先が株式会社SNSの特定商取引法のサブページ (https://sns-p.net/toku/)、3番目の「プライバシーポリシー」のリンク先が株式会社SNSのプライバシーポリシーのサブページ (https://sns-p.net/privacy-policy/) になっています。株式会社SNSは上で引用した広告の広告主としても登場していた社名です。

まず株式会社SNSのトップページ冒頭を以下に示します。

このサイト冒頭にはMETAVERSE & MARKETING (メタバースとマーケッティング) と書いてあり、さらに画像は省略しますが、事業内容を説明していると思われるSERVICEという項目には

>企画プロモーション

>メタバース製品開発・NFT製品開発事業

>新規事業開発事業

という3つの事業が挙げられています。一方で投資に関する説明は何もありません。ところが以下に示した特定商取引法のページには投資関係の記述が見つかります。

>販売業者 株式会社SNS

>販売責任者 藤田徹

>所在地 〒150-0013

東京都渋谷区恵比寿2-6-28IL CENTRO EBIS 602

>HP https://sns-company.info/

>電話番号 03-6823-4633

>メールアドレス info※sns-company.info

>申込方法 Web上のお申し込みフォーム(24時間受付中)

>支払い方法 クレジットカード、銀行振込(前払い)

>販売価格 シン・ニホン創世プロジェクト

33万円

シン・ニホン創世プロジェクト プラチナメンバー

110万円

泉忠司インストールプログラム

330万円

シン・ニホン創世プロジェクト」「シン・ニホン創世プロジェクト プラチナメンバー」「泉忠司インストールプログラム」の内容が全く分かりませんが、おそらく情報商材の類でしょう。330万円という「泉忠司インストールプログラム」を買えば20万円を3ヵ月で4億円に出来るというのでしょうか?

トップページに記されているメタバース関連の事業についてもどんな製品やサービスを提供しているのか具体的な説明は一切なく、むしろ情報商材の販売のみが株式会社SNSの事業なのではないかと疑わざるを得ません。そして泉忠司という人物の関与する情報商材となれば消費者機構日本 (https://www.coj.gr.jp/) が「パルテノンコース」などと言う情報商材の販売について株式会社ONE MESSAGEおよび泉忠司氏を東京地裁に提訴した件を思い起こさざるを得ません。

株式会社ONE MESSAGEおよび泉忠司氏「仮想通貨バイブルDVD」および「パルテノンコース」の購入代金の返還請求

東京地方裁判所に提訴 平成31年(ワ)第11049号

ONE MESSAGE等に対する情報商材被害事件に関する最高裁判所の判決を受けて

~消費者裁判手続特例法の「支配性」に関する解釈について~


この裁判は2024年3月の最高裁判決において

>訴えを却下した東京地方裁判所の判断及びこれを正当とした東京高等裁判所の判断は誤りであるとして、本件を東京地方裁判所に差し戻す旨の判決が言い渡された。

という状況なので最終的な結論はまだ得られていませんが、最高裁が訴えを却下した地裁、高裁の判決が誤りであるという結論を出したということからすれば最終的に訴えは認められる可能性が高いということになると思われます。同じ人物が販売していた情報商材についてトラブルになり、裁判沙汰になっていることを考えれば株式会社SNSが販売していると思われる商材についても購入は当然推奨できません。