検証32

このページでは以下の項目を検証しています。非常にややこしいことに「With Coin (ウィズコイン)」という名前で別個の仮想通貨の案件が2つ存在しているようです。混乱しますが出来るだけ整理して検証します。

●With Coin (ウィズコイン withcoin.info/)
●With Coin (ウィズコイン withcoin.biz/)


それでは1つ目のウィズコインの検証を始めます。

●With Coin (ウィズコイン withcoin.info/)

最初は2018年1月20日付でYahoo知恵袋に投稿された質問(その後削除)で知ることになった仮想通貨案件です。

但しこの質問に「With Coinで検索すると出てきます」などとあったのでまさか2つの「With Coin」が存在しているとは思わず誤解したまま下で検証した韓国のウィズコインのサイトの件かと思ってアクセスが殆どなかったのでそのまま放置していました。

それが2018年3月半ばになって急に動画やSNSで勧誘が急激に増えてきたことに気が付き急遽検証することにしました。

下にリストした幾つかの動画を見てみましたがいずれも2018年3月15日、16日の2日間に集中的に投稿されており、大手取引所に上場が決まっているので爆上げ確実などと称して自らのLINEに登録するなどして自分からウィズコインを購入するように勧誘しています。これらの動画はいずれも勧誘報酬を得る目的でアップされているものでしょう。

「仮想通貨情報]激アツキタ!?WithCoinいきなりきてワロタww「With Coin」

投稿者:僕の仕事はyou tubeえーすけ

公開日:2018/03/15

【3月16日】大注目!WithCoin!!ここで購入出来ます!!

投稿者:中卒ニートなのに億り人

公開日:2018/03/16

爆上げICO『With Coin』詳細と募集【仮想通貨】

投稿者:【最高月収1937万円】主婦マリアの仮想通貨教室

公開日:2018/03/15

【withcoin(ウィズコイン)ico】仮想通貨Withコイン・上場・将来性・月刊仮想通貨・ブックメーカ-・オンラインカジノ・G20

投稿者:平谷暁/仮想通貨の最前線情報クリプトチャンネル

公開日:2018/03/16

ちなみに仮想通貨の売買仲介を行うには仮想通貨交換業者の登録が必要であるはずですが、これらの動画をアップしている人たちが交換業者の登録を得ているあるいは登録申請中の「みなし業者」とは思えません。改正資金決済法違法が疑われますし、本人の情報開示が為されていない個人から仮想通貨を買うことは危険としか思えません。

検証に戻りますが、表題の公式サイトに行ってみると以下のキャプに示すように言語選択は英語、韓国語、中国語しか選択出来ませんし、ホワイトペーパーは英語版しかないようです。サーバーは香港です。

また連絡先情報を見ると会社名はD-BAC INTERNATIONAL COMPANY LIMITED、住所はマカオになっています。電話番号[+853]というマカオの国番号から始まっています。言語の選択肢(英語、韓国語、中国語)、マカオの住所や電話番号を見ればD-BAC INTERNATIONAL COMPANYはマカオの会社としか思えません。

しかしこのサイトはつい最近まで日本語表示が可能だった様子があり、日本語版のホワイトペーパーも準備されていた形跡があります。例えばこのサイトのURLアドレスをGoogleで検索すると日本語版のホワイトペーパーが

https://withcoin.info/whitepaper/en/withcoin_whitepaper_jp_201801.pdfというURLアドレスからPDFファイルでダウンロード可能だったことが分かりますし、そのテキスト部分については今の時点では全文がGoogleのキャッシュから見ることが出来る状況になっています。

ちなみにこの日本語版ホワイトペーパーのURLアドレスは英語版のホワイトペーパーのURLアドレス (https://withcoin.info/whitepaper/en/withcoin_whitepaper_en_201801.pdf)と酷似しています。

そして現在でもダウンロード出来る英語版のホワイトペーパーについても一部の図表では以下に示すキャプにあるようにむしろ日本語表示が主体になっている点に強い違和感があります。

さらにウィズコインのサイトは以前にもう一つ存在していたと思われます。以下のキャプは「怪傑Zの仮想通貨を投資以外で消耗してます!」というブログから得たものですがWithCoinのサイトとして紹介されているキャプには「オンラインカジノやリアルカジノへ」といった日本語の記述があることが分かります。ちなみにウィズコインのアイコンは本項で検証しているサイトにあるアイコンと一致しています。

そしてこのブログにあるリンクのURLアドレスは「http://withcoin-sys.com/」となっていて現在のウィズコインのサイトのURLと一致しません。このURLにアクセスしてみましたがアクセスを拒否されます。

サーバー情報を見るとドメインネームを「お名前.com」という日本の業者から取得し、GMOインターネットという日本の業者と契約していることが分かりますし、サーバーの位置情報も東京になっています。

これはどう見ても日本人が作った日本の企業サイトです。何故このウィズコインのサイトが閉鎖されたのか、現在のウィズコインのサイト(withcoin.info/)でも日本語版のサイトや日本語版のホワイトペーパーが削除されているのか強い違和感を感じます。明らかに日本のアフィリエイターを動員してウィズコインのプロモーションが始まっているのに公式サイトやホワイトペーパーからわざわざ日本語版を除くのは著しく合理性に反しているように感じます。ウィズコインの発行元が本当にマカオの実在するのか疑問を感じますし、日本人グループによる日本の会社がマカオに名目だけの幽霊会社を作っているのではないかと疑いを感じずにはいられません。

そしてGoogleのキャッシュに残っていた日本語版のホワイトペーパーの中には以下の様な部分があります。

「システム開発の協力会社」としてラプレマホールディングスという会社が登場しています。住所は愛知県名古屋市で社長兼CEOは田中健太となっています。また連絡先情報の横には「lapurema ラプレマ」という社名付きのリンクボタンがあります。リンク先は「http://lapurema.com/」となっています。この社名と名古屋の住所、社長の名前には聞き覚えがあります。すなわち「検証11」で検証したTAOCOIN (タオコイン)の項目に登場した会社です。しかも「検証11」で説明しましたがラプレマホールディングスは「100%株主だった経営企画部長が、顧客から預かった仮想通貨(ビットコイン)を私的に流用していたことが判明」したことによって営業停止処分を受け、さらに仮想通貨交換業者の申請を取り下げ、廃業も検討しているというビットステーションと密接な関係があると思われる会社です。信用度において高く評価は出来ません。

ラプレマホールディングスはシステム開発を担当したということになっていますが、事業主体のD-BAC INTERNATIONAL COMPANY LIMITED社についても調べてみると問題があるように思えます。まず公式サイト (dbac-intl.com/)を見るとカジノのチップなどの画像が使われており、カジノに関係した会社らしいということ、「ロイヤルカスタマーズクラブ」とか「グローバルオーナーズクラブ」といった組織を運営していることは分かりますが、具体的な業務内容は何も分かりません。また仮想通貨に関する記述も見つかりません。そこでさらに検索すると公式サイトのURLと酷似したURL (dbac-intl.com/bk/index.html) で別のサイトがあることが分かりました。このサイトには勧誘用と思われるプレゼン資料の様なものがアップされています。また「ロイヤルカスタマーズクラブ」に関する動画も確認しました。動画の投稿者は「D-BAC CHANNEL」、公開日は2017年4月19日でウィズコインに関する情報は含まれていないようです。

この動画を見てようやく分かりましたが、MLM(マルチレベルマーケッティング)の手法でバカラというカジノゲームで大儲け出来るソフトを開発してレンタルするのがD-BAC社を含むPMBグループの業務のようです。ちなみに入会金が29800円、月会費12960円となっているようです。マカオの会社のはずなのに料金体系が円建てであることに違和感があります。

そして日本での活動はKRAIS (クライス)という企業が中心になっているようですがクライスの業務には「収納代行」という項目があります。しかし海外の会社の収納代行を行って海外に送金を行うのならば金融庁に銀行あるいは資金移動業者の登録が必要なはずです。クライス社は業務から言って銀行とは思えませんし、金融庁のサイトで公開されている資金移動業者のリストを確認しましたが該当はありません。既に書いたようにマカオのD-BAC INTERNATIONALが本当に実在するかどうかは疑わしい部分もあるように思いますが、仮にマカオの会社が実在してクライス社が日本からマカオへの送金業務を行っているならば違法な地下銀行ということになる可能性が高いです。ちなみにクライス社は住所が大阪の北区になっており、法人登録も同じ住所に確認されます。

PMBグループの業務内容に戻りますがGMコイン、DBコインという仮想通貨らしきものを発行販売しているようなことが書かれていますがこれらについては話しが複雑になってしまうので今の時点では追求しません (また項を改めて検証するかもしれません。)。

そして勧誘動画を見ていくとD-BACというソフトを使ってカジノ (あるいはオンラインカジノ) のバカラゲームに参加すれば株などの投資よりも確実に儲けることが出来る「堅実な投資」になると主張しています。動画の中ではこのD-BACというソフトで参加者の80%以上が月刊運用益50%越え、月間200%越えの利益を出す人も続出しているとも主張しています。

しかし実際にD-BACなるソフトを使えば高利回りの収益が期待出来るという説明を鵜呑みにすることは出来ません。バカラというカードゲームのルールはここでは重要ではありません。D-BACというソフトを使って過去の結果を入力すれば次の回の結果を高い確率で予測出来ると主張しているのですが、コインを投げて3回続けて表が出たから次は裏が出る可能性が高いなどという幼稚な理論と同じとしか思われません。サイコロを使った丁半博打でもコイン投げでもカードゲームでもサイコロの重心が中心からずれているといったイカサマがない限り、過去の結果と将来の結果には独立の事象であって決して連動しません。断言しますがどんなにゲームの結果を集約して分析しても決して過去の結果から将来の結果を予測するなんて不可能です。月刊の利回りが50%越えとか200%とか眉唾としか思えません。

さらに顧客獲得にマルチレベルマーケッティング (MLM)の手法を使っていることにも合法性の観点から問題が生じる可能性も考えられます。こうした手法で営業活動を行えばしばしば紹介報酬欲しさに誇大広告などが行われる可能性が高いことも問題になることも多いはずです。特にカジノのカードゲームで収益を生み出すというソフト自体が信用出来るとは評価し難いのですから問題は大きいです。このサイトにおける検証の対象はあくまでもD-BAC社のソフトではなく、ウィズコインという仮想通貨ですからこれ以上掘り下げることはしませんが、システムを開発しているという日本のラプレマ社、事業主体のD-BAC社のいずれも信用度の高い企業とは評価出来ません。

またそもそも公式サイトの変遷や日本語の記述が急に削除されたと思われる件など考えるとマカオに本当に事業主体のD-BAC社が実在しているのか疑問を感じます。D-BAC社の住所になっているマカオなど日本以外でもD-BACというソフトやウィズコインの事業が行われているかどうかも確認出来ません。海外に名目だけの拠点を設けて日本の法規制などを逃れようとしているだけではないかという疑いを拭い去ることが出来ません。また仮にマカオに事業主体が実在して大阪のクライス社が海外送金業務を行っているなら違法性が強く疑われます。カジノへの送金手段としての仮想通貨という実用性、ビジネスモデルも特に高い評価は出来ません。この案件への投資は推奨しません。

※付記1

Final ICO Projectと称して松山光市なる人物がウィズコインの開発者として購入を薦めるプロモーションが行われているようです。少なくとも3つのランディングページが確認されます (その後いずれも閉鎖。)。

http://final-ico.com/0w1eblp/01opt/01bcaad/

http://final-ico.com/0w1eblp/01opt/02bcpakm/

http://final-ico.com/0w1eblp/01opt/03murni/

またYoutubeに複数の勧誘動画も投稿されているようです。例えば「WithCoin開発者の松山光市さん / 世界規模のカジノと提携!」と題する動画では開発者を名乗る松山光市なる人物がナビゲーターを名乗る小野里肇なる人物と対談して非常に有望な仮想通貨であると主張しています。またこの続編の動画「WithCoin開発者の松山光市さん / 遂に上場確定!」では2018年5月末にバイナンスという大手取引所に上場することが予告され、「あなたの10万円が8000万円以上の資産となり」といった主張が登場します。何故800倍になるのか具体的な説明はなく、眉唾としか思えません。

※付記2

ウィズコインは2018年5月末に上場されたようです。但し上場されたのは動画やランディングページで予告されていたバイナンスではなく、HitBTC (hitbtc.com/)という取引所です。右のキャプは上場直後のウィズコインの相場を示す15分足チャート(ビットコイン建て)ですが、最初の15分足の4本値は以下のようになっています。

初値 0.0001191ビットコイン

高値 0.0001191ビットコイン

安値 0.0000007ビットコイン

終値 0.0000014ビットコイン

上場初値の0.0001191ビットコインはこれを書いている時点でのビットコインの相場81万3000円ほどで換算すると97円ほどでしたがあっという間に15分後には上場初値の約85分の1である0.0000014ビットコイン≒1円14銭ほどにまで暴落し、この検証を書いている時点では0.0000005~0.0000007ビットコイン (約0.4~0.6円)で取引されています。ウィズコインの販売価格は時期などによって違うようですが3~5円ほどで購入した人が多数いるようですから800倍になるどころか10分の1ほどになってしまったことになります。出来高から見ても上場直後の高値で利益を出せた人は殆どいなかったものと思われ、動画で予告されていた800倍になるかどうかは極めて危ういものと思われます。

※付記3

ウィズコインの開発者を名乗って勧誘活動を行っていた松山およびYoutubeで勧誘を行っていた平谷という人物に対してそれぞれ損害賠償請求への呼びかけが行われているようです。特に松山氏に対する集団訴訟の呼びかけでは参加者の被害額が21億円超と巨額になっています。

withコイン松山氏に関する集団訴訟

松山某を対象にした集団訴訟呼びかけにおいては松山某の「当初の説明」と「実際の状況」が以下の様にまとめられています。

<当初の説明>

①既にコインは完成していて、オカダマニラを初めとしたフィリピンの複数のカジノとの提携も確定している。

②オフラインの専用ウォレットも既に開発済みであり、セキュリティ対策も万全。

③5/30にバイナンスへの上場が確定している。

④月刊仮想通貨5月号への掲載が確定している。

⑤ホワイトペーパーによると総発行枚数50億枚。

⑥セミナー等で、5円を下回らないと確約。(被害者の中に、音声録音している方がいる)

⑦コインもアプリもAPIも全て開発が終わっている。


<実際の状況>

①オカダマニラの公式HPで、「ビットコインを初めとして、あらゆる仮想通貨はカジノで使用できません」と掲載される。また、シティオブドリームズからも仮想通貨を使う予定は無いとメールで回答あり。

②専用ウォレットにバグが見つかり、既存のHBウォレットに変更。しかし、HBウォレットがwithcoinの取り扱い を「極めて詐欺の疑いが強いため。」との理由で中止。

③バイナンスへの上場ではなく、HITBTCへの上場へ変更。

④月刊仮想通貨がwithcoinの掲載を否定。

⑤一切アナウンスもなく300億枚に変更されていた。

⑥5円を下回ら居ないどころか買値の10分の1以下に大暴落。

⑦NEMベースのコインからイーサリアムベースのトークンに変更。


さらにmatomaというサイトでもウィズコインに関する集団訴訟の呼びかけが行われているようです (以下のキャプ参照)。

●With Coin (ウィズコイン withcoin.biz/)

「With Coin」で検索すると優先的に引っかかるのはこちらのサイトです。上で検証したウィズコインの件に関する質問が知恵袋に出た時に検索してこのサイトに関する質問かと誤解したのですが間違っていたようです。SNSや動画で盛んに宣伝されているのは上で検証した方の「With Coin」なのですが混乱を避ける為にも検証対象とします。

(この項目は未完成です。)